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4734. 2011年12月03日 21時02分02秒 投稿:かわぐち |
なにはともあれ、これで一安心したので、イギリス印象記でも。 以前にも書きましたが、私が前回訪英したのは21年前。そのときはロンドンのみ14日。 今回は、ブリットレイルパスを購入。ロンドンのホテルを起点に鉄道で東西南北日帰り旅行を繰り返してきました。 私なんかがいまさらカンタベリ大聖堂やストーンヘンジ、聖ポール寺院などを見てきた話を書いても仕方がないと思うので、観光客がそうは行かないだろうと思われる場所の記述に留めます。 ■ベスレム王立病院(The Bethlem Royal Hospital Archives and Museum) ロンドン郊外にある最古の精神病院。日本でいえば松沢病院? そこにはここに入院していた患者による、いわゆるアウトサイダー作品がある。行ってみると10畳くらいの1室があるだけ。 当然、作品が数多くあるわけでもなく(所蔵は多いようだが展示できない)、駅からわざわざバスに揺られていくにはちょっとおすすめしかねるというのが正直な感想。話のネタにはなりますが。 リチャード・ダッドファンには聖地なのかも。私はWilliam Kurelekという人の作品に惹かれました。山下菊二に似てるかな。もちろんジョナサン・マーティンの作品が観られたことも満足。 ただそこで購入したパンフ、本は充実の内容。 パンフは"The Bethlem Royal Hospital: An Illusutrated Hinstory"(ISBN0-9511782-6-1) 本は"BETHLEM HOSPITAL 1247-1997: A Pictorial Record"(ISBN1-86077054-1) 著者はどちらもPatricia Allderidgeという人で、同館のキュレーターらしい。特に本のほうは同館所蔵の作品の図版が多く掲載されている。 ■Pitt Rivers Museum 今回知らずに行った最大の<発見>がここ。場所はオックスフォード自然史博物館の内部に入り口があるという、博物館内博物館。 『地球の歩き方』はもちろん、私の最大の「ネタ本」ともいえる"Weird Europe"にも紹介はなかった。 19世紀の英国軍人ピット・リヴァースが世界で集めてきた物をオックスフォード大学に寄贈したことから始まったコレクション。 いま「物」と言ったのにはわけがある。本当にこれは武器、楽器、衣装から歯ブラシ、櫛、お守り、阿片パイプにいたるまで衣食住すべてに関わる「ごった煮」状態のコレクションなのだ。 アフリカの民族の化粧に使われる染料の隣にはインドで子供が遊びで使うらしい「化粧セット」が並んでいる。 私が見ていて思い出したのは、昔、浅草に白熊の剥製があった骨董屋をご存知であろうか、あの雰囲気である。 なかでも最大の呼び物となっているらしく、私もまた目を見開いたのは「干し首」のコレクション。 これについては単独のパンフレット"Shrunken Heads"も発行されている。 とにかくまさにWunderkammer(驚異の部屋)と呼ぶにふさわしく、今回の旅行はここを見ただけでも来た甲斐があった気になった。 オックスフォードといえば、アシュモリアン美術館があるが、こちらも予想以上の充実ぶり。じっくり観ていたのでは1日がかり(実際、家人はここに1日いました)。 特に絵画部門がここまで充実しているとは思いも寄らなかった。 ■ウェイクフィールド博物館(Weikfield Museum) ヨーク州ウェイクフィールドにある地方博物館。実際、展示は古びた地元の歴史を紹介するものがほとんどで、わざわざここに足を運ぶ観光客はまずいないはずだ。 しかし、ここには他の博物館にはない特別のものがある。 それは、19世紀初頭の探検家チャールズ・ウォータートンのコレクションだ。 なかでもウォータートンはフェイク怪物のコレクションを持っており、それを実見することは長年の私の夢のひとつであった。今回レイルパスのおかげでそれが実現できたわけだ。 大きな怪物剥製は4体。そのうち3体は『万国怪物大博覧会』(南方堂)にも写真があり、他の本でもよく見る「おなじみ」のもの。1体はジャイガー(大映『ガメラ対ジャイガー』の怪獣)に似ているかな。 その上にいうのはバラゴン似。写真撮影はOKでしたが、光源が悪く、ガラスケース越しなのでストロボもうまくいかない。 特に暗いノンディスクリプト(ギアナの雪男のような類人猿)は懐中電灯を口にくわえての撮影。地元の親子連れくらいしかこない場所でこんなことしている東洋人は、さぞかし変にみえたでしょうね。 残念ながら博物館で買える絵葉書も資料もなし。 ウォータートンについては、Brian Edginton "Carles Waterton: A Biography"(The Lutterworth Press, 1996)が出ている。 ■ハンタリアン博物館(Hunterian Museum) この博物館のことは21年前に訪英したときから知っていた。どうしても観たくて電話をしたが埒があかない。それでも諦めきれずに住所を頼りに出かけたが、結局観ることはできなかった。 その後、観たという話を目にすることがしばしばあり、不思議に思っていたのだが、どうやら2003年くらいにリニューアルして一般に公開するようになったようだ。 21年目のリベンジとして出かけた。 こ、こ、これは・・・・・・圧倒される標本壜の数。その中には人体、両生類、昆虫、節足動物にいたるまで解剖標本が。 一見何だかわからずに見ていた標本が、足の甲から先だけの標本だとわかったり・・・・・・。 この手のものは決して少なからぬ数を見てきたはずだが、それでも夢に出てきそうだなと衝撃を受けました。 サンクトペテルブルクのクンストカマーを軽く上回る質・量。きちんと数を数えたわけではないのですが、標本に記されているナンバーは3000を超えていました。 ショップでは絵葉書や本も売っていますが、さすがにエグイ写真が載っているものはなく、同館のガイドブック"Hunterian Museum at the Royal College Surgeons" ISBN978-1-904096-79-1にも普通の医学博物館的な写真しかありません。 なにより驚いたのは、その人気ぶり! こんなところ、私以外は1人か2人しかいないだろうと思っていたのに、平日の昼間2時だというのに20人は超す人間が、それも年配女性が一番多く来ているではないか。 |
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4733. 2011年12月03日 21時00分44秒 投稿:かわぐち |
