肝臓癌について思うこと
日本における肝臓癌の80%以上は、C型肝炎ウイルスによるものであるが、日常ではまず感染する事がないといわれている。それではなぜ日本人に蔓延しているのであろうか?現在、日本に無自覚のキャリアも含めて200万〜300万人のC型肝炎ウイルス感染者がいると推計されているが、この数字も実にアバウトである。そのC型肝炎ウイルス感染者は紛れもなく肝臓癌の予備軍であるといえる。それではその数字をどう受け止めるか?癌死のトップは、胃癌であるが、実際は、肝臓癌の前段状態である肝硬変を加えると約5万人になる。その数字でいくと肝臓癌による死亡は癌死の実質トップである。
C型肝炎の蔓延の主原因
@献血制度が確立される以前の売血などによる「輸血」によるもの
A集団予防接種などによる注射器の使いまわし
上記が、主流といわれていたが、
エイズウイルス(HIV)の感染経路
@性感染
A出産時の母子感染
B非加熱製剤の投与による血友病患者への感染
C新生児出血症、帝王切開などによる出産時の出血、消化器系疾患による吐下血に対する非加熱製剤投与者
で示されるCの問題と同様にC型肝炎においても非加熱製剤投与の感染経路がある。これは、きわめて重要な問題である。
現在、「肝炎対策に関する有識者会議」が厚生省により昨年設置される事態となり、今年2月22日第4回の会議で非加熱製剤による感染実態調査に乗り出すことでの意見の一致を見た。調査実施に当たり「病院名の公表」の問題で必要の有無の是非論が議論されたが、それよりもいち早く全国民的に検査の喚起を促すと同時に全額国費負担でもかまわないから優秀な国家財産である人材を失わないためにも検査受診を促す必要性を実感する。
また、C型肝炎ウイルス感染から、慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌に進行するまで20年、30年とかかる中ですべてが肝臓癌に移行するわけではないが、そういう環境でいることは国家がいつも倦怠感を訴える肝臓疾患に侵されているといっても過言ではない。
いち早く、三浦先生の提唱されている非還式レチノイドなどの抗ガン剤やC型肝炎ウイルスに有効な薬の認可や治療法の出現を心から望むものである。
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