黒猫荘
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カフェ「白梅軒」
PLMS : mys030  
オーナー:川口且真 
(OPEN:1999年7月19日)

「白梅軒」へようこそ。
ジャンル不問で、皆様の本の話題をお待ち申し上げております(横レス歓迎!)。
「集めても読んでも本はおもしろい」(by 店主)
「紙の悪魔を集めて笑え。お前が買わねば誰が買う?」(by よしだまさしさま)
「多読を誇らず、少読を恥じず」(by 内藤陳氏)


伝えられるお客様の数人。(since 1999/09/13)

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4759. 2012年04月27日 00時26分17秒  投稿:かわぐち 
4月21日
根津美術館「KORIN展」へ。
尾形光琳の杜若図2点−根津美術館所蔵(国宝)「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」−が並ぶという、待望の展覧会。
昨年開催の予定だったのが、震災で1年間延びていたのだ。
いまさら何をかいわんというほど、圧倒的な存在感。
しかし、予期していなかった酒井抱一「青楓朱楓図屏風」に驚かされた。
根津美術館は庭が見事なことでも有名。涼しくて快適な休日のひととき。
常設がまたすばらしい。

歩いて六本木に向かう。国立新美術館の「セザンヌ展」を観るつもりで前まで行ったが、入場待ちこそなかったものの、次々と人が入り口に吸い込まれていく。
これは金曜夜など他日を期することにして、サントリー美術館「毛利家の至宝展」へ。
雪舟「山水長巻」が呼び物となっているが、どうしてどうして、他の出品物も見応えあります。
「山水長巻」は、一度目は細かく凝視。その後二度観て、別の展示へ。下の階へ降りる前にもう一度と思い、結局さらに3回。
これまで良さがイマイチわからなかったが、これはやはり凄いや。
色彩もいいし、雪舟といえば黒云々いわれるが、私には、白い部分がかえって気に入った。霧が立ち込める海と山の境目に魅力を感じ、舟の櫓の音が聞こえてくるよう。

夜間開館あるのでセザンヌに行けないこともなかったのだが、体力と足の限界を感じて帰宅。

4月24日
仕事が意外なほど早く終わった。おお、セザンヌ行けるじゃん!と思ったら、国立新美術館は火曜休館。
では、と向かったのは国立科学博物館。「インカ展」が開催中。
平日の昼間だというのに、結構な人出。これで休みならどうなっているんだか。
ちなみにリピートパスを持っていると、入場料は800円。
展示はまあはずれなしの面白さ。数年前の「マヤ・アステカ・インカ展」ほどのインパクトはなかったけど。
やはり私はアステカ→マヤ→インカの順で好きだなあ。
話題にもなっているが、シアターの3D映像は確かに凄い。これを観ずしては帰れません。
その後、地球館を楽しむ。

4月26日
火曜で予測はついたが、やはり今日も仕事は早めに終了(念のため言っておくが、会社員と違って早く終わればそれだけギャラは減るので、決して喜んでばかりもいられない)。
今日こそはと思い、国立新美術館「セザンヌ展」へ。
正直なところ、セザンヌについては〈わかった〉気になって、今回の展覧会も特に期待していたわけではない。
セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マネ・・・・・・こうしたメンバーは絶えず展覧会が開催されており、また海外のみならず、日本国内でも観る機会はざらにあるからだ。
しかし、現物を前にするとやはり来てよかったと思わずにいられない。
印刷では再現不可能な色と筆遣い。こちらも「インカ展」同様、平日の昼間だというのにかなりの集客数。
国立新美術館では「エルミタージュ美術館展」も開催中だが、さすがにそこまでの余裕はない。

読了本
五来重『石の宗教』(講談社学術文庫)
黒田日出男『吉備大臣入唐絵巻の謎 』(小学館)
黒田日出男『謎解き洛中洛外図』(岩波新書)
メーテルリンク他『室内』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
田中淳一他訳『詞華集』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
曽根元吉編『評論・随筆集』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)

フランス世紀末文学叢書はこれで全巻読了できた。全集・シリーズものはひとつ読み通すと、憑き物がおちるようで嬉しい。
レニエにここまで惹かれるとは思わなかった。モーリス・ロリナの詩がもう少し読みたい。

今回、一番考えさせられたのは五来重の本。
ショックであったのは、いつのまにか〈美術〉としての物差しでしか仏像等を見られなくなっていたことに気づかされた点だ。
当然、これらはまず〈信仰〉あってのものであり、そこには〈救い〉を求める心があったはず。
それを〈美術的に優れた作品ではない〉という理由でいつのまにか気にも留めなくなっていたものがずいぶんあるのではないか。
そんなことを考えてしまった。
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4758. 2012年04月18日 01時10分37秒  投稿:かわぐち 
読了本
H・ルベル『ニキーナ』
G・ダリアン『泥棒』
G・ロデンバック『死都ブルージュ/霧の紡車』
R・ド・グールモン『仮面の書』(以上国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
所功『伊勢神宮』(講談社学術文庫)
五来重『高野聖』(角川ソフィア文庫)
和歌森太郎『神と仏の間』(講談社学術文庫)

五来重『高野聖』は名著といわれながらも恥ずかしながら未読であった本。昨年角川ソフィア文庫に入っていたことを知らなかった。
網野善彦や阿部勤也により日本でも「常民史」(それまで「歴史」といえば権力者のつくりあげてきたものが中心であったものを、名もない庶民の生活を解き明かすことで探る方法)
が定着した感があるが、五来氏の本では宗教における「常民史」といえるかもしれない。
つまり名僧・高僧のつくりあげてきた宗教史に対して、勧進などでその活動を支えてきた「俗僧」に焦点を当てたといえよう。

こうした本が文庫になっていることを〈発見〉したときは、なぜかうれしくなる。
「こんな本が出てたよ、知ってた?」というのは、本好きならつい言いたくなる言葉だが、単行本だと値段もそれなりにするし、長い出版史で出た本を知り尽くすことなぞ、最初から不可能。
文庫化というのは、もっと広く気軽に言えるし、なにより文庫ファンは多いのでは。
私にしても、もっと人から「こんな文庫があるの知ってた?」と教えてもらいたい気持ちは強い。

購入本
Marcello Toffanello- Cosme Tura (GUINTI, Art Dossier)
気にはなりつつも日本で画集が出ていないのはないかと思われるコスメ・トゥーラの本。
安かったが、それもそのはず。50頁の、日本でいえば「週刊グレート・アーティスツ」のようなものかも。
しかし、当たり前だが図版は豊富で、巻末の他の刊行画家の名前を見ると、「え!こんな画家のも出ているんだ」と、欲しくなるものがいっぱい。
残念ながらイタリア語なんで、図を見て楽しむ程度なんだけど・・・。

IN MORBID COLOURS: Art and the Idea of Decadence in the Bohemian Lands 1880-1914 (Arbor vitae, 2009)
プラハで開かれたデカダンス美術展覧会の図録。特徴はサブタイトルにも見えるとおり、ボヘミア地方の画家の作品であるということ。
世紀末デカダンスといえば、まずはウィーン、ドイツ、さらにはフランス、イギリスといったあたりの画家なら何人も挙げられるのではなかろうか。
しかし、それ以外の国となると・・・私はわからない。
大冊400頁には、これまで知らなかった画家の作品がほとんどで、有名どころは図版も小さく添え物程度。
図版をアップできないのが本当に残念だが、退廃的な妖しい幻想画が多く含まれている。
Richard Teschner, Frantisek Drtikol, August Bromse などの名前をグーグルの画像でご覧ください。

購入DVD
Tatsumi Hijikata SUMMER STORM: The Final Performance BUTOH
60年代、暗黒舞踏の創生者として活動を始めた土方巽。本DVDはその舞踏を映像として収めたもの。
私は舞台に間に合わなかったことをいまだに悔やんでいる。「ぴあ」誌で公演があるのを知り行こうかと思ったが、最終日の前日であり、「次回にしよう」と思って行かなかった。
そして、それが土方最期の公演となってしまったのだ・・・。
実際に見ると、かなりグロテスクな面があり、妖しくも生理的にきつい人もいるのではなかろうか。
ともあれ、こうした貴重な映像が自宅で見られるのだから嬉しい。
本DVDはアメリカで出されたもの。amazon.co.jpで購入可能。1600円前後。
これは言わずもがなだとは思うが、「恐怖奇形人間」で奇形を作る父親が土方巽ですから。
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4757. 2012年04月18日 01時09分37秒  投稿:かわぐち 
4月7日
熱海へ。先月に引き続き岩佐又兵衛を観るためにMOA美術館へ。
今回は「浄瑠璃物語」。「山中常盤」同様、牛若丸こと義経題材だが、悲恋の物語。
突拍子もない作風という点では「山中常盤」に敵わないが、細密描写という点ではそれ以上。
こうして毎月又兵衛が観られるのだから、今年は良い年だと感ぜずにいられない。
次回は「堀江物語」。青春18きっぷは使える時期ではないので、ロマンスカーのパノラマ席をゲットして、5月に備えた。
MOA美術館の後は、三島に移動。前回時間が合わずに見送った「楽寿館」見学。小松宮彰仁親王別邸。
三島では古本屋に1軒寄ったのだが、ここがまたすごかった。通路の両脇に本が積んであるのはよくある光景だが、その狭さ!
腰をかがめて積んである本を確認するのはほぼ不可能であるため、視界に飛び込んでくる本を見るしかない。
私でこの状態なんだから、(特に名は伏すが)某氏や某氏などでは中に入ることさえ難しいかも。
身延線に乗り、富士から甲府経由で帰宅。
正直、ここ2年のにわか〈鉄〉なので、長いばかりで、たいして楽しくなかった・・・。

4月15日
千葉へ。まずは千葉市美術館で開催中の「蕭白ショック!」。同館で98年に開催された蕭白展には行ったのだが、そののちの京都の蕭白展には行っていないので、久々にまとまった蕭白鑑賞だ。
今回の目玉は旧永島家の襖絵全44点が修復後公開という点であろう。また蕭白が影響を受けた画家、さらには同時代の若冲、大雅、応挙などの画家の作品も並ぶ。
襖絵以外は98年の展覧会で観た作品ばかり(らしい。というのも図録で確認しないと、もはや忘れているから)。
したがって、今回図録購入は見送ってしまった。ほぼ全点近く入れ替えがあるので、おそらくもう一度足を運ぶことになりそうだ。
同館の次回企画は英泉!

続いて佐倉へ。国立歴史民俗博物館「洛中洛外図屏風と風俗画」を観るため。
同館所蔵の洛中洛外図6点が一堂に並ぶだけでもありがたい。残念ながら国宝上杉本や舟木本は複製および写真。
同日まで岡山県の林原美術館で開催されていた「洛中洛外図屏風に描かれた世界」に上杉本、舟木本が出品されていたそうだ。
う〜ん、両方の展覧会を観ておきたかった。岡山のは昨年群馬で開催したあとの巡回だというではないか。
みんぱくのこの企画、「都市を描く−京都と江戸−」という企画の第1部。当然第2部江戸があるのだが、こちらは立川市の国文学研究資料館で開催。
これも両方観に行くのは相当大変だと思う。
図録は両会場の内容を収載しており、良い本である。2000円。もちろん購入。
国立歴史民俗博物館は2001年の「異界万華鏡」以来なので11年ぶり。
前回、ここで買った図録、高知県立歴史民俗資料館発行の「いざなぎ流の宇宙」は、資料としても素晴らしい本で、心底買ってよかったと思わせるものであったのだが、
今回も素晴らしい図録を発見。高知県立歴史民俗資料館「鬼 展示解説資料集」。これまた資料性の高い、代え難い本。
先のいざなぎ流もそうであったが、単なる歴史資料の図が載っているのではなく、いま現在、高知に息づいている信仰の様子を紹介している点に感動を覚える。
いったいここの企画展はどうなっているのだろう。現時点でHPを見る限りでは、それほど心動かされないのだが、ときにこうした素晴らしい企画があるのでは目が離せないなあ。
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4756. 2012年04月01日 00時26分35秒  投稿:かわぐち 
3月24日
いつ行こうと迷いながら気になって仕方がなかった国立博物館「ボストン美術館展」へ。
土曜の午後だが、予想していたよりは混んでいなかった。
故宮展はもとより、このところの同館企画展より少なめのような気がした。
もちろん、それなりに人はいたのであるが、このクラスの名品が並ぶ展覧会を人が少ない状態で観ようなどとは虫が良すぎる考えかも。
とにかく素晴らしい作品が、これまた驚異的な状態の良さで並んだ様に感動。
見逃すようであれば、禍根を残すことになったであろう。
おそらく今年の展覧会の中でもベスト3入りは間違いない。

3月29日
仕事帰りにLXILギャラリー(旧名INAXギャラリー)へ。
「鉄川与助の教会建築展」を観るため。
長崎県を中心に教会建築を手がけた建築家の作品を紹介。
美しい教会であるが、五島列島には、今は無人となった島にその偉容が残るという、浪漫をかきたてられるシチュエーションがまたそそる。
なかなか訪れる機会には恵まれそうもないが、一度は実見したいものだ。

読了本
レオン・ブロワ『絶望者』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』(ハヤカワ新SFシリーズ)

レオン・ブロワはどうもその面白さがわからない。「バベルの図書館」30冊を読んだときも、やはりわからなかった。
キリスト教文化に囲まれていないため、そのアンチテーゼぶりが衝撃的に感じないせいであろうか。
(「バベルの図書館」ではブロワと並んで、パピーニもその良さがわからなかったのであるが)
本書もまた、大して感銘も受けることなく、ひたすら文字を追うだけで終わってしまった気がする。

購入本
『益田勝実の仕事』全5巻(ちくま学芸文庫)
Jean-Luc Mercie- Pierre Molinier (les presses du reel, 2010)
エロスの画家・写真家であるピエール・モリニエの作品集の英訳版。絵画作品よりも、写真作品が占める割合が高い。
そのエロティシズムへのこだわりと濃密さという点では、ベルメールと並んで私の中では双璧といってもよいかも。
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4755. 2012年03月20日 10時05分08秒  投稿:かわぐち 
3月17日
上野へ。まずは東京国立博物館へ。月に一度は行きたい常設展チェック。
しかし、それほど大きな変化はなし。やはり20日以降で大きく変わるようだ。
1階近代絵画コーナーでは黒川清輝オンリーになっている。
売店で「時空旅人 Vol.6 幻の国宝」購入。いよいよ20日から開催される「ボストン美術館収蔵品展」の特集。
見ているだけで期待が高まるとともに、混雑が心配になる。 蕭白だけで11点!

続いて国立西洋美術館へ。本日のメインの目的「ユベール・ロベール展」。
廃墟画家として知られるが、画集でその一部を知るにとどまっていた画家の日本初個展。
期待を込めて行ったのだが・・・・・・前売り券も買い、雨の中、出かけたが、わかったことは「ロベールは私の好みの画家ではない!」ということだった。
サルバトル・ローザ(1点出品あり)、アレッサンドロ・マニャスコ(常設展示に2点あり)、そしてもちろんモンス・デシデリオ、
こうした画家たちの絵に比べると荒涼感がなく、したがって幻想絵画としての魅力に乏しいのだ。
なんというか、観光地のローマ遺跡で撮った記念写真を見せられているような感じ。
ロココのような色使いも私の好みではないこともある。これまでほとんど関心を抱いたことのなかったブーシェのほうがまだ好きかも。
こうした感想を抱いたのは私だけなのか。絵画としての良さはわかり、ときには感動することもあるのだが、印象派やロココ、ビーダーマイヤーのように積極的に見たいとは思えないタイプであった。
常設の版画コーナーではピラネージ「牢獄」。1版(14点)・2版(16点)が揃い、並べて観られるという、感涙ものの企画。
私の好みは明らかにこちらだ。

そのまま足を延ばして本郷へ。
弥生美術館で開催中の「植木金矢の世界展」観賞。
会場につくなり人がいっぱい。ちょうどサイン会をしていたのだ。知らなかった!
知っていれば国書刊行会から出た画集を持参したのに。しかも会場で同画集を買えば、新作のコピー冊子がもらえるという。
そんなこととはつゆ知らず、すでに買ってしまったよ。
会場は異様なほど密度の濃い空間。原画が思いのほか多く、やはり原画のペンの美しさは印刷では敵うべくもない。

3月18日
府中市美術館へ。企画展「三都画家くらべ」を観るため。
江戸・大阪・京都の土地ならではの「感覚」を、各都市の作品を比べることで探ろうという好企画。
板橋とならび、府中もこういった企画の立て方が実にうまい!
そして並ぶ絵がまたすごい! 有名どころから実に渋いところまで、万全の目配りといってよいのではなかろうか。
とにかくHPの出品リストを見ることをおすすめする。
有名作・代表作に乏しいのは確かだが、出品作の多くが個人蔵のものなので、これを逃すと見られる機会も少ないものが大半だ。
大量の観客動員を見込んだ大博物館の企画に対して、こうした「ムムっ」と思わせる企画には思わずエールを贈りたくなる。
4月15日までが前期、4月17日から5月6日までが後期だが、前期・後期では作品はほぼ入れ替え。
もちろん私は後期も行くつもり。