パスポート入りのバッグは見つかりました。安心。私は割りと日本という国を信じているので、7割以上の確率で戻ってくるものとタカをくくっておりました。 しかし、当日はもちろん、翌日、遺失物センターに問い合わせしたときにも届いていなかったときには、日本という国も悪くなったなぁと落胆したものです。 戻ってきたことにはもちろん感謝しているのですが、気にかかったのは、京成上野駅の駅員の対応(以下、長い愚痴になりますので、深謝)。 実は、私が日暮里で置き忘れた荷物、京成上野駅ですぐ駅員によって見つけられていたそうです。 京成電鉄社内インフラには、遺失物がどの駅であろうとも調べられるシステムがあるそうなんですが、当の京成上野駅職員によってインフラ上に加えられたのは、26時間以上経過してからであることが判明。 その間、私は当の京成上野駅には直後、1時間後の2度電話。そのまま成田に帰る可能性が高いと(上野駅職員に言われて)成田空港駅はもとより、特急の各停車駅に電話。翌日昼(12時から開くため)を待って遺失物センターに電話。結局見つからずという状態でした。 その間、荷物は京成上野駅に放置されていたわけですね。 私の場合、ものがものだだけに諦め切れず、翌々日にも電話して発見されたわけですが、大抵の人は先に遺失物センターに電話した時点で諦めてしまうのではないでしょうか。 今回、パスポートに加え自宅の鍵も入っていたので、心配性の家人は家の鍵を取り替えてしまいました(13,500円)。私もパスポートの失効届けを提出。本来、一度出したら取り消しは効かないのですが、パスポート交付課の方のはからいで、失効を待ってもらえることができることになり感謝(失効・再交付は16,000円)。 月曜は朝からパスポート交付課に失効届の取り消しに行き、さらには警察に遺失物届けも出してあるので、そちらの処理に向かわないと。 一人の職員の対応の遅さによって、本来しなくても済んだ様々なことが空しく感じます。 |
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4732. 2011年12月02日 01時04分28秒 投稿:かわぐち |
英国より帰国しました。 旅行はそれなりに収穫はありましたが・・・・・・ 帰りの京成線の中にパスポート入れたディパックを置き忘れるという、 とんでもない失態をしでかしてしまい、ショックから立ち直れず、 旅行の思い出なんて吹っ飛んでしまいました。 トランクを持つことに気が一杯だったとはいえ、なんでそんなもの忘れるかな。 気が静まったら、また旅行の話や、最近の読書について書きます。 |
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4731. 2011年11月13日 14時01分49秒 投稿:かわぐち |
11月12日 新宿へ。紀伊国屋画廊で開かれている「高山宏 『学問はアルス・コンビナトリアというアート』展」を観るためだ。 初日に仕事帰りに寄ったのだが、18時30分までということで観ることができなかった(書店は21時まで)。 精力的に「知」の探求に邁進する氏の姿は変わらず。当方はもうほとんど落ちこぼれてしまったが、それでも何冊か知らなかった本を知り、刺激を受ける。 ただ、あの女装写真はいかがなんでしょうか・・・ご本人はいたくお気に入りのご様子で、 新刊の著者ポートレートとしてまで使用するそうですが、学問界の志茂田景樹でも目指しておられるのか・・・? ま、いいんですけどね。 その後、上野に向かう。国立博物館の常設展は前回より1階は変化なし。2階部分の仏教画、屏風等を観る。 今回はなんといっても立原杏所「葡萄図」に衝撃を受けた。 国宝室は展示替えなし。狩野秀頼「観楓図屏風」を観たかったのだが、残念ながら15日からであった。 博物館を出て、黒田記念館、国際子ども図書館を見学。子ども図書館は、元帝国図書館。閲覧室の豪華なオーナメントにおどろく。 さらに東京(駅)へ。東京駅の改装工事は相変わらず続いているが、丸の内口を出ると、今回復元することになったドーム屋根が覗いているではないか! 明治生命館へ。昨年まで知らなかったのだが、2005年から土日に内部見学ができるようになったそうだ。 岡田信一郎の代表作であり、日本のオフィスビル建築の最高傑作とまでいわれる場所をついに内部を見学。 素晴らしい! コンドルの三菱2号館を取り壊して造られたそうだが、コンドルのビルは残念だが、代わりにこれができたということは、複雑な心境だ。 堪能したあとは大手門から皇居へ。宮内庁三の丸尚蔵館「幻の室内装飾−−明治宮殿の再現を試みる」を観るため。 前・後期に分かれて展示することは知っていたが、前期は先週で終わり、本日から後期であった。 悔しい。両方観たかった。このあたり情報弱者の自分を不甲斐なく感じる。 ちなみにここでは若冲の「動植綵絵」、酒井抱一「花鳥十二か月図」の絵葉書を売っているのだが、それがまた1枚40円の安さ(セットのみですが)。 庭園を通り、桔梗門から北の丸公園へ抜け、靖国神社へ。遊就館を見学。 ここはなんといったらよいのやら・・・コメントに困る。単に「異様な空間」としては楽しめない。 1日動き回り、ぐったりして帰路へ。 本が到着。 L'EUROPE DES ESPRITS: OU LA FASCINATION DE L'OCCULTE, 1750-1950 (Musee de Strasbourg, 2011) 「魂のヨーロッパ、あるいはオカルトの魅惑」というタイトルですが、ドラクロワ、フュースリといった幻想絵画から、象徴主義、さらにはアウトサイダーアート、心霊写真にいたるまで、驚くほどの図版を満載した大冊400頁超の展覧会図録。 展覧会自体は、今年10月から来年2月まで仏ストラスブールで開催、その後3月末から6月までスイスのベルンで開かれます。 これまで知らなかった、心惹かれる画家が何人も載っており、まだまだ知らない作品が多いことを感じる。 読了は、 スティーヴン・マーカス『もう一つのヴィクトリア時代 性と享楽の英国裏面史』(中公文庫) 名著! ヴィクトリア時代のポルノグラフィから、その背景・社会面を解読。 |
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4730. 2011年11月10日 00時24分15秒 投稿:かわぐち |
