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説教 「主よ、終わりまで」  
               (マタイ 28:16-20)      2015/01/04
(於・三条教会・新年礼拝)
 新年、明けましておめでとうございます。新しい年を迎えました。新しい年、今年はどんな年になるのでしょうか。

 今年は、元旦から雪になって、いろんな被害も出ておりますが、最近の自然環境は「異常」と言えるような、そんな感じもしております。もう1年も前になりますが、去年の2月は、観測史上最も雪が降り積もった地域が沢山ありました。

 山梨県の甲府市で114cm、河口湖で143cm、隣の群馬県の前橋市で73cm、埼玉県の秩父市で98cm、東京でも結構雪が降りまして「主都圏記録的大雪!東京27cm 45年ぶりで大混乱」なんて報じられました。

 まあ、雪の多い新潟県からすれば、たいしたことはないということにでもなるのでしょうが、さて、今年は、どうなるのでしょうか。まだ1月、2月とありますから、心配であります。

 それから「異常気象」と言えば、去年の6月(6/24)、東京に1cm程の雹が降り、それが7cmも積もって、溶けかかった雹で排水溝がつまり道路が冠水したなんてこともありました。それから、7月(7/7)には、「台風8号が沖縄へ 過去最強クラス最大瞬間風速75m」なんて記事もありました。8月には、台風や豪雨のため、各地で冠水や浸水、多くの被害が出ましたし、また何十万という人たちに避難勧告が出されたりもしました。広島では、大雨で大規模な土砂崩れがおきて、74人もの人たちが亡くなりました(8/20)。これは今でもテレビでよく放映されていますので、記憶に新しいと思います。

 去年は、各地で本当に雨がよく降りました。「8/24、北海道礼文島で観測史上最大雨量、土砂崩れにより2人が犠牲に」 「9/5、京都で猛烈な雨、1時間に82ミリ」 「9/11、東京で猛烈な雨、台東区では1時間に100ミリ」 「9/25、名古屋で1時間に30ミリの雨、地下鉄名古屋駅が冠水」 「10/6、台風18号が関東を直撃、静岡では観測史上最大の402ミリの雨」。

 雨だけではありません。9/27には、御嶽山が噴火して、57名の方々が犠牲になりました。小笠原諸島の無人島「西之島」では、現在も噴火が続いておりまして、島が大きくなっています。まあ、これは日本の国土が大きくなるという意味では良いことなのかも知れませんが、最近は何が起きても不思議ではない。そんな感じもいたします。

 勿論、異常気象、自然のことだけではありません。私たちを取り巻く環境、この世の生活、本当に不安定で、いつ何が起きても不思議ではない。そんな感じもする訳であります。

 昨年の12月14日、衆議院選挙が行われ、自公圧勝・大勝ということで、安倍政権が引き続き日本の舵取りをすることになりました。まあ、選挙については、いろいろ言われていますけれども、投票率が低かったとか、自民党が必ずしも伸びた訳ではないとか、まあいろいろ言われておりますけれども、いずれにせよ、結果としては、安倍政権が引き続き、この日本の舵取りをすることになった訳であります。

 で、これからの日本、一体どうなって行くのか。私たち庶民の感覚から言えば、生活は良くなって行くのか。もっと厳しくなって行くのか。格差社会が広がって行く中で、私たちの生活、これから本当にどうなって行くのか。そんなことも心配ですけれども、その他にも心配すること、いっぱいあるのではないでしょうか。政治、経済、また社会問題や国際問題、環境問題。数え上げたらきりがないくらいいっぱいあります。

 例えば、スパイ防止法とも言われる「特定秘密保護法」が出来、冗談でも変なことを言えば捕まってしまう。そんな時代がやって来るかも知れません。特定秘密というのは、防衛・外交・特定有害活動・テロリズムの4分野ということになっていますが、その解釈は当局が決める訳ですから、いくらこちらが「そんな意味で言ったんじゃない」とか「そんな意図はなかったんだ」なんて言ったって通らない。そんな時代もいずれやって来るかも知れないのであります。

 集団的自衛権の問題だって、解釈によって、どうにでもなる。閣議決定には、「あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容される」なんてありますが、これも解釈によっては、戦争も出来てしまう。勿論、憲法がありますから、そう簡単には行かないでしょうが、でも、今の憲法だって、解釈によって、「自衛隊」を認めている訳であります。

 自衛隊は軍隊ではないと言われておりますが、やはり「自衛隊」は一種の軍隊なのではないでしょうか。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法9条にあっても、実質的には「自衛隊」という戦力を保持している、持っている。それが今の日本ではないでしょうか。そして、それを解釈によって今まで正当化して来た。だとすれば、これからだって、いくらでも解釈出来るでしょうし、本当に都合が悪ければ、憲法の方を変えればよいということにもなる訳であります。そういう運動も実際にある。

 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」(日本国憲法第9条)

 今まで、日本は、国連憲章に明記されている集団的自衛権は持っているものの、憲法9条の、この制約によって、それを行使できないという、そういう立場を取って来ました。(日本も日本国という国なんだから「集団的自衛権」は持っている。でも憲法があるから、それを行使できない・使えない。そういう立場を取って来た。) でも、集団的自衛権の法整備が整っていけば、逆に、憲法9条を変更せざるを得なくなる。そういう可能性だってある訳であります。

 でも、こんなことを言えば、尖閣諸島に堂々とやってくる中国に対してどう対処するのかとか、核や弾道ミサイルの性能を高めている北朝鮮にどう対処するのかとか、また、最近、中東で活発化している過激派組織「イスラム国」が、もし日本に対してもテロ攻撃を始めたらどうするのかとか、いろいろな問題も出てくるかも知れません。

 ですから、教会では、こういう問題は、あまり取り上げない方がいいのかも知れませんが、心配なことは、やはり心配であります。

 福島の原発事故だってまだ解決していないのに、再び原発を再稼働させようとしている日本。
 1000兆円を超える借金をどうするのか。
 消費税率の10%への引き上げ、1年半先送りになりましたが、いずれ(2017年4月?)10%になる予定です。
 数え挙げたら、不安材料、心配なこと限りなくあります。

 そう言えば、今年は、戦後70年ということでありますが、戦後の復興期に産声を上げた1947~49年生まれの「団塊の世代」が、全員65歳以上の高齢者になります。私は1950年生まれですが、私も今年65歳になる。もう少しで高齢者の仲間入りであります。

 高齢者がどんどん増えて行く。でも、出生率は伸び悩んでいる。「少子高齢化」が加速する訳であります。日本の総人口は2008年をピークに減少に転じていますが、これからの日本、本当にどうなって行くのでしょうか。働く人が少なくなって行く。死ぬまで働けと言うのでしょうか。

 戦後70年。時代は変わりました。時代は変わり、生活様式もどんどん変わって来ています。でも、私たちは、変わらないものもあるということを知っておきたいと思います。それは、イエス・キリストであります。

 ヘブライ人への手紙の13章8節には、「イエス・キリストは、きのうも今日も、また永遠に変わることのない方です」とあります。

 時代は変わり、生活様式は変わっても、イエス・キリストは「きのうも今日も、また永遠に」変わらない。これはまた、私たちの信仰も変わらないということであります。私たちの信仰は、これからもずっと変わらないのであります。

 私たちの周りには、不安なこと、心配なこと、沢山あります。でも、永遠に変わらないイエス・キリストを見上げ、イエス様を堅く信じて、これからも、この一年も、力強く歩んで行ければと思っています。

 今日、これから歌います讃美歌は、讃美歌21の510番「主よ、終わりまで」という歌。前の讃美歌では338番であります。歌詞が大部変わりました。こんな歌詞になりました。

