新年あけましておめでとうございます。
暮れからの仕事で千葉県市川市にある中山競馬場で稲荷神社の大鳥居改修工事がありました。
馬券が当るようにお祈りするところではありませんが、一の鳥居から四の鳥居まである立派な稲荷社です。
その工事の際近くにある日蓮宗の法華経寺を訪れてきました。「中山の鬼子母神」と「荒行堂成満会」でつとに有名な古刹です。
日蓮の3大法難の内、小松原法難の際にこの中山の地で匿われた縁から大聖人が最初に教えを説いたと言われる寺院で、
直筆の「観心本尊抄」や「立正安国論」など大聖人の遺文100余点を今に伝えるといわれます。
祖師堂はじめ、五重塔、法華堂、遠寿院など何十もの伽藍からなる壮大な境内を有しています。
この本堂は祖師堂または大堂とも言い、延宝六年(1678年)の上棟と言いますから、
今から330年前の江戸初期の建物ということになります。
現在は比翼入母屋造りという棟を二つ並べた形の優雅な姿をしていますが、
昭和62年から10年の歳月を掛け創建当時の比翼入母屋に戻したと説明があります。
20年前迄は巨大な破風を持つ単一入母屋に改修されていた時期があったわけで、
往時の威厳高い祖師堂を写真で見ることができます。
二重の錣葺きによる大屋根は実際に見るときっと壮大なものだったに違いありません。
法華経寺は日蓮宗唯一の祈祷根本道場として全国に名高い「荒行」の聖地としても有名です。
毎年11月1日から百ヶ日間、荒行堂は壮絶な読経の声に包まれます。
結界の中で続けられる、四00年来の伝統法式に即して行われる行は、筑波おろしの吹きすさぶ厳冬のさなか、
午前三時の初水から夜十一時の最後の水に至るまで、水行肝文を高唱して行う七回の水行をはじめ、すする白粥、
まとう単衣の衣に至るすべてにわたり酷烈を極めると言われています。
一日七回の水行と読経の日々。2月10日、百ヶ日の修行を無事に終え、
荒行堂を出る際には成満会(じょうまんえ)と呼ばれる催しが行われ、多くの親族や信者たちが僧名を染め抜いたのぼりを掲げ、
未明から開門を待つそうです。
この寒さの中まだ荒行に明け暮れている今頃が最も厳しい時期に当たるかと思います。
つい、荒行堂に向かって手を合わせる気持ちになるものです。心身共に研ぎ澄まされて、
清冽な境地な至っていることは想像に難くありません。
真似こそできないまでもせめて荒行者のその境地を想像しつつ、謙虚さと無心とを持ってこの厳しい時代を乗り越えたいものです。
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