無理してネタを作ってまで書く必要もない気もするが・・・・・・洋書紹介を1冊。 TOPOR: dessins paniques (HAZAN, 2004) 『マゾヒストたち』『幻の下宿人』の著者、そしてSFアニメの金字塔『ファンタスティック・プラネット』の共同制作者としても有名なローラン・トポールの、2004年ストラスブールで開かれた展覧会の図録。 232点の作品が紹介されており、時々引っ張り出しては眺めている。 ネットで検索してみたところ、「内容はイマイチ」のような紹介もあったが、私は他に画集を持っているわけではなく比較しようがないのだが、どこが「イマイチ」なのかよくわからず、充分に満足しています。 読了本は、 レンツォ・サリバドリ『建築ガイド3 ロンドン』(丸善) 小池滋『英国鉄道物語』(晶文社)−−前々から読もう読もうと思いながらも機会のなかった本。旅行はこうした読書のきっかけになるのがいいところでもある。 鉄道マニアでもない私が充分楽しめたかというと、いささか疑問ではあるが、それでも興味深いエピソードを多く含んでいた。 小池氏となると期待してしまうのはどうしても鉄道ミステリの話題だが、第4章「鉄道と推理小説」の部分しかないのが残念。 とにかくマニアの話題は、うまく乗ることさえできれば楽しいものだが、そうでないと置いてきぼりを食らってしまう。 英国の駅名をいわれても、それに対するイメージ・知識がまったくないに等しい当方としてはちょっとその感もあり。 とにかく、講談社文庫『世界鉄道推理傑作選』が無性に読みたくなっております。 『幻想文学26号 特集:イギリス幻想文学必携』を取り出してきて、この機会に読むべき未読本、再読本をチェック。 |
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4729. 2011年11月05日 23時29分24秒 投稿:かわぐち |
11月3日 町田へ。町田国際版画美術館で開催中の「版画でつくる 驚異の部屋へ ようこそ!展」を観るため。 第1部に関しては、なんらかの形で見たことのある図版がほとんど。しかし、実物を見て一番わかることは「サイズ」だ。 エルラッハ『歴史的建築図集』がこんなに大きな本とは思わなかった。現物は無理にきまっているが、復刻の形でなんとか入手できないものだろうか。 『エジプト史』はさまざまな形で図版は紹介されてはいるが(一番手軽なのはTachenから出た全図版集)、やはり実物に適うはずもないことを実感。 この新聞紙なみのサイズがすごい。 これまで知らなかったErik Desmazieresの版画に惹かれる。1948年生まれの現代フランスの版画家。 『ホルヘ・ルイス・ボルヘスの小説「バベルの図書館」に想を得た11点の版画集」という、長くてそのまんまの作品が展示されていた。 第2部のほうは知らない画家多数。コルネリス・フロリス「オーナメントとグロテスク」に注目した。 併設の「チベット密教版画展」も鑑賞。 企画展の図録を購入。2600円。700部限定となっていた。 ここまで来たので、町田市民文学館ことばらんどで開催中の「蕗谷虹児展」を観ることに。 想像していたより充実した展示。原画はやはり美しい。 魯迅が虹児に魅せられていたとは知らなかった。ちょっと意外。中国で虹児の詩画集の翻訳まで出版したそうだ。 絵とは別に堀口大学の本『虹の花粉』がとても気になった。なんという美しい書名であらう。 ブックオフ、高原書店と寄るが何も買わずに帰宅。 11月5日 千葉へ。千葉市立美術館で開催中の「酒井抱一と江戸琳派の全貌展」を観るのがメインの目的。 その前に稲毛で途中下車。旧神谷傳兵衛稲毛別荘(大正7年)、千葉トヨペット本社社屋(明治32年)を見学するためだ。 知らなかった「千葉市ゆかりの家・いなげ」も見学。溥儀の弟溥傑が夫妻で新婚生活を送った家だそうだ。 千葉へ行き、日本基督教団千葉教会(明治28年)を見てから美術館へ。 なんと申しましょうか、「美しいというのは、こういうものを言うのだよ」と言わんばかりの作品がずらり。 琳派の全貌ということであれば、先に国立博物館の「大琳派展」に勝るものがそうそうあるはずもないのだが、抱一とその弟子たちということであれば、文句のつけようがないほどの充実した展覧会であろう。 結局、終了近くになってからの鑑賞になってしまったが、半券を持っていけば1000円が半額の500円になるというのが嬉しいサービスだ。 やはりもっと早く来て、リピートするべきであったかもしれない。 同美術館では来年4〜5月に蕭白展が予定されているようなので、また来ないわけには行かなくなりそうだ。 それにしても家を出てから帰宅まで9時間の外出。そのうち4時間は電車の中なので、やはりよほどのものがない限り足が向かないなあ(それでも2年に一度くらいは行ってしまうんだから、「よほどのもの」が多いということか)。 読了は、 高橋裕子『イギリス美術』(岩波新書) ヒュー・ブラウン『英国建築物語』(晶文社) 鈴木博之『建築家たちのヴィクトリア朝』(平凡社) イギリスに行く前に<おべんきょう>。 前2冊は漠然と持っていた情報を整理するのに大変役立った。ただ、これから知りたいという人に薦めるには固有名詞が頻出すぎて、ちょっとためらってしまう。 いずれもわかりやすくて、良い本には違いない。 最後の1冊は、これまで名前は知っていても、それがどういう人物か知らなかった建築家の列伝。 やはり知らなかったことがわかるというのは面白く、夢中で読んでしまった。 すでに時期を逸してしまった感があるが、10月末から11月初めまで、「東京文化財ウィーク」というのをやっていた。 この間、普段公開されていない文化財が公開されるなどしていたが、それに合わせて東京都教育委員会がパンフを作成。 期間限定版はもう終わってしまうが、「通年公開編」というものも作成されており、これがあるとかなり楽しめそうだ。 関心のある方には入手をおすすめ。 もちろん「行ってみるとがっかり」レベルも含まれていることは、私の見ている限りでもそこそこあるんだけど。 |
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4728. 2011年10月29日 23時52分31秒 投稿:かわぐち |
10月29日 秋晴れの中、赤坂の迎賓館へ。一般見学抽選で当たったのだ。 といっても、係の人に聞いたら1日2000人ということなので、11月3日のような日でもない限りはずれることはないのかもしれない。 ちなみに言えば、例年は5月申し込み7〜8月見学なのだけど、今年は震災の影響で9月申し込み、10月末〜11月初旬に。 暑い時期でなかったのは、まさに不幸中の幸い。 大正天皇の新婚住まいとして建てられたこの建物、本当に豪華! これまで岩崎邸や鳩山邸は見てきたが、規模が違う。さすが皇族。 改修の甲斐あって、最近造られたかのようにピカピカ。純洋風の内部も過剰に走らないで、品の良い豪華さだ。 その分、バロック建築のような、笑ってしまうような「そこまでするか!」といったものがない。 なんにせよ、機会があれば話のタネだけにでも一見する価値は充分あり。 こうなると京都の迎賓館も見学したくなる。こちらも例年は5月申し込み、7〜8月見学(今年は9月見学)。 解説書を千円で購入。 その後、上野へ回り、東京国立博物館で「法然と親鸞 ゆかりの名宝展」を観る。 京都では法然、親鸞別々の展覧会であったのだが、聞くところによると、足して2/3のような内容らしい。 「いいとこどり」という噂も聞いたが、なるほど、確かにこれはすごい。 もったいなくも私なんぞには価値のわからないものも多かったが、それでも絵巻、像、襖絵など見ごたえのあるものも多数。 「芸術新潮 特集:法然」を読んでおいたのは正解であった。 とにかく想像していたよりはるかに人出が多く、2時間かけて観た後は、もうぐったり。 本日から公開であった庭園も、木・土曜のみ開館の黒田記念館も16時までとあって見られずに退散。 本日の悔し涙は、愛用のNIKONの偏光サングラスを紛失したこと。 4年前の誕生日に自分で自分に贈ったプレゼント。値段もそれなりにしたし、何より気に入っていただけに・・・・・・。 「所詮、俺の人生こんなもの」という気分になっております。 |
