4月13日の日曜日にこのほど完成した大行寺本堂の落慶法要が盛大に催され出席をしてきました。
落慶法要とは一般の建物で言うところの竣工祝いのことで、「落」は落ちるではなく出来上がることを意味します。
大勢の壇信徒の皆様の他、多くの関係寺院の僧籍の方々の参加を仰ぎ盛大に執り行われました。
多くの祝辞と当山御住職の本堂建立という長きにわたる大仕事を顧みる感動的なご挨拶を始め、更に感謝状を戴く栄に浴し
建築に携わる者にとって、一番やりがいの感じる瞬間です。
法要も「雅楽」をはじめ「舞い」のお披露目もあり笛や団扇太鼓も交えた他の宗派にはない日蓮宗独特の賑やかな法要でした。
御承知のように、日蓮宗では「南無妙法蓮華経」を唱えます。
これは数ある仏教思想の中から、親鸞が念仏を道元が禅を選択したのと同様に、
日蓮が妙法蓮華経(法華経)を選択したことに始まります。鎌倉新仏教の中では比較的新しい宗派に属します。
「念仏」に対して日蓮宗では「題目」を唱えるといいます。念仏とは阿弥陀如来によって救われたことに感謝する行為であって
他人のために唱えるものではありません。ですから声を張り上げる必要がありません。「ナムアミダブツ」というと、
老人が一人で口の中で静かに唱えている、というイメージがあります。
これに対して法華経の「ナムミョーホーレンゲーキョー」は大勢が団扇太鼓をドン、ドンと打ちながら、大声を張り上げている
イメージがあります。法華経では「この経を広めること自体に功徳(利益)がある」と説いています。題目を唱えることは
「信仰告白(自分は法華経を信じている)」と同時に「宣伝」でもあり、「ここに正しい教えがあるんだぞ」と言っているのです。
だから「鳴り物入り」で大音声の叫ぶのが正しいのだと言われています。
他の宗派と法要の形が少し違うのもこんな唱題の意味があるのです。
この谷中地区には全部で80余の寺院が存しますが、そのうち6割くらいが日蓮宗の寺院だそうです。
地域によって宗派の多寡があるのはその歴史的理由からだと思いますが、見方によっては大変興味深い部分でもあります。
賑やかな法要を聞きながら、肘木や格縁、虹梁の彫刻を見て、それらを加工刻みした大工たちの姿を一人一人思い出していました。
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