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オーナー：かい賊 |
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| 61. 2005年11月21日 21時08分09秒 投稿：かい賊 |
| う〜ん、久しぶりだ。 モデムがわやになってしまい、復旧に約１ヶ月かかる模様。やれやれ。 しばらくはホームレス状態ですな。 芦辺拓「探偵宣言」（講談社文庫） 初めて読みました、＜後付け＞短編連作。最初から狙っていたのか、後で組み直したのか、 それだけのことで作品そのものの評価は決して変わらないとは思いますが、それでも これだけの一事業を成し遂げる作者の力量にはただただ脱帽するばかり。 各短編の完成度も高く、シチュエーションも多岐にわたり、とても楽しめました。気に 入ったのは『毒入り』と『迷い家』ですね。あとＴＡさんみたいな人は、小説的には 大好きです。実際にいたら近づきたくはありませんが。 ただの短編には飽いて、連作短編も今や食傷気味という方（こういう風に書くと頗る わがままな人に思えますな）にはうってつけの作品かと思います。 |
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| 60. 2005年11月16日 00時02分14秒 投稿：かい賊 |
| モーニング No50 より 王欣太（原作・原案：李学仁→本当は学は旧字です）「蒼天航路」 …完結。11年も続くとは思わなんだ。原作者の逝去という大きな山を越えて僭越ながら お疲れ様以外の言葉が見つからない。人間を描くことが好きな原作者と作者が、随分と いろいろなところで書かれてはいるが、一般的な曹操観とは違った、人間好きの曹操 孟徳を最期まで描ききった。喜ばしくもあり、残念でもあり。 う〜む、なんか眠いぞ。新連載の「東京トイボックス」や「バガボンド」「神の雫」 「野球狂の詩」「わたしはあい」「刑事が一匹」なんかにも触れようと思ってたんだ けど、それはまたの機会に。 |
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| 59. 2005年11月13日 21時42分52秒 投稿：かい賊 |
| 中村九郎「黒白キューピッド」（集英社スーパーダッシュ文庫） 第３回ＳＤ小説新人賞落選（あらら）者のデビュー作。 オンラインゲームの<七色キューピッド>を舞台に、ヒッキー系の男の子とモデルが バイトのちょっと不思議ちゃんが入った女の子、の二人の中学生（同級生）を軸にして 物語が展開します。 このゲームのコンセプトは【現実世界で処理しきれない『秘密』を、天使に処理とか 始末してもらおう】ってとこらしいです。面白いですね。もちろんバカ正直に書く 必要は微塵もないのですが、そこに『本当の秘密を登録（プレイヤーキャラクター 作成の際の作業の一つ）しなければゲームクリアの認定証がもらえない、またそれに 付随する特典にもありつけない』といううまいシバリを設けています。 物語が進むうちに、ゲーム世界と現実世界の境界線が少しずつぼやけていきます。 ワシのイメージでは「Ｄ−クラッカーズ」かなあ、と思いましたが、あとがきを見ると 桜坂洋さんにアドバイスをもらったそうですから、ああなるほど「スラムオンライン」 とかぶるのね、と妙に納得。 ただ、桜坂さんが遅れてきた新人なのに対して、本書作者は良くも悪くも若い（1979年 生まれだそうで）。言語感覚が少しワシとずれているように思えるのが個人的に何とも 不気味。慣れないラップの歌詞を追ってぼけぇっとしている感じ。別に変な言語とか 造語や俗語で書かれているというわけではないので誤解なきよう。そんな言語感覚の 違いもあってか、いまいち物語世界に飛び込んでいけないようなところがありました。 また、重箱の隅的ではありますが、主人公たちが中学生というのも彼らの言動から類推 するとちょっと違和感を覚えます。作者から見て未熟な世代にした方が書きやすかった のかもしれませんが、せめて高校生の設定だったら、んなやついるかな？、が減った ように思います。それはお前さんが古すぎる人間なのさ、と言われてしまえばそれまで ではあるのですが。 発想は面白いですし、滝本龍彦「ＮＨＫ」「ハッピーチェーンソー」に通ずる楽しさが あります。読者を選ぶかも知れませんが、今後注目したい作家さんの一人です。 |
