推理小説 書評リスト

1996年7月−8月
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《7月》
『1996年版推理小説代表作選集』 日本推理作家協会編(講談社)〈エンターテインメント〉
    北上次郎・評 読売新聞 1996年7月1日
    ※ なぞ解きと人生の悲哀 最もぜいたくなアンソロジー

◆「香山二三郎のミステリー・ガイド」 香山二三郎・評 産経新聞 7月3日
    『貧血症気味の薔薇』 真崎健三(講談社)
    『髑髏は長い河を下る』 森山清隆(新潮社)
    『SINKER 沈むもの』 平山夢明(トクマ・ノベルズ)

◆『金田一耕助の新冒険』 横溝正史(出版芸術社)
    大多和伴彦・評 産経新聞 1996年7月6日

◆『蒼ざめた街』 藤田宜永(朝日新聞社) 〈エンターテインメント〉
    細谷正充・評 読売新聞 1996年7月8日

◆『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社)
    風間賢二・評 産経新聞 1996年7月14日

◆『人格転移の殺人』 西澤保彦(講談社ノベルス) 〈エンターテインメント〉
    北村薫・評 読売新聞 1996年7月16日

◆「香山二三郎のミステリー・ガイド」 香山二三郎・評 産経新聞 7月31日
    『人格転移の殺人』 西澤保彦(講談社ノベルス)
    『Z』 梁石日(毎日新聞社)
    『雷撃深度一九.五』 池上司(新潮社)

◆『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社) 〈今週のベスト・エンタテインメント〉
    井家上隆幸・評 週刊現代 7月13日号
    ※ 冷戦終結後の「喪失感」を打ち破り再び破壊と反逆に向かう男の情念

◆『リオ』 今野敏(幻冬舎)
    新保博久・評 週刊朝日 7月12日号
    ※ 全体が丁寧に貫かれ月並みな捜査小説とは一線

◆「Mystery Review」 香山二三郎・評 週刊文春 7月11日号
    『SINKER 沈むもの』 平山夢明(トクマ・ノベルズ) ★★★★1/2
    ※ 残酷描写は多々あれど、今年度の山本周五郎賞授賞作、天童荒太『家族狩り』(新潮社)
      と並ぶ国産スリラーの傑作であるのは間違いない。

◆『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社)
    野崎六助・評 サンデー毎日 7月21日号

◆『どちらかが彼女を殺した』 東野圭吾(講談社ノベルス)〈今週の三冊〉
    小森収・評 サンデー毎日 7月28日号
    ※ 推理する魅力にあふれた逸品

◆『カロンの舟歌』 浅黄斑(徳間書店)〈今週の三冊〉
    北上次郎・評 サンデー毎日 7月28日号
    ※ 父と娘の関係を温かく描く佳作

◆『パズル崩壊』 法月綸太郎(集英社) 〈特選推理小説〉
    関口苑生・評 週刊現代 7月27日号
    ※ 既成の枠に収まらない〈過剰〉な工夫で初心者からマニアまでを唸らせる才気

◆「Mystery Review」 香山二三郎・評 週刊文春 7月25日号
    『人格転移の殺人』 西澤保彦(講談社ノベルス) ★★★★1/2
    ※ その意味では、むしろアメリカ仕込みのオーソドックスなエンタテインメント
      作法こそこの人の持ち味というべきだろう。

◆『どちらかが彼女を殺した』 東野圭吾(講談社ノベルス)
    日下三蔵・評 SPA! 7月31日号

◆『環』 平野肇(講談社)
    池波志乃・評 週刊朝日 7月26日号

◆『ヒュウガ・ウイルス』 村上龍(幻冬舎)〈エンターテインメント情勢分析〉
    笠井潔・評 すばる 1996年8月号
    ※ 危機と跳躍

◆「新刊めったくたガイド」 北上次郎・評 本の雑誌 1996年8月号
    『百合鴎』 藤本恵子(朝日新聞社)
    『シスターズ』 パット・ブース(集英社)
    『東洲斎写楽』 石森史郎(五月書房)
    『どちらかが彼女を殺した』 東野圭吾(講談社ノベルス)
    『ターフの誘惑』 石川喬司(廣済堂出版)
    『ある放蕩詩人の競馬三昧』 志摩直人(三修社)