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4727. 2011年10月29日 00時42分19秒 投稿:かわぐち |
10月27日 仕事に向かったところ、突然、仕事がなくなりポッカリ1日空く。 これはラッキー。本日から開催の神保町の古本まつりへ。 さすがに初日だけあって結構な人出。 何も買わなかったが、中には「こんな本がさりげなく並んでるよ!」と驚くものも。 Le Cere Anatomiche della Specola は、いまでこそ有名になったフィレンツェの解剖博物館だが、1979年段階でここまでコレクションを紹介した本は(たぶん)なかったはずだ。 私も海外の古書店を通じて入手しているが、こんな本が並ぶから古本市はおもしろい。 『白井喬二全集』16巻8000円はかなり心惹かれたが、買うと読まなくなりそう。現在5巻まで読んでいるのかな。 仕事の道具や本を持っていたので、ただでさえ鞄は重く、じっくり見る体力がないため、次へ。 国立西洋美術館で「ゴヤ展」鑑賞。常設展ではウィリアム・ブレイク版画展もやっていた。 来年「ユベール・ロベール展」があると知り驚く。 さらに東京国立博物館、国立科学博物館と梯子。どちらもパスを持っているので、気軽に行ける。 思いがけない秋の休みであった。 購入本(その前日) 楼慶西著・高村雅彦監修『中国歴史建築案内』(TOTO出版) 同社からは『インド建築案内』『ロシア建築案内』が先に出ているが、本書は少し趣が変わり、20の章に分かれ、多角的な面から中国の建築を概説している。 ちょっと写真の印刷が悪いが、これは原書の印刷に問題があるのであろう。 まだパラパラ拾い読みの段階だが、たいへん刺激的。またもや我慢できなくなってしまいそうでコワイ。 まあ、それよりは先に大連〜ハルビンを見たいのだが。 読了は、『日本古典文学大系82 親鸞集・日蓮集』(岩波書店)。国立博物館で開催中の『法然と親鸞 ゆかりの名宝展』を見る前のおべんきょう。 続いて「芸術新潮4月号 大特集:法然 こころの改革者」を読んでいる。 |
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4726. 2011年10月26日 00時05分37秒 投稿:かわぐち |
>すずるさま おおっ、安土行かれるのですか! もう紅葉もきれいでしょうから、いろいろ楽しめそうですね。 お言葉うれしゅうございます。ぜひ加古川周遊も実現させたく思います。 こういうとき、やはり関西圏は強いですね。関東周辺で特別公開といっても、なにがあるのかもよく知らないし。 今月の「芸術新潮」を見て、東北地方の仏像を集めた、今回の滋賀のような企画展を開催してくれると盛り上がるんじゃないかなぁと考えております。 本が到着。 Susan Dackerman- Prints and the Pursuit of Knowledge in Early Modern Europe (Yale U.P.,2011) 現在ハーバード大学で、来年ノースウエストのBlock museumで開催の展覧会の図録。 15〜17世紀の科学書を中心とした100冊の本を紹介。書棚にあると心休まる美本。 1冊1図なんてみみっちい紹介でないのがいい。 戦国時代から江戸時代初期に、こういった本が作られているんだから、ヨーロッパ文化は深い。 しかし、同種のものとしては、1996年にフランス国会図書館で開かれた展覧会Tous les savoirs du mondeに軍配が上がるであろう。 こちらは、本当にこれだけのものが一堂に介したことがあるのかと、今でも信じられぬほどのラインアップ。 これ1冊で西洋の百科全書的世界の概観を目にすることができる。 Paul Koudounaris- The Empire of Death (Thames & Hudson, 2011) チェコに異様な教会があるのをご存知の方も多いと思う。そこには人骨で作られた燭台やレリーフが並んでいる。 ヨーロッパを中心に世界に点在する人骨を並べた場所。パリのカタコンベや、シチリアの骸骨寺などある種の観光名所となっている場所も多いのだが、本書はそんな人骨を展示した場所を広く集めたグロテスクかつ妖しい一冊。 こうして私家奇書コレクションにまたもや魅力的な本が加わりました。 決して他人にはおすすめしませんけど、日本橋丸善で実物が見られることだけは知らせておきませう。 |
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4725. 2011年10月25日 19時50分16秒 投稿:すずる |
こんばんは。 加古川は全く行ったことがないので、もしいつか行かれるのでしたら是非ご一緒させていただきたく思います〜。 30日に、安土城考古博物館に行ってこようと思っています。 秋はあちこちで特別展、特別公開があるので、どうやって周るか悩ましすぎますー。 |
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4724. 2011年10月22日 03時05分29秒 投稿:かわぐち |
>よしださま おおっ!『狂人失格』お読みになられたんですか。 行動も私のような凡人の予想もつかないものでしたが、動機が(ミステリなら「ネタバレ」で糾弾必至)「有名人となって河村隆一と会いたい」が行動原理だったというのが、こちらの予想を上回るものでした。 さらに林真理子氏のエッセイの解釈など、ある意味オドロキの連続。 なんだかんだいっても、読了後1カ月近く経ってもまだこれだけ印象深く覚えていられる本は、記憶力減退の私には最近なかったかもしれません。 それはそうと、優勝おめでとうございました。ほんの少し前にお会いした際にはあれだけ「腰が痛い痛い」言っててこれですか(笑)。 大人ってずるいですね。 >すずるさま 高野山は今年は無理そうですが(先の台風の影響、思ったより大きいみたいです)、お世話になるときはぜひ。 一方的に、兵庫の寺なんかもいいなあとも思っております。 加古川周辺には鶴林寺、円教寺、一乗寺、浄土寺、朝光寺(いずれも国宝建造物あり)をはじめ、名刹が点在しており、ぜひとも巡ってみたいものよと前々から考えておりました。 蛇足ながら、安土城考古博物館「武将が縋った神仏たち」もよさそうですね。会期が合わなかったのが悔やまれます(滋賀に行くまで知らなかった)。 読売が所蔵している妙見菩薩像(重要文化財)はいいですよ。