黒猫荘
(mobile版)

[010号] [012号]
[入居者リスト]


やわらかそうな本の上へでもすわってください
オーナー:砂時計

床を埋めつくす積読本の山、山、山。
ドアからベッドへと続く一筋のケモノ道。
最後に掃除機をかけたのは何年前だっけ……(遠い目)。
そんなダメ人間の部屋へようこそ。

  9〜12件 
[HomePage]   ▼ 投稿する

369. 2007年01月21日 23時05分25秒  投稿:砂時計 
「レイモンド!」
こんにちは、砂時計です。

毎年上演されるフジテレビアナウンサーによる朗読舞台『ラヴシーン』。
昨日と今日行われた11回目はルブラン作の「奇岩城〜ルパンが愛した女」(公式サイトはこちら)。
ミステリファンで足を運んだ人はいるのかな。

演出の河毛俊作氏、最近はドラマの演出を手がけることが無くなりましたね。
『沙粧妙子 最後の事件』『ギフト』『きらきらひかる』『タブロイド』といった一連の作品は、ミステリ好きの人間としても楽しめたっけ(『ギフト』と『タブロイド』は特に大好き)。

モーリス・ルブラン『奇巌城』(あるいは『奇岩城』)は、小学四年に進級した一学期の始業式の学校帰りに買って読んだ憶えがあります。自分が読んだ四冊目の推理小説で、初めて読んだルパン物でもありました。
内容的にはとても面白かったのですが、「ホームズがそんなことするかー!!」という思いは抑えられず……もっとも、これはルブランが悪いのではなく、作中の「エルロック・ショルメス」を「シャーロック・ホームズ」にしてしまう翻訳の問題。この慣例は何とかしてほしいと今でも思っています。
五十がらみの平凡そうな男で、がっしりした体格、赤みを帯びた頬ひげ、ちょっぴりもさっとした風采……と外見からして別人なのになあ。
そんな、ホームズとは別の個性を持ったショルメスを主人公にした『エルロック・ショルメスの冒険』なんてパスティーシュを読んでみたい思いもあります。誰か書いてくれないものだろうか。

話は変わりますが、昨日、映画『時をかける少女』を観て、高畑京一郎『タイム・リープ―あしたはきのう』を無性に読み返したくなりました。自分にとっては名作の一つ。時間物SFでもあり、時間物ミステリでもあり。<ちょっと無理矢理な呼び方かな。

■1/19・1/20の購入本

『最期の声』 ピーター・ラヴゼイ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
・講談社文庫
『亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート』 はやみねかおる ●『血と薔薇』 ジェームズ・パターソン ●『EDGE2 三月の誘拐者』 とみなが貴和 ●『緑陰の雨 灼けた月 薬屋探偵妖綺談』 高里椎奈 ●『論理学園事件帳 本格短編ベスト・セレクション』 本格ミステリ作家クラブ・編――親本積読中。

『横溝正史自選集 1 本陣殺人事件/蝶々殺人事件』 横溝正史 (出版芸術社)
『逆説探偵 13人の申し分なき重罪人』 鳥飼否宇 (双葉社)
『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 (東京創元社)

『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』[04] 加藤元浩 (講談社コミックス)

『IN★POCKET』1月号
『本の雑誌』2月号
『シナリオ』2月号――掲載されている映画『それでもボクはやってない』シナリオ目当てで購入。
368. 2007年01月16日 11時58分34秒  投稿:砂時計 
「ことにわたしは気分がいいのよ」
こんばんは、砂時計です。
映画『魍魎の匣』の細かいキャスティングとか、「刑事野呂盆六」の約十二年ぶりの新作のこととか、『時効警察』第二シリーズが『帰ってきた時効警察』というタイトルで四月から放映されるらしいとか、いろいろと気になる情報が舞い込んでくる日々。

そんなわけで観ました、「大女優殺人事件」。
画面や役者、タイトルバックなど、雰囲気は良かったんですが、内容はありがちな二時間サスペンス、といった感じ。
原作ベースなのは中心となる謎や動機くらいで、ストーリーの大部分はドラマオリジナル。
その原作ベースの部分ですが、事件の核となる部分の設定が(おそらくは諸事情で)若干変更されたせいで、かなり苦しいことに。
そして、状況を省いたのとアレをストレートな手がかりにしてしまったせいで、ミステリとしては凡庸なものに。
NHKで、『名探偵 赤富士鷹』のスタッフで、ミス・マープル役は(アニメで声を演じた)八千草薫さんでやってくれないかなあ、という妄想が甦ってくる……というか、「赤富士」の新作も作ってほしいんだけど……