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| 58. 2005年11月13日 20時45分08秒 投稿：かい賊 |
| キリ様 こんばんは、でございます。 完璧寅さんメンツ …なるほど、そうでしたかぁ。「癇癪持ち」って山田組の重要要素の一つだと思うので そういう意味でもぴったりですよね。頑固親父大好き♪ 全然話が違うんですけど、 今年の２月に井川さん（に似た人？）とすれ違いました。ニコライ堂からＪＲ御茶ノ水 駅に向かう坂の途中だったのですが、ちょっと寒そうにコートの前を片手で合わせて 眉間に皺を寄せるその仕草は（ワシの中では間違いなく）まさにあのおやぢ。思わず サインをねだっちゃおうかと思いましたが、ジロリと睨まれちゃうかも、なんて頭に よぎり断念（へたれや）。後で冷静に考えれば、睨まれたら睨まれたで、それはそれで 萌えだったかも♪（おいっ） 書き込みありがとうございました。またよろしくお願いしまあす。 |
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| 57. 2005年11月12日 15時26分15秒 投稿：キリ＠６５号室 |
| おじゃましま〜す。 井川比佐志さんですけど、寅さんに出演されてましたよ〜。（もちろんレギュラーじゃありませんけど） 完璧寅さんメンツでございます。 |
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| 56. 2005年11月11日 22時44分39秒 投稿：かい賊 |
| 「故郷」（1972松竹 監督：山田洋二 出演：井川比佐志 賠償千恵子 笠智衆 渥美清 前田吟） ちょっとした指運で見た作品。主人公の井川比佐志を除くと寅さんメンツ、おまけに 松竹、まさに山田組というところですが、馬鹿にしちゃあいけません。この映画で 井川さんは第25回キネマ旬報主演男優賞を受賞しています。 瀬戸内海の小島が舞台。石舟を動かして生計をたてていた夫婦が、工業化・大型化の 波に押されて、老朽化した船を捨て故郷を出なくてはならなくなるという、わびしく やりきれない、地味〜なお話です。 とかく物語は都会が標準基準となりやすいので、こういう過疎化がからんだ話という のは、フィクション以上に絵空事と感じてしまうのですが、よくよく考えてみれば、 同じようなシチュエーションは都会の裏側の町工場などにも見られそうな話で他人事 とは思えないような心境でこの映画を見ていた人も決して少なくないのだろうなあ、 と感じた次第。 ラスト近辺、クライマックスでしょうか、石舟の（最後の？）お仕事シーンが出てくる のですが、これがすごい。石舟というのは、文字通り土砂を運ぶ船で、その形が何とも ……。船の腹にあたる部分が海面すれすれなんです。 ○○○○○○○○○○○○○○ ○○○○○○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○○○○○○○○○○○○○○○○ ○ ○ ○ ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ こんなイメージですかねえ。（何をやっとるんだワシは） このへっこんだとろに土砂が目一杯、とは言っても案外薄くなってしまうのですが、 乗っかっります。これを海中に投棄するのですが、パワーショベルなどの重機を使う のかと思いきや、「振り子の原理を利用して、船を傾けて土砂を滑り落とす」のです。 ああ、この画が撮りたかったのかあ、と思ったほど印象的な場面でした。 主役の二名はもちろん、笠智衆・渥美清も持ち味を十二分に発揮した渋い作品です。 こういう作品に出会えたとはついてるなあ、と嬉しがる日々是好日。 |
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| 55. 2005年11月11日 21時55分07秒 投稿：かい賊 |
