パネルディスカッション

パネルディスカッションの写真(パネラーの皆さん) パネルディスカッションの写真(パネラーの皆さん)



パソコン要約筆記の写真 パソコン要約筆記の写真



パネルディスカッションの写真(出席者の皆さん) パネルディスカッションの写真(出席者の皆さん)



司会者:
では、パネルディスカッションを始めたいと思います。
前に座りましたのが、皆様から向かって右側から岩下さんで、岩下さんの左側は林さんです。
林さんの左側が、これから自己紹介をして貰いますけれども群馬県立盲学校の先生をしております新楽和則さんです。
皆様から向かって一番左側が、パソボラ・サポート群馬代表の平田です。
では、司会が平田になっておりますので、マイクをお渡しします。

平田:
この時間は「パネルディスカッション」っていう形なんですが、質問をして、それについて何か応えていきたいなと思います。
それで、私の方から2・3質問を考えてあります。
その後、講演の中で気づきましたこととか質問とか、この点について話を伺いたいとか、会場の方からも質問を受けますのでよろしくお願いします。
では、最初に新楽さんがまだ講演をされていませんので、簡単に自己紹介を、一番先にしていただいて、始めさせていただきます。
まず、新楽さんの自己紹介から。

新楽:
こんにちは。

会場:
こんにちは。

新楽:
ええと、新楽和則といいます。
現在は群馬の県立盲学校、皆さんの母校になるのかも知れませんけれども、そこの専攻学科の按摩マッサージ鍼灸の教員をしています。
視力は、0.01弱、見えるんですけれども墨字を使うことはできませんので、普段は点字使用者です。
ええと、今回盲学校には情報処理担当の人というのはいるんですけども、私は情報処理の担当ではないので、あまり学校側はどういう風にっていう話は、十分にはできないと思うんですけれども、まあ、学校の様子とか自分がどういう風に使っているとかっていうことを少しお話できればと思います。
で、自分がどのように何を使っているかだけ言って、マイクをお返ししますけど、一応ホームページは先程の講演でも出てきましたけども、ホームページリーダーというソフトで色々なホームページを見まして、主に授業の資料なんかを作るのに使っています。
例えば、臨床医学各論で各疾患について勉強する科目で、細菌の発生状況などを調べてみたりとか、後は衛生学なんかを参考にさせて貰ってますんで、例えば何年度の死因順位なんかを調べたりとか、そんな風に。
あとは趣味の関係で、趣味のメーリングリストなんかで色々発言したりしているんですけど、あとは書類書いたりすることもあるんですけど、その場合はMS-DOSの昔ながらの環境の方が使い勝手が良いので、そちらが中心になっているんですけど、一応ワープロソフトを使ったり、通信をしたりという形で仕事をさせて貰っています。
よろしくお願いします。
(会場、拍手)

平田:
はい、どうもありがとうございます。
私ども、こういう講演は初めてでして、緊張してるんで上手くまとめられるかどうか、非情に不安なんですがよろしくお願いします。
早速ですが私から四つくらいの話題を考えてありますので、それについて投げかけて、どう考えているのか伺いしたいなと思います。
まず、今、全国的にですね、パソコンボランティア団体が増えて来ていまして、私たちの団体も群馬ではかなり有名と言うかそれなりに「名が知れて来たかな」っていう団体です。
それと、私たちの団体ができた頃、同じ頃に群馬県の方がかなり障害者のパソコン利用に関して理解を示して来まして、昨年度からパソコン周辺機器の助成をやったりだとか、今年度からはパソコン本体の補助までやったりとか、パソコン講師の派遣事業も今年度からやってます。
そんなことでですね、行政もかなりこう、理解を示して来たなっていう段階ではあるのですが、今後、公的な機関での支援とかサポートがなかなか受けられない現状があることがあり、こうした現状の中で今後、特に視覚障害者のパソコン利用の対応はどう考えてどうあるべきかとか。
パソコンボランティアが主になるべきなのか、公的機関が主になるべきなのか。
その辺の考え方がありましたら、お聞かせ願いたいんですが。
岩下さんからよろしいですか?