お気づきになられたか、私がご一緒したとき着ていたTシャツ、その妙見菩薩像のプリントでした。 本が到着。 P.A.Morris- A History of Taxidermy: art, science and bad taste (MPM) タイトルどおり「剥製の歴史」。約400頁におそらく1000点を超える写真。 この分野を知ろうと思えば欠かせない重要図書になるであろう(まあ、そんなことを知りたい人がそうそういるとは思えませんが)。 うちの<奇書>コレクションに有益な一冊が加わったことを喜んでおります。 読了は、野溝七生子『山梔(くちなし)』(講談社文芸文庫)。 久世光彦『昭和幻燈館』で存在を知り、立風書房の『作品集』を買いながらも、その重さに負けてこれまで読んでいなかった作品。 一言で言えば「少女型意識文学」(by 高原英理)に尽きる。男では絶対に書けないであろうタイプの作品でした。 正直、もう少し幻想小説を想像していたのだが、これまでに読んだことがなかったタイプの本なので、新鮮かつ衝撃。 私事ながら、3日ほど高熱と下痢で伏せっておりました。 ようやく回復して浮かれたため、来月渡英することにしてしまいました。 うーむ、なんてキリギリスと、自分でも思うことしきり。 でも先がそんなに長くない気がして、じゃあ今のうちにと。 航空券5万円、しかし燃油代その他が6万5千円で、計11万5千円って・・・・・・。 なんだか詐欺にあってるような気がしなくもない。でも思い起こせば20年前、旅行したときはもっと高かったんだからなぁ。 さらに驚いたのは、ロンドンのインフレぶり。20年前と比べてもなんですが、当時5ポンドのものは大体17〜20ポンド。 地下鉄80ペンスが4ポンド! 日本でこんなに値段が上がったものって? タバコ以外に知りません。 |
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4723. 2011年10月21日 18時06分24秒 投稿:すずる |
こんばんは。 高野山に熊野、いいですね。 また関西にお越しの際は、お邪魔でなければ是非ご一緒させてください。 運転もお任せくださいなー。 |
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4722. 2011年10月20日 09時49分34秒 投稿:よしだ まさし |
中村うさぎ『狂人失格』太田出版を読了しました。 いろいろな意味で凄いですね。 この「作家になりたい」という電波な女性も凄ければ、それに関わってひたすら自省していく中村うさぎという女性も凄い。 この中村うさぎにシンクロして、ものごとをつきつめていこうとすると、何もできなくなりそうなので、深く考えずにさらっと読み流すことにしました。 それにしても、対談の直後に出会い系で処女を捨ててきたり、刊行の予定もたたない本の宣伝をあちこちの掲示板に絨毯爆撃のごとく書き込んだりと、まったく予想のつかない反応は凄すぎ。 やっぱり、かかわってはいけませんね。 |
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4721. 2011年10月16日 00時56分00秒 投稿:かわぐち |
>すずるさま こちらこそありがとうございました。(というわけで、前回書いた「某氏」の正体はわかりましたね) 滋賀は奥深いですね。家に帰って資料を見ると、まだまだ見ていないところがいっぱいです。 でも、今回は目一杯動いて、あれ以上は無理だったかな。 うまく都合がつけば、次はGWあたりの彦根屏風公開が狙い目かと。 11月はあちこちで限定公開もあるみたいですね。いろいろ行ってみてください。 家人は図々しくも、運転してもらえたことを喜ぶとともに味をしめている様子も。 早くも高野山&三熊野行きたいとか言ってます。 本が到着。 Martin Myrone(ed.)- John Martin: Apocalypse (Tate Pub., 2011) 9月21日から来年1月15日までロンドンのテート・ギャラリーで開催中のジョン・マーティン展図録。 図録の素晴らしさよりも、いま行けばこれらの実物が観られるかと思うと、どうも落ち着いていられません。 ああ、我慢できなくなりそう。 11月7日からはナショナル・ギャラリーで「ミラノ宮廷のダ・ヴィンチ展」も始まるんですよね。 こちらもダ・ヴィンチ油彩がなんと8点、そのうち1点は先に話題となった新発見の作品「救世主」!とあっては・・・・・・。 読了は、花田清輝『アヴァンギャルド芸術』(講談社文芸文庫)。 千葉に「酒井抱一と江戸琳派の全貌展」に行こうかと思ったが、雨のためやめてしまう。 家で一日テレビ。ちなみに現在CSで欠かさずに観ているのは「メンタリスト」「紅之介参る!」「スタートレック NEXT GENERATION」「必殺仕置屋稼業」「助け人走る」(今週で最終回、次週から「必殺必中仕事屋稼業」)「必殺仕事人(パート1)」「怪奇大作戦」「キャプテン・スカーレット」「ゴーオンジャー」、そして次週から「フリンジ 第2シーズン」。 ほとんどがすでに観ている、さらにDVDまで持っているもの。地上波では「ペンギンズ」「ゴーカイジャー」「フォーゼ」が加わる程度。 |
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4720. 2011年10月15日 21時23分01秒 投稿:すずる |
こんばんは、湖南巡りにご一緒させていただきまして、ありがとうございました! 久しぶりにお会いできて嬉しかったです、また貴重なお土産までいただいてしまいまして、感謝感謝なのです。 熟読させていただきますね。 滋賀はあまり行ったことがなかったのですが、見所が多くて驚きました。 また湖北の方なんかも行ってみたいと思います〜。 |
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4719. 2011年10月13日 00時08分06秒 投稿:かわぐち |