先日のフジテレビ『悪魔が来りて笛を吹く』にもいえることですが、作者がミスディレクション等を駆使し、考え抜いた構成の妙で意外性に結びつけているネタを、ナマのままで放り出して冴えないものにしちゃってる感があります。
そういった工夫にこそ、謎解きの快感があるのになあ。

原作となったアガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』は、既読のクリスティー作品の中でも特に好きな長編。
自分にとって「犯人当て」といえばクリスティーの長編で、クイーンの国名シリーズなんかはむしろ当てずっぽうの場合が多かったりします(正しい手がかりの一つで犯人を当てたのは『フランス白粉』くらいか)。
これはゲームの種類が違うようなもので、クリスティーの長編の多くは、作者が仕掛けた「罠」を見抜くことができれば読者の勝ち、という構造になっていて、自分にとっては犯人当ての意欲をかき立てられるんですよね。
そうして犯人を当てたケースはいくつもありますが、その中でも、この『鏡は横にひび割れて』は最も印象深いものでした。

解決部分近くまで読んで全く犯人の見当がつかない時、一旦読み進めるのをやめて最初からもう一度読み返してみると真相が見えてくる、ということがクリスティーの長編にはよくあって、この作品でもそれを試みたんですが、ある部分にさしかかった時、突然、犯人も、動機も、犯行方法も、そしてキーポイントである「ヒロインが見たのは?」という謎も、全てが一気に分かったんです。そして、その先には一片の謎も残っていない。
こんな経験は後にも先にもこれだけです。他のミステリであれば、犯人や真相の多くが分かっても、探偵役の説明を待たなければならない細かい謎が残っていたりするものなのに。
ある意味ではクリスティー流フーダニットの頂点、といったら持ち上げすぎでしょうか。でも好きなんですよねー、こういうタイプのミステリって。

話は変わりますが、今月の光文社文庫の新刊、内田、有栖川、歌野、芦辺、愛川、大藪、赤江、上田、アーサー、と、ア行の作家が異常に多くないですか?(最後のはちょっと違うか)

■1/10〜1/15の購入本

『無法地帯』 大倉崇裕 (双葉文庫)
・光文社文庫
『新訳シャーロック・ホームズ全集 四つの署名』 アーサー・コナン・ドイル ●『白い兎が逃げる』 有栖川有栖――親本積読中……だったような、そうでないような。 ●『家守』 歌野晶午 ●『曇斎先生事件帳 殺しはエレキテル』 芦辺拓――親本積読中。個人的には文庫版の表紙イラストも唐沢なをき氏にしてほしかったなあ。 ●『美少女代理探偵の事件簿 ダイニング・メッセージ』 愛川晶――親本積読中。 ●『歩け、歩け』 佐野洋 ●『名作で読む推理小説史 犯人は秘かに笑う ユーモアミステリー傑作選』 ミステリー文学資料館 編

・講談社ノベルス
『ηなのに夢のよう』 森博嗣 ●『密室殺人ゲーム王手飛車取り』 歌野晶午 ●『天帝のはしたなき果実』 古野まほろ 

『COLUMBO!COLUMBO!』Vol.3

『ダ・ヴィンチ』2月号
367. 2007年01月08日 23時37分28秒  投稿:砂時計 
「おいしそうだな」
こんばんは、砂時計です。
刊行が延び延びになっていた創元推理文庫の『中村雅楽探偵全集I 團十郎切腹事件』は二月下旬か三月上旬に刊行される運びとなったようで、嬉しい限り。

明日夜の日本テレビ『火曜ドラマゴールド』枠で放映される、アガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』が原作の「大女優殺人事件」
岸惠子主演のミス・マープル物(役名は馬淵淳子)第二弾で、『パディントン発4時50分』が原作の前作「嘘をつく死体」は原作未読のため録画してディスクに焼いたまま未視聴なんですが、こちらは既読のクリスティー作品の中でも特に好きな長編の一つなので、リアルタイムで観ようと思ってます。
しかし、「大女優殺人事件」というタイトルはどんなもんでしょう。映画『クリスタル殺人事件』といい、邦題に恵まれない作品だなあ。