| 倉知淳「猫丸先輩の推測」（講談社文庫） 解説で加納朋子さんが触れていますが「推理」ではなく「推測」です。トンデモ解釈 ありが前提の推理小説です。不可解な事柄があってそれに対する勝手な想像が各章の 主人公によって繰り広げられます。そこへ 「何言ってやがるんだろうねえ、お前さんは」 と猫丸先輩が登場し、自分なりの解釈をして収束、というパターン。だからといって 何を勝手なことを、なんてこじつけは一切なくどれも納得の解決を見せてくれます。 ６編それぞれ面白いのですが、特に第４編「たわしと真夏とスパイ」が好きですね。 『「最初にタワしを持ち出したのはお前だろうが。俺はタワシのことを悪く云われる のにゃ辛抱ならねえんだ」 「変な人だなあ」 「うるさい、お前はすっこんでろ。このワシントン条約違反めが」 「何だと、人聞きの悪いこと云うない」 「俺の手作り豆腐をスーパーのふにゃふにゃ豆腐と較べられちゃ迷惑なんだよ。 脂身ばっかりの肉と一緒にするな」 「ことのついでにウチの肉の悪口云わなくたっていいじゃないですか」 「別についでじゃないよ。知ってるだろ、お客さんはみんなスーパーの肉、買って るんだ」 「そんなあ、あんまりだよ」 「そう云えばあんた、その髪、切ったのいつだ。俺のところへは来てないはずだぞ」』 楽しくてキリがないのでこのくらいにしておきますが、本編とはさほど関係ない、 町内商店会の会合の一場面です。この会話には顕著にあらわれていますが、猫丸先輩の 口調を含めて、テンポのいい物語の進行はこの落語のような語り口に支えられている とも言えましょう。まあ、意地悪く、煙に巻かれるとも言えるかも。 表紙＆本文イラストが唐沢なをきさんというのもたまりません。このシリーズには ピッタリの人選です。おちゃらけ・和み・一癖二癖という、三大要素がガッチリと はまり込んでいます。ワシのお気に入りはP155の「探偵のひと」＆P335の「長尾葉月」 ですね。どこかにこだわりを持って生きるキャラクターの性格や信条がにじみ出ていて 微笑ましくて仕方ありません。 う〜ん、東京創元の猫丸先輩シリーズが講談社＆唐沢イラストで出たら間違いなく 買ってしまうぞ。 |
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| 54. 2005年11月09日 22時42分45秒 投稿：かい賊 |
| 古橋秀之「ある日、爆弾がおちてきて」（電撃文庫） 六編の短編オムニバス。「連作」ではない。共通のテーマは「時間」。どの作品も 主人公の男の子たちと女の子たちとの間の時間軸がビミョーにずれています。ハッピー エンドあり、アンチもあり（とは言っても一編だけ？）一筋縄ではいかない構成です。 正直こんなに面白いとは思わなかった。それぞれ全く関係ない別々の話なんだけど、 なんだろうこの妙な統一感は。 ワシは第１編の表題作できっちりやられ、しっかり爆破されました。単なる萌えでは ない琴線ど真ん中。最もお気に入りの一文を抜粋。第３編「恋する死者の夜」より。 『死んだナギと死人のような僕は、死人の群れの中に溶け込みながら、電車に乗っている』 スゲェ、スゲエよ古橋さん。なんちゅう世界観や。ほんまラノベ読み、文庫読み、文章 読みやっててよかった。オープニングでもラストでもなく普通にこんな一文がさしはさ まれている。 むしろ恐ろしい。こんな風に死を身近に感じていいのだろうか。烈しい描写の小説 よりも、よほど危ないところに読者をいざなうような気がする。「北風と太陽」の 太陽の危うさを持った小説（なんじゃそりゃ）に出会ってしまいました。 不覚にも古橋さんはこれが初めて。うし、なるべく早いとこ「ソリッドファイター」と 「デモンベイン」は読んでおこう。 →てか、なぜ両方ともゲーム絡み？ |
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| 53. 2005年11月09日 22時14分34秒 投稿：かい賊 |
| 有澤透世「世界のキズナ� 廖奮兩逎好法璽�ー文庫） 第８回角川学園小説大賞奨励作を加筆・修正・改題。 誰かのために何かをすることは簡単だ。見返りがあろうとなかろうとオノレの中では 自己満足として消化することができる。オノレの小ささを痛いほど自覚している者 ならば、何かができる、ただそれだけで大きな喜びとなるかもしれない。 される方はどうだろう？ 能天気に「ラッキー♪」とか「なんていい人なんだ！」 とかで済むものだろうか。 多次元混在の地球が舞台です。登場人物たちは様々なシチュエーションで出会い、 関係を深めていきますが、世界が正常に戻るということは必ず別れが来るということ なんですよね。そんな切なさの予感を胸に読み進めます。 大したジュヴナイルです。１０年は執筆活動をしているらしいのですがなんで一冊目？ と思わせてくれる出来です。 物語はきっちり収束してしっかり割り切れた形で幕を閉じます。なんで�，覆鵑世蹐Α� またあの楽しいヤツラに会えるのは嬉しいけど、蛇足の新展開は勘弁して欲しいなあ。 シチュエーションを利用した、例えば［核恒星系統一機構］の全く別ものの話とか だったら大歓迎。ネコ提督とか大好きだし♪ 何はともあれ、大変おいしゅうございました。 |
