過日、建替えの都合上、お客様の自宅裏に生い茂っていた大欅３本を 伐採する機会に恵まれました。
入念なお清めをした後、山から伐り師を呼んで２５トンクレーンを使っての伐採作業でしたが無事大幹をおろすことが できました。
一番大きな欅は樹齢１５０年。目通り５尺の大木で、幹本体重量だけで１２トンという代物で、母屋解体後でないと 搬出不能です。中心から樹齢７０〜８０年頃まで成長が早く年輪も少々荒いようでしたが、その後の７０〜８０年がゆっくりで 目も相当詰まっています。春先になると水を吸い上げる音がしたとお話を伺いました。明治維新も太平洋戦争も生 き伸びてきたかと思うとつい頬擦りしたくもなります。
別の欅は幹に大きく「えくぼ」が出ていて、伐り師の推測で落雷を受けたのではないかとのことでおばあちゃんに 聞いてみると案の定５０年ほど前に雷で火を噴いたとの話。さすがです。 断面はきれいでしたが、製材の際に割れてしまうのが落雷木の特徴のようです。

仏法の言葉に「緑生」という言葉があります。この世の物はすべて緑によって結ばれているという意味だと思いますが ３本とも幼少から見てきた欅でしたので転売するもの忍びなく、当社の方で引き取ることにしました。１０年近く寝かせて いつの日か寺院本堂の大伽藍を支える柱か虹梁にでもなればと今から楽しみにしています。