岩下:
そうですね。
そういう支援をボランティアでやるか、公的機関でやるかということなんですけれども。
もちろんこういう活動は、先程から再三出ているITっていう話が出ておりますけれども、こういうものをボランティア任せにしているってことが、本当はおかしいんじゃないか。
前から私が言ってることなんですけれども。
昨年、郵政省の方で「情報バリアフリー懇談会」ってのを持った。これもう終わったんですけれども、そこの中でもリハビリというか、バリアフリーを進めるっていう公的支援が必要だっていう話はでるんですけれども、具体的にどうやって進めるかっていうと、「ボランティアの活用」とかいうことを行政の人間がどうどうと言ってる訳ですね。
じゃあ行政として、そういうボランティアの人たちに、どういう支援っていうか助成してるのかって言うとですね、やっと今度、そのITってことでいろいろ予算化されようとしていますけれども、当時、何も具体的なものが無くですね、ボランティアの草の根的な活動に任せてしまう。
こういう姿勢自体が元々おかしい訳で、その一方でですね、今ご存じのようにですね、晴眼者向けにパソコン教室とかですね、メーカーが有料でビジネスとして、そういう支援が行われている訳ですよね。
それからもうひとつ、これもやはりビジネスとして視覚障害者向けのパソコンやソフトを開発・販売している様なところがですね、有料で行っているサービスがあります。
そういう有料のサービスと、こういうボランティアっていうものが、今、混在している状態じゃあないかなと思うんですね。
まあ、メーカーでも一部そういう障害者用のサービスっていうのはありますけれども、
ええ、こういうものが混在している状態で、なんでボランティアっていう人たちが無料でこういう事をやらなければならないかっていう、それぞれ特色はあると思うので、存在意義としてはですね、どれもあると思うんですけれども、
やっぱり最終的にはですね、きちんと明示されるようなですね、やはり民間でやるってことは無理があるんじゃあないか。
それなりに見合うだけの最低限必要な経済的保証がないものは行政がするとかですね、あるいはきちんとそういうものがビジネスとして、成り立つような社会でないと、なかなかバリアフリーとかですね、ユニバーサルデザインには進まないのかなってことを思うんですね。
特に私なんか、今仕事としてやってることなんかは、やはり、うちの勤めてる会社は民間企業ですから、新聞社と言えども、決して今やってる「点字毎日」に関してもそうですけれども、無料で、単なる社会貢献としてやっていられる訳、やっているだけじゃ無いんですよね。
やはり、現状としてはきちんとそれに見合うだけの広告を取ってこいとか、何らかの協賛を獲得しろとか、そういうノルマっていうのは、まあはっきり言ってある訳なんですね。
私も仕事の半分以上はそういう営業活動もしてまして、やっぱりそういうことを考えると、これから進めるにはですねえ、行政が良いのかビジネスとして成り立つのか分かんないですけども、やはり何らかの経済的な保証っていうものが必要だろうっていうことは、断然言えることだと思います。
ちょっと長くなりましたが、以上です。

平田:
そうですね。林さんは?

林:
まあ、もちろん政府も「IT、IT」って言ってるくらいなんだから「誰でも使えるインターネット」って言ってらっしゃるので、やっていただかないと困るんですけども。
そうですねえ、企業のビジネスとしてもマーケットは小さいですけれど、そういうのを進めるのに公的な援助があるとか、就労の面を考えて支援してやるのであれば公的な訓練を受けられる場所を、もっと整備するとかが必要だと思うんです。
パソボラは何が良いかと言うと、川崎のパソボラが設立当初に目指していたものっていうのは、、
群馬って非情に広いエリアですよね、川崎って川崎市内だけなので狭いんです。
「自転車で通えるサポート」ってのがありまして、要するに近所付き合いの延長みたいなもので、ちゃんとそういう訓練とかセットアップとかは公的な機関にやってもらう。
やって貰えば良いんですけど、その後「ちょっと困った」とか「こういう時に教わろうか」とか
例えばそうですね、近所に詳しい人がいたら家電製品の使い方を聞いたりすると思うんです。
「そういうような身近なところで安心してサポート」ちょっと助けてくれる部分が、私が思っているパソボラで、逆に最近はNPO活動とか、そういうのがあるみたいですけど、そういう団体とか出てくると私個人としては「友達としてのスタンス」「気軽にサポート」っていうのが、ボランティアのやることじゃないかなと思うんです。