読了本
アルフレッド・ジャリ『フォーストロール博士言行録』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
難解でペダントリーだらけの小説だが、それがまた楽しい。

購入本
チャールズ・ジョンソン『海賊列伝(上・下)』(中公文庫)
リブロポートから出ていた『イギリス海賊史』の改題・文庫版。この分野の基本図書。
原著発行は、なんと1724年。
[210.194.112.88][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)]

4754. 2012年03月15日 22時33分59秒  投稿:かわぐち 
3月14日
仕事を早めに終え、東陽町へ。
竹中工務店本社ビル1階にあるギャラリーA4にて開催中の「『伝道院』と伊東忠太展」を観るため。
土日祝休館で、18時までとあって、観る機会を作り出すのが難しかったのだ。
無料の小ぢんまりとした展示ではあるものの、中身は意外なほど充実。
伝道院は京都にある西本願寺所属の建築で、竣工は1912年。
当初は真宗信徒の生命保険会社の社屋であった。
藤森照信氏が「カレー味のヴィクトリア建築」と、その特徴を見事に言い表している。
昨年正月に京都に行った折には覆いがかかっており、今年の正月はどうせまだ修復中だろうと思ってスルーしていたのだが、
昨年春に修復を終えていたことを後で知り、ほぞを噛んだばかりだ。
展覧会は修復のようす、甦った内部の写真、さらに忠太の他の作品の写真や模型、
さらに伝説ともなったアジアから中東を抜けてヨーロッパを旅した際の記録メモなど。
リーフレット100円を購入。

読了本
ジャン・ロラン『仮面物語集』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
ウリオール・ブイガス『モデルニスモ建築』(みすず書房)
今和次郎『考現学入門』(ちくま文庫)再読:読むものがなくなったときの予備本として常備。1カ月近くかかり、ようやく読了。

購入本
若林純『寺社の装飾彫刻』(日賀出版社)
[210.194.112.88][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)]

4753. 2012年03月12日 00時20分44秒  投稿:かわぐち 
3月10日
熱海へ。MOA美術館では開館30周年企画として、なんと岩佐又兵衛の絵巻物「山中常盤物語」「浄瑠璃物語」「堀江物語」じが順次全巻公開されるという。
いずれも全12巻、長さにして各約150メートルという長大なもの。
その第1弾として「山中常盤物語」を見てきた。
又兵衛絵巻の特徴は、なんといっても「過剰」であること。
どぎついまでに鮮やかな色彩。精緻な描写。それに対してカリカチュアライズしたような人物表情。そして残虐さ。
この「山中常盤」にはそれらの要素がすべて満遍なく溢れている。
牛若に切り殺された盗賊の死体が何シーンもそのまま描かれているのが、なんとも不思議な感じ。
カルパッチョの「聖ゲオルグ」の地面に散らばる死体を思ったのも私だけではあるまい。
個人的に衝撃であったのは、切り殺された盗賊の死体を村人が筵に包んでいる場面。
退治する活劇場面は描く画家はいても、こんなところまで描く者はちょっと思い当たらない。
行って本当によかった。以前の千葉市美術館の展覧会のときは一部だけで、とくにその残虐性の描写部分が見られなかったので。
3〜5月は月に一度は熱海に行くことになりそうだ。

その後は韮山に向かい、願成就院へ。ここには運慶の仏像が5点もある。
先週公開の浄楽寺と2週続けて見たかったところだが、先週は不慮の事故で断念。
駅から結構歩いたが、その甲斐のある出来の仏像でした。

三嶋大社参拝し、沼津で食事をして帰宅。

3月11日
くすのきの古本市へ。
購入は、橋爪紳也『化物屋敷』(中公新書)、『バスター・キートン自伝』(筑摩書房)。
いずれも買い逃して数年探していた本であったので満足。

読了本
ロザリー・コリー『パラドクシア・エピデミカ』(白水社)
レニエ『碧玉の杖』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
マルセル・シュオブ『黄金仮面の王』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
辻惟雄『岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎』(文春新書)
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4752. 2012年03月04日 01時29分47秒  投稿:かわぐち 
2月29日
仕事帰りに三菱一号館美術館「ルドンとその周辺 夢見る世紀末」へ。
岐阜県立美術館が改装工事中で、その所蔵品による展覧会だそうだ。
同館には行ったことがあるので、無理して行くこともないかなあと思ったのだが、これが行って本当によかった。
やはり常設の展示替えのたびに行けるのならまだしも、たかが一度行っただけではコレクションの真髄はわからない。
これだけの質のものが岐阜県にあるのかと、驚かされる。
ルドンの幻想作品がすばらしいのは、いまさら言うまでもないが、ムンク、クリンガー、モローなど、その他の画家もまたハイレベル。
とくに最近クリンガーが見たい!という思いに駆られていたので、渇を癒す心持ち。

東京駅復元は、かなり外観が見えるようになっている。ドーム下の銅が葺かれたばかりで、まだピカピカしているのが嬉しい。

読了本
ユイスマンス『腐爛の華』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
全身が腐るという業病に冒されながら、献身を尽くす聖女リドヴィナの生涯。
キリスト教的には感動的な物語なんだろうか。私にはマゾヒズムのにおいがしてならないんですけど・・・・・・。

ペラダン他『パルジファルの復活祭』(同)
短編集。雰囲気のある話が多数。ラシルドという女性作家が気になる。アルフォンス・アレはいいなあ。
読書の愉しみを味わえる本でした。

3月3日は神奈川県浄楽寺で運慶仏5体が一般公開される(10月19日と年2日のみ)。
以前から行くつもりで予定していたのに、昨日、雨で濡れた階段を滑り落ち、脚を打ってしまい断念。
つくづく運のない男よ。
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4751. 2012年02月28日 00時43分16秒  投稿:かわぐち 
2月26日
横浜まで出かけてみた。
目的はそごう美術館で開催中の「京都 細見美術館展 PART1 都の遊び・王朝の美」を観るためだ。
その前に大倉山で途中下車。前々から行きたいと思っていた大倉山記念館の見学。
実業家大倉邦彦(のちに東洋大学学長就任)により設立された「精神文化研究所」の建物として、昭和7年に建てられたもの。
ここの特徴は、古代ギリシア以前のクレタ・ミケーネ文明様式を取り入れたこと。
エントランスホールの天井付近にはライオンとワシの彫刻が並び、加味の言葉を聞く殿堂になっているそうだ。

そごう美術館へ。岩佐又兵衛、俵屋宗達、若冲、抱一、応挙なども出品されているが、多くは名もない作者による作品。
しかし、こうした無名のものにも日本の美というものはしっかりと表現されており、この国の美意識のレベルは高いことを認識させられる。
残念ながら、照明はなんとかならなかったのだろうか。
暗いし、ガラスの外側からあたった光は反射して映り込みが激しい。
焼けや退色の問題もあるのは充分察しがつくが、いまならLED照明でなんとかケース内で光を当てるようにしてもらいたかった。
同展は20日まで。5月にはPART2があり、こちらは「琳派と若冲」中心になるようだ。

せっかく横浜まできたのだからと、これまた前から行きたかった「宮川香山 眞葛ミュージアム」へ。
明治時代、海外の万博で絶賛された眞葛焼。その租は宮川香山といい、最近、つとに評価が上がっている。
昨年も「幕末・明治の超絶技巧」展や「華麗なる日本の輸出工芸」展でも紹介されていた。
ここでは初代香山の作を中心に40点くらい(?)を観ることができる。
あまり知られていないみたいだが、横浜のおすすめ。

時間があるので、さらに足を伸ばし「文身資料館」へ。
ここは実際のタトゥーのお店なのだが、刺青に関する資料博物館もあるというので、後学のためにもと足を運んでみた。
だが・・・・・・着くなり、私には敷居が高そうな入り口。下には「開館中・OPEN」とネオン(電光板)も出ている。
ビルの2階に上り、ドアに手をかけたのだが・・・・・・鍵が掛かっている!
もう一度外に出て確かめた。確かに看板も出ているし、電光板も点いている。
再び階段を上がったが、やはり鍵。ノックもしてみたが、反応はなし。
しばらく待って諦めた。せっかくここまで来たのに!という思いはもちろんあったのだが、反面、ちょっとほっとしたのも事実。
(小心者なんで。でもそれくらい「妖しい」雰囲気でした)

読了本は、オクター・ミルボー『責苦の庭』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
『デカダンスの想像力』に刺激され、この叢書をすべて読むことにした。
といっても刊行時、半数くらいは読んだはずなのだが、いかんせん、どういう内容だったか、まるで記憶にないのだ。
本書は牧神社版を含めると再々読。ちなみに牧神社版には第1部がなく、第2部のみなので、これから読む場合はこちらをおすすめ。
いや〜、こんな刺激的でおもしろい本だったのか。
第1部を牧神社版でカットした理由もうなずける。第2部が圧倒的におもしろいのだ。
舞台は中国である。主人公を責苦の快楽(といっても観るだけ)に誘うクララ。
このクララが魅力的。『ドリアン・グレイ』のヘンリー卿、『ファウスト』のメフィストのように、甘い毒で破滅の道へと導く。
こうした願望は誰にでもあるのだろうか。クララという名前が、『家畜人ヤプー』のヒロインと同じなのは偶然なんだろうが、
イースで考え方のすっかり変わったクララが時空を超えて登場してきたかのような気さえしてしまった。
頭に浮かぶイメージは、アルフレッド・クービンの版画である。

蛇足だが、2008−09年にニューヨークで開かれたALFRED KUBIN DRAWINGS 1897-1909図録はかなりおすすめ。
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4750. 2012年02月25日 00時18分07秒  投稿:かわぐち 
スコット・ウェスターフェルド『リヴァイアサン』(新ハヤカワSFシリーズ)読了。
冒険スチームパンク小説3部作の1作目。
「スチームパンク小説」って読むのは初めて。アート分野ではつとに気になっており、
VanderMeer&ChambersのSteampunk Bibleも買おう買おうと思ってはいるのだが、いまだアマゾンのカートに入れたまま。
架空歴史ものと機械憧憬を組み合わせたSFファンタジー、というのが通説なんだろうが、読んでみると、宮崎アニメの「ナウシカ」「ラピュタ」を思わせる。
ジャパニメーションを思わせるストーリー、キャラクターのような気がしてならないんだけど、こういうものなのか。
予想より面白く、これは続編も楽しみ。
もしも本書が「新ハヤカワSFシリーズ」なんて体裁でなく、アニメ絵カバーの文庫本で出ていたら、読むことはまずなかったはず。
そういう意味で、本書を読むことができたのは幸運であった。

蛇足 前回言い忘れたこと。
『デカダンスの想像力』で、これまで意識していなかった幻想作家としてのモーパッサンに関心を抱いた。
モーパッサンの幻想文学といえば「手」「オルラ」が定番だが、他の作品もあたってみたい。

『ジョン・ハンター』は漫画も出ていることを知る。
私は読んでいる間ずっと、ハンターのイメージは「フリンジ」のウォルター博士の顔でした。
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4749. 2012年02月23日 02時49分08秒  投稿:かわぐち 
珍しく購入本から。

山田英春『不思議で美しい石の図鑑』(創元社)
瑪瑙を中心とした、ちょっと信じられないほど美しい石を集めた本。
予想をはるかに上回る美麗な写真満載で、私にとって「宝物」と呼べる本となるであろう。
これまで鉱物趣味はあっても、それほど瑪瑙に関心は寄せてこなかった。
なぜなら、私にとっての鉱物の魅力はその結晶の形が重要であったからだ。
しかし、本書ほどの美しさとなると、これはもう魅了されずにはいられない。

読了本
ジャン・ピエロ『デカダンスの想像力』(白水社)
これまで本書を読まずにいた自己の不明を恥じ入るばかり。
フランスデカダンス文学について、実に要領よくまとめられた本である。
いいたいことはすべて訳者あとがきに書かれているので、いまさら加えるべきものもないが、
プラーツ『肉体と死と悪魔』と比較して、「(プラーツは)大講堂で碩学の講演を聞いているような感じを味わったが、
それにひきかえ、この本(ピエロの本書)を読んでいると、こじんまりしたセミナー室で、
身近な先輩の充実した発表に耳を傾けているような親しみを覚える」というのは、まったく同感。
訳文がこれまた読みやすく、この手の本にしては一気に読んでしまった。
あえて重箱の隅をつつくようなことをいえば、文学作品はともかく、取り上げられた絵画作品は、
図版がないので、ある程度その絵がすぐに浮かぶだけの親しみがないと、多少きつい面もあるかも。

ウェンディ・ムーア『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(河出書房新社)
18世紀イギリスの解剖学の祖ともいえるジョン・ハンターの伝記。
ジャーナリストの筆によるだけに、興味深いエピソードが、関心をひくように紹介されている。
解剖に使うための死体を入手するくだり、有名人との交際など、当時の医学界の状況を交えながら、
繰り出される話に頁を繰る手が止まらないほど。
本書の問題は、「おもしろすぎる」ことだ。
あまりにおもしろくて、「ホントかよ!」と突っ込みたくなり、伝記としての信憑性が疑われてしまうんじゃなかろうか。
2007年に翻訳が出されながら、これまで読まなかったことを悔いる。
少なくとも、昨年のハンター博物館訪問の前に、なにがなんでも読んでおくべきであった。
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4748. 2012年02月15日 00時31分40秒  投稿:かわぐち 
2月12日
三鷹市美術ギャラリー「フェアリー・テイル 妖精たちの物語」展へ。
井村君江の旧コレクションで、知らなかったけど、宇都宮に「うつのみや妖精ミュージアム」が、
福島県に「妖精美術館」なんてのがあるらしく、そこの所蔵作品。
妖精画の展覧会としては、1998年に東京・神戸・京都の大丸で各約2週間の短い期間で「妖精たちの世界」展が開かれたことがある。
今回の三鷹の展覧会、実はこの大丸の展覧会と半数以上、印象としては7〜8割は、同作品の展示である。
自宅に帰ったあと大丸の図録を見たら、ほとんど同じなので驚いた。
もっと驚いたのは、ということは、私はこれらの大半の作品をすでに見たことがあるはずなのに、記憶に残っていなかったことだ。
で、大丸も今回も会場にいて思うのは、なぜだかわからない居心地の悪さ。
きっと私にはこれらの妖精画を見ても陶酔するような回路がないのであろう。
今回の展覧会で驚かされたのが、最後に「コティングリー妖精写真事件」の原版と、撮影に使用したというカメラが出品されていたこと。
すごい! こんな世界で唯一のものを「うつのみや妖精ミュージアム」は所蔵しているのか。

その後は、せっかく三鷹まで来たのだから山本有三記念館へ。
山本有三なんていっても、いま読んでいる人がどれくらいいるのだろうか?
『路傍の石』『真実一路』あたりが代表作であろうが、私は読んでいない。
ここは大正15年頃に建てられた洋風建築なのだ。

読了本
アヴラム・デイヴィッドスン『エステルハージ博士の事件簿』(河出書房新社)
パトリシア・ギアリー『ストレンジ・トイズ』(河出書房新社)
マイリンク『ゴーレム』(河出書房新社)
クロソウスキー『歓待の掟』(河出書房新社)

なぜか河出の本ばかりになってしまった。
『エステルハージ』は架空の三重帝国を舞台に、数多くの博士号を持つエステルハージ氏が出会う怪事件というものだが、
ミステリのような殺人が起きるわけではなく、オカルティズムのペダントリーに満ちた幻想小説。
結局解決されなかったり、頭の悪い私には話が理解できなかったり。
『ストレンジ・トイズ』は、異色ダークファンタジーといえばよいのだろうか。第1部はとんでもない傑作の予感がしたのだが、
第2部・3部と読み進むにつれ、期待ほどではなくなってしまった。
しかし、こういう小説が読めるのは幸せだと思う。
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4747. 2012年02月02日 22時54分39秒  投稿:かわぐち 
1月31日
仕事を早めに終わらせて、汐留パナソニックミュージアム「今和次郎 採集講義」展へ。
過去を探る考古学に対して、今が打ち立てたのは「いま」を探る考現学。
展覧会は、柳田國男に協力した地方に残る民家の調査記録、そして「考現学」を実践した記録の展示、建築家・デザイナーとしての作品など、
今の軌跡をたどる興味深いものとなっている。
なかでも驚かされるのは、その肉眼ではほとんど読めないほどの細かいスケッチ群。
ちくま文庫『考現学入門』は今の入門書としてはぴったりなのだが、同書に収載されているスケッチの実物が多数見られる。
銀座を往来する人々のメガネ、帯、帽子などを事細かに記録したものなどは、現在でいえばマーケットリサーチにもなるだろうが、
道を歩く犬の模様まで記録するとなると、もはやそこに調査の「意味」なんてものはなく、「こういうことが好きなんです」という今の声が聞こえてきそうだ。
展覧会は3月25日まで。前期2月26日まで、28日より後期になるそうです。