 1番 主よ、終わりまで しもべとして あなたに仕え 従います。
    世の戦いは 激しくても、 主が味方なら 恐れはない。

 前の歌詞は、(1)主よ、終わりまで 仕えまつらん みそば離れず おらせたまえ
          世の戦いは 激しくとも、 御旗(みはた)のもとに おらせたまえ。

 主よ、終わりまで仕えまつらん。新年早々「終わりまで」なんてふさわしくないかも知れませんが、これは私たちの志(こころざし)であります。私たちの人生、終わりまで、主に仕え、主に従っていく。それが私たち信仰者の姿勢であります。時代が変わり、社会が変わり、また生活様式は変わっても、私たちは、主に仕え、主に従っていくのであります。

 この世にはいろいろな戦いがあります。いろいろな問題があります。いろいろな葛藤があり、また、いろいろな艱難辛苦もあります。今年もそういうことが沢山あるかも知れません。でも、「主が味方なら恐れはない」。主が、神様が、イエス様が私たちの味方をしてくれるから、私たちは何ものをも恐れない。否、恐れる必要はないのでありますね。

 今日お読みいただきました聖書の所は、マタイ福音書の最後の所、復活されたイエス様が弟子たちを派遣する、その時に語られた言葉であります。

 イエス様は、弟子たちに「あなた方は行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなた方に命じておいたことをすべて守るように教えなさい」と語られました。

 これはイエス様の派遣命令、伝道命令であります。しかし、それだけではありません。イエス様は「私は世の終わりまで、いつもあなた方と共にいる」と約束してくださったのでありますね。

 イエス様がいつも私たちと共にいてくれる。どんなことがあっても、困難の中にあっても、この世がどんなに移り変わっても、イエス様は、世の終わりまで、いつも私たちと共にいてくれる。だから、私たちは、何ものをも恐れない。恐れる必要はないのであります。

 先程の讃美歌の歌詞は、私たち信仰者の思い、気持ちをよく表していると思います。今年も、否、今年だけではなく、終わりの日まで、私たちは、この讃美歌にありますように、神様のしもべとして、主に仕え、主に従ってまいりたいものであります。

 ついでですから、讃美歌21の510番、2番以降の歌詞も、読むだけ読んでおきたいと思います。

 2番 この世のさかえ 目を惑わし、誘惑の声 耳に満ちて、
   敵は外にも 内にもある。 お守り下さい、主よ、私を。

 前の歌詞は、このようになっておりました。
  (2) うき世のさかえ 目を惑わし、 いざないの声 耳に満ちて
     こころむる者 内外(うちと)にあり、 主よ、わが盾と ならせたまえ。
      (主よ、私の盾となって守ってください。)

 3番 静かにきよい み声により お語り下さい、主よ、みことば。
   心のあらし 吹き荒れても、 聞かせて下さい、主よ、み声を。

 前の歌詞は、こうであります。
  (3) 静かにきよき み声をもて 名利(めいり)のあらし しずめたまえ、
     心にさわぐ 波はなぎて、 わが主のみむね さやに写さん。
     (神様の御旨をはっきりと示され、歩んで行ければと思います。)

 4番 主は約束を かたく守り、 終わりの日まで 導かれる。
    私はここに 誓いを立て、 主よ、終わりまで 従います。

 前の歌詞
  (4) 主よ、今ここに 誓いを立て、 しもべとなりて 仕えまつる。
     世にある限り この心を 常に変わらず 持たせたまえ。

 新しい年、私たちは、「主よ、終わりまで、あなたに従います」と誓いを立てたいと思います。イエス様は「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と約束くださいました。主イエス様は、約束をかたく守り、終わりの日まで、私たちを導いてくださいます。

 主イエス様は、決して私たちを裏切ることはありません。ですから、私たちも、この世にある限り、神様のしもべとして、終わりまで、主に従ってまいりたいと思います。

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