平田:
新楽さん。

新楽:
今、世の中でボランティア、ボランティアって、パソボラの活動に限ったことではないんですけれど、例えば我々視覚障害者で言えば、点訳のボランティアっていうのがあったりとか、いろんなところでボランティアっていうのがある訳なんですけれど、
あのう、上手くは言えないんですけど、完全に公的なものに頼るだけのものになってしまうと、時間が「月曜〜金曜日の9時〜5時までしか受けられません」とか、そういう、逆に使いずらい、使いずらいなんて言ったら失礼かも知れないんですけど、利用しにくくなってしまうっていう面もあるような気がして、
だからこう、上手くは言えないんですけれど、ボランティアの活動を公的な県なら県とか、市なら市とか、そういうところが上手く補助してくれるとか、サポートするとか、そういう形になっていければ良いなあと思っているんですけれども、
例えば1回にいくら出すとかの、そのボランティアにかかる交通費は出すとか、具体的には分からないのですが、ボランティア活動にかかる費用は地方の自治体が持つとか、ボランティアと公共機関とが上手く繋がったり、上手い関係のなかでできればいいなと理想的には思っています。
そんなところです。

平田:
ええと、パソボラ・サポート群馬ではですね、最初思っていたのはやはり川崎パソボラと同じように、仲間作りという障害を越えたサポート作りができあがりつつあります。
というところだったんですが、最近になってきて県のパソコン講師派遣事業を、公的事業としての委託を受けて行う仕事なんかをやってます。
今、県の方に要望を出しているのは、「障害者の方が自由に行って、パソコンが動かせるところを作って下さい。」って、その運営をパソボラ・サポート群馬でやれれば、いいんじゃないかなっていう考えを、実は持っています。
なので、私個人の考えとしては、パソボラ・サポート群馬で真偽はしていないのですが、私個人の考えとしては仲間作りというか、障害を越えた仲間作りを大事にしながら、公的な部分の仕事をボランティア団体として、担って行ければいいのかなって思っている段階です。
一応、そういうことでまとめさせていただければと思います。
で、次。
ちょっと趣を変えまして。
1ヶ月前の読売新聞の県内版に出たんですが、群馬県立盲学校にパソコンが50台入ることになったそうですね。
新楽さんそうですね?

新楽:
はい、それは。

平田:
で、私が思うのは多分特殊教育の現場で、盲学校、聾学校、養護学校とある訳なんですけど、それぞれの現場で小さい頃からのパソコン利用は、必要なんではないかなと考えています。
そうした中で、以前、ユニバーサロンのメーリングリストの中で、東京のある新聞が普通中学校に視覚障害児が二人通っていまして、その二人の子供がホームページを立ち上げたんですね。
そこで、自らの学校生活の様子を紹介していました。
それで、私が思うのは先天盲の子供達でも早い頃からですね、健常児の教育とかパソコン利用の教育をちゃんと受ければ普通学校でも十分通学ができるのではないかな、
1県に1校しかない盲学校へ行くよりも、私立の学校に通えるんじゃないかなっていう考えがあるんですが、盲学校のパソコン利用と小さい頃からのパソコン教育について、何かお考え等あればお話を伺いたいなと思います。
新楽さんから。