読了本
フランソワ・リヴィエール&ガブリエル・ヴィトコップ『グラン=ギニョル 恐怖の劇場』(未来社)
真野倫平編・訳『グラン=ギニョル傑作選』(水声社)

1897年、パリ・シャブタル通りに開かれた小さな劇場。ここの売り物は残酷劇であった。
この猟奇的な出し物は人気を博し、グラン=ギニョルの名称は独り歩きを始めたことは周知の通り。
これまで、「グラン=ギニョル的」なんて形容され、私自身も使ってきたが、その実、それがどういうものであったのかは知るはずもなかった。
前者は翻訳は1989年に刊行。当時手にはしたものの、パラパラと見ただけで、「そのうち読もう」で終わっていた本。
実際読んでみると、文章が何が書いてあるのかわかるのも難しく(これは訳文だけのせいでもなく、おそらく原文も相当・・・だと思う)、
なにより知らない作家の知らない作品が出てくるばかりなので、本書1冊ではその実態をつかむのは困難であろう。
そして、2010年に刊行された後者。こちらはその実際の作品の台本のアンソロジー。
本書を読んで、ようやくイメージなりとも、その実体に触れることができた気がする。
ルヴェル、ルルーといった知った名前もあるが、ほとんどは未知の作家。
私個人では最後の「怪物を作る男」の悪趣味さに心動かされた。ミルボー作を改作したシェーヌ「責苦の園」もいい。
さらに巻末には主要作品60編の概要を紹介するなど、よくぞ翻訳してくれたと快哉を叫びたくなるほど(って1年半も経ってからですが)。
後者を第一に読み、さらに深めたい場合は前者に手を伸ばすのが順当であろう。
[110.132.130.209][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)]

4746. 2012年01月30日 02時01分03秒  投稿:かわぐち 
読了本
M・J・S・ラドウィック『太古の光景』(新評論)
子供向け科学の本で当たり前のように見ており、特に意識したこともないが、
人類誕生以前、恐竜や絶滅哺乳類が跋扈している世界の絵、あれはいつごろ、誰が始めたのか?(当然見たことのある人間はだれもいないはず)
こうした疑問から出発したかどうかはいざ知らず、著者は17世紀のショイヒツァー『神聖自然学』を皮切りに、科学読み物に描かれた絵と、古生物学の歴史を走破する。
類書のない古生物画の図像学研究書。
実は、原書"Scenes From Deep Time"は1999年に購入していたのだが、読まず(=読めず)に放置していた本。
翻訳が2009年に出ていたことを知り、ようやく読むことができた。

ウンベルト・エーコ『バウドリーノ(上下)』(岩波書店)
これも2009年に翻訳が出ながらも、小説を読む習慣をすっかりなくしていたため未読であった。
ようやく読みました。エーコの小説第4作目。
舞台は中世イタリア。農民の子の主人公はローマ皇帝の養子となり、西洋・東洋にまたがる冒険をするというのが骨子の成長小説。
正直申し上げると、前半は、ヨーロッパの歴史事情、さらに地名がわからなくて、読み通すのが苦痛であった。
しかし、後半、東洋への旅が始まると俄然面白く感じられた。
養父フリードリヒ皇帝の死後(ちなみに謎の密室死)、主人公は聖杯を「司祭ヨハネ」に届ける旅に出るのだが・・・・・・。
司祭ヨハネ! ここでわかる人にはニンマリとするはず。
司祭ヨハネ(別名プレスター・ジョン)とは、インド(今のインドではなく、当時は東洋全般を指す)の蛮族を征し豊かなキリスト国を作り上げたとされる伝説の人物。
その東洋はマルコ・ポーロやオドリコ、マンデヴィルの著書に描かれた異形の「怪物」の棲む場所。
当然、本書でもスキアポデス、犬頭人、アマゾネスなど、知ってる人にはおなじみのメンツが続々。
司祭ヨハネについては、彌永信美『幻想の東洋』(青土社、ちくま学芸文庫)という名著が章を割いている。
「怪物」については伊藤進『怪物のルネサンス』(河出書房新社)。
そして、なにより、司祭ヨハネの伝説について、その原典が『西洋中世奇譚集成 東方の驚異』として講談社学術文庫から出版されている。

『西洋中世奇譚集成 東方の驚異』(講談社学術文庫)
というわけで、本書を読んだ。再読。このシリーズ、現在4冊出ているが、監修者・池上俊一氏は「10冊は出したい」と言っている。
私も及ばずながら応援したく、一応、出たら新刊で買うことにしている。
本書は、先に紹介した「司祭ヨハネの手紙」(2ヴァージョン)に、やはり東洋の怪物報告の原典「アレクサンドロス大王からアリストテレス宛の手紙」という、
まさに最強のコンビネーションの基本図書。

そういいながらも、1冊目「皇帝の閑暇」、2冊目「東方の驚異」の2冊は購入後すぐに読んでいたのだが、その後は買っただけに終わっていた。
そこで『聖パトリックの煉獄』『妖精メリュジーヌ物語』と読んでみた。
こういう古典・原典は読んでただちに面白いと言えることはそうないので、先に読みたい本があるうちはなかなか進まない。
特に読みたい本もなく、やることもない私のような暇人には向いている読書だ。

加賀野井秀一『猟奇博物館へようこそ』(白水社)
著者はメルロ・ポンティ等の翻訳で知られる学者。
その著者が好奇心の赴くままにヨーロッパで出会った奇怪なスポットを巡る思索の旅。
都築響一や荒俣宏の旅とは少し違い、思弁的なため、一般読者にどこまで読んでもらうことができるか、多少心配であるが、
私個人としては、教えられることの多い好著であった。
対象が解剖・死体に偏っているのは、著者の好みなのか、今後それ以外の場所の紹介に入るのかは不明だが、続編を期待したい。
せっかくこの材料があるのに、モノクロ図版でこの大きさはないよなあ、と勿体無さも感じるが、そこは扇情的な写真で売ろうという姿勢のない著者のスタンスの顕れなのかもしれない。

購入本(上の図録・読了本以外)
松本晶子編『劇画師伝説 昭和の天才劇画家・植木金矢の世界』(国書刊行会)
中村圭子・三谷薫編『石原豪人 妖怪画集』(復刊ブックコム)
Janice Neri- The Insect and The Image (U. of Minnesota Pr.,2011)

石原豪人の本は、河出の先の本との重複も多いが、このサイズで楽しめるというのはやはり大きい。
本書の解説でも挙げられる「小松崎茂と御三家(石原豪人・柳柊二・南村喬之)」は、南村を除けば、ほぼ紹介はされたことになる。
次はぜひ「南村喬之ペン画集」を出してもらいたい。ウルトラ怪獣よりもペン画にこそ、南村の真髄はあると思う(創元推理文庫のヴェルヌの挿絵を参考)。
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4745. 2012年01月30日 01時58分47秒  投稿:かわぐち 
1月24日
仕事の後、ワタリウム美術館で開催中の「北斗七星の庭 重森三玲 1896-1975」展へ。
建築家でもあるが、作庭家としてより有名な重森の美意識が伝わってくる展覧会であった。
重森の書画などの公開とともに、東福寺の「北斗七星の庭」「小市松の庭」を原寸で復元。
近代の庭にはほとんど知識がないのであるが、新たな美の世界に目が見開かれた思いがした。
代表作は松尾大社庭園や東福寺方丈など。
関西以西にしか作品がないため、おいそれと実見することができないのが残念。
さらに刺激を受けたのは、「重森の原風景」と題された中国・四国の庭。
これまで名園というと○○園の類や鎌倉・京都の寺社が浮かんでいたが、それらとはまるで違う、自然の息吹をモロに感じさせる風景はカルチャーショック。