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| 52. 2005年11月09日 21時46分17秒 投稿：かい賊 |
| 霧舎巧「マリオネット園」（講談社文庫） ≪あかずの扉≫研究会シリーズ第四弾。廃テーマパークの螺旋の塔を巡り、おなじみ 二人の名探偵が塔の内と外で獅子奮迅。とらわれのお姫様を救うために知能の限りを 尽くします。 「ドッペルゲンガー宮」「カレイドスコープ島」では構成も人物造形もまだまだ荒削り だったのが、「ラグナロク洞」で構成面（特にトリックの見せ方）の向上を見せ、 今回ここにきて、ようやくキャラ小説を脱した感があります。 正直、もう少し人間関係や情動の面を深くしてくれると個人的には嬉しいなあ、と思い ますが、これ以上紙数が増えてしまうことを考えればデメリットの方が多いような 気もします。 ええと、「無駄に厚いじゃん」と言っているのではありません。 丁寧に展開される推理と仮説群。バランスを考えた会話。見え見えにならぬようさりげ なくかつ明確に提示される伏線。そしてそれらをまとめあげる露舎さんの努力には頭が 下がるばかりです。 本そのものへの遊びも楽しくてＧＯＯＤです。途中まで読んで、こりゃどっかで、と 思ったら、案の定目の前にあって思わずニッコリ。嬉しいシゴトやなあ。 |
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| 51. 2005年11月09日 21時27分39秒 投稿：かい賊 |
| ＞塔子様 はじめまして。ご来訪ありがとうございます。 来てくださったのでお邪魔させて頂きました！ …感謝歓迎です。チャーリー様同様、新入り同士仲良くしましょう♪ 紹介している本読ませて頂いたらまたカキコ …お待ちしております。自分が読んだ本をほかの人がどう感じるかってとても興味深い ですよね。ちょっぴり怖いけど。 ＞チャーリー様 本屋さんの中にいると妙に雰囲気があっていいですよね！ …ですよね！ 本屋さんによって、街によっても雰囲気が違います。国によっても なのかな？ 一度だけ行ったことのある、イタリアの本屋さんは、フィレンツェ重厚、 ベネチアは開放的というか古本市の店頭って感じで、パリの本屋さんは場末でもなんか お上品な感じが。でも、これって単なるワシの先入観かも。 ここまで来ると古本屋で買ったという満足感 …ええとっても大事っす。意固地と呼ぶなら呼べい！ と開き直りたくなりますよ♪ 両名様、書き込みありがとうございました。 |
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| 50. 2005年11月08日 11時41分56秒 投稿：チャーリー･モンク |
| それ分かる(＞＿＜）！！…って、ちょっと返信遅れたから何のこっちゃ？って思うかもしれないけど…本屋さんの中にいると妙に雰囲気があっていいですよね！特に、昔から大学の文献とかも置いてるような…歴史を感じるような大きな本屋さんがいぃな。紹介してくれた本…昨日言った本屋さんになかった(Ｔ＿Ｔ)。…でも、昨日時間がなくて1件しか行ってないから今日ほかも探してみようと思います。やっぱ、ここまで来ると古本屋で買ったという満足感が欲しいし。 …話が変わりますが、またちょくで伺いますのでいい感じの本があったら紹介してください。また、来ます！ |
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| 49. 2005年11月07日 23時21分54秒 投稿：塔子 |
| 初めまして。86号室の塔子です。来てくださったのでお邪魔させて頂きました！ 色々幅広く読んでらっしゃるみたいですね〜ここで紹介している本読ませて頂いたらまたカキコします♪宜しくお願い致します(^O^) |