上記の「嘘をつく死体」は昨年4月の放映でしたが、1月から2月にかけては、既発売分には無かった日本語吹替とカットされていたシーンを追加したジョーン・ヒクソン主演のドラマ版ミス・マープル[完全版]DVD(BOX2セット、単品もあり)が発売。
更に4月にマーガレット・ラザフォード主演のミス・マープル映画のDVD(4作収録のBOX、単品もあり)がリリース。
12月にはNHK BS2でジェラルディン・マクイーワン主演の新しいミス・マープルのドラマが日本初放映。
原作ファンからの評価も高いドラマ版シリーズ、最初の(そして異色の)映像化となった映画版シリーズ、日本を舞台とした翻案ドラマ、独自のアレンジを見せているドラマ版新シリーズが並んで、昨年の日本は「2006年マープル祭り」といった感じでした。

ジェラルディン・マクイーワンの吹替は岸田今日子さんで、音声を切り替えて聞いてみたらマクイーワンの声と喋り方がかなり岸田さんに近くて、(従来のマープル像とは違う気がするけど)この女優の吹替としてはピッタリの人選だと思ってたんですよね。
岸田さんの声の存在感はやはり魅力が大きくて、日本語版を楽しむ上で重要な要素になっていただろうと思います。もちろんこの仕事に限ったことではありませんが、岸田さんが亡くなったのは本当に残念です。
366. 2007年01月07日 21時20分17秒  投稿:砂時計 
「ええ、よしましょう。金田一先生、有難うございました」
こんばんは、砂時計です。
前の書きこみに購入本として挙げたローレンス・ブロック『処刑宣告』は出た時に既に買っていたことが判明……。こりゃ『死者の長い列』もどっかにありそうだな……。

一昨日の夜はフジテレビ系列で放映された佐藤嗣麻子脚本・星護演出・稲垣吾郎主演の金田一耕助シリーズ第四弾『悪魔が来りて笛を吹く』を視聴。
このシリーズ、ミステリとしての原作を尊重する姿勢が好きで、過去の映像化作品では切り捨てられがちだった細かい部分を掬い上げて映像にするあたりに好感を持っていたので、かなり期待していたんですが、その意味では期待外れでした。うーん……。
あの長編を正味二時間の本編にまとめるのが難作業なのは解るのですが、原作にある密室殺人、伏線や手がかりやミスディレクションの数々、随所に仕掛けられた展開の意外性、など、ここは押さえておいて欲しいというところが大幅にカットされ、そうでないところが引き伸ばされている感じで……。整合性に欠けるオリジナル展開もいくつか目について、その点も気になりました。
キャスティグは良かったのですが、ヒロイン以外の事件関係者は終盤に至るまで登場人物表に毛の生えたような描写しかされず、それで「この人が犯人でした」と説明されてもなあ……という思いも。

映像美やセット・小道具などのビジュアル面はいい感じだったし、重点的に描かれた犯人の動機部分のドラマ性なども良かったんですが、やっぱりミステリ好きの立場としては不満が残ります。
まあ、今回は自分にとっては残念な出来でしたが、次回作に期待。

ところで、ある人物の名前が原作通りに出てきた時は「おおっ」と声を挙げてしまいました。これはひょっとしたら……。

で、話は明後日の方向に行っちゃいますが、このシリーズの音楽を手がけているのは↑でプッシュしている『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』と同じ佐橋俊彦氏。
佐橋氏の作曲による劇中曲「悪魔が来りて笛を吹く」を聴いて、同じく劇中で謎の人物が演奏する曲ということで『ブレーメン』の劇中曲「おばけのハーモニカ曲」を思い出した人間は、自分以外にどれだけいるのかな。

■1/6の購入本

・徳間文庫
『凶水系』 森村誠一 ●『MONEY』 清水義範

『クライム・マシン』 ジャック・リッチー (晶文社ミステリ)

[NAGAYA v3.13/N90201]