1月29日
府中市美術館「石子順造的世界」展へ。
60年代から70年代にかけて、漫画・キッチュ・現代美術を中心に活動した評論家の展覧会。
いまでこそサブカルチャー、オタク的なものの評論は珍しくもなんともないが、当時は前衛的であったのであろう。
私にしたところで、石子の著書は没後に購入したものばかりで、リアルタイムの読者ではない。
正直なところ、時代の先駆者としての石子の人物自体には関心があるものの、いま、その著書を若い人間に対して「これを読まなくちゃ」と薦める気にはなれないのだ。
しかし、石子自体に興味がある人には、見逃せない好企画であることには間違いない。
さらには、キュレーターの思い入れがひしひしと伝わってくる、展覧会というものを作品にすらしている姿勢には共感を覚えた。
その思い入れは図録を見るとますます感じられる。
巡回もない一展覧会(それも市立美術館)の図録でありながら、ハードカバーB5版300ページ。
石子自身の文章もふんだんに、さらにエッセイ、対談、資料と盛り沢山。
たとえ展覧会に行くことが不可能でも、石子順造について知りたければ絶対に入手すべき本である。
美術出版社よりISBNを付された書籍として発行(ISBN978-4-568-20210-6)。

同館では常設展示で小山田二郎の小特集も開催。特異な幻想画家として知られる(知っている人には)が、その作品が50点弱一堂に並んでいるんです。
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4744. 2012年01月21日 23時54分16秒  投稿:かわぐち 
1月21日
仕事の前に東京国立博物館と江戸東京博物館へ。
国立博物館は例によって常設展を観るためだが、「北京故宮博物院展」の長蛇の列は相変わらず。
10時の段階で入場70分待ち、「清明上河図」は240分待ち・・・もう笑うしかない。
職員の話では、8時で50メートルくらいすでに列ができているとか。

江戸東京博物館「平清盛展」・・・大河ドラマにはまったくといってよいほど関心はないのだが、「平家納経」が観られるというので出かけた。
会場に入るなりいやな予感がした。展示されている絵が江戸作品ばかりであったからだ。
しかし、その不安ははずれ、厳島神社の至宝がかなりの数来ており、なかなか充実した展示であった。
といっても厳島神社に行った人ならそれほど珍しいものはないのかも。

読了本は、
笠井潔『吸血鬼と精神分析』(光文社) 矢吹駆シリーズ6作目。不可能だと思っていたけど、本当に10作書き上げてしまうかもしれないな。
今回のテーマはジャック・ラカン。ミステリとしては、推理の働く余地などまずないのでは。読者はひたすら文字を追うしかない。
ユダヤ経も絡み、いつものように<お勉強>させていただきました。
しかし、ソ連、亡命、など、いまとなっては「いつの時代だよ!」と突っ込みたくなるような世界ですが、『バイバイ、エンジェル』から本書までわずか2年間のできごとだったんですね。

仁賀克雄編訳『猫に関する恐怖小説』(徳間文庫) いや〜ある程度年齢いってるかたには懐かしい本ですよね。
短編アンソロジーなので、鞄に入れたまま、手もちの本を読み終えて開いたときの「保険」として少しずつ読んでました。
おかげで読了まで1カ月以上、内容はほとんど覚えていないといった体たらく。
サキ「トバーモリー」、クィーン「七匹の黒猫」のような有名作は忘れようがないのですが、結局最後のルイス・パジェット(実はカットナー&ムーア夫妻の合作ペンネーム)「著者謹呈」が一番印象強い。
有名どころに混じってバイロン・リゲット、バリー・ペイン、クリーヴ・カートミルなんて、これまで知らなかった作家の作品も。

エドモント・ハミルトン『キャプテン・フューチャー全集1』(創元推理文庫) 約30年ぶりにキャプテン・フューチャー読んじゃいました!
どこかで読んだことのある、よくある展開、推理モノとしてはあきれるほどの<意外な正体>、しかし、この面白さはどういうこと?
まさに「活劇」の小説版で、娯楽作としては実に楽しめる作品です。
正直、今読んでここまで楽しめるとは思ってもいませんでした。これ書かれたのは70年前の小説ですよ。
途中で飽きるかもしれませんが、とにかく全巻読むことにしました。
それにしても、普段は喧嘩がちな4人組が、いざ事件が起こると依頼のものとに解決する・・・・・・あれ?このパターンはどこかで・・・・・・あ、西村寿行の「鯱シリーズ」の仙石文蔵一味じゃないか!

届いた本
G.Quilley & J.Bonehill- William Hodges 1744-1797: The Art of Exploration (Yale U.P.,2005)
キャプテン・クックの第2次航海に同行し、熱帯の風景を写生した画家の展覧会図録。
本書を手にして気づいたのだが、これまで1次のシドニー・パーキンソン、3次のジョン・ウェッバーの絵は目にすることがあっても、
なぜか有名ながらもホッジスの絵を認識していなかったようだ。
英国ロマン主義とまさに時代を一にする風景画になっている。
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4743. 2012年01月09日 00時27分04秒  投稿:かわぐち 
さらに足を延ばして銀座「ヴァニラ画廊」へ。
ここでは「秘蝋の宴 満珍全席」なる展示が行われている。
なんでも、北九州の蔵から発見された、胴体の性器部分(臍から腿まで)だけの蝋人形があるという。
発注した老人は亡くなったのだが、自分一人のために作らせたというその人形は、とにかくリアルに様々な男女性器を模っている。
なんだかとんでもないものを見せられた気分いっぱいの、妖しい世界です。
決して善男善女の皆様にはオススメできません。

最後に恵比寿の「Nadiff」へ。都築響一写真展「暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ」を観る。
私のような平々凡々に生きている人間とは別の、まるで知らない世界を垣間見る気がしました。
元「竹の子族」が集って踊る店、本格的社交ダンスの店、演歌のライブが行われているレコード屋、女装趣味の方が商売とは関係なくただ集まる場・・・・・・
しかし、それとは趣を異にしながらも衝撃的であったのは、現代のラブドール(いわゆるダッチワイフ)。
これがもう妖しいアート作品としかいいようがない。これと四谷シモンの人形となにが違うというのか。
会場では、70万円もするという、そのラブドールの胸にも触れます。私も触ってきましたとも。

なんだかんだと、疲れた一日になりました。

本が到着。
John Iddon- STRAWBERRY HILL & HORACE WALPOLE:Essential Guide (Scala, 2011)
『オトランド城奇談』で有名なゴシック小説の祖ウォルポールは、自宅もゴシックの城そのものにして住んでいた。
本書はその城の建築・内装までを紹介したガイドブック。今回のイギリス旅行で行けずに残念だったのが、このウォルポールの城と、『ヴァテック』のベックフォードの住まい。
せめてもの慰めと、もちろん次回を期する気持ちもゼロとはいえないので購入。

読了は、テリー・ビッスン『平ら山を越えて』(河出書房新社・奇想コレクション)
よし、ようやく既刊分に追いついた。
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4742. 2012年01月09日 00時07分32秒  投稿:うさぎ 
おめでとうございます。今年もよろしくm(__)m
でー!復活してたのまったく知らなかったわ!もうっ!!!<見に来なかった私が悪いけど。

清明上河図の情報感謝。ちょっと様子見てですね。
国芳はやはり後期も見たいなと思う私ですが、どうもなんか上から目線のM嫌いだわ。
[121.3.135.38][Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0)]

4741. 2012年01月08日 23時52分16秒  投稿:かわぐち 
1月8日
朝より上野へ。今年初の東京国立博物館。
開催中の「北京故宮博物院200選展」がたいへんな混みようと聞くので開館10分前に着いたのだが・・・・・・
時すでに遅しで、何百人もの列が。今回の目玉「清明上河図」は、この段階で180分待ちが確定!
さっさと諦めて、会場内の他の作品のみを観ることにする。しかし、この何百人のうち、今回の展覧会(の宣伝)以前から「清明上河図」を知っていた人が何人いるのだろうか?
私は朝日新聞を見てもいないのだが、どうやら主催者朝日新聞の一面で紹介したらしく、それがこの混雑の原因ではないのか。
博物館もここまでの混雑を予想していなかったように思えた。
これならナショナルギャラリーの「ダ・ヴィンチ展」のように日時指定のチケットを発行してもらいたいな。
それはさておき、展覧会自体はフツーに良い展覧会だと思いました。
これまでの印象では「良いものは(デカイものを除いて)みんな台湾に運ばれてしまい、北京に残るのはその余りもの」でしたが、なかなかどうして優品あるじゃないですか。
中野美代子氏の本でさんざん紹介されたカスティリオーネ画が観られたのもうれしい。
ただ正直にいえば、これほど並ばなくたって、これくらいのもの台湾故宮に行けばごろごろしてると思うんだけど・・・・・・と思ったのも確か。
きっと「清明上河図」の展示は24日までなので、それがなくなればこの異常な群集心理も落ち着くのでは。
国立博物館の楽しみは常設展も。今年は昨年ほど異常な充実ぶりではないものの、それでもさすがの名品が。
しかし、私が嬉しかったのは、佐藤朝山(玄々)の吉祥像。あ、この人って、あの日本橋三越のでかい天女像の人じゃないか!
共通する派手な変さがあってイイ!
私の大好きな龍のモチーフ作の特集も嬉しい。あと池大雅「楼閣山水図屏風」もすばらしい。

