安倍政権が1年で終わり福田新総理が誕生しましたが、福田氏はかねてより住宅の長寿命化を
政策の中で主張してきた人でも知られています。
国は06年に住生活基本法を制定し、日本の住宅政策は質とストックを重視する方向へ舵を切りました。そして今年の予算概算要求の
中に建築物の耐震化などと共に住宅の長寿命化―200年住宅の推進に106億円が盛り込まれたのが目を引きます。
今後新政権発足と共に実現に向けたロードマップが具体的に示されることでしょう。社会ストックとして長く持たせることで
後世の世代の負担を軽減できることにもなります。
マンションと戸建て住宅とでは方法論が異なるでしょうが、一口に200年と言ってもその時期は木造住宅で考えても相当の長い期間と
考えなければならないでしょう。特に欧米の乾燥した寒冷気候と違い、この国特有の高温多湿という風土条件がそれを難しいものに
しています。
古建築においても同じで、雨の多さに大陸では見られないほどに軒の出を深くせざるを得なかったこと、
湿度のために床を高くしたこと、毎年来る台風、何十年おきにやってくる大地震に対する工夫等々。
自然条件と先人たちとの格闘が今の建築構造によく表れています。
現在の住宅のように高気密、高断熱化が進んでくると、さらに理にかなった換気計画や結露防止といった事が重要になってきます。
そして我々の分野である構造・建設だけでなく維持管理、流通、金融システム、税制といった多角的な支援体制が必要になってきます。
この中で私たち現代人は「維持管理」という分野にもう少し関心を持つようにしないといけないように思います。米国のように
住宅が中古市場にストックとして流通している所では持ち主の維持管理が競って行われているようですが、
どうも日本では建てたら終わりで、傷みや劣化が来る前に保守管理を定期的にして建物を維持しているとはどうも思えません。
リフォーム業者が多く勧誘に来るため最近では外壁等の吹き付け直し等は行われるようになってきましたが、水廻り、木部廻りの
補修にも目を配りたいものです。
よく法隆寺が千年持った世界最古の木造建築と言われますが、千年もの間何もせずに持って来たわけではありません。
西岡棟梁のようなお抱えの宮大工が風化の度合いを見ながら修理・修繕を長いこと掛けてやってきた結果が今の法隆寺の姿です。
金堂のように深い軒の出のため瓦の重みで垂れ下がった隅木を支える「つっかえ棒」を後年入れたこともあるくらいです。
住宅を200年持たせるには15〜20年位のサイクルで設備更新→点検→改修→点検といった保守が不可欠になります。
古建築と同じように雨、湿気、結露の対策が一番気を使うポイントになると思われます。これらが防げれば住宅や木は持つものです。
我々は「FPの家」を手掛けていて、この点の性能と維持管理に他の住宅にない利点を感じています。
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