生命現象の基本である細胞の中では、原形質が一定方向にアクティブな方向で動いている。そうして、この原形質流動を起こしているのは、アクチンとミオシンという物質である。アクチンの分子を同じ方向に向けるように並べる。そこにミオシンとATP(アデノシン酸燐酸ー生物のエネルギー源)を入れると流動が起こる。流動を起こす要素は、強調といわれる。(一定の秩序を保ちながら)すべての分子が同じ方向に動くと流動が起こるが、分子がバラバラに動いていると流動は起こらない。「生きていること」は分子強調ができた状態であり、「死んでいること」とは分子が動いても、無秩序にバラバラに動いているので、流動は起こらない状態を言う。
どうやら、細胞内のミトコンドリアがATPを作り出せない環境を作ることが癌細胞の増殖抑制のの鍵となると言える。

 

肝臓癌の現状

9年前、父が肝臓癌と診断されたときからみれば、さらに肝臓癌の発見もより小さなうちに発見できるようになりました。早期発見をして適切な治療を行うことで進行を防ぐことができるのです。
また、肝臓癌の場合は、他の癌と違い癌の増殖と肝臓の予備機能を見つめ対処することが治療をする上でとても大切になるのです。肝臓癌は、他の臓器から転移してできる場合もありますが、そのほとんどが肝硬変がもとになっている肝細胞癌です。
慢性肝炎から肝硬変、そしてめでたく肝細胞癌へと移行します。これが、おおかたの肝臓癌移行のパターンです。
すなわち、ここで大切なことは、C型肝炎、B型肝炎にならないことです。そうは言ってもウイルス感染は、ミクロの話ですから自分がかかりたくなくとも相手から無理矢理入ってこられるのですからたまりません。何でC型肝炎から先に書いたかというと肝臓癌の80%がC型肝炎から残りがB型肝炎という悲しい現実があります。また、C型肝炎は輸血などで感染するとされておりますが、感染経路の不明瞭のものもあることも事実です。どこからいらっしゃったか解らないウイルスさんもいらっしゃるのです。
もう言い尽くされましたが、肝硬変があると肝臓癌ができやすいことはデータ的にも明白です。しかし、そのメカニズムについては、名医であっても理由について断言できる人はいないはずです。
現在、日本では統計的に言っても7%位の割合で肝硬変の人たちの中から肝臓癌に移行しております。肝硬変は、病状が進むと食道静脈瘤ができ、最悪は静脈瘤が破裂をし、そして大量の出血によりショックで死亡するというのが一つのパターンでした。しかし、治療の進歩により、父の時もそうでしたが、口からファイバースコープを食道に通し、食道静脈瘤をいわゆるクリップで止め静脈瘤を抑えます。そういう処置によって食道静脈瘤破裂を防ぐ。その結果、延命できるということになります。しかし、延命すると今度は肝硬変が肝細胞癌に移行する。そのことによって、死亡原因である肝臓癌の順位が上がる。何とも皮肉な結果であります。癌になるのはいや、しかし、肝硬変の食道静脈瘤破裂でショック死するのはいや、人の死に対する選択もわがままです。



散在嚢胞

腫瘍マーカー

AFP-L3(α-フェトプロテインレクチン分画)[LBA法

もし、癌になってしまったら?

癌検査の頻度




感染と癌

慢性の感染があると炎症部位に好中球や大食細胞が浸潤する。そこで産生される一酸化窒素や過酸化水素がフリーラジカルとなって組織を障害、修復する課程に発癌刺激を受けやすくなる。


B型肝炎ウイルスに有効

HIV治療薬として開発されたラミブジンがHBVに対しても増殖抑制効果を示す。


小さな癌よこんにちは

肝臓癌を一番早く見つけるにはどうしたらいいか?一番早いのは、病変に自身で気付いたらメスを持って腹を切り肝臓を取り出し、病変部分と思われる処を切り落とし生検し癌かどうか検査することです。しかし、武士の時代でも自分の肝臓までえぐり取れる人はいなかったのに現代の柔な日本人にそのようなことのできる人はおりません。
現在、僕の実施した検査もそうでありますが、まず血液中の腫瘍マーカーを調べる。そこで、マーカーが高ければ今度は、画像検査、この画像検査は、胸部、腹部のX線撮影、超音波断層、CTスキャン、血管造影などがありますが、かなり小さな癌でも今では調べることができるようになりました。実際の検査は、以下の通りです。

超音波検査:体の外から体内に向けて超音波を当て、反射してくる超音波を画像にする検査

CT(コンピュータ断層撮影)検査:エックス線撮影とコンピュータを組み合わせた画像検査で、体内を輪切りにした断層画像が得られます。造影剤を用いることで、さらに感度を高めることができます。

MRI(磁気共鳴画像)検査:体外から強い磁気をかけて、縦、横、斜めなど、さまざまな方向かの断層画像を得られます。

血管造影検査:肝動脈に造影剤を入れ、エックス線撮影を行います。肝臓内の小さな変化をとらえ、肝臓癌を見つけることが可能です。この方法は、入院が伴うため上記の検査で異常が見つかった場合、この検査に移行すると言うことです。

