黒猫荘
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やわらかそうな本の上へでもすわってください
オーナー:砂時計
床を埋めつくす積読本の山、山、山。
ドアからベッドへと続く一筋のケモノ道。
最後に掃除機をかけたのは何年前だっけ……(遠い目)。
そんなダメ人間の部屋へようこそ。
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353. 2006年08月13日 22時59分29秒
投稿:砂時計
「ありがとう、変な人ー!」
こんばんは、砂時計です。
佐々木倫子・漫画/綾辻行人・原作『月館の殺人』(上・下)(IKKI COMICS)読了。
上巻ラストに大きなヒキがあるらしいとは聞いてましたが、おお、なるほどー。
真相は何となく海外古典ミステリっぽい印象を受けました。
マンガならではの伏線の数々がどれも丁寧で、それについての打ち合わせ作業も結構手間がかかったんだろうなあ、と想像します。
まあしかし、ミステリとしての要素よりも佐々木倫子がテツの生態を描いたらこうなった、という部分の面白さのほうが後を引きますね。
完結してから読もうと最初から思っていたので一度も目を通してなかったんですが、ここまでテツ濃度の高い作品だったとは。
一つのマンガ雑誌で菊池直恵『鉄子の旅』とこのマンガが一緒に連載されてたってのはテツに偏りすぎじゃ……と思ったんですが、巻末の編集長による鉄道用語解説集を見て、ああ、この人が編集長ならそうなっても不思議じゃないわな、と納得。
『鉄子の旅』は本屋に立ち読み用見本として置いてあった最初の二巻分しか読んでないんですが、こちらも続きを読んでみたくなりました。
■8/11〜8/13の購入本
●『奇妙な果実殺人事件』 藤田宜永 (双葉文庫)
・講談社文庫
●『親不孝通りディテクティブ』 北森鴻 ●『ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル』 今野敏 ●『照柿』(上・下) 高村薫 ●『天使と罪の街』(上・下) マイクル・コナリー ●『百鬼解読』 多田克己・著/画・京極夏彦
・新潮文庫
●『罪と罰』(上・下) ドストエフスキー ●『しゃばけ』 畠中恵――「新潮文庫の100冊」から二作。『しゃばけ』は出た時に買ってなかったような気がする(所持しているかどうかの確認は困難)ので、ヤスリのかかった再出荷本じゃない増刷分が書店に出回ってるうちにと思い購入。
●『アインシュタイン・ゲーム』 佐飛通俊 (講談社ノベルス)
●『月館の殺人』 佐々木倫子・漫画/綾辻行人・原作 (IKKI COMICS)
●『IN★POCKET』8月号――最新作『赤い指』刊行記念の東野圭吾特集「加賀恭一郎とは何者か。」では、著者インタビューに加え、シリーズ既刊六作品をそれぞれ村上貴史、古瀬絵里、森田正光、生野慈朗、和希沙也、中江有里の六人が紹介する「マイ・ベスト・加賀作品」(著者の全作コメント付)が。他に『照柿』文庫化(当然加筆)記念の高村薫インタビューなど。
352. 2006年08月11日 00時53分04秒
投稿:砂時計
「あと何人だい?あと何人殺せば歴史の被害者から加害者になるんだい・・・」
こんばんは、砂時計です。
宇山日出臣氏死去のニュースには驚きました。合掌。
西尾維新『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』(集英社)読了。
原作・大場つぐみ、作画・小畑健による人気マンガのノベライゼーション。本編よりも時間を遡って描かれる、探偵LとFBI捜査官・南空ナオミの活躍。
ロサンゼルスで発生した三件の殺人。最初の現場の壁には藁人形が四体打ち付けられ、第二の事件現場には三体、第三の現場には二体の藁人形が。そして、どの現場も密室だった。
ある事件で重大な失敗をしたことにより休職中の南空ナオミに、世界中の捜査機関に対して影響力を持つ名探偵Lから連絡が入り、この連続殺人の捜査への協力が要請される―。
読み進むうちに、清涼院流水的な言葉遊びと見立てに淫した作品のように思えて失望しかけていたんですが、解決部分に至って、それが大きく覆りました。
連続殺人と密室と藁人形を結ぶ必然性の糸。犯行に関するホワイダニットの謎解きには、西尾維新らしいミステリ・センスが溢れています。
キャラクターのファンへのサービスという面でも申し分なく、マンガのノベライゼーションとしては理想的な作品ではないでしょうか。
ただ、マンガを読んでいない人には、犯人の動機や設定などは理解し難いでしょうし、充分に楽しめない部分も多いと思います。未読の方はマンガを読んでから取りかかったほうがいいでしょう。マンガのほうも理詰めの面白さが味わえる(特に1部は)傑作です。
■8/8〜8/10の購入本
●『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』 鯨統一郎 (徳間文庫)
●『贄門島』(上・下) 内田康夫 (文春文庫)
・光文社文庫
●『黒白の囮 新装版』 高木彬光 ●『林真紅郎と五つの謎』 乾くるみ ●『火天風神』 若竹七海 ●『星の海を君と泳ごう』 柴田よしき ●『名犬フーバーの新幹線、危機一髪!』 笠原靖
●『ダ・ヴィンチ』9月号
●『ぱふ』9月号――久米田康治インタビューを含む『さよなら絶望先生』特集目当てで購入。
●『文蔵』8月号――特集・夏休みに楽しみたい「おすすめミステリー」目当てで購入。内容は、瀬名秀明インタビューに森博嗣インタビュー、『ミステリマガジン』『小説推理』『ミステリーズ!』各編集長(編集人)の「今読むならコレ!」、友清哲「夏が味わえる傑作ミステリー10」。
351. 2006年08月04日 13時41分43秒
投稿:砂時計
「俺はな、他人をウチに持ち込まない主義なんでな」
こんにちは、砂時計です。
かい賊さま
いらっしゃいませ。
河内実加版「中国屏風」は、人物設定や話のテイストなどが完全に河内オリジナルになっていて、原作からの変身ぶりが面白かったですよ。
『サスペリアミステリー』の河内作品では過去に亜愛一郎ものもありましたが、それには物足りなさを感じた記憶があります。
影丸版『八つ墓村』の典子は結構好みだったので、原作通りのヒロイン扱い&(『少年マガジン』では無理だった)エロ描写ありでリメイクしてくれないかなー(一度長尾文子作画でやってるので『サスペリアミステリー』では可能性ないでしょうけど)。もっとも、絵柄が多少変化しているみたいなので、当時と同じ可愛さが出せるかは疑問ですが。
西村・赤川・内田・山村を並べたかと思えば『シベリア超特急』シリーズもあり……この雑誌のラインナップって謎……。
書きこみ、どうもありがとうございました。
水原佐保『青春俳句講座 初桜』(角川書店)読了。
隣の教室からカンニングされた答案の謎(「桜」)。全国各地から同じ宛名で届く間違い手紙の謎(「菫」)。雛祭りに招かれた姉の恋人が雛壇を見た途端に帰ってしまