アメリカ発のサブプライムローン破綻に始まってリーマン・ブラザーズショックにより
百年に一度という金融危機に日本も覆われつつあるようです。地元太田市も自動車産業関連の製造業が多数工業団地に進出している地域で、
年間の工業出荷高が二兆円超えで北関東一を誇っているだけに影響も大きいようです。円高も影響しているようですが、
何よりも輸出に支えられた産業形態であることが今回の火事を対岸のものにしていられない要因と言われています。
しかし国内を見てみると人口減少社会がすでに始まり、内需産業は今後大きな成長が望めないと言うのが一般的な見方です。
少なくとも車に関する限り20代の若者たちが我々の時代のように車を欲しがる度合いが少ないように思われることに
その志向性が窺われます。
われわれの建設業は言わずと知れた内需産業の典型業態で、近年の公共事業関連の縮小で地方に行くほど疲弊の度合いが増している
ように思われます。
脱『ガラパゴス化現象』という言葉が野村総研の『2015年の建設・不動産業』という本に書かれています。
南米エクアドルから西に900km離れた太平洋上の沖合にあるガラパゴス諸島には、ガラパゴスイグアナなど、
独自の進化を遂げた固有種が数多く存在します。こうした進化の背景にあるのはガラパゴス諸島が火山群島で、大陸から隔離された環境で
あったことが影響しているからだと言われていますが、独自の進化を遂げた生物は外来種の攻撃にはきわめて弱いとされています。
生物に限らず財やサービスの分野でも、独自の進化を遂げた結果、逆に世界の標準からかけ離れてしまう現象がみられるように
なってきていることを『ガラパゴス化現象』というのだそうです。
日本の建設・不動産業もこの『ガラパゴス化現象』に陥っている典型だと著者は断じています。
公共工事と右肩上がりの成長路線に支えられてきた市場は今後大きな転換点に差し掛かって来たことだけは事実です。
縮小する市場と有能な技能者不足というジレンマの中で、今後はゼクメント特化戦略とエリア特化戦略という選択肢の方向へ行くしかないことを
本は示唆しています。
規模を目指さず、地域に根差した本物志向とそれを支える専門的で高度な技術力の担保がますます重要になってくるのではないでしょうか。
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