オバＱといっしょ

黒猫荘
(mobile版)

オバＱといっしょ
オーナー：かい賊
ミステリ＆ラノベ＆コミック　etc
　←　45～48件　→
［HomePage］　 ▼ 投稿する

117.　2006年06月28日 01時49分56秒　投稿：かい賊　
先崎学「先崎学の実況！番外戦」講談社文庫

よっ！　待ってました先ちゃん！　の将棋八段（もちろんプロ）の書くエッセイ集。
今回は三部構成です。
第１部　「毎日がガチンコだ！」　書き下ろし２０章のエッセイ
第２部　「番外戦七番勝負」　ナンプレファンに連載の面白対決判定
第３部　「先崎学ＶＳ森博嗣――Ｓ＆Ｍ対談」　森宅での初対面収録とのこと
　　　　　　　将棋指しとミステリ数学者作家なんてかい賊的に夢の対談だよ♪

第１部「今、何時？」より
『こ、壊れてる。たしか五時過ぎに買ったから、買って一時間ちょっと壊れているのだった。
すごいことですよ、これは。
　世界中で何億人という人が腕時計をしている。ということは何億個、いや何十億個という腕時計があって、誰かがそれを買っているわけだが、私のような経験をした人間は
稀であろう。』
対局のために露店で買った時計が壊れパニクる筆者。

同じく第１部「焼肉征服！」より
『おかげで後輩たちにご馳走する時も財布の痛み具合がすくなくて済む。
　今も昔も若者は肉が好きだ。後輩数人を連れて、「さあ今日はオレのおごりじゃあ」
という時、皆の期待は肉の一点張りである。肉、肉、肉、眼からも体からもオーラが
出ている。そこで、ついからかいたくなる。
「さて、何、食いに行くかあ」
「いや、なんでも」
　顔には肉、と書いていても一応こういうものである。
「焼肉にするかあ」
「いいっすね、焼肉」
「うーん、しかし、脂っこいしなあ、おでんでもどうだい」
「……おでん、すかあ」
「あ、そうだ、うまいと評判のそば屋を見つけたんだ。板わさで一杯どうだい」
「…………」
　とこんな安配に問答を繰り返し、皆の一喜一憂を楽しむのである。悪い癖だ。』
実に筆者らしさというか将棋指しらしさも出ています。

第３部より、その１
『
森　　美しくないと弱いということなのですね。
先崎まあ、そうですね。崩されやすい。例えば飛車がここにあって金がここにあると
　美しくないっていうのは、理屈はあまりよくわからないけど、二十手か三十手先かも
　しれないけど、将来こういう隙ができるかもしれないっていう前提感覚みたいなものが
　あるんですよね。だから、そういう可能性がある形は美しくない。
森　　今言われたことに似ていると思うんですが、数学の論文なんかでも何となくちょっと
　ここは引っかかるなというところがあって、そのときはよくわからないんだけど、
　あとになってみると「あ、やっぱりそこがね」という矛盾が見つかるというような
　ことはあります。』
両者それぞれ畑の違う立脚点からの共通点探し、というのは面白いですねえ。

同じく第３部より、その２
『
森　　将棋界を舞台にミステリィを書かれるといいんじゃないですか。指してるときに
　何か事件が起きて。
先崎僕にはフィクションは書けないと思いますが。
森　　エッセィでも、ある程度話が流れていればもうそれは小説ですよ。この文庫の中で
　先崎さんが書かれた作品にも小説といって良いのがありますよね。時計を忘れたという。
　あれなんか完全に小説ですね。短編小説にしたほうがたぶん売れますよ(笑)。』
前述抜粋の一編のことです。

森ファンにネックの文章になっちゃうのかしら？　あまりに異色の取り合わせだから。
難点は今時らしくなく本がうっすいことかな。もっと読みた～い♪

116.　2006年06月28日 00時43分27秒　投稿：かい賊　
あざの耕平「BLACK BLOOD BROTHERS Ｓ２」富士見ミステリー文庫

本編から少し離れた吸血鬼たちとその周辺の日常を描くショートストーリー集第二弾。
前作Ｓ１もそうでしたが、本編以上にキャラクターたちが生き生きと元気良く特区
（物語上の吸血鬼と人間の共存地区）を闊歩しているさまは実に微笑ましい。あまり
シリアスな展開に水を差すわけにもいかないので、本編ではあまりトホホな姿を晒す
ことを控えている吸血鬼たちだが、短編ではどうやらその箍がはずれてくれるらしく、
イメージや憧れめいたものは気持ちいいくらいに破壊しつくされます。

今回で一番好きな話は第五話「特区の少年王」で、大陸系吸血鬼を束ねる長のセイが
己の誇りを懸け、全身全霊でゲームにうち興じる姿が切々と描かれています。

ここでは第六話「TONIGHT SALARY」より、

『酩酊したかのような口振りで、彼女は婉然と言った。
「だから、わたしの血を吸って――」
「……あ」
　ジローは凍りついたように動けなかった。
　身体の奥底から黒々とした狂気が迸った。それは見る見るうちに全身を巡り、ジローの
黒い血をかき乱した。
　しかし、頭は一気に冷めた。
　――供血中毒か。
　吸血鬼に血を吸われた人間は、強い快感を得ることができる。それは中毒性すら伴う
もので、意志の弱い者なら血を吸われる快感に溺れてしまう。そうした症状を、皮肉を
込めて「供血中毒」と呼ぶのだ。』

人間との共存を目指し（誰かさんの悲願だし）、自らの吸血本能と戦います。小品ながら
シリアス＆リリカルに仕上がっています。直後の“インターミッション６”のミミコの
独白が何とも間抜けでむしろ涙すら誘います。

祝！ＴＶアニメ化

115.　2006年06月26日 08時47分07秒　投稿：かい賊　
＞SAMANA様
こんにちは～、いらっしゃいませです♪

…「さよなら妖精」
はい、ワテもお勧めだす。〝いつか購入〟でオッケーだと思いますが、〝必ず読む〟リストにも
入れてくださいね♪　⇒半ば脅迫だなあ。
というか、２シリーズと違った“厚み”がSAMANA様好みかな～、と勝手に思ったりします。

むしろ、
…『スイス時計の謎』
の方が割り切って軽く読めるかも。かい賊的娯楽度（なんじゃそりゃ）はこちらの方が高いです。
ビッグネームでも短中篇は肩肘張らずに読めますからねえ。

書き込みありがとうございました♪　またのお越しをお待ちしておりまする。

114.　2006年06月25日 11時50分04秒　投稿：SAMANA　

16号室SAMANAです～。

＞「さよなら妖精」

　かい賊さんも高評価。32号室の紅さんも確か高評価だったし、今月購入本から
　泣く泣く外したのはやっぱり失敗だったかなぁ～（汗）。創元推理文庫といっ
　ても、この作者の人気は長く続きそうだから現役本でいる期間も長いだろうと
　ふんで〝いつか購入〟リストにはいれてはいるんですが…。
　ちなみに『スイス時計の謎』（有栖川有栖）は購入。ビッグネームに弱いのか
　私は（爆）。

そいでは！！
　

[NAGAYA v3.13/N90201]