◆「新刊めったくたガイド」 坂東齢人・評 本の雑誌 1996年8月号
    『マイアミ・ピュリティ』 ヴィッキー・ヘンドリックス(青山出版社)
    『AV女優』 永沢光雄(ビレッジセンター出版局)
    『聖母の深き淵』 柴田よしき(角川書店)
    『江戸前の男 春風亭柳朝一代記』 吉川潮(新潮社)
    『九龍走査線1』 神無月ふみ(C★NOVELSファンタジア)

◆『雪蛍』 大沢在昌(講談社)
    仲英宏・評 鳩よ! 1996年8月号

◆『リオ』 今野敏(幻冬舎)
    坂東齢人・評 小説すばる 1996年8月号
    ※ 主人公・樋口の造形が傑出。胸を圧迫する確かな感動。

◆『パズル崩壊』 法月綸太郎(集英社)
    大森望・評 小説すばる 1996年8月号
    ※ 作品の配列と「あとがき」によって本格ミステリーの歴史を凝縮した

◆「国内ミステリーベスト3」 長谷部史親・評 小説現代1996年8月号
    『リオ』 今野敏(幻冬舎)
    『カロンの舟歌』 浅黄斑(徳間書店)
    『髑髏は長い河を下る』 森山清隆(新潮社)

◆『蒼ざめた街』 藤田宜永(朝日新聞社)
    入江和夫・評 オール讀物 1996年8月号

◆「新刊チェックリスト【日本編】ピックアップ」 山前譲・評 EQ1996年9月号
    『八月の獲物』 森純(文藝春秋)
    『火の壁』 伊野上裕伸(文藝春秋)
    『ノーペイン、ノーゲイン』 山本甲士(角川書店)
    『夏色の軌跡』 西浦一輝(角川書店)
    『聖母の深き淵』 柴田よしき(角川書店)
    『すべてがFになる』 森博嗣(講談社ノベルス)

◆「HMM Book Review Jミステリ・レビュー」 西上心太・評 ミステリマガジン 1996年9月号
    『人格転移の殺人』 西澤保彦(講談社ノベルス)
    『垂里冴子のお見合いと推理』 山口雅也(集英社)
    『インタンジブル・ゲーム』 幸田真音(講談社)
    『蒼ざめた街』 藤田宜永(朝日新聞社)

◆「今月のベストミステリー・国内」 香山二三郎・評 小説推理 1996年9月号
    『SINKER 沈むもの』 平山夢明(トクマ・ノベルズ) 
    ※ ‥‥随所に独自の趣向が盛り込まれている辺り、並の新人ではない。
    『貧血症気味の薔薇』 真崎健三(講談社)
    『Z』 梁石日(毎日新聞社)




《8月》
『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社) 〈売れてる秘密〉
    沼野充義・評 朝日新聞 8月4日

◆「エンターテインメント私のベスト3」 新保博久・評 日本経済新聞 8月4日
    『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    ※ 怪物ウイルスとの闘い描く
    『蛇の目のごとく』 浅黄斑(双葉社)
    『臨海処刑都市』 野崎六助(ビレッジセンター出版局)

◆『Z』 梁石日(毎日新聞社)
    李淳〓 (〓は馬偏に日) 産経新聞 8月4日

◆『雷撃深度一九.五』 池上司(新潮社)
    稲垣真澄 産経新聞 8月8日

◆『蒼ざめた街』 藤田宜永(朝日新聞社)
    郷原宏 産経新聞 8月10日

◆『蒼穹の昴』 浅田次郎(講談社) 〈売れてる秘密〉
    池上冬樹・評 朝日新聞 8月25日

◆「香山二三郎のミステリー・ガイド」 香山二三郎・評 産経新聞 8月28日
    『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    『ビンゴ』 西村健(講談社ノベルス)
    『不夜城』 馳星周(角川書店)

◆『不夜城』 馳星周(角川書店)〈エンターテインメント〉
    北上次郎・評 読売新聞 1996年8月26日
    ※ …つまり新世代の作家なのだ。
      いま私たちは九〇年代の作家の誕生に立ち会っているのだ、という興奮がここにはある。

◆『炎の博覧会』 笹沢左保・夏樹静子・森村誠一
    (”ほのお”は、火を3つ重ねた字)
    石井哲夫・評 産経新聞 8月28日

◆「Mystery Review」 香山二三郎・評 週刊文春 8月8日号
    『パワー・オフ』 井上夢人(集英社) ★★★★
    ※ ‥‥一見単純なコンピュータ犯罪から、「人工生命」という複雑系科学を
      テーマにしたハイテク・サスペンスへと物語をスライドさせていく手腕は
      相変わらずの手練ぶり。