新楽:
今、紹介があったように盲学校にパソコンが入ることは、県の予算として決まったんですけど、具体的なことについてはこれから、
例えばどこのパソコンにしてとか、これからなって行くところなんで、いつ入って学校以外の人も使えるのか、入ったらどんな用途に使うんだっていうところまで、全然行ってなくて、入ることが決まって、今、職員などが研修をして準備して行きましょうっていった状態です。
それで、今の質問に上手く自分が応えられているか分からないんですけど、50台のパソコンをどうするかっていうのもそうなんですけども、盲学校でのパソコン教育ってことについては必要だとは思うんですけど、ただこう、どこまでをどの程度のことを。
あっ、その前に、今度2002年度から月曜日〜金曜日までの週5日制になって、授業が少なくなっていったりすることもあって、学校の中でやらなければいけないことっていうのがどうしても、
例えば専行科でしたら按摩マッサージ鍼灸の、まず技術と免許、あと学科試験もあるんですけど、それを取るために必要なもの、プラス何かっていうものになると思うんです。
パソコン教育っていうことになると。
だから、おそらく普通科の方ができれば、普通科勉強の上にあって、上か下か分かりませんがそれプラスやるものだと思うんで、学校では学校でその時期に身につけて貰わなければいけないものっていうのがある中で、パソコン教育ってのをするってなると、どういう風にどの程度のことを、どんな風にしたら良いのかって、ちょっと僕も学校も考えているっていうところです。
例えば、ワープロの使い方の授業としてとれるのは、週1回か2回になっちゃうと思うんです。
その授業の中で、どの程度の事がやれるとしたら、ワープロとか点訳ソフトの使い方とか、そういう形になるのかも知れませんけど、盲学校の中でどの程度のことをどれだけやれるのかって言われても、もう少し整理しないと、なんかパソコンの方に流されて行くような。
パソコンはあるんだけれど上手く授業に生かせない、パソコンに振り回されてしまうようなところがあるような気がして。
そのあたりのことは、うちの学校だけじゃなくてパソコンパソコンって言われているんですけど、本当のところ、じゃあ「IT教育」だなんだって言われても、「どういうことをどういう風に、どこまでのことを教えるのか。」とか、それ辺りをもう少し整理しなけりゃいけないんじゃないかなっと思ってます。
それが盲学校でとか一般の学校でとか、そういう話がありましたけれど、パソコンを使えることによって、「盲学校じゃなくて一般の学校で」とかっていう道は開けて来るのかなあと思うんですけれど、とにかくどこまでを学校でやったら良いのか、今、悩んでいるような状態で、そんなところなんですけど。

平田:
林さん。

林:
私、学校関係者ではないので、無責任なことを言ってしまいますが。
あのう、さっき言ったことを二つに分けて考えると、学校にパソコンが入るといってもパソコンパソコンって時間を設けて別に教えることはなくって、例えばそうですねえ、国語の時間に、もちろん点字を拾得してからかも知れないですけれども、難しい一般の文章を書けるようになるとか、何か社会科の授業で調べてみようとか、今、一般の学校でやってると思うんですよ。
多分、先生よりも生徒の方がどんどん慣れて来て、1週間に1時間か2時間しかパソコンに触れられない時間を作ってしまうと、それは誰でも1週間に1回では忘れてしまい、なかなか身につかないと思うんですけれども、そういう風にもっと柔軟にというか、上手く取り入れて行けば良いのではないかと、全然関係ない無責任な人間が言ってしまえば、私はそう思います。
もうひとつ、統合教育というか一般校に通うっていうケースなんですが、もちろん、今までよりはやり易くなると思うんですけども、我々視覚障害者が一般社会に出たときに、最低限自分で歩けるとか、もちろんパソコンを使えば普通の「漢字かな混り文」は書けますけども、やはりベースは点字を自分で読み書きできるという、文字をひとつ持っているべきだと思うんですよ。
その上で、そういう最低限の一般なことのサポート体制ができた上であれば、もちろん一般学校に行った方がいいと思うんですね。
私、普通科まで盲学校で、大学に行って何かそういう違和感を感じると言うか、授業を聞いてないというか聞こえない、
たくさんの人間の中で勉強するっていうのは、それまでないことなので、もちろんそれは小さい頃からやって行くってことは良いことだと思うんですけども、まあそういうしっかりしたバックアップ体制ができない限り、中途半端な時点でやってしまうと、普通学校へ行かされている子ども自体が可哀相な気が、私はします。
我々の世代、統合教育を受けた人がいるんですけども、いつも友達が出てきてくれるんで、なかなか一人で歩けない。
そういうようなことを言ってる人かいました。
そういうようなことがなければ、一般の学校で学ぶことは非情に良いと思ってます。

平田:
岩下さんは?

