拙著『貸本小説』(アスペクト)、遅くとも9月4日には全国の新刊書店の店頭に並ぶ予定です。八重洲ブックセンターには、取次に持って行った見本が並ぶので、若干ヨソより早く並ぶのですが、そうですか1日ですか。御足労をおかけしてすみませんでした。>森様。でも、珍しい貸本をお求めとのことなので、どうかご勘弁ください。
さて、内容は、例によってここや『彷書月刊』で書いているような内容プラス新ネタです。もちろんいつもより詳しく、引用もたっぷりです。
ミステリ・SF系、時代小説、現代小説について(分類はスコブルあいまいです)20名以上の作家(バイオ)とその作品(粗筋)を扱っています。書影は100点以上。304ページ、四六判上製。ISBN4-7572-0855-3。
定価は1800円(+税)です。先日の告知はカバーのゲラに入っていた仮の定価でした。重ね重ねすみません。
ということで、どうぞ皆さま、お買い上げをお願いいたします。
宣伝失礼しました。>オーナー様。
拙著には「ギョーザ娘」が登場するので、ギョウザについては先日調べました。他の中華メニューに比べて、ギョウザは日本に入ってくるのが遅いですね(戦後のようです)。近藤日出造や渡辺啓助が昭和20年代末〜30年代初頭にギョウザの話を書いています。
ワンタンやシュウマイは戦前の小説に出てきますし、シュウマイは結構ご馳走扱いされています(そう言えばワンタンは軽んじられんがち?)が、ギョウザは北方系なので出遅れたのでしょうか。
九鬼紫郎の昭和30年代の小説には四川料理が出て来ますし、久生十蘭の戦前作には中華料理のコースメニューが出て来ます(スッポンの甲羅の縁とか)。十蘭については今度の『彷書月刊』に書きました。
実は、小説に出てくる料理に興味があります。ワンタン資料、引き続き調べてみます。
桜様。
『無人島菌の秘密』は、吐風書房ですね。海音寺潮五郎の単行本を見たことがあります。残念ながら、巻末に自社広告がなかったので、他にどんな本があるかわかりませんでした。
森様。
『笑の王国』については、なんら知るところはありません。すみません。
末永さん
『貸本小説』が見当たらず、かわりに貸本小説を買って帰りました
(なんのこっちゃ)。
ちょっと時間が空いたので、八重洲ブックセンターをのぞいてみたのです
が、『貸本小説』はまだ並んでいなくて、土曜日の入荷になるだろうといわ
れました。そのまま帰るのもむなしいので、1軒だけ古本屋さんをのぞいて
みると、富賀装の貸本明朗小説(行芽生と風早恵介)が2冊並んでいたのに
はびっくり。しかもどちらも貸本落ちではないようなので、どこから出たも
のなのでしょうか。
同じところで、讀切倶楽部の新春増刊号『笑の王国』を三橋の短編が入っ
ていたので購入したのですが、この『笑の王国』と銘打たれた増刊は定期的
に出ていたものなのでしょうか? なかなかの内容なので、ちょっと気にな
ります。ご存じでしたら、ご教示くださいませ。
その後、雑用におわれています。
小林さん、「小林文庫」の、リスト、拝見しています。そのなかで、
第13回江戸川乱歩賞の候補作のひとつ、『失われた街』草野唯雄は、「大東京午前二時」に改稿され(これは書かれています)、さらに、『見知らぬ顔の女』昭和51、光文社、600枚に書き直しされたようです。角川文庫、昭和59、解説による。
先頃の、目録では、『無人島菌の秘密』海野十三の書影に驚きました。しかも、あの、満州奉天市での刊行のようです。では、大xx出版社でしょうか。幻の一作。
また、『北村薫の本格ミステリ・ライブラリー』所収の、田中潤司さんの登場にも驚きました。はじめは、架空の座談会かな、と思いました。実に、37年(?)振りの登場でしょうか。
中様、
そうですね。べつに東京でワンタンが食べられていないというわけではないでしょうが、きのうたまたま見た「考現学」に早稲田周辺の大正時代の食べ物やの一覧がのっていたのですが、ワンタン屋というのはありませんでした。支那料理屋はのっていたのですが。当時ウイスキーを飲むとしたらやはりカフェーが一般的なんでしょうね。おそらく乱歩がたまたまワンタン屋で粗悪なウイスキーを飲んだ経験があったのでしょう。以前にもかいたように乱歩が個人的にワンタンが好きで、思わずフラフラと入ってしまい、それが記憶に焼き付いていたとか…そんなところでしょうか。
■平山雄一様
『凱旋門』の件、ご同慶の至りです。
ワンタン屋につきましては、これはもう何が何やらさっぱりわけがわからぬのですが、流行り廃りにはあまり関わりなく、ラーメンやギョーザなどと並ぶ中華料理の一品として、乱歩の時代からワンタンはごく普通に存在していたのではないでしょうか。乱歩がワンタンをふるまったと伝える川崎やす子の文章にも、ワンタンが珍しい食べものであったというニュアンスはまったく感じられません。
また、日本社会を均質なものと見るのはおおきに危険なことではあるのですが、だからといって関東と関西でワンタン受容に濃淡があったとも考えにくいと思います。この掲示板で全国から「私のワンタン体験」をカミングアウトする投稿を募ってみるのも一興ですが、なにしろことは戦前の話ですから、現況のみをもって往時を憶断するわけにはまいりません。
しかしほぼ確実にいえるのは、「大暗室」のワンタン屋が乱歩の捏造だったわけではあるまいということです。粗悪なウイスキーを飲ませたのであろうワンタン屋が東京に存在していたのは、まず間違いのないところかと思われます。乱歩というのはこのあたり、不精と映るほど「在りもの」で間に合わせる人で(これはアクチュアリティを保障するためというよりも、乱歩の作家的本質に深く関連することだと見受けられるのですが)、在りもしないワンタン屋を作中に登場させたとは考えられません。
■アイナット様
「文学時代」の件、『新潮日本文学辞典』の「文学時代」の項から、ご質問にかかわる箇所を抜粋します。
「文学時代」ぶんがくじだい 文芸雑誌。昭和四・五−七・七、新潮社発行。全三九冊。「文章倶楽部」の後継誌として創刊され ……(中略)…… 七年八月、大衆雑誌「日の出」の創刊のため廃刊。(小田切進)
復刻版のことは皆目わかりません。「文学時代」には創刊号のアンケートその他、乱歩もたまに寄稿しておりましたので、復刻版が出ているのなら当方も調べてみなければならぬのですが、えー、また近いうちに「文学時代」復刻版をひっくりかえしてみるつもりだ、みたいなありがたいご予定はございませんでしょうか。
■金光寛峯様
文芸誌の復刻版について、当方にはまったく知識がありません。しかも三重県在住です。編纂中の『江戸川乱歩著書目録』では復刻版もとりあげるつもりなのですが、復刻版と名のつくものは「探偵作家クラブ会報」と「新青年」しか判明しておりません。乱歩が文芸誌に書いたケースはごく少ないのですが、乱歩に関わりのあった文芸誌で復刻版が刊行されているものというと、どのあたりになるのでしょうか。
読み返してみるとなんだか「どうだ偉いだろう」と自慢しているように
見えてきました。
もちろんそんなつもりはなくて、ただもうクタクタになった、なるほど
いろんな全集なんかの書誌で復刻雑誌を割愛しているのは理由があった
のだと痛感したのです。
甲賀三郎が寄稿した雑誌が何タイトルあるか存じ上げませんが、その
一つ一つについて復刻の有る無し、有ればどこの出版社から何年何月
に全何巻で出たのか、装丁は? 復刻範囲は? 価格は? 合本か一冊ごと
なのか? 解題や総目次等の別冊の有無は? マイクロや CD-ROM 復興は
存在するのか? etc... を調査するのは………
いきなりなんだか気勢を殺ぐようで申し訳ないのですが…
はじめまして、アイナットさん。
当方も、乱歩激賞(?)「二壜のソース」で有名なロード・ダンセイニの邦訳書誌を
共編でまとめ、試みに通常は書誌では割愛されている復刻雑誌も網羅しました。
最終更新一歩手前のちょっと古いデータですが、ここで公開しています(「新青年」
復刻版のデータ等、間違いも多くて恥かしいものです)
http://village.infoweb.ne.jp/~pegana/Contents/biblio0005.txt
それでですね。
文芸誌の復刻版は割愛された方がよろしいのではないかと思います。
当方は意固地になって調べまして、のべ 20件! もう、この復刻雑誌調査が一番
手間も時間もかかったというくらいでした。今もう一同やり直すとしたら、復刻
は対象外にするでしょう。
せめて、「どこそこから昭和○年に復刻版がある」と注記する程度に止めておく
のが賢明なのではないかと愚考します。
ご質問の 2件についてですが、
>1.この《文学時代》、それほどこの後続いているとは思えませんが、何年何月号まで発刊されていたのでしょうか?
>2.ゆまに書房の復刻版は大阪市立図書館には昭和六年九月号の29冊あったわけですが、実際この後の号もあるのか、否か?
このあたりを参照されればおそらく答えが得られると思います。私も何度となく
閲読しました。
◇『国立国会図書館定期刊行物総目録』全 4巻, 同館編, 1999, 同館/紀伊国屋書店
※これはどこの図書館にもあります
◇『現代日本文芸総覧』全4巻, 小田切進編, 1969.11〜1973.8, 明治文献
※基本資料、県立級の図書館なら常備しているでしょう
◇「複製文学雑誌一覧」, 未署名, 「日本古書通信」第51巻第1号通巻678号所収, 1986.1, 日本古書通信社
※復刻範囲、巻数、価格、特装版の有無など明記、さすがツボを心得ている
◇『日本書籍総目録』各年度版, 日本書籍出版協会編, 1977〜, 日本書籍出版協会
※図書館に収まっている復刻雑誌は奥付等が無くなっている例がままあり、価格や
全巻数等が分からないことがありますが、本目録で補える場合があります
◇『文芸誌譚 その「雑」なる風景』, 紅野敏郎, 2000.1, 雄松堂書店
※「文学時代」の項があったかどうかは怪しいですが、背景や時代の空気といったものが
勉強できます
また、東京都立中央図書館や日本近代文学館では復刻雑誌の帙などを廃棄せずに保存して
おり、調査する上でたいへん助かりました。奥付がこうした帙や箱についていることが多
いので、無くなっていたらお手上げでした。都内在住でなければ復刻雑誌調査は挫折して
いたと思います。
アイナットさんは関西にお住まいなので実見は困難でしょうが、電話や FAX で照会する
手もありますが…
以上多少でもご参考になれば幸いです。
お久し振りに書き込ませて戴きます。
とは言え、質問なのですが。
先日大阪市立図書館にて、ゆまに書房の《文学時代》復刻版(昭和4年5月号〜昭和6年9月号)までは確認出来、この間の甲賀三郎の評論、探偵小説のリストなども全て自分のWEBサイトの「甲賀三郎の世界」「混沌の世界」にアップ致しました。
で、この《文学時代》に関連して、質問が、二つあるのです。
1.この《文学時代》、それほどこの後続いているとは思えませんが、何年何月号まで発刊されていたのでしょうか?
2.ゆまに書房の復刻版は大阪市立図書館には昭和六年九月号の29冊あったわけですが、実際この後の号もあるのか、否か?
これらの点で、どうぞ、情報お持ちの方、ご教示お願いします。
新評社から発売になった「山田風太郎の世界」を、どなたか売って戴けないですか?