>SPOOKYさま あ、お久しぶりでございます。お気づきになられたのですね。 情報ありがとうございます。しかしながら、7日夜の深夜バスで向かったので、見ることができませんでした・・・。 でも、たとえ知っていても見つけられたかな? 珍しいミステリだらけの「不動産屋さん」って。 大津の街は、曳山祭りの最中で曳車を見学。あとは例によって建築見学。 今回大津市で見学したのは滋賀県庁、武徳殿(閉鎖されていて、ひょっとすると解体間近?)、旧大津公会堂、旧琵琶湖ホテル(現・びわ湖大津館)。 ということで、3連休の間、滋賀県を旅行してきました。 前回触れましたが、滋賀県では「神仏います近江」という3つの博物館による合同企画が開催中。 滋賀県の仏教・神道文化の名品が一堂に介するということで、思い切って出かけてきました。 さらに、日吉神社、延暦寺、湖東三山、湖南三山など、寺社巡りも敢行。 国宝建造物を持つ10の神社仏閣を見学することができ、まあまあ満足のいく旅でした(すでに見ている三井寺、石山寺は今回省略)。 ながながと旅行記を書く気力も記憶もないのですが、某氏(名前出してよいのかな?)に数年ぶりにお会いすることもでき、そのうえ運転手までしていただいて感謝しております。 途中のパーキングエリアで買った中でおすすめ菓子。 奈良市の多口製菓「あんみつうさぎ」、静岡県島田市の清水屋「黒大奴」は久々に人にすすめたくなるようなものでした。 旅行中購入した本は、 『神仏います近江」図録−−500頁近い大冊で2400円。東京国立博物館で買うつもりだったのだが、記憶の新しいうちに見返したくなり、重さを考えずに購入。 堀敏一『東アジア世界の歴史』(講談社学術文庫) 読了本は、 辻惟雄『奇想の図譜』(ちくま学芸文庫) ブルーノ『無限、宇宙および諸世界について』(岩波文庫) 辻潤『絶望の書・ですぺら』(講談社文芸文庫) |
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4718. 2011年10月08日 01時17分06秒 投稿:SPOOKY |
滋賀に行かれるんですか? もし大津に寄られるようでしたら、ぜひ駅前の商店街にある、珍しいミステリだらけの不動産屋さんを訪ねてみてください。 |
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4717. 2011年10月06日 00時36分59秒 投稿:かわぐち |
10月5日 仕事を終わらせて納入するだけにしたので、雨の降りしきる中、東京国立博物館へ。 常設の展示替えは、前回と比べるとあまりなし。それでも岩佐又兵衛が観られたのはうれしい。 応挙の屏風、浮世絵コーナーは国芳特集。年末の森美術館の国芳展が楽しみだ。 久しぶりに法隆寺宝物館にも足を向ける。ここはそれほど展示替えもないので(あったとしても気づかないだけ?)3〜6ヶ月に一度くらいしか行ってないが、それでもすごいなぁといつも感心。 パスポートの延長手続きをする(震災の影響で休館していた分延長してくれる)。これで25日からの「法然と親鸞展」も観られるようになった。 今日のもうひとつの目的、「神仏います近江展」の図録だが、ショップには見当たらない。 聞くと、販売は決定しているのだが、入荷自体はいつになるかわからないとの返事であった。 500ページを超す大冊らしいので、現地に行く前に購入しておきたかったのだが。 さらに江戸東京博物館へ足を延ばす。「世界遺産 ヴェネチア展」を観るためだ。 予想よりも力の入った展示。美術・工芸だけでなく多角的にヴェネチアの文化を紹介。 日本で観られるとは思ってもいなかったカルパッチョ「二人の貴婦人」にも感動。 ただ天邪鬼な感想を一言いえば、ルネサンス期はすばらしい文化も、18世紀になるとかなり「まだこんな感じだったのか」と時代遅れになっている気もした。 特に風俗画では、同時代のオランダ絵画に比べると抜かれている感は否めないのでは。 その中でカナレットの絵はさすがと言うしかない。 なんにせよ一見の価値は充分にある展覧会です(数箇所巡回)。 カルパッチョって、日本ではあまり画集が出ていない気がします。東京書籍の「イタリア・ルネサンスの巨匠たち」シリーズ以外では「ファブリ世界名画集」(平凡社)−−古本市でよく見かける薄い、いまでいう「週刊グレート・アーチスト」のようなやつ−−くらいしかないのでは。 その割には人気があるみたいですね。私の手元にあるのは、Stefania Mason- Carpaccio, The Major Pictorial Cycles (Skira)です。 ここにも載っている「聖ゲオルグの竜退治」も来日することがあるとよいのですが。 |
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4716. 2011年10月03日 23時50分17秒 投稿:かわぐち |
10月2日 鎌倉へ。華頂宮邸一般公開があるので。 昨年11月、建長寺・円覚寺の寺宝公開に行き、わざわざ一泊して回ったので、今回はその補遺も含めて。 寿福寺・浄妙寺で鎌倉五山制覇。報国寺の竹の庭は、実は期待していなかったのだが、想像以上。杉本寺もよかった。 旧華頂宮邸で『かまくら景観百選&鎌倉の景観重要建築物』冊子購入。これがこのあと役立った。 今回の収穫は、ガイドブックにも紹介なく、先の「景観重要建築物」にも指定されていない御成小学校の講堂。 望楼の2つある木造の建物がいい! 調べてみたら昭和8年のものだとか。見た目はもっと古く感じますが。 もと御用邸の場所に建てられた小学校。結構地元では取り壊して新しい校舎にしたい声も多いらしいのですが、他所者の無責任な気持ちでは「もったいないよ〜」。 残念だったのは、英勝寺、鎌倉文学館(旧前田侯爵別邸)がお休み。そして一度見ておきたかった釈迦堂切通しも手前で通行禁止。写真で見た岩のところまでも行けなかった。結構歩いたのになぁ・・・。 そんな感じで、鶴岡八幡宮以外は有名処はあまり行かず、ただただ歩いただけのような気が。 読了本は、 リチャード・フォーティ『乾燥標本収蔵1号室』(NHK出版) 怪奇ミステリのような題名ですが、大英自然博物館の研究者が著した、同館のドキュメント。話題の中心は奇人研究者のエピソードだったような。 高橋昌明『湖の国の中世史』(中公文庫) 今月、滋賀旅行の計画があるので、その前調べ。しかし、地方新聞掲載の文がもとになっているせいか、章当たりの分量が短くて、「え、これで終わり?」と思った箇所がいくつも・・・。 加藤九祚『ユーラシア文明の旅』(中公文庫) 旧ソ連時代に書かれた、シベリア、中央アジアの文化史。 |
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4715. 2011年09月25日 00時51分51秒 投稿:かわぐち |
