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109. 2006年06月14日 00時46分56秒  投稿:かい賊 
本島幸久「ちょっと探偵気分」講談社コミックス

メインとなる「ちょっと探偵気分」(全7話メフィスト2004年5月号〜2005年5月号掲載)に、
第1話と最終話(これだけ中篇)の主人公一九(ぴんくと読みます…どっかで見たような)の
登場譚である「ヴァンパイラぴんく」(中篇)を収めた単行本。

一九はヴァンパイラの名が示す通り女吸血鬼ですが<誰の血も欲しない>吸血鬼という変り種
です。しかもJDC見習い(さすがメフィスト…最終話では冒頭で正式採用されますがその瞬間に
爆死状態、笑えます)という念の入りよう。その他の話にも特殊能力や人外能力を持った探偵が
目白押し。

例えば第四話の探偵は「潟井斧彦(がたいよきひこ)」という体育教師。化学教師南野理子が
発明した香水<思考筋肉(シンキングマッスル)>で思考力を与えられた筋肉が謎を解きます。

謎を解くと、「わかったあっ!!」とポージング。たちどころに解明。

そんな彼にも弱点はあります。

「うおっ!? つ、攣った……!」
「考えすぎたのよ」

JDCシリーズがお好きな人、笑って読める人にオススメです。

作者の本島幸久、代表作は競馬モノの名作「風のシルフィード」続編「蒼き神話マルス」、
ゴルフ「空の昴」とスポーツ系が多いですが、「MAYA〜真夜中の少女〜」ミステリー色の
強い作品も手がけていてなかなか楽しめます。今回は同時に配本の「VISIONZ」(こちらは
「MAYA」に近い心霊絡み)とともに久々のミステリー刊行となりました。

本書のあとがきにはおまけとして私的ミステリベストが載っています。
<国内>
「孤島の鬼」「ドグラ・マグラ」「獄門島」「成吉思汗の秘密」「虚無への供物」
「夜の蝉」「生ける屍の死」「魍魎の匣」「掌の中の小鳥」「七回死んだ男」
<海外>
「アクロイド殺し」「Yの悲劇」「第二の銃声」「はなれわざ」「赤い右手」
「レッド・ドラゴン」「赤い霧」「荊の城」
<短編>
「瓶詰の地獄」「湖畔」「恋愛曲線」「とむらい機関車」「蝋人」「オレンジの半分」
「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」「開いた窓」「ジェミニー・クリケット事件」
「妖魔の森の家」
9割方自分が既読なのには驚きました。もちろんメジャーというかポピュラーな作品が大半を
占めているというのも大きいですが、不勉強な自分としてはなかなかこういうことはないので
嬉しくなりました。というわけで、あとがきも楽しませていただきました♪
108. 2006年06月09日 02時37分45秒  投稿:かい賊 
首猛夫「パソコン奮戦記(104)」月刊詰将棋パラダイス五月号より

詰パラ…詰将棋がいっぱい載っている夢のような雑誌です。年10冊刊行ですから、この連載も
もう10年以上になります(ちなみに通巻602号、歴史!)。筆者は詰将棋解答ソフト制作の
先駆者で、ゲームやPCでの将棋ソフト開発が盛んになるずっと以前から強豪解答マシーンを
作ることに情熱を傾けてきた方です。

花粉症の話題から脳や身体の誤作動に展開します。

『 朝から晩まで、TVを見ない人は皆無であろう。
 わたくしが仕事で訪問するお宅の半数以上は誰も見ていないTVが点いている。
 コンピュータも視覚を刺激する。
 子供たちが夢中になっているTVゲームも、目まぐるしいほどの視覚刺激の洪水である。
 それがどんなに脳に対して恐ろしいことを引き起こすか、お隣の韓国で先日死亡した人も
出たほどである。
 まあ、極端な例ではあるが、そこまでいかなくとも脳や身体は今まで体験したことのない
未曾有の視覚刺激を受けているといえる。
 最近の物騒な事件や、理解不能な出来事は、案外こういう脳の誤作動が原因かもしれない。』

特に目新しい話でも論展開でもありませんが、PCと詰将棋に精通した方の意見として考えて
みると興味深く感じられます。世の中の「おかしな」出来事がよりデジタルにそして文字通り
「誤作動」として映っているのだなと。なるほど万人には万人の反応が。
107. 2006年06月09日 01時57分45秒  投稿:かい賊 
深沢美潮「サマースクールデイズ」ピュアフル文庫(ジャイブ株式会社)

最も知名度が高い作品は「フォーチュン・クエスト」シリーズ(電撃文庫)、ミステリーも
いくつか手掛けていて「猫は知っていたのかも」(富士見ミステリー文庫)…つな様怒らないで
的ネーミングですね、「IQ探偵ムー」シリーズ(カラフル文庫…ジャイブ)…朝日小学生
新聞に連載の実はこちらの方がメジャー?、という作者。

高校1年生のちょっと引っ込み思案な、まあどこにでもいる女子高生が参加したサマー
スクールの2週間。地は一人称で進みます。序章にて

『 サマースクールに行きたいんですが、学校どこですか?ってきけばいいだけなんだけど。
それさえできないなんて、かなり情けないんだけどさ。
 でも、そういう子なんだからしかたないじゃん。
 そう思うと、なんだかガッカリした。』

この「ガッカリ」ってね、身勝手なひとりよがりな失望、わかっちゃいますね。完全に自己完結。
ここから本格的に感情移入。余裕を持って通勤の往復で読了。解説含めて約P200。

ストーリー上のアクロバットも不要な意外性もなく安心して読めます。いかにして彼女は
「楽」になるのでしょう? 老若男女楽しめる本です。
106. 2006年06月07日 03時24分42秒  投稿:かい賊 
山岸涼子「テレプシコーラ 〜舞姫〜」(ダヴィンチ7月号)

大変なことになりました。W主人公の一人、千花が飛び降り、しかも死亡濃厚です。
もう落ち着きましたが、某巨大掲示板の少女漫画板ではかなりのお祭り振りでした。

中々諸説、諸感想紛々です。動機がまだ語られず、現象すらまだ確定していないので、
あくまで仮定としてですが、ここから六花が「化けて」舞姫と化すのはどうかなあと。
凡庸なワシの想像を軽く越えていく展開を期待しますし、きっとそうなることでしょう。
想像通りの展開だったとしても、深い堀り下げがあるに違いありません。ショックだけど
次号以降が楽しみ、楽しみ。

[NAGAYA v3.13/N90201]