Kashiba様、
おっしゃる通り、「凱旋門」でした。ありがとうございます。
最後の方で、主人公の亡命者がナチの将校に復讐するために、車を急停車して頭をぶつけさせ、さらにレンチで殴っていました。お陰様で万万歳です。
しかしそうはいかないのがワンタン屋でして、東京ではそんなにワンタンははやっていたとは思えません。エースコックにしてもあれは関西資本ではなかったでしょうか。東京でもうってはいましたが、そんなに盛んではなかったと思います。東京だとやはり「サッポロ一番」とかマルチャンとかかな…。乱歩がワンタンを作っていたというのは驚きです。もしかしたら個人的にワンタンが好きだったのかもしれませんね。乱歩作品に出てくるものは東京を舞台にしていても、けっこう関西での経験を元にしてかかれているようで、特に動植物などは関東ではなく関西に分布するものが出てきていたりします。
■大阪府守口市の皆々様
「またまた延期になりました」とお知らせをいただきました。コミュニティ放送局「エフエムもりぐち」の「なおちゃんのもりかど探偵団」という番組の話です。20日の月曜に放送予定だったのが台風11号のせいで昨27日に延期され、それが今度は取材先の都合で9月10日に延びてしまったとのことです。
守口には乱歩が住んでいた家が残っており、これは西池袋の乱歩邸を除けば乱歩の住居が現存している唯一の例で、現在は産婦人科のお医者さんの所有となっております。取材先というのはそのお医者さんのことで、9月10日は確実に OK なのだそうですが、急に産気づいた妊婦が血相変えて駆け込んできたりしたらどうなるのでしょうか。私にはわかりません。
この番組で乱歩の肉声を流したいということになったらしく、放送延期のお知らせとともに、「城ヶ島の雨」のレコードを持っていないかとのお問い合わせをいただきました。あいにくそんな気の利いたものは手許にありません。田村隆一の結婚式で引き出物にされたというこの伝説のレコード、どなたかご所蔵でしょうか。
ちなみに乱歩の肉声は、NHK から出ている「昭和の巨星 肉声の記録」という CD で聴くことができます。
●乱歩著書目録月報篇
下記の二巻、月報の有無が不明です。
江戸川乱歩 現代長編文学全集5
昭和四十三年十二月六日 講談社
江戸川亂歩・甲賀三郎・大下宇陀児集 大衆文学大系第二十一巻
昭和四十八年一月二十日 講談社
ご存じの方はお知らせください。
何がわからないといって春陽文庫ほど得体の知れぬものはありません。下記の「江戸川乱歩名作集」、ご所蔵の方はいらっしゃるでしょうか。
×江戸川乱歩名作集1 陰獣
昭和四十四年六月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集2 パノラマ島奇談
昭和四十四年七月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集3 屋根裏の散歩者
昭和四十四年八月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集4 D坂の殺人事件
昭和四十四年九月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集5 人間椅子
昭和四十四年十月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集6 月と手袋
昭和四十四年十一月■日 春陽堂書店/春陽文庫
×江戸川乱歩名作集7 心理試験
昭和四十四年十一月■日 春陽堂書店/春陽文庫
○江戸川乱歩名作集8 ペテン師と空気男
昭和四十八年六月三十日 春陽堂書店/春陽文庫1942
○江戸川乱歩名作集9 偉大なる夢
昭和四十八年六月三十日 春陽堂書店/春陽文庫1943
よろしくお願いいたします。
芦辺様
村瀬継弥さん新作の「青空の下の密室」は、昨日某サークルの例会でも
話題になっていました。昨夜帰ってから芦辺さんの書きこみを拝見、
村瀬さんは好きなもので私も本日購入致しました。
ジュブナイルなのですね。私の年代が通勤電車で読むには、カバーが
必須のような気がします。
■宮澤様
ありがとうございます。また何かの折にはよろしくお願いいたします。
■末永昭二様
「落語と講談」の件、まったく存じませんでした。人は私を大権威と呼びますが、なんのなんの実体は何から何まで付け焼き刃の未熟者です。乱歩作品の雑誌再録は、まずまったくといっていいほど掴めておりません。今後ともよろしくご指導ください。再録分のデータは、折を見てまとめてご教示いただければと思います。お礼にワンタンでもおごります。
■平山雄一様
『凱旋門』をご所蔵なら、話は早いと思います。知り合いの高校生に「夏休みの宿題の読書感想文にはこれをとりあげるように」と『凱旋門』を押しつける手もあります。
私が子供のころ、名張にはワンタンを食するという文化がありませんでした。そもそも中華料理というものを専門的に扱う店がなく、寿司屋や料亭といった非日常的な店を除けば、日常的な食いものの店としては壁に「支那そば」や「コーヒ」などというメニューも並んだうどん屋のたぐいがあったばかりと記憶します。私にとってのワンタンは長くエースコックのワンタンメンのワンタンでありつづけた次第で、ワンタンとはいったいどのような食べものなのであろうかという疑問を小さな胸に抱きながら、私はふーふーずるずるとワンタンメンを食しておりました。