続いては日本橋高島屋へ。「隠元禅師と黄檗文化の魅力」展。
先に萬福寺へ行ったとき、何点かの仏像が出品中で欠けていたことで知った展覧会。
2011年12月27日から2012年1月16日までと短い会期(1月19日から大阪高島屋で開催)なので慌てて行ってきました。
萬福寺で買った絵葉書の中で特に気に入った韋駄天像に東京で対面することになろうとは。
若冲の作品が8点ほど出品されていたのも嬉しい意外性でした。
[110.132.131.101][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)]

4740. 2012年01月08日 23時51分51秒  投稿:かわぐち 
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
本年も気が向きましたらば、おつきあいいただけたらと存じます。

12月31日
青春18きっぷを使い、実家のある愛知から福井県小浜市へ。
前年にも同コースにチャレンジしたのだが、あまりの豪雪に断念、
中途より岐阜県多治見市に変更したのであったが、今回再チャレンジ。
駅でレンタサイクルを借り、寺社回り。
明通寺(国宝の本堂と塔が美しい)→神宮寺→若狭彦神社→萬徳寺→若狭姫神社
と回る。今回初めて電動アシスト自転車を利用したのだが、これがとってもラク。
予定より早く目的を達したため、敦賀に向かう。
駅から気比神社に向かう道すがら、松本零士のブロンズがあるのだが(あきらかに境港の鬼太郎ロードの二番煎じ)、
私が好きなのはあくまでも「マンガ」であって、アニメキャラの像にはどうにも愛着が持てないことがわかった。
敦賀市立博物館(旧大和田銀行本店)の建築を見学し帰路へ。

1月2日
京都へ。
平等院→宇治上神社→萬福寺→法界寺→醍醐寺→京都市美術館→京都府立図書館→平安神宮→有鄰館→京都市役所
というコースで、寺社並びに近代建築見学。
平等院は鳳凰堂の美しさもさることながら、鳳凰館(宝物館)の充実、そしてショップの商品のセンスの良さに感心。
萬福寺は中国禅寺の様式を残す黄檗宗の本山。これまで観たことのなかった様式美を楽しめた。
醍醐寺の霊宝館(宝物館)は期待していたのだが、残念ながら閉まっていた(あとで調べたら春秋の特別拝観のみの公開)。

1月3日
前日に続いて京都へ。
コースは、仁和寺→広隆寺→賀茂別雷神社(上賀茂神社)→賀茂御祖神社(下鴨神社)→三十三間堂→豊国神社→長楽館→祇園閣→東華菜館
とにかく神社の人の多さにウンザリ。初詣でなんて考えず、ひたすら神社建築の見学のみが目的だったので、大失敗であった。
これからは正月期間中は寺のみを回ったほうがよさそうだ。
広隆寺は国宝桂宮院本堂が見学できず残念。しかし宝物館の仏像は見応えあり。
長楽館は、「たばこ王」村井吉兵衛別邸で、いまはカフェ・レストラン営業。
しかし、待たなければならないので、今回は外観見学のみ。なにせ建築見学は日が落ちるまでが勝負。
東華菜館は中華レストラン。ヴォーリーズ建築なのだが、珍しい派手さがいい。入り口のタコの写真撮るも光量不足でいい写真にならず残念。
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4739. 2011年12月29日 18時40分17秒  投稿:かわぐち 
砂時計さま
ご丁寧な挨拶、痛み入ります。

>店主さまの書き込みが復活したのは今年の嬉しい出来事の一つでした。
そういっていただけると、赤面のいたりです。

>『浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜』(マイナビ新書)
まったく知りませんでした。そもそも「マイナビ新書」なるものを聞いたのは初めて。
いまネットで調べてみました。なるほど、これは私が知らないのも道理。自力ではまず知ることのなかった本です。
もちろん、私の年齢では(いくら年だといっても)浅草通いをした経験もないので、かの地に思い入れがあるわけでもないのですが、
日本の大衆芸能史に関心を持つ以上、知りたくなります。まだ出たばかりの本なのですね。ご紹介ありがとうございます。

>日曜朝の特撮、『仮面ライダーフォーゼ』を毎週楽しく観ています。
私ももちろん観ております。東映チャンネルが1〜10話無料放送でしたので、録画を消してしまった
(DVDに落とせないのでHDDの容量の関係で、消さないわけにはいかない)以前のエピソードも先ほどまで見返しておりました。
2ちゃんねるではアンチスレもありますが、私見では、フォーゼは必殺における「剣劇人」のポジションではないかと思っております。
必殺にチャンバラ活劇の要素を取り入れた「剣劇人」がそれまでの必殺にこだわりのあるマニアから相スカンをくらったように、
フォーゼも学園ドラマと「世界を守る仮面ライダー」を融合させた、かなりの「異色作」になる気がします。


というわけで、本年も(年半ばからの登場でしたが)ありがとうございました。
来年も気の向くことがございましたら、皆様のご来店、心よりお待ち申し上げております。

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4738. 2011年12月29日 08時41分59秒  投稿:砂時計 
ごぶさたしております。2011年ももう終わりですね。
店主さまの書き込みが復活したのは今年の嬉しい出来事の一つでした。

先週発売された中山涙『浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜』(マイナビ新書)はご存じでしょうか。
自分はその方面には暗いのですが、店主さまにとってはご興味の範囲ではなかったかと思いまして。
「「浅草芸人〜」について、著者による解説。」 ttp://d.hatena.ne.jp/karatedou/20111223/p1 (URLの直接入力ができないので頭の「h」を抜いてあります)

日曜朝の特撮、『仮面ライダーフォーゼ』を毎週楽しく観ています。
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4737. 2011年12月29日 00時12分30秒  投稿:かわぐち 
12月26日
某社の単行本校閲を終え、届ける。代わりの仕事を受け取り、結構シビアな締め切りなのだが、森アーツギャラリーの「歌川国芳展」へ。
前期・後期あわせて四百数十点の作品が並ぶ大展覧会。まずは入場者の数に驚かされる。
驚くほど状態がいい。国芳の肉筆画を観るのは初めてではなかろうか。
展覧会としては充分満足のいくものであった。ただ、同館の係員は絶えず笑顔で、言葉遣いこそ丁寧なものの、端々に「客ごときが私たちの円滑な業務の邪魔になるようなことするんじゃないよ」という臭いを感じさせた。
最近、こんな経験って(海外を除いては)あまりしたことなかったな。
図録(2500円)、絵葉書、クリアファイルを購入。
その後、京王百貨店の古本市(初日)へ。某氏も書かれていたが、やはり買ってもいいけどレジに並んでまでは・・・・・・という気がして、何も購入せず。

読了は、
フリッツ・ライバー『跳躍者の時空』(河出書房新社・奇想コレクション)
しばらく読むのを中断していたシリーズを再開。でも、今年は1冊も出なかったようだ。
本書とテリー・ビッスンで刊行分は追いつくが、このシリーズ自体、『たんぽぽ娘』で終わってしまうのかな(ちょうど20冊になるし)。
ガミッチという名の猫を主人公にした連作5編と他5編。
本来ならヒューゴー賞・ネヴィラ賞ダブル受賞の「骨のダイスを転がそう」がイチオシの傑作なんだろうけど、いかんせんギャンブルを知らない私には、ルール自体がわからない。
読んでいて「ああそうだ、こういう本が好きだったんだ」と思い出させるような、なつかしい気持ちになりました。
「異色作家短編集」の続巻を読むような気持ちというのが一番近いかも。

DVD「35大スーパー戦隊主題歌全集」購入。
年齢的にもほとんど観ていないシリーズですが、唄は結構好きで、携帯音楽プレーヤーに入れて聴いています。
で、どうにもこれが気になって注文しちゃいました。はまってます。
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4736. 2011年12月23日 00時11分57秒  投稿:かわぐち 
12月17日
茨城県近代美術館へ。開催中の「ウルトラマン・アート展」を観るためだ。
会場入り口には撮影可能な人形たち。ちゃぶ台のメトロン星人もある。さすがに並んで撮ることはしなかったが、それでもカメラには収めた。
展示はデザイン画や撮影に使用されたもの、あとから復元したものも含めて撮影小道具が並ぶ。
三鷹の「怪獣と美術 成田亨展」や練馬の「高山良策展」で観たものが多かったが、それでも感動。
ずらりと並んだ放送台本のレタリングにさえ感動してしまう。
ショップでは図録のほか、今回復刻された駄菓子屋の5円ブロマイド(値段は30枚2625円もするけど)、クリアファイル、科特隊のピンバッヂ、絵葉書を購入。
こうしたサブカルチャー関連の展覧会は、単なる客寄せのイメージもつきまとい、デパートならいざしらず、公立美術館での開催には賛否両論あることも確かだが、今回の企画は良かったのでは。