◆『貧血症気味の薔薇』 真崎健三(講談社) 〈メインディッシュ〉
    高橋智恵子・評 週刊宝石 8月15日号
    ※ ‥‥女吸血鬼の内面の葛藤が妖しく物語を彩るホラー・ミステリー

◆『殺意』 乃南アサ(双葉社) 〈メインディッシュ1〉
    大多和伴彦・評 週刊宝石 9月5日号

◆『モダン東京シリーズ』 藤田宜永
    『蒼ざめた街』 藤田宜永(朝日新聞社)ほか
    池上冬樹・評 週刊ポスト 9月6日号

◆「Mystery Review」 香山二三郎・評 週刊文春 9月5日号
    『ビンゴ』 西村健(講談社ノベルス) ★★★★
    『不夜城』 馳星周(角川書店) ★★★★1/2
    ※ ‥‥何を隠そう、著者は歌舞伎町を香港に見立て、香港ノワールの世界を構築
      してしまったのだ。
◆『人格転移の殺人』 西澤保彦(講談社ノベルス) 〈メインディッシュ2〉
    (恵)評 週刊宝石 9月12日号

◆『インタンジブル・ゲーム』 幸田真音(講談社)
    (靖)・評 週刊読売 9月8日号

◆「法月綸太郎の複雑な才能 自ら説明してしまう〈業〉」
    『パズル崩壊』 法月綸太郎(集英社)について
    北村薫・評 図書新聞 1996年8月31日号

◆『模倣における逸脱 現代探偵小説論』 笠井潔(彩流社)
    横井司・評 週刊読書人 1996年9月6日号
    ※ コードを侵犯する自由 本書を契機に活発な議論の展開を期待する

◆『インタンジブル・ゲーム』 幸田真音(講談社)
    永井明・評 宝石 1996年9月号

◆『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社)〈エンターテインメント情勢分析〉
    笠井潔・評 すばる 1996年9月号
    ※ 崩壊と固執

◆「新刊めったくたガイド」 北上次郎・評 本の雑誌 1996年9月号
    『港湾ニュース』 E・アニー・ブルー(集英社)
    『君のベッドで見る夢は』 杉元伶一(講談社)
    『非・バランス』 魚住直子(講談社)
    『勇気凛々ルリの色』 浅田次郎(講談社)
    『スターリンの銀塊』 ジョン・ビーサント(文藝春秋)
    『合わせ鏡の迷宮』 愛川晶・美唄清斗(東京創元社)

◆「新刊めったくたガイド」 坂東齢人・評 本の雑誌 1996年9月号
    『Z』 梁石日(毎日新聞社)
    『リオ』 今野敏(幻冬舎)
    『パズル崩壊』 法月綸太郎(集英社)
    『貧血症気味の薔薇』 真崎健三(講談社)
    『峠越え』 羽太雄平(角川書店)
    『覇王の海 海将九鬼嘉隆』 二宮隆雄(角川書店)

◆『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    大森望・評 小説すばる 1996年9月号
    ※ エレガントな人工生命サスペンス、今年のSFベスト3の傑作

◆『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    下森真澄・評 オール讀物 1996年9月号

◆「国内ミステリーベスト3」 長谷部史親・評 小説現代 1996年9月号
    『デストラクション −空中破壊者』 羽場博行(光文社カッパノベルス)
    『海上タクシー〈ガル3号〉備忘録』 多島斗志之(双葉社)
    『壁の目』 森村誠一(祥伝社)

◆『パワー・オフ』 井上夢人(集英社) 〈現代小説ベスト3〉
    関口苑生・評 小説現代 1996年9月号

◆「HMM Book Review Jミステリ・レビュー」 西上心太・評 ミステリマガジン 1996年10月号
    『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    『スターバトマーテル』 近藤史恵(中央公論社)
    『冬の稲妻』 小河竜生(徳間書店)
    『ビンゴ』 西村健(講談社ノベルス)

◆「今月のベストミステリー・国内」 香山二三郎・評 小説推理 1996年10月号
    『ビンゴ』 西村健(講談社ノベルス) 
    ※ ‥‥あるいは本書の面白さは随所に隠された仕掛けを見い出すことにこそある
      というべきかもしれない。
    『パワー・オフ』 井上夢人(集英社)
    『ジェンター城の虜』 松尾由美(ハヤカワ文庫)
    『雷撃深度一九・五』 池上司(新潮社)

◆「時代が追いついた作家」
    『かくも短き眠り』 船戸与一(毎日新聞社)について
    北上次郎  波 1996年9月号


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last up date 1996/10/20