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平成26年2月


 久し振りに映画館で邦画を2週続けて見てきました。シニア割引とやらで1回1千円で見られるからなのか、館内はシニア層ばかりでしたが。
 一つは山田洋次監督の「小さいおうち」、もう一つは百田尚樹原作の「永遠の0」。
 いみじくも、少し内容は違いますが底に「昭和の戦争」がテーマなっている点は共通していました。
 前者は山の手の中産階級の家庭に入った女中を通して、昭和初期の社会状況がよく描かれています。 後者は特攻志願兵を軸に太平洋戦争後半の凄惨と軍部の窮状を描いて重いテーマとしてのしかかってきます。
 「小さいおうち」は昭和6年頃から終戦までの期間を時代背景としています。柳条湖事件によって日中戦争がはじまったのが昭和6年で、 ここから太平洋戦争終了までを一般に15年戦争と呼んでいます。劇中、会社や居酒屋での一般庶民の会話に往時の世情が色濃く出ています。 中国との戦争は1〜2年で簡単に終わるだろうという楽観論、昭和15年に控えた幻の東京オリンピックに向けての経済発展と一流国の仲間入りへの期待感。 そして何の根拠もない神国日本の不敗神話と隣国への差別意識。そんな空気が当時社会を支配していたことが察せられるのです。

 それが時間と共に幻想だということが分かり、経済が疲弊し、勝算のないまま闇雲に米英との開戦に突き進んでいきます。 そこにはドイツやイタリアのようなファッショ政党がなく、形式的にしろ政党政治と三権分立が確立していた日本で戦争へと突き進んだのには、 民衆の熱烈な支持があったことを忘れてはなりません。
 無謀を知りつつ圧倒的な敵戦力の前に立ち向かって行った果てに迎えるのが「永遠の0」に描かれる特攻隊でした。 劇中こんなシーンが描かれます。平成の時代となって主人公の孫が合コンしている中で、 「要するに特攻隊は今でいう自爆テロだろう?」という友人の問いに激して「自爆テロは一般市民に向かっていくもので、 特攻が空母や戦艦などの武器に対して向かっていくのと根本的に違う!」と叫ぶ場面があります。どちらが良いか悪いかの話ではなく、 本来武器には武器を持って抗するのが尋常であるところを人間を持って抗するという、 人命軽視、死への美化にこの作戦(とは呼べないが)の異常さがあることを映画は語ります。
 後世の歴史を知るものが遡って当時を語るのは後出しじゃんけんのような後ろめたさがありますが、それでも当時の報道の偏り、 扇動される庶民心理、軍部の非合理性、政府の無責任さを同じ日本人がやってきたという当事者意識を持って振り返る必要があります。
 日本軍の組織的研究を扱った「失敗の本質」という名著がありますが、その中で筆者は「戦略策定の方法論を単純化していえば、 日本軍は帰納的、米軍は演繹的と特徴付けることができる」と指摘します。簡単に言えば、演繹が既知の一般的法則から個別の問題を解いていくのに対して、 帰納は経験した事実の中から法則性を見つけ出すことの違いだというのです。日本軍が経験則や成功体験から抜け出せない欠点を持ち合わせていたことは、 今の我々の社会や企業戦略にも当てはまるような気がします。

 私の世代は戦後10年を経た世代ですが、それでも私の父は戦争世代の最後の招集組として、 昭和20年春に出征し半年ほどで小笠原諸島の新島で終戦を迎えたと聞いており、出征時の写真が今も残っています。 そして私たちが中学や高校生の頃に流行ったフォークソングなどの歌には反戦や戦争を題材とした歌詞がまだ多く見られたものでした。 でも、今時の女子短大生との会話で、「え〜、日本ってアメリカと戦争したの?」、「で、どっちが勝ったの?」と聞かされた、という記事を見たことがあります。
 戦後69年経った今でもこういう映画が製作されなければならないのは、そういった教育に瑕疵があったことを認め、 平和ボケで思考停止にならないためにも必要なのかもしれません。
 民主国家である以上、戦争の被害者の面のみ主張しそれを軍部の独走や政治の無機能のせいだったと批判する前に、それを生み、 支持してきた個人としての戦争責任もあったことを決して忘れてはならないのだろうと思うのです。
 結局そのつけは国家が負うのではなく個人に帰趨するのですから。







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