読了本。
由良君美『椿説泰西浪漫派文学講義』(青土社) 再々読。やはり名著。
ハンス・H・ホフシュテッター『象徴主義と世紀末芸術』(美術出版社) 再読。名著。

ブラム・ストーカー『ドラキュラ』(水声社) 4回目か5回目の通読。今回は、新訳の「詳註版」である。目当てはこの註のほうであった。
古い怪奇小説の古典のイメージがある同書であるが、実は書かれた当時の最新の世相が反映された小説なのだ。
エジソン発明の蝋管による録音機、電信が登場、狙われるミーナは、速記もタイプもこなすキャリアウーマンである。
私がそういう面からの研究を知ったのは高山宏『世紀末異貌』(三省堂)であったが、現在の読み方としてはこれが「当たり前」のようだ。
ホームズ談も時代を同じくするだけあって、両者に通底する文化的コンテクストは少なくない。
ストーカーのミスか、なにか吸血鬼伝承の意味づけがあってのことか、ルーシーが吸血鬼に襲われたあとは金髪が黒髪に変わったことは、これまでに気づかなかった「発見」であった。
といっても、註を読むまでは見過ごしていたんだけど。
それにしても小説のドラキュラは、本当に活躍の場面が少なく、最後もあっけなく倒されてしまう。どの吸血鬼映画よりも見せ場が少ない気がするぞ。

ウィリアム・コッツウィンクル『ドクター・ラット』(河出書房新社)
何年も読みたいと思っていた本であった。原著が出版されたのは1977年。
私は知らなかったが、サンリオSF文庫が創刊されたときの刊行予定にも挙がっていたそうだ。
コッツウィンクルといえば、ノベライズ『E.T.』ばかりが長らく日本では有名であった(実際、これは傑作!)。
その後も数作翻訳されてはいるが、こちらが小説離れをしていたため、読んでいない。
さて、本書だが、実験動物の悲惨さを描く場面はグロテスクな描写が続く。主人公「ドクター・ラット」はその研究室の実験材料としていじくられ、知能は異常に高くなったネズミである。
物語は、このドクターの語りを中心に、虐げられた動物たちがやがて人間に反旗を翻し、その結末を描く。
期待が大きすぎたのと、正直、現実に起こっている動物実験を止める手段も持たない私には、読んでいて決して愉快な体験とはいえなかった。
問題作ではあるが、難民問題や宗教紛争の話を好んで読みたい気がしないのと同じだ。
文章は美しく、それだけに悲壮感が漂うものになっている。私は丸山健二『千日の瑠璃』の文体がオーバーラップしてならなかった。

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4735. 2011年12月03日 21時02分43秒  投稿:かわぐち 
■ヘンリー・ウェルカム・コレクション(Henry Wellcome Collection)
薬物商ウェルカムが世界中から集めた医学・民俗コレクション。
その内容は"MEDICINE MAN"(The British Museum Press,2003)ISBN0-7141-2794-9にもなっており、クエイ兄弟の「ファントム・ミュージアム」では映像として紹介されている。
日本でも一昨年末「芸術と医学展」でそのコレクションの一部が来日・公開されたが、MEDECINE MANを見ている私には、全貌を伺えない失望気味の展覧会であった。
今回、ようやく本家を訪れたわけだが・・・・・・感想は、「え? これだけ?」というものであった。
先にピット・リヴァースやハンタリアンを見てしまうと、その量の少なさにがっかり。
よく工夫された見やすい展示であることは確かなのだが、そこには「管理」という言葉がただよっている。
一般的な啓蒙にはこのほうがふさわしいのであろうが、私が求めている「驚異の部屋」には「狂気の部屋」と置き換えてもよいだけの情熱が不可欠であったのだと、同コレクションを見ることで、逆に知ることができたようだ。
ショップは充実しているが、目に付くような本はほとんど所持していることを持ってしても、前回との情報伝達の格差がわかる。
昔はこうしたところで知らない本はないかと探し回り、重い本を抱えて、高い郵送料で送ったり、腕がちぎれそうになりつつも持って帰国したものだったが、今はほとんど必要ない。

■ジョン・マーチン展(於テート・ブリテン)
今回の旅行の発端となった展覧会。やはり実物は画集とはまるで違う。
面白かったのは、マーチンの絵は音楽やライトで演出され黙示録を説く「見世物」的に使用されたことがあるのだが、今回の展覧会ではその再現があったことだ。
日本でも地獄絵などが仏教の教えを説くという「見世物」になっていたことと同様だ。
念願かないジョン・マーチン世界を堪能できた、私にとり有益な展覧会であった。
ショップには、日本の河出や京都書院から出版された「マーチン画集」も販売されていた。
そういえばモンス・デシデリオの画集も英語版はないらしく、米国アマゾンでは河出版が売られている。
こうした画家の展覧会が日本でなぜ開かれないのか不思議にさえ感じる。
デシデリオはケンブリッジ・フィッツ・ウィリアム美術館に代表作「聖堂の崩落」があるのだが、同館では絵葉書も売られておらず、Scalaから出版されている美術館の美麗ガイドブックにも載っていない。
どうも評価(人気というべきか)にかなりの隔たりがあるようなので、いっそ人気の高い日本でのみの展覧会してもいいのになぁ(権利・交渉等わからぬシロウト考えですが)。

そして、どうしても言いたいことは、テート・ブリテンの常設。
ターナーを中心とした「英国ロマン派」のコーナーは確かに充実している。
しかし、せっかく「テート・モダーン」を新設したのに、現代美術を多く置き、ラファエル前派やフランシス・ベーコン、リチャード・ダッドの絵を掛けない姿勢に強く疑問。
ダッドは同館は11点を所蔵しているはずだが、かかっているのは特におとなしい「自画像」1点のみ。代表作「フェアリー・フェラーズ・マスター・ストローク」も掛かっていない状態だった。
家人はわざわざ職員をつかまえて問いただしたようだが、新しい館長の方針で、所蔵はしているものの掛けていないとのこと。
だったら「モダーン」と別にした意味がない。とにかく、テート常設は、今回の旅行の中でも最大の「ガッカリ」だった。

■ロイヤル・パビリオン(The Royal Pavilion)
イングランド南のリゾート地バーミンガム(ロンドンから電車で1時間と少し。日本いえば江ノ島?)にある、ジョージ4世による宮殿。
その外観はアラブ=イスラム風、そして内部はといえば、シノワズリー(中国趣味)の極地ともいえるものでした。
その徹底振りがすごい。特にバンケティングルームという大食堂は内装・家具・照明にいたるまで鳳凰・蛇・龍の意匠を尽くしている。
ベトナムのカイディン朝の宮殿は、東南アジアにありながらヨーロッパ様式を過剰に取り入れた建築であったが、こういうものを見られるのは人生の喜びだ。
ショップで購入したガイドブック"The Royal Pavilion Brighton: The Palace of King Geoge IV" ISBN0-948-72321-1は5.95ポンドと廉価なれど、美しい写真も豊富な本。
ちなみに隣接したブライトン博物館、どうせ地方博物館、ウェイクフィールドのようなものだろうとタカをくくって入ったら、意外なほど質が高く、展示方法も気が利いたセンスのある博物館でびっくり。

その他、もちろん有名な観光地もまいりましたが、そちらはたぶん家人が書くでしょうから、私は省略。

出発から帰国していままでの読了本は、
長谷川如是閑『倫敦!倫敦?』(岩波文庫)−岩波『長谷川如是閑集』にも抄録であったものの完全版。でもこれを文庫にするほど広い需要があるとは思えないんだけどな。もちろん文庫になっていなかったら、私も読むことはなかったとは思いますが。
由良君美『ディアロゴス演戯』(青土社)−再読。イギリスロマン派の知識の整理のため。あらためて由良氏の本が絶版というのは惜しい気がしてならない。いま再々読している『椿説泰西浪漫派文学講義』など、いまでも教えられることが多い名著だと思う。この本なんて、筑摩、講談社学芸、岩波現代、どの文庫に入ってもおかしくない気がするのだが。
[61.24.125.137][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)]

   51〜75件(保存数250件) 

[NAGAYA v3.13/N90201]