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48. 2005年11月07日 18時26分40秒
投稿：かい賊 ［http://いー］ |
| ＞チャーリー様 こんにちは。いらっしゃいませ。 ジャンル広いんですね …ええ、要は活字中毒者なんです。って絵もか。 「第三閲覧室」 …面白いですよ。ワシの友人が、趣味が高じて古本屋をやっているんで、昔からなじみの ある世界でした。古びた本の中にいると妙に落ち着きます。なんでだろう。 書き込みありがとうございました。 |
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| 47. 2005年11月07日 13時17分18秒 投稿：チャーリー･モンク |
| 84号室に来ていただいたお礼に来てみました!!…ざっとだけど、読ませていただきました。なん〜かジャンル広いんですね(’◇’)ゞびっくりしました。第三閲覧室…すみません。知りませんでした！今日、出来たら……(^。^;)読んでみたいと思います。さっき、HPで調べたら何か興味があったっていうのもあるけど！ |
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| 46. 2005年11月04日 22時56分30秒 投稿：かい賊 |
| 冬目景「イエスタデイをうたって」（ビジネスジャンプ No２３） 話の流れ的には前回がヤマ場だったので今回はちょっと抑え目といった感じ。今後の 木品子の（２チャン的で申し訳ないがあまりにも漢字の出ないのが悔しいので）変容が 楽しみです。 それにしてもこの作者は超人の傍の凡人を描かせたら天下一品だと思う。もちろん背景には 超人の天才ぶりや大した才覚がよく描けていることがあるのに他ならないのだが、どうしても 届かない領域に憧れたり、サリエリの苦悩を我が身にしたり、それでいながらその苛立ちを どこかにぶつけずにはいられない我々と等身大の人間像がそこにあり、共感せずには いられません。 ＳＦやミステリー仕立ても大変面白いのですが、こうした日常物だからこそ楽しみを 深くできることがこの作者の大きな魅力です。 |
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| 45. 2005年11月04日 22時25分07秒 投稿：かい賊 |
| ＡＲＩＡ（ＴＶ東京 木曜25:30〜26:00） 許し難いアニメ。 毎回大した事件もなく、淡々とマッタリと話がたゆたっているにも関わらず、 毎回不惑の涙腺をこじあけおってくれる。 性善説を信じたくなる。 でも難民の人とかに見せたら「ざけんなっ」って怒られるかもしれない。 富める者の余裕とも見て取れる作品。・・・これだからひねくれ者のおっさんは。 |
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| 44. 2005年11月04日 22時13分30秒 投稿：かい賊 |
| 海冬レイジ「バクト！ �検��后廖壁抻慮�ミステリー文庫） 伝説のギャンブラーの孫にあたる人物が主人公のこのシリーズ。ミステリー部とゲーム部を 絡めて構成されているのが面白いところであり、毎回ゲームを換えながら話をすすめる あたりは頑張っている印象を持てるウマイ作りだと思います。でもここにきて少し苦しく なってきたかな？ �犬離丱�ラは、このゲームが実際に好きだとか面白いという人は ちょっとまずいでしょう、とも言うべきカジノどっぷりはまり人の終着駅とも言える ギャンブルですし、やらないまでも、阿佐田哲也や伊集院静の文章で見かけて興味を 持った、などの経緯がなければまず縁のないようなものですし、�垢離侫．蹐忙蠅辰討� これを扱った文章って見たことないんですけど。アカギや初期カイジが好きそうな ゲームですね。 �犬魯押璽猊瑤卜呂�注がれ、ミステリー的不可能状況をいかに突破するかが面白く作られ、 �垢魯潺好謄蝓蕊瑤�非常に面白く、フダニとハダニのバランスがとてもよく取れていて なかなかに満足できる作品でした。また、ワシ的にツボなエピソードがあり、二重三重に 面白さが増した次第。 あと２冊で完結とのこと。どういう収束を見せるのかが楽しみです。 |