岩下:
あのう、私も教育ってこと自体、専門家ではありませんので、適切なことが言えるかどうか分りませんけれども、私の経験からちょっとお話しますと、昨年、ご存じのように「総合学習の時間」っていうのが普通学校で始まっていますけれども、それは何か「予備授業」ってことでですね。
なんか東京の江東区にある大島第4小学校ってところに、呼ばれまして、そのまあ、障害者がパソコンを使うってことについて、デモをやって子供達に説明して欲しいってなことで、ちょっとお話ししたことがあります。
小学校3年生のクラスで40人くらいいましたかね。
で、そこの学校、非情にユニークなのは情報処理の教室、部屋っていうのがあって、そこにパソコンが導入されていてですね、LANもあって子供達自信がパソコンを使った教育っていうのをやっているところで、非情に進んでいる学校だったんですけれども、そういうところで、私、非情に驚いたことは、子供がメールとか、9歳くらいの子供がバンバン打っちゃうんですよね。
凄いなと思ったんですけれども、その中で私はホームページリーダーを持って行って、子供達に「こうやって音声で聞いてできるんだよ」っていうようなことを話をしてですね、もう、子供達っていうのは、すごく偏見がなくてスッと入って行くんですね。
ええ、あわせてですね、コンピューターだけじゃなくて、町の中で目の見えない人がいたら声かけてねとか、こういう風にして手引きするんだよとかいうことを実際に教えるとですね、直ぐ、頭で考えるよりも直ぐに行動に移しちゃうんですね。
そういう意味でね、まあやっぱり統合教育っていう形は、理想としては良いことじゃないかと思うんですけれども、反面、今、林さんから指摘がありましたけれども、障害者にとって障害者として必要な教育っていうのもある訳ですよね。
同じ視覚障害者同士でいるから身につくような、「視覚障害者として、生きるためのテクニック」って言うんでしょうかね。
まあ、そういうものを学び合うことがある訳で、それが普通学校に行ってきちんと身につくのかなあ。
それは単に点字とか歩行とかいうことだけじゃなくて、やはり視覚障害者としてのアイデンティティーって言うか、そういうものができないで大人になっちゃって、何か挫折しちゃうっていうんですね。
そういう統合教育のケースも見たことがあるので、これは難しい。
安易に統合教育は全部OKっていうことは、ちょっと言えないのかなって思ってます。
そして、学校とパソコンということについて、あと「仙台シニアネット」という高齢者がやっているパソボラって言って良いんでしょうかねえ。
高齢者が高齢者にまずパソコンを教えて、今度習得してパワーユーザーになった高齢者が他の高齢者に教えるってことを、最初はやっていたんですが、そこから始まって仙台の小学校の空き教室を使って、そういうところで一般向けのパソコン教室を開いている。
あと、先程言った総合学習みたいな時間のところで、子供達、お年寄り達がパソコンを教えてですねえ、そのことによって高齢者教室で子供達が交流するってことで、そういうケースが始まっている訳なんですがね。
そういうものをもっと拡張して、例えば障害者同士、障害者と高齢者や子供達とか、いろんな形でパソコンを媒介して何か交流するってこととか、福祉の理解を広げて行くっていう手もあるのかなあって、そんなことも私の考えです。

平田:
はい、どうもありがとうございます。
ちょっと、統合教育についてのスタンスというか、私の意見を申し上げますと、私どもパソボラ群馬の会員で国立特殊教育研究所におられた方がいまして、今、群馬の教育委員会にいるんですが、その方が良く言う言葉で「これからの特殊学校は、地域の障害児の選択したいところを担えば良いのではないか。」ということを言ってました。
要は障害児に関わる先生方のサポートによる、あるいは障害児の専門、あるいは今言った点字教育だとか歩行の訓練をまとめるための拠点のようになれば良いなということも言われています。