しかし東京では、乱歩の時代から結構ポピュラーな食べものであったらしく、乱歩もまた得意料理にしていたようで、例の支那そば屋時代、学生時代からの恩人であった川崎克の家に材料を持参し、台所に立ってワンタンをふるまったことがあると川崎克夫人のやす子が記しています。ですからワンタン屋と呼ばれる店も、やはり存在していたのではないでしょうか。
下で書き込ませていただいた村瀬継弥さんの新作、入手しました。表紙ならびにイラストは小手川ゆあさん、解説はオッこれはなるほどの、はやみねかおる氏です。版元は富士見書房、平成13年8月30日初版となっております。
なるほど、「凱旋門」がありましたね。あれは確かうちにあったはずです。学生の時にそれこそ昭和二十年代に出ていた、二巻本を買って読んだ記憶があります。(もっとも内容についてはまったく記憶がないというのが悲しいですが…)
それに映画もシャルル・ボアイエ主演でしたか、見たと思います。実はその「凱旋門」の翻訳者の井上勇さんが、うちの近所に住んでおられて、そのサインほしさに買ったというのが真相でして。さっそくしらべてみます。
ワンタン屋をネットで検索してみると、そのほとんどがアジア旅行のページにあたってしまいます。もうわけがわかりません。昔ワンタン屋がはやっていたという話もきかないし、それともミスプリでしょうか。
古本まゆ様。
「北島俊碩」の件、私の使った資料に間違いがあったようです。似た字なので筆記するとき間違えたのではないかと思います。すみません。
春江堂に限らず、赤本出版社の出版物は穴、というか何がなんだか誰にもわかっていないようです(わかっている人がいたらゴメンナサイ)。
ストラングル・成田さんのホームページで最近取り上げられた松本泰まわりの人間関係もそうなのですが、「落とし穴」がいくつかほかにもあるような気がしてなりません。
例えば、毎度おなじみの慰問雑誌。慰問雑誌と推理(探偵)小説は(戦中は軍部に探偵小説が禁止されていたという通説から)関係ないと思われるかもしれませんが、実際は「太平洋戦争」以前から慰問雑誌はありましたし。
作品のレベルは知りませんし、たぶんレベル的には(正統派の)『新青年』系にはまったく太刀打ちできないのでしょうが、いろいろな媒体にいろいろな娯楽小説が発表されていたのですから、どこに何があってもおかしくないと思います。「歴史家」の目にとまらなかったから知られていないだけで。
ただし、モノがモノなので、あえてそれを探したり研究したりする必要があるかというと、何とも言えませんね。
以前、うなぎ書房からのユーモアショートショート集のことをこちらでお知らせしたと思いますが、その村瀬さんの待望の推理小説新作が出るようです。
富士見ミステリー文庫『着流し探偵事件帖/青空の下の密室』
8月24日発売とのことですから、もう店頭に出ているのでしょうね。僕もちょっと見に行ってきます。
桜様。お帰りなさい。また、よろしくお違いいたします。
中様。
ワンタン屋というものを私も知りませんでしたが、検索してみると結構見つかりますね。ワンタンしか置いていない店もあるようです。
ところで、昨日神田の古書会館で買った『落語と講談』昭和25年1月号に「人でなしの恋」が再録されていましたが、ご存知でしたか。
私は、小型雑誌に再録されているのを始めて見ました。
>中さん
はい、初版です。
■平山雄一様
「十字路」の件、kashiba さんのご指摘は検討に値すると思います。お近くの図書館で「凱旋門」を走り読みなさってはいかがでしょう(結構たいへんな作業ですけど)。それから、もしも判明しなかった場合でも、解説が必要と思われる語は立項して、「不明」としておくべきかと愚考いたします。
「大暗室」の「ワンタン屋のウィスキー」は、単に粗悪なウイスキーを意味する言葉なのではないでしょうか。ワンタン屋というのがよくわからないのですが、おそらく屋台のラーメン屋みたいな感じの、安い価格で飲み食いさせる店ではなかったかと推測されます。三ちゃんはワンタン屋で出てくるような粗悪なウイスキーしか飲みつけていなかったので、
「オーたまらねえ。こいつあワンタン屋のウィスキーじゃねえや。どこからこんな上物を仕入れてきたんだい」
と口にしたのではなかったでしょうか。
ところで私は、そもそもワンタン屋というものを知りません。現今の東京にも、ワンタン屋なるものは存在しているのでしょうか。
■ kashiba 様
はじめまして。お知らせありがとうございました。ご指摘の『凱旋門』は、「十字路」にある「有名なドイツ人作家の長篇小説」や「アメリカ版がベストセラーになって、日本でも翻訳され、評判だった」といった記述に符合すると思います。私はレマルクのこの作品、けっ、どーせ通俗だろーがと踏んで見向きもせぬままこんにちに至りましたが、年間ベストテンに入るほどのベストセラーだったとはついぞ知りませんでした。昭和20年代における海外小説のベストセラーというと、やはり『チャタレイ夫人の恋人』しか思い浮かばぬ次第なのですが、私は昔から戦いよりは愛に生きたいと念じておりましたので、これは当然の結果であると思います。最近は愛からも遠い日々ですが。今後ともよろしくお願いいたします。
■宮澤様
お手数をおかけいたしました。お手数ついでにもうひとつご教示ください。お手許の二冊、奥付の表記は「初版」となっておりますでしょうか。
おお、中さんのご質問に初めて回答できます!