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| 43. 2005年11月01日 20時56分35秒 投稿：かい賊 |
| 高橋和「女流棋士」（講談社文庫） 元女流棋士。得意な戦形は振り飛車（ミス四間飛車の姉弟子斎田晴子の影響か）。 カワイ子ちゃんアイドル棋士として局地的に一世を風靡する。 夫は元「将棋世界」編集長、現作家（代表作「聖の青春」「パイロット・フィッシュ」）の 大崎善生氏、齢の差ナイスカップル。 不覚。 あまりにも不覚でした。他聞にもれず「わ〜い、今日の聞き手はやまとちゃんだあ」と ミーでハーな反応しかなかった人間にとって、彼女が実は左足が不自由だったことは まさしく衝撃の事実でした。しかも先天ではなく後天。 本書は四歳時の事故をスタートとし、高校卒業までの学生生活（途中から棋士生活が 加わります）と結婚・引退の終章までとなっています。 クライマックスは高橋さんが入院してから退院するまでの八十九日間の記録である 「母の日記」です。この日記が素晴らしい、というのは不謹慎なのですが、とにかく 凄い。母の後悔・慙愧、そして愛に満ち溢れています。この日記をメインに据える ための緻密な構成には頭が下がるばかりで、是非北村薫の評が見てみたいと思わせる ものです。 例によって抜粋して心に残る部分を披露したいところなのですが、とてもとても畏れ 多くてそんなことは許されない、たとえ１ミリたりともこの文章を貶めることはでき ないという、ただひれ伏すのみという文章です。とにかく読んで下さい。後天のつらさ。 本人でないがための苦しみがまさしく痛切にそこにただあります。 高橋さんは棋士として人間として何を選択するのでしょう。とにかく読んでくれ。 |
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| 42. 2005年11月01日 20時12分01秒 投稿：かい賊 |
| 周防ツカサ「インサイド・ワールド」（電撃文庫） 第５回電撃hp短編小説賞＜大賞＞受賞作 三話構成の短編オムニバス。各話に主人公がいて、真の主人公は別にいる。 地球は滅亡の危機に瀕しており登場人物たちはその危機に積極的に関わることはない、 というか要は地球の危機を救うといった大仰な話ではないということ。 つまり、「宇宙魚顛末記」ではなく「ひとめあなたに…」の方ですね。 「滅亡」が間近に迫ってきてパニックを起こしたり徐々に常軌を逸していく人間たちを 描いた「ひとめ」と決定的に違うのは、登場人物たちが全くと言っていいほど「滅亡」に 振り回されていないところです。総理大臣が森さんから小泉さんになりました、へえそう、 って感じです。自分や相手を見つめるのに精一杯で、「そんなこと」に構ってなんぞ いられません。「滅亡」を単なるシチュエーションの一つとして扱っているのは、 首をかしげざるをえなかったり、いっそ潔いと感心したりです。 三話の中では第三話「透明少女の無色なランデブー」（鳥肌ものなツッコミどころ満載 タイトルだ♪）が好みです。 『 「え、それってまずいんじゃないの？」 「大丈夫です。地上には落下してきません」 「――え？ それって宇宙まで飛んでいくってことか？」 「嘘です。そんなわけありません。精々、数百メートルといったところでしょうか」 「絶対、民家に落ちるって……」 「海の方がよかったんですが、遠いから嫌です」 「……そうか。うん、僕が間違ってた」』 『 「これ、ちゃんとパラシュート作動するのか？」 「今回は手抜かりありません。推薬の燃焼後、リカバリーの火薬に引火するように なっています。そして、その圧力でパラシュートが作動する仕組みです。完璧です。 五十四パーセントの確率で作動します」 「……そっか」うなだれていた。』 まるで、博士と助手のコントのようでとっても好きなやりとりなんですが。もちろん 本編とはあまり関係ありません。 終盤「ネットライフを満喫」するところでのマイＢＧＭは橘いずみ「バニラ」です。 椎名林檎の方がまだピンときますかねえ。 しっかり完結していて読後感は極めて良好。飛び道具抜きの実力が知りたいですね。 今後に期待です。 |
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