オバＱといっしょ

黒猫荘
(mobile版)

オバＱといっしょ
オーナー：かい賊
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77.　2005年12月19日 02時30分57秒　投稿：かい賊　
法月綸太郎「法月綸太郎の功績」（講談社文庫）

新本格＝牽強付会を容認するパズラー、としてしまえればこれほど楽なことはないと
思う。単なるクイズではなく、そこに小説的帰結があるからこそ「新」が付くにせよ、
付かぬにせよ本格推理小説というジャンルを読み続けてきたし、これからもその周辺を
含めて読み続けるのだろう。

検索していくつかのサイトの書評を覘いてみたけど、この本一冊としても各編をそれ
ぞれとりあげてみても、いろいろと評価が分かれているようです。「だったらどんな
解釈でもできるじゃん」という意見を脇目に、それでも流れの上で非常に納得がいき、
誰にでも胸を張ってお薦めできるのが「都市伝説パズル」でした。日本推理作家協会
賞は伊達じゃないと思うんですけど。

ちなみに、「イコールＹの悲劇」はいかにも【苦しすぎる謎解き】なんですけど、
ラストの一文でワシ的には小説として合格なんだなあ。本格推理読みとしては不合格
っぽいですけどね。

76.　2005年12月19日 01時45分35秒　投稿：かい賊　
新井輝「ROOM NO.1301 #7　シーナはサーカスティック？」（富士見ミステリー文庫）

なんか巻を重ねる毎に佳奈が可哀想になってくる。さんざん周囲に振り回されて結果と
して幸薄い。

佳奈をはじめとしてほとんどの登場人物が他人に深入りすることを極端に恐れている。
例外は蛍子ぐらいか。心がままならぬのでせめて……、なんかすげぇやらしくなっち
まった、いやワシの文がね。そうかあ、なんとなくハチクロっぽいと感じられたのは
そのせいかもしれないな。

75.　2005年12月19日 01時21分35秒　投稿：かい賊　
日日日「アンダカの怪造学Ⅱ　モノクロ・エンジェル」（角川スニーカー文庫）

主人公伊依に頼もしき相棒出現。モンスター（怪造生物）を怪造できない、する気も
ない古頃（こころ）怪造高等学校の生徒で、誇り高く自らを正義の味方と鼓舞して
やまない少女（というより戦士）。

なるほど前作はプロローグだったのだと納得させられる一冊。もちろん二作ともそれ
ぞれの結末を備え、独立した作品となっていますが、まだまだ怪造学も世界も謎に
満ち満ちています。

作者の紡ぐキャラの名前の創りにどっぷりとはまり始めています。伊依と同室の少女
「片津理夢（かたつりむ）」……なんかすっきりとしませんねえ。この破調に覿面に
やられてしまいました。

ドアをぶち壊さずに室内に入ることができない（一部例外はあるようですが）相棒の
名は「戦橋舞弓（たたかはしまいゆみ）」……舌かみそうだぜ。ドアだけでなく、
読者の言語感覚までぶち壊そうとしているようです。

言語にも物語にも予定調和を許さない姿勢が非常に好もしく思えます。

74.　2005年12月19日 00時45分31秒　投稿：かい賊　
森橋ビンゴ・川上亮・緋野莉月　共著　「青春時計」（富士見ミステリー文庫）

主要登場人物３名の一人称を各作者が受け持つ形で一冊の本に仕立て上げている。
第一章とエピローグの（聖司）担当が森橋ビンゴ。
第二章の（駿介）担当が川上亮。
第三章とプロローグの（慧）担当が緋野莉月。

全体の構成とあとがきから、原案は森橋さんと思われるが、全体の筋立てや聖司の
キャラクター造形はワシの好みと一致していたので、安心して読めました。

三人がそれぞれ全く異なったアイデンティティを持っているので、この３人共著という
形式は一応の成功を収めているのではないかと思う。

ただし、これも好みの問題なのだが、一人どうにも許し難いキャラクターがいて、
個人的には鼻についてしかたがない。もう一人この物語に欠かすことができない
キャラクターがいるのだが、そいつがもう憐れで哀れで。まあ、そんなところも
ワシにとってはプラスの評価。

とてもじゃないが続編は勘弁。ここできれいなまま終わっていてくれたまへ。

[NAGAYA v3.13/N90201]