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赤石建設株式会社 一級建築士事務所
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令和元年8月


戦後、日本が高度経済成長を遂げた70年代からの50年で日本の住宅の床面積は3~4割広くなったと言われます。 もっとも広くなったのが台所でその増加率は約6倍と言われ、確かに大型冷蔵庫や食器収納、大型キッチンなどが効率よく並べられています。 しかし考えてみるとそのスペースのほとんどは保存食品のストックのため‥…。
 スペースは大きくなったけど家庭料理の味はどうなったか微妙です。 次に広くなったのは子供室で、求められたのはプライバシー。親と子供の理想の親子像と現実はどうか、これも微妙です。 三番目に広くなったのはリビングで、その空間にはまさに豊かさの象徴である大型テレビやソファーが並んでいますが、 こちらも家族のだんらんの時間としては果たして増えているのかどうか。こちらも微妙です。他方新築住宅数の半分は集合住宅というのも日本の住まいの現実です。 集合住宅は平屋の集合体。戸建てよりも床面積は2~3割少ないのが通常ですが使い勝手はどちらが優れているか。
 高齢者ほど街中に建つ集合住宅を望む昨今の傾向は床面積が豊かさのゴールではないことを表しているのかもしれません。ではその先に来る住まいの豊かさとは何か。
 エネルギー効率をよくした断熱性の良い健康的な住宅像になっていくのではないでしょうか。
 厚労省から出されている人口動態統計の中に冬季死亡増加率の都道府県別比較というものがあります。 夏を中心とした半年と冬を中心とした半年を比べて月平均の死亡者数がどれ位増加するかの割合を表したものです(図1)。
 想像すると寒い北国の方が多いように思いがちですが、実際のデータは北海道などの北国の方が少なく比較的温暖な地域の方が高い増加率を示して驚きます。 しかも脳血管・心疾患での死亡率が増加していることが分かります。この結果は寒い地域の方が住宅の断熱化がしっかりと出来ていることを示しています。 断熱性能が高いと冬季、部屋だけでなく廊下やトイレ、浴室までも温度差がなくヒートショックを起こさせないのが理由として考えられるのです。 日本の住宅の断熱性能は同緯度の欧米各国と比べると大きく劣っています(図2)。二酸化炭素排出削減の観点からも住宅の高断熱化は避けられないとされてきて、 2020年度から一般住宅にも平成28年省エネ基準適用が義務化されることになっていました。しかし今年になって国交省の建築環境部会はその義務化を見送り、 省エネ性能に関する説明のみを義務付けることに後退してしまいました。その理由として小規模住宅の省エネ基準への適合率が5~6割と比較的低く市場が混乱する怖れがあること、 義務化に伴う行政側の審査体制を整えにくいことなどを列挙していました。これには一部安心したという業者の声もある一方、 部会委員の一人であった東京大学の前真之准教授の次のコメントが我々の気持ちを代弁していました。
 「小規模な建物などで適合義務化をしないという動きに、 ショックを受け失望している住宅事業者もいる。国の目標に沿って努力してきたのに、ハシゴを外されたという意見もあり、 ほっとしている事業者だけではない点は付け加えておきたい」。
 しかし世の中の動きは確実に高断熱化に向かって動き始めており、 ユーザーの住宅での優先順位にもそれは現れ始めています。ハウスメ-カーやビルダーもそのHPを除くと競うように高断熱化の数値が踊っています。 しかし数字のみに頼る落とし穴にも注意しなくてはなりません。かつて断熱性能を表す数字にはQ値という熱損失係数が使われていました。 これは内外部1℃の温度差で失われる総熱損失量を床面積で割ったものでしたが、大きさや形状に左右されにくいように改定され、今は外皮面積で割ったUA値(外皮平均熱還流率)を使用します。UA値は数字が小さいほど断熱性がよいとされる数値ですが同じ等級にしても実際の性能は違ってくることがあります。
 重要なのは気密性能です。漏気(隙間風)の削減による温度差解消と計画換気の実現をもたらします。この気密性能だけは計算では出ず現場で測定しなければ分かりません。 この数字が小さいほど隙間が少ないことになり高気密化がされていることになります。一般には2~3㎠/㎡くらいでしょうが、 できればカナダのR2000基準の0.8以下を目標にしたいところです。これは施工精度によって可能です。
 高気密・高断熱化された住宅は夏季、排熱が少なくなりいわゆる「熱籠り現象」によって暑くなるという懸念をよく耳にします。 これは夏の日射遮蔽性能が大きくかかわってきています。 つまり窓や掃出しの開口部に庇やシェードなどを設けて日射を遮蔽することにより断熱性能と共に冷房負荷を低減させることができ、数値ではηA値が使われます。 このことからすると今流行りの片流れ屋根や軒の出なしの住宅デザインは心配です。 日本の気候風土からすると日射と共に雨の多さからして庇の重要性は理解してもらう必要があります。 次世代省エネ基準を満たす「FPの家」を20年以上前から手掛けてこれまでに50余棟のFPの家を造ってきましたが、 その温かさや涼しさには格別のものがあるとお施主様から言われます。その義務化が見送られた今、前先生の言葉のようにがっかりしていても仕方ありません。 今後HEAT20という新たな指標に基づいた欧米並みの性能住宅にしていかなければならないと思います。 それこそが床面積を満たした後の次代の住まいの豊かさのGOALだと思っています。








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群馬県太田市に創業し、社寺建築・住宅建築を手掛けている赤石建設株式会社です。
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