ご記載の通りです。
ちなみにこのアンソロジーは三巻本でして、『きみのうしろに死神が サスペンス・ミステリ傑作選』というのもありますが、乱歩が載ってないので買いませんでした。
平山様、中様
読んでないので、なんともいえませんが、
「戦後間もなく日本でベストセラーになったドイツ人作家の作品」
で逆引きすると
(http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/aw/awh2.htm とか
http://www.yomiuri.co.jp/yomidas/konojune/aw/awh3.htm とか)
マレーネ・デートリッヒ主演の映画で有名なレマルクの「凱旋門」が
あるみたいです。一応、殺人も出てくるようです。
どなたか、読まれた人っていらっしゃいませんか?
ではでは
中様、
なるほど、探偵小説とは限りませんね。もし探偵小説なら当時の「探偵作家クラブ会報」を見れば載っているかもしれませんが、私のは奥の奥にしまっているので涼しい日に出してみることにします。もし普通の小説だったら…。文芸年鑑でしょうか。しかしロレンスもブルトンもドイツ人ではありませんし…。ここのように「探偵小説の鬼」があつまっているところでも出てこないというのは、やはり普通小説なんでしょうね。うーむ。この項は解説なしにしちゃおうかな。
あととっておきの解らないのが、
有村清が化けた北村にウイスキーを勧められて三ちゃんは「こいつあワンタン屋のウィスキーじゃねえや」と言った(大暗室)。
という一節です。ワンタン屋でウイスキー??なにか御存じありませんでしょうか。
■桜様
ご無沙汰いたしました。当方こそよろしくお願いいたします。
■宮澤様
そのソノラマ文庫のアンソロジーはご所蔵なのでしょうか。下記の二点だと思うのですが。
殺人ゲームに挑戦 本格ミステリ傑作選
昭和五十二年八月三十日 朝日ソノラマ/ソノラマ文庫
編:山村正夫 「奇妙なアルバイト」収録
呪われた顔 怪奇ミステリ傑作選
昭和五十二年八月三十日 朝日ソノラマ/ソノラマ文庫
編:山村正夫 「悪魔の命令」収録
現物は手許にありませんので、もしもご所蔵でしたらデータをご確認いただけないでしょうか。
■岩堀様
どうもありがとうございました。あれこれ使い立てして申し訳ありません。
■平山雄一様
「十字路」の件ですが、《有名なドイツ人作家の長篇小説》とありますところ、「探偵小説」ではなくて「長篇小説」とされているのですから、やはり純然たる探偵小説ではなかったのではないかと推測されます。その他のことはさっぱりわかりません。昭和30年当時と現在とでは、「有名なドイツ人作家」にもおのずから違いがあることでしょうし。《アメリカ版がベストセラーになって、日本でも翻訳され、評判だった》といった出版の経緯に手がかりがありそうな気もするのですが、手も足も出ません。なにしろ昭和20年代に評判になって版を重ねた外国の小説というと、『チャタレイ夫人の恋人』しか思い浮かばぬ次第です。自動車の運転中に何かしら危険なことをするということであれば、たしかブルトンの『ナジャ』にそんなエピソードが出てきたような記憶もあるのですが、これは確認するまでもなくガセネタだと思います。そのほかには何ひとつ、池波正太郎風にいえば「勘ばたらき」が働きません。勉強し直してまいります。
■小林文庫オーナー様
なんやかんやと出しゃばっております。今後ともよろしくお願いいたします。
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