中村うさぎ『狂人失格』(太田出版)読了。昨年刊行された本だが、まったく知らなかった。家人に読むようにいわれた本。 内容は、ネットで「作家になりたい!」とブログを書いている女性と、著者が関わった顛末。 私自身はまったく知らなかったのだが、ネットではかなり有名な話らしい。モデルについては仮名だが、ちょっと検索すれば本人のサイトにはすぐにたどり着けることであろう。 これまでネットで<イタイ>人は何人か見てはきたが、多くの反応は嘲笑であろう。 しかし、著者は「なぜ私はこの人が気になるのであろう」と絶えず自分に問いかける。 「この人は自分の暗黒面なのだ!」と考えた著者は、ただ嘲るだけの周囲への反感もあって「共著を出しませんか」とアプローチ。しかし、その後の展開は・・・・・・。 ネットに頼まれもしないのにわざわざ自己をさらけ出している人間−−もちろん私自身もそうだが−ーそれはなぜなのか。そこには自分では認めたくない有名欲、虚栄心などがドロドロと渦を巻いているのでは等、決して他人事とはいえない「病」が潜んでいるのかもしれない。 しかし、大方は「私はこの人(本書のモデル)とは違う」と安心にも似た否定が生まれることであろう。だが著者の自省はあくまでも執拗である。 いろいろ考えさせられることの多かった本でした。一読の価値は充分にあり。ただサイト自体はできれば近づかないほうが・・・と老婆心ながら。 牟田口義郎『地中海歴史回廊』(ちくま学芸文庫)読了。 あまり多くはない(と思うんですけど)地中海史の専門家によるエッセー集。 地中海というと、多くはギリシア、トルコのイメージだと思うが、著者の視点はかなり広い。 地中海文明はギリシア、そしてエジプトに代表されるアラブ世界が中心・起源であり、ヨーロッパはアラビア語をラテン語訳することにより、ようやくその文明の成果に触れることができるようになったのだ、ということ。 堅苦しくなく気軽に読める。しかし、なら「学芸文庫」(高いからね)でなくても・・・と思ったのも事実。 ブローデル『地中海』も読んでいないシロウトの私だが、おかげで気になる本が随分リストアップできました。 こうした「広がり」のある本は読んでいて楽しい。 |
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4714. 2011年09月19日 23時17分50秒 投稿:かわぐち |
9月17日 まずは金曜に書き忘れたこと。仕事帰りに東京国立博物館へ。月に一度の予定で通う常設展鑑賞。 前回から展示換えのあったのは半数くらい。国宝室の「一遍上人伝絵巻」がすごい! そして置いてあったチラシ−−「ボストン美術館 日本美術の至宝」展(2012年3月20日〜6月10日)には・・・・・・ なんと、曾我蕭白「雲竜図」が展示されるという! ボストンにあることは知られていても、おそらく同美術館の学芸員でさえ観たものは少ないという作品。 以前、NHKで展示を再現する試みがされていたが、ようやく入手した写真を引き伸ばしたものであった。 当然、ボストンに行ったところで観られるものではない。 それが日本にやって来るのだ。おそらく自分なんかは一生観ることは叶わぬと思っていたので、まだ信じられぬ気持ちだ。 そのほかにも日本にあれば国宝間違いなしの「平治物語絵巻」、長谷川等伯「龍虎図屏風」、尾形光琳「松島図屏風」等など・・・こう書き写しているだけでも興奮が押さえられなくなりそうだ。 私のホラでない証拠として、東京国立博物館HPを見てください。 嬉しいことに、名古屋、九州、大阪と巡回あり。 国立の一橋大学へ。いつでも行けると思い、かえって遠いものになっていた、伊東忠太「兼松講堂」を観るため。 まさに日本版ロマネスク建築! 昨年5月フランスのウェズレー、オータンとロマネスク見学に出かけたのだが、自転車で行ける距離(少しきついけど)にここまでの完成度のものがあろうとは。 その他文部省建築課によるものとされる建物も伊東忠太デザインと響きあうように造られており、東京都内でも必見の建築であると、遅まきながら確認した次第。 なにはともあれ、これでようやく東京の伊東忠太建築は制覇できたと思う。 (築地本願寺、大倉集庫館、震災記念堂、湯島聖堂、そして明治神宮宝物館でいいのかな?) なお、国立駅はすっかり変わってしまい、惜しまずにいられない。 国立の古本屋では、C・S・ルイス『愛とアレゴリー』(筑摩叢書)を購入。この叢書、全367冊でよいのだろうか? カーレン・ブリクセン『アフリカ農場』が1992年11月刊行で最後? その後別の形で再刊されたり、いまとなっては興味もなくなってしまった書目も多いのだが、それでもこのまま消えるには惜しい本も少なくないし、入手しておきたいものもあり、古本で注意はしているシリーズだ。 国分寺の殿ヶ谷庭園に寄る。 帰宅後、藤森照信・増田彰久『建築探偵 東奔西走』(朝日文庫)を読むと、兼松講堂の周囲にマムシがいたとの記述が・・・(冷や汗)。 9月19日 小田急ロマンスカーのパノラマ席を確保したので、小田原の建築巡りに。 前日に頑張って映画を観たせいで、眠くてせっかくのパノラマ席も町田過ぎると眠りの中・・・・・・。 ちなみに観た映画は、増村保蔵監督作『現代インチキ物語 騙し屋』、中平康監督作『当たり屋大将』、小野田嘉幹監督作『人喰海女』、溝口健二監督作『女優須磨子の恋』。 それはともかく・・・・・・小田原でレンタサイクルを調達し回ったのは、田中光顕別邸(小田原文学館)、黒田長成別荘「清閑亭」、大倉喜八郎別邸「共壽亭」(現・料亭山月)、松永安左ヱ門邸「老欅荘」。 山縣有朋別邸「古稀庵」(現・あいおい生命研修所)は日曜のみの公開ということで見学不可。 「神奈川県立生命の星・地球博物館」へ。隕石・鉱物の展示がいい! |
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4713. 2011年09月17日 00時48分31秒 投稿:かわぐち |
9月16日 都築響一氏のブログで知ったのだが、文京区本郷にあった「本郷館」が8月に壊されたと知り愕然。 知る人は知る建物だが、1905年(明治38年)に建てられた木造3階建てのアパート。 詳しくは氏のブログを(エラーメッセージ「URLを漢字で」ってどうすれば・・・・・・)。 http//:roadsidediaries.blogspot.足すcom/2011/09/blog-post_10.html 私にとってはまさに乱歩の小説の住まいのようなイメージを勝手に抱いており、今年3月に20年ぶりに訪れ(といっても関係者でもなんでもないので外観だけの見学)、変わらぬ佇まいに安心と力強さを感じただけにショックもひとしおでした。 ホント、建築はある日突然なくなるものだと、いまさらながら実感。 購入本 『フューチャーメン出動せよ!』(宇宙軍文庫)−2010年12月、新宿で開催された「キャプテンフューチャーCON」に向けて作られたファン出版物。 内容は故・野田昌宏氏のあとがき、インタビュー他、キャプテンフューチャー関連の文章を集めたものであり、その多くは読んでいるもの。 しかし、ハヤカワ文庫SFの世代としては、それを模して作られた装丁だけでも欲しくなっても仕方ない(でしょ?)。 さすがに40代半ばも過ぎてはきついかなと、手を出さずにいた創元版全集だが、刺激されて読みたい気持ちがムラムラと。 購入DVD PULP FICTION ART: Cheap Thirills & Painted Nightmares (KULTER) DVDを買うのは久しぶり。ブルーレイ(持ってません)が普及したいまとなっては、よほどのものでないと手が出せない。 しかし、こうした日本ではまず出ないものとなっては話は別。 タイトル通りパルプ・アートの世界を紹介するドキュメンタリー。本日届いたばかりなのでまだ未見。 ジャケットによれば、2006年「Dragon Con Film Festival」および「International Sci-Fi Horror Film Festival」で各ベスト・ドキュメンタリー賞を受賞とある。 amazon.jpで1609円にて購入。リージョン・フリーだが、英字幕もなし。 読了は『世界の名著 スピノザ/ライプニッツ』(中央公論社)。 |