岩下:
あのう、ちょっといいですか。
今のお話なんですけども、現実問題としてですね、今の盲学校の子供たちが少なくなったっていうんですよね。
そういうことで、先生が余っちゃっていて、「巡回教室」っていうんですけど、普通校で学んでいる障害児にその盲学校の先生が出向いて行って、専門的な教育をするというケースが今どんどん増えてきている訳なんですねえ。
で、まあ、そういうことで盲学校が一種のセンター的な役割を担う、そういう話だと思うんです。

平田:
全くその通りだと思います。
学校のことに関してはこれから群馬でも始まるんですが、インターネットを介してみんなが情報を得て、先生方の講習をまずやって、その中でいろいろな形でパソコンを取り入れて行く様なことができればなと私は考えています。
次に、考えてきたのはですね、最近、家電品なんかでも「しゃべる冷蔵庫とか洗濯機とか」出てきています。
どっかの会社が作っているんですけども(笑い)。
最近、視覚障害者の方に良く言われるんですけど、「携帯電話は、電話と本体の機能は使えるんだけれども携帯電話のメール機能は見える人だけのもので、視覚障害者には全く使えない。これは逆差別ではないか。これが使えると便利なんだけどな」ということを良く言われます。
最近、ドコモさんから「しゃべる携帯端末」が出たんですが、メールの読み上げだけで、操作に対するフィードバックがないんで、視覚障害者には全く使えない訳ですよね。
で、この辺の何て言うんですかね、パソコン以外の機器のアクセシビリティーっていうんですかね、こういうので、お考えとか今後の動向とか希望とか、お聞かせ願えればと思います。
では、岩下さんから。

岩下:
あのう、一般的に言わなきゃいけないんだろうなと思うんですけれども、個人的なことを言いますと私は携帯電話を持ってますけれども、だいっ嫌いなんですよ。
マニュアルとかも全然見る気もしないし、まあ仕事で必要だから持っているんですけども、ほんとに視覚障害者の中で色々使いこなして登録とかしたりとか、色々やってらっしゃる方がいっぱいいて、凄いなと思っているんですよね。
個人的には全然だいっ嫌いで、極力電源スイッチを切っちゃうんですよね。
なもんで、話題にはなってますけどもあんまり関心がないって言うか。
パソコンは興味あるんですけれども、携帯は嫌いなんですよね。
でも、何でも使える方が良いわけで、これは個人の好みの問題ですから、もちろん基本的には使えなきゃいけないんでしょうけれども、多分この話は林さんの方が詳しいと思うので回します。

林:
あのう、私も携帯嫌いなんです。
私も実はメモリ登録使ってません。
機種交換の時「メモリ移しますので」、「良いですけど何も入ってません」くらいのユーザーでなぜ持ってるかと言うと、公衆電話を探すのがめんどくさい。
それだけで使ってます。
その携帯端末の話、見たことあるんですけども、要するに本文は音声で読み上げるんですけども音声ガイド無し。
まあ、メールは来たのは良いんですけど、削除ができないでどんどん貯まって行く。
まあ、なれてる人は消せるのかも知れないですけども。
そういうので、我々には普通は使えない。
中には、携帯電話にメモリー登録してやっている人がいるので、このカーソルとかを何度か押すとできるとか、そういう凄いワザは私からして良くできるなあと。
凄い人もいるので、使えないこともないと思うんですけども、まあ一般的には使えない物であろうと思っています。
私、外へまで出てメールを見ようなんて気はないんですが、何故見る機会があったかと言うと、仕事の関係でポケベルを持たされていたんですけども、音声対応のポケベルがついにサービス停止になってしまいまして、その代替え案としてちょっと機会があって見に行ったんですけども。
仕事でなければ、携帯とか個人で持っても外にいるときくらいメールから開放してくれという気分がしてまして、メールは会社内ではいやでも読まなければいけない状況なんで。
でもまあ、一般の人がそういうものが使えると嬉しいんじゃないかと思うんですね。
技術的にはメールの本文をしゃべらせる方が難しいと思うんですよ。
やろうと思えばできる話だと思うんで、問題は企業がやる気があるかどうか。
多分、これから誰でも使える物を作らないと売れなくなるっていう、だんだんアメリカの様なことになってくると作らざるを得ないんで、そういうので、やっぱりできて来るんではないかと期待したいような感じなんですけども。
あとはですねえ、家電製品とかは、私、もっとやって欲しいんですよ。
何がやって欲しいかって、まずエアコンなんですよ。
今、何℃で運転しているかっていうのをしゃべらせるのは、ほんと簡単だと思うのに無いんですよ。
パソコンやそんな物よりずっと簡単ですよ。
そういうのは出てないですね。
あとビデオですね。
今、音声で使える機種は1機種か2機種しかでてない。
そうですねえ、平田さん色々お願いしますよ。
某会社でもどこでも売れるかも知れない。
よく、最近、点字貼ってあるのは多いんですけど、そういう生活に密着した物を使いこなせるかは別にして、そういう最低限の機能が使えるっていう状況が大事だと思うんです。
何かまとまらない。

