JEUX D’ENFANTS
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月蝕版ピーターパン

J・A・シーザー氏の合唱曲は恐らく2曲、メインテーマは嘉納昌吉氏の「花」。
血糊、蝋燭の演出は健在。最前列でかぶりました。
ザムザ阿佐ヶ谷の音響効果には素晴らしいものがあり、最初の合唱から一気に作品に入り込むことが出来ました。

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革命家の(ほな美りん改め)保鳴美凛さん、松本渉さんはやはりカッコイイです。大阪の家族を演じたときの早変わりも見事。
タイガー・リリーの吉田恭子さん…「白夜月蝕の少女航海記」では、そのうなじを間近にみてメロメロでしたが、今回はネイティブ・アメリカンの民族衣装から伸びる「おみあし」でした。綺麗な脚は大好きです。

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今回の宇井千佳さんは、ロシア皇后アレクサンドラ。女王様。
貴族的な物腰も堂々としたもので、好演でした。

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原作のラストシーンからはじまるこの舞台は、ロシア帝国の黄昏(怪僧ラスプーチン)とネバーランドの危機に現代の女子高生を巻き込み、革命家と大阪のド根性をからめて喝采のうちに幕となりました。

幻想に心をあそばせ、その中に生きようとする主人公、コユリは結婚もせず、子供も生まず、ただただピーターを待ちつづけました。
人魚の肉で体は若いまま、魂だけが老いていった老婆、コユリ。
長崎萌さんの舞台姿はとても可憐で、象徴的でもありました。

大人の男であるラスプーチンを目を瞑って倒したピーターパンは、当然のように子供のまま歳月を重ねてコユリと再会、ついに空へ飛び立ちます。
一之瀬めぐみさんは、そんな子供の陽気と無邪気と残酷を「ぱっ」と開くような笑顔で存分に表現し、ときには凄みさえ感じさせました。さすがです。

観客の心の「子供」にはきらきらと輝くものを、「大人」には痛烈な皮肉と満足をあたえるラストシーン。
童心の笑顔で手をたたきながら、ピーターへの恐れと憧れを確かめる舞台でありました。