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4712. 2011年09月11日 21時32分31秒 投稿:かわぐち |
9月11日 一日家に閉じこもり仕事。夕方になり本が到着。 Gary Lovisi- Dames, Dolls & Delinquentis: A Collector's Guide to S●xy Pulp Fiction Paperbacks (krause pub.) タイトルどおり、セクシー美女のカバー画ペイパーバックの紹介本(市場価格入り)。 2000円以下の割にはオールカラー224頁で700点近くのカバー画がみられる。 米amazonのレビューの評価も高く期待していたのだが、やはりアメリカと日本では違うのだろうか(単に私の趣味の違いかもしれないが)、それほど面白いものでもない。 昔買った "The Paperback Covers of Robert Mcginnis" を期待しているのだが、なかなか匹敵するような本は現れないなあ。 当店休店中に購入した "True Crime Detectiove Magazines 1924-1969" (TASCHEN) も期待を上回るものではなかった。 で、下品なものが嫌いだからかというと、そんなことはなく、同じTASCHEN社から先に出た "MEN'S ADVENTURE MAGAZINES" はもっと下品なのに大満足。 思うにスタイリッシュなものはもちろんいいのだが、下品も窮めて<バッドテイスト>まで昇華(?)されるとまた魅力がでてくるのであり、多くはその間にあるのであろう。 追記:吃驚! 上の書名の●部分、正しく綴るとエラーで投稿できなくなってしまうんですね。オーナーのスパム対策がこんなところに! |
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4711. 2011年09月11日 01時39分42秒 投稿:かわぐち |
9月10日 電話して当選を確かめたあと、東京古書会館へ。 購入したのは『伊東忠太建築文献第5巻 見学紀行』(龍吟社、1936)。築地本願寺ほか、不思議な建築で有名な人物の著作集の1冊。 明治35年よりスケッチブック片手にロバに乗り中国からビルマ、インドへ。さらにトルコ、ギリシャ、エジプトと建築調査を3年間にもわたり行った紀行文。 前々から欲しかったのだが、原書房版は高額のうえ品切れ。今回裸本とはいえ、手ごろな値段(2500円)で購入できて嬉しい。 当時の古写真も豊富な大冊。こういう本が買えるから、古本から手は切れないなあ。 重い伊東本を抱えたまま、そろそろ行かなくてはと思っていた、現代美術館開催中の「フレデリック・バック展」へ。 本の興奮を引きずったままだったせいか、考えもなく観だしてしまう。最初のほうは学生時代からの風景画など、いわゆる画家修業時代の作品。 ここでなまじ力を入れたのが大失敗! 本当に観たかったアニメ作品のあたりでは足がフラフラ。 出品作はかなりな量で、配分考えないとえらいことになります。 私個人でいえば、出口から反対に観るとちょうどよかったのになあ。出品作リストがないのも敗因だと思います。 もちろんアニメ関連、そしてイラストレーションなどは素晴らしい。 角度を変えて見ると絵柄が変わる(何て呼ぶんだろう?)絵葉書を購入したが、これがアニメを表現するのにぴったり! まさにアニメがそのまま1枚に凝縮されたようだ。これでノルシュタインとか他のアニメ作品も作ってもらえないものか。 読了本は『世界の名著 ヘーゲル』(中央公論社)、ル・コルビジェ『伽藍が白かったとき』(岩波文庫)。 |
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4710. 2011年09月08日 00時28分00秒 投稿:かわぐち |
9月7日 帰りに本屋へ。新刊書店にも行く回数は激減している。 世の中の流れに関心もわかず、「アンタなんてお呼びでないよ」といわれているような気がして・・・・・・。 そんななか、渡辺温全集『アンドロギュノスの裔』(創元推理文庫)購入。東京堂になく、書泉に回って発見。 いまさら恥ずかしくて説明もしないが、こういう本が出るのは僥倖ですね。 薔薇十字社版が出たとき、中井英夫は「いわばこの夭逝した白面の青年を生前さながらに納めたガラスの柩で、その中で死者は永遠に若い」と評したが、 ここに再びその姿に死後81年経ったいま接することができるわけですね。 照合したところ薔薇十字社版の作品はすべて収録、増補されています。 横溝・谷崎・水谷・そして渡辺啓介の文が収録されていないのは残念かなぁ。 こういう本が書架に並ぶだけで嬉しくなります。 そのほかは、ミステリー文学資料館編『悪魔黙示録 「新青年」一九三八』(光文社文庫)−こちらも今頃になって購入。ついつい忘れてしまって。 もう1冊は、荒俣宏『衛生博覧会を求めて』(角川文庫)−これを紹介するのは、私の義務(?)。 ぶんか社から1997年に出た本の文庫化だが、比べてみるとかなりの加筆・修整されております。 乱歩『悪魔の紋章』『白日夢』にも出てくる衛生博覧会ですが、その実態はわれわれの世代になると知らないのが当たり前。 田中聡『衛生博覧会の欲望』(晶文社)と並び、いかなるものであったかを解き明かします。 ショッキングな図版も含まれており、一方、世の怪奇大好き少女は、こういった歴史的な事実より都筑響一氏の本のようなビジュアル主体を好むでしょうから、正直申し上げて初版がなくなったら、重版は苦しいかと。 しかし、荒俣氏の本では、近年中、最も力の入った部類ではないかと思います(本書と『20世紀雑誌の黄金時代』(平凡社)が双璧)。 あとがきによれば、単行本は初版3000部が相当売れ残ったそうで。今回の文庫は部数がどれくらいなのかわかりませんが、お好きな人だけにはぜひ押さえておいてもらいたいと思います。 なお、本書中でも言及されている最大のネタ本ミシェル・ルミール『芸術家と死体』ですが、この本、荒俣氏の本の中で紹介されているよりはるかにエグイ、強烈な写真が満載です。 本書にも絶版・版元消滅・著者死亡と書かれておりますが、なかにはどうしてもという方もおられるかもしれないので、原書を挙げておきます(これを持ってる人は日本にはそんなに多くはないと思うので、せっかくですから)。 Michel Lemire- Artistes et Mortels (CHABAUD, 1990) ISBN2-87749-019-X 本当にグロテスクなものが嫌いな人は買うと後悔しますよ。 |
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