よく、PC世界では容量をギガという記号で示しますが、1ギガとは、10の9乗個であります。なんとその1ギガないと癌は発見するのが難しいのです。だいたい8mm位の大きさになるでしょうか。従って、1cm位の大きさにならないと容易に発見はできないのです。
その大きさになるまでたとえ腫瘍マーカーが高くなっても癌と特定できないでしょうし、それから発見できたとしても生検をして始めて特定できるのです。それまで、もし、ちいさな癌があったとしても大きくなるまでまとうホトトギスなのであります。
何れにしても、現実はこれが肝臓癌を特定する早道であることに違いないのです。「小さな肝臓癌よこんにちは」なのです。
肝炎に遭遇したら仕方がありませんから肝炎の治療と共に定期的に以上の検査を自分から申し入れる以外ありません。医者も神様ではありませんから、「検査の日になりましたからご来院ください」と案内はしてくれないでしょうし、車の定期点検のように身体の定期点検は法律による規制はありませんから罰せられることもありません。しかし、遅れれば罰則より怖い死が待ち受けているのです。



肝臓癌について思うこと

肝臓癌、胆道癌に使われる抗癌剤

非環式レチノイド関連ウェブサイト

SIR球体関連ウェブサイト



医学略語検索  http://lsd.lab.nig.ac.jp/WebLSD/lookup-j.html

医学用語辞典   http://www.ient.or.jp/~yozo/wordj1.html#ma



こんにちはのご挨拶ができたら

子供でもご挨拶ができるようになる頃になると、ハイハイかヨチヨチ歩きをします。また、その子の元気度によって活動範囲が違います。肝臓癌も同じで「こいつは元気がいいな」とか「あまり元気がないな」とかでその治療の方法が違うのです。また、前述した予備機能、これは赤ちゃんにたとえればにこにこしている状態か、泣いている状態かでおかあさんの対応が違う、そういう状態を想定してください。
笑っているときはご機嫌が良いときですので元気な癌でもやっつけても耐えられます。しかし、泣いている状態で癌をやっつければ泣きやむどころか輪をかけて大声で泣くでしょう。そういうときは、静かにおっぱいを飲ませてやる。癌の場合は、エチルアルコールを一杯飲ませてやることです。

エタノール注入(PEIT)

エタノール(エチルアルコール)を癌に注入し、それによって癌病巣を凝固させる治療法です。超音波画像を見ながら注射針を癌病巣に刺し、エタノールを注入します。癌組織にエタノールが行き渡ると、それで癌は壊死し、成長が止まります。

この方法は、肝臓への負担が少ないので、仮に再発しても、同じ治療法を繰り返すことができます。ただし,この治療法ができるのは、癌の大きさが3cm以下で、数が3個までの場合です。また、腹水がある場合や、血液が固まりにくい人は、肝臓からの出血が止まらなくなることがあるので行いません。

癌塞栓療法(TAE)
 
癌に酸素や栄養を送る肝動脈にスポンジ状の物質を詰めて血流を止め、癌細胞を壊死させる方法です。

また、この血管から油と抗癌剤の混合物を送り込むことで、できるだけ癌の部分だけを攻撃するように行いますが、どうしても癌以外の部分にもかなりの負担がかかります。従って、肝臓の予備能力の悪い患者さんにはこの治療法は行えません。

肝臓の部分切除
 
開腹して、癌病巣を切除する手術です。小さな癌が一個しかない場合、あるいは癌が大きかったり複数であったりしても、癌が肝臓の一部に限られている場合に行います。

早期の癌に対しては、肝臓の切除とエタノール注入法は、同じ程度の治療効果が期待できます。また、予備能力がよければ、肝臓の半分を以上を切除することも可能です。

しかし、肝臓の手術はかなりの負担がかかるため、快復には長い時間がかかることも承知しておいた方がいいと思います。また、

持続動注化学療法

血管内に贈入したカテーテル(細い管)を、肝臓の動脈に留置して、そこから抗癌剤を持続的に繰り返し注入する治療法です。

多数の病巣が、肝臓全体に広がっているような進行した癌に対して行います。抗癌剤併用の新しい理論に基づいて、治療効果が著しく向上しており、この方法で癌が完全に消えることもあります。肝臓予備能力のある患者さんに限られますが、最近は広く行われています。 レピオドールという抗癌剤がよく使われています。

現在はいろいろ治療法が発達し、肝臓癌になっても治療することができます。ただし、効果を上げるためにはやはり定期に検査を受けて、早期発見することが大切になります。



大学病院医療情報ネットワーク  http://www.umin.ac.jp/



精神的なもの

肝臓が悪くなるとやる気や根気が無くなるといいます。すぐ疲れるようになり端から見るとなんとのんびりしているんだろうという評価もされてしまいます。また、イライラが増して怒りやすくなるというのも特徴なのかもしれません。他人はどう評価しても自分で自分の身体を管理するのですから、食後はゆっくりと休養を摂るようにしましょう。
だいたい健康な人でも100年は生きられないのですから・・・焦ってもたかが知れています。



調子づいて疲れてしまったら・・・

肝臓病学の新しい情報  http://www.kdcnet.ac.jp/hepatology/newinhep.htm




 

                 
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