平田:
新楽さん、お願いします。

新楽:
ええと、実は私は携帯電話は持っていないので(会場、笑い)、学校にいる時は連絡は学校に来るし、出張する時は必ず連絡先とか、あと一緒に行く人が必ず携帯電話を持ってる。
(会場、笑い)
持っていると無くしてしまう
(会場、笑い)
物の管理が悪くてあれなんですけど、あのう、持ってないんです。
ただ、携帯に限ったことではないんですけれど、機械とか何とか全部「IT」だっていうふうに、、
先日、健康ランドに勤めている友達が、マッサージしている埼玉の友達なんですが、「今までは、人が誰々が何時にマッサージを受けるということを記入していたのが、機械になっちゃって、それが音声が出ないから自分は困っている。」なんて話をしていた人がいて、それとか我々の身近なところだと、ATM(現金自動支払機)とか、我々だとタッチパネルだと使えないってことがあって、それはままだまだ作る段階で企業がそういうシステムを作る段階で、障害者が対照になってないからだと思うんです。
僕も何度か、群銀に「こういうのを作って欲しい」あっ、店名を言っちゃいましたけど(会場、笑い)、そう言って頼んだんですけど、点字をつけたり音声をつけるには相当予算がどうのこうのって言われるんですけど、じゃあ、あとにつけるとそうなのかも知れないんですけど、作る段階で対照に入っていれば、そんなにかかんないと思うんです。
やっぱり我々が、基本的なことににっちゃうんですけど、我々が声を出して「こういうことで困っているので、こうして欲しい」とか、要望を出すことと、あと、大切なことはただ出すことだけじゃなくて、何かシステムが新しくできたり、そういうことがあったら、「こういうことで使いやすくなったとかっていうのを」メールでも良いし、電話でも良いし、感謝の気持ちみたいなのを「そういうことをしてくれた相手に表現する」ことも大事なんじゃないかなって思います。
だから、我々だって要望すると同時に、要望して何か実現した時には、感謝の気持ちみたいなのを表していくことが、今後の我々の生活にとって大事なのかなって考えています。

平田:
はい、どうもありがとうございます。
岩下さん、お願いします。

岩下:
あの、今の新楽さんのお話で思ったんですけれども、そこがバリアフリーとユニバーサルデザインの違いだと思うんですよね。
後から音声装置や点字ディスプレイを付けるとなると、やっぱりどうしてもコストの問題とか出てきてしまうんですけれども、元々作ったやつがですね、その中にそういう機能が入っていれば、それを買わざるを得ないんですね。
だから、バリアフリーっていうのは、例えば、視覚障害者が使える音声付きの券売機を別に作るっていう発想なのですけれども、ユニバーサルデザインだと全ての券売機の中に、誰でも使える機能が入っている。
もう選択の余地は無いんですよね。
しかもコスト的にも専用機を作るよりも遥かに安くできると思うんです。
要するに、みんなと同じ物を買うってことと同じ発想な訳ですから、だからやはり、これからはユニバーサルデザインっていうものを、どんどん啓蒙して行く必要があるんじゃないかなと想います。

