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赤石建設株式会社 一級建築士事務所
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平成27年12月


 若かりし高校時代、絵がそれほど得意であったわけでもないのに、意外にも(?)3年間美術部に所属していました。 なんとなく建築学科に進もうと考えていたのでデッサンなどをやっていれば少しはその時の役に立つだろうくらいの至極簡単な理由でした。 でも美大を目指す先輩や後輩に混じって、スケッチ旅行やクロッキーデッサンなどを経験できたことは今思えば良い経験になったと思っています。 顧問の先生も年配の方で細かいことには頓着せず自由に描かせてくれました。油絵も経験しましたが、 イーゼルにカンバスを立て、布目に白絵の具で下地を作り木炭で下絵を描いてから筆やナイフで絵の具付けしていく過程は結構時間の要る作業でした。 初めての油絵だったので見様見真似でいろんな画家たちの作品を模写したり参考にしたりしたものです。 厚塗りで筆使いが大きいゴッホやモネなどの絵では少しは真似事に近いこともできましたが、まったく手に負えなかったのがフェルメールやベラスケスなどの中世写実絵画でした。 重ね塗りの色合いや布の折目や静物の細かい表現はとても人技とは思えない神業として映ったものです。
 そんな写実の現代絵画を専門に集めた美術館があるときいて、千葉市の土気(とけ)という所にあるホキ美術館に行ってみました。 5年ほど前に完成したこの美術館は、個人コレクションの私的美術館としてギャラリー風に設計されていて、 その大胆な構成力で日本建築大賞などを受賞し建築物としても有名になりました。
 新興住宅街の端に立地し、道路を挟んで反対側に千葉で一番大きいとされる昭和の森公園が続いています。住宅地の一角という制約からか高さが抑えられていて、 地上1階地下2階という地下部分のほうが多い設計になっています。特徴的なのが第1ギャラリーと第2ギャラリーを構成している箱型の展示空間で、 30mのキャンチレバー(持ち出し梁)になって大きな曲面を描いています。構造的に興味がわくところですが、薄鉄板をサンドイッチ状に溶接して、 いわゆる紙の段ボールのような構造体にして支えているといいます。制振ダンパーというものを幾つも配置して鉄特有の揺れに対処しているそうです。 内部はホワイトの色で統一して、絵画鑑賞の妨げになるもの、スポットライトや換気口、ピクチャーレールや吊り下げワイヤーなどを一切省略しています。 LEDを使った照明や換気口は天井の数多くあいた小さな穴にデザインとして組み込まれ、 絵の固定は壁面の鉄板下地を逆手に取ってマグネットで留まっているそうですから徹底しています。
 そして展示されている現代日本を代表する写実画家たちによるその写実絵画は、あまりのリアルさと細密さに息をのむようでした。
 「写真のようだ」というと的確ではない表現になってしまいそうなくらい、存在と本質を穿つ描写になっています。
 西洋音楽がバッハなどの心地よい調性音楽から発展して、 最後には調性という形式が崩れ無調音楽となって聴衆に受け入れられにくい現代音楽という袋小路に彷徨ってしまっているように、 中世の写実絵画はその後の発展の過程で写真という媒体と対峙させられ、 さらにはキュビズムのような物の本質に迫る技法の洗礼も受けて一般にはわかりづらい抽象画となって今に至っています。 抽象でなければ絵画ではないとまで揶揄されて写実は少し脇に追いやられる風潮が長く続きました。 しかしホキ美術館に展示された森本草介や島村信之などの写実画家たちの多くが、その遍歴を辿ると抽象から転向して写実に移っていったことがわかり、 何か暗示的で興味が湧きます。
 見えるという現象は水晶体を通じて網膜上に映った光を脳内で再構成して感じる行為です。 実物の風景を見た感動が写真では経験できなかったり、逆に見過ごしていた風景の一場面を写真によってその良さに気付かされたりします。 写実絵画も対象に忠実であろうとする中にあって作者の描きたいもの、訴えたいものを光や影、構図によって抽象しているのではないかと思うのです。 近くで見る人肌の色には何層にも塗り重ねられたいろいろな色の絵の具がわかって感動します。 細い筆で、おそらく年に1,2点くらいしか描けないほどの時間の掛け方だと想像され、その分寡品になります。
 写実絵画だけを集めた専門の美術館は世界を見渡してもここだけと云われます。
 世界にはスペインのロペスを除いて細密画を描く画家がいないといわれている中、日本では若手の第3、第4世代の写実画家が育っていると聞いて、  日本人得意の細密画に新しい潮流を感じるような期待感に駆られます。
 それにしてもファウンダーとして功成った一実業家が趣味として蒐集した350点にのぼる写実絵画を、これだけの美術館として展示していることに現代のパトロンを思います。
 いつの時代でも技術者や芸術家にはよき名伯楽が必要なのです。育てるということは未来を見据えているということ。館長の保木将夫氏にはどんな未来が見えているのでしょうか。







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