平田:
どうもありがとうございます。
えーと、私の発言なんですが、まずあのう、家電メーカーに勤める者として(会場、笑い)、今回のことは、機会があれば要望して行きたいと思います。
それとですね、最後に良い話しが聞けたんじゃないかと思うんですが、「障害者の立場で意見を言う。」ってことが、大事なんじゃないかなってことが、このお話の中で聞けたのが良かったと思います。
あと、時間が良い具合に進んで来たので、時間もそんなに無いんですが、最後にまとめてご質問等、会場の中からあればお受けしたいと思うんですけど、あのう、ございますでしょうか?

(会場から、声がかかる)
植木:
えーとですね、栃木の植木と申します。
新楽先生にちょっとお伺いしたいんですけど、実は私が聞いたところによりますと、点訳図書、音訳図書の利用率っていうのを見てみますと、実は、栃木県においては音訳図書の利用者が、ものすごく多いって聞くんですよね。
点訳図書の利用者は、ほんとに限られていると。
せっかく点訳していただいたのにも関わらず、「利用者が限られている。」で、何故かって言うと、「指で読むよりも耳で聞いちゃった方が楽だから。」そういうことになりまして、実は栃木県内においても点字を忘れてしまった、点字を読めない、点字が書けない会員が何人かいらっしゃるんですね。
で、そんな中でですね、パソコンが普及して来ますと、パソコンで音声で読ませれば点字で読むことはない。
で、入力するのに点字は知らなくても6点入力しなくてもローマ字変換でもフルキーからでも入力できる。
従って、だんだん点字から逆に離れていってしまうんではないかっていう懸念があるのですが、いかがでしょうか?

新楽:
えーと、まず群馬県全体のことは私もちょっと分かんないので、学校のこととしては、あのう、点字使用の生徒自体がすごく少なくなっています。
それは多分、うちの学校だけではないと思うんですけど、点字使用の生徒が減ってるって言うんですけど、その中でも点字使用の生徒が減っているということとはまずありません。
それと、音訳図書を利用する方が多いということなんですけど、まあ、特に中途で目を悪くした、多分ここにもたくさんいらっしゃると思うんですけど、そういう中途で目を患われた方の場合なんか、かなり視力が悪いんだけど、最終的にどの文字を使うっていうのは、その生徒に選択権がありますので、点字をいつでも教えてお話ししますよと言うんですけど、やはり「3年間ぎりぎり、拡大読書機とか使ってでも免許を取る試験までは、墨字で何とか終わらせて、クリアーして」っていう人が多くって。
そうすると普段の授業や勉強は、「点字ではなくてテープで」っていう人が多くなって来てます。
学校で、これから点字離れが進んでいってしまうっていうのは、どうなんですかねえ。

小学部の子なんかは結構、本読むのを好きな子が多くて、点訳して貰った本を、ボランティアの人に点訳して貰って、学校で印刷して読んでいる子なんかいるんですけど、点字離れがどうのっていう問題と同時に、本離れみたいのがかなり進んで来たっていう。
そういうところがあるので、もう少し本自体の方こと、パソコンとかそういう物の大切さとか、そんなことがまず大事なのかなって思っている。
ちょっと、質問の答にならないかも知れないんですけど。

平田:
それでいいですか?

植木:
いいです。

平田:
他に何かございますか?
無ければこれで、パネルディスカッションを終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
(会場から、拍手)

司会者:
では、3人、岩下さん、林さん、新楽さん、大変ご苦労さまでした。
(会場から、拍手)

司会者:
本日のプログラムは全て終了しましたが、ええと、最初に紹介し忘れたんですけれども、パソボラ・サポート群馬では、今日、聴覚障害者が2名ここに出席しているんですけれども、その聴覚障害者の情報保障のために、ノートパソコンをLANで繋いで講演とパネルディスカッションの要約筆記をしていただきました。
入力者2名の方、どうもご苦労様でした。
(会場から、拍手)

終わり。





シンポジウム目次ページへ戻ります。

歴史と活動履歴へ戻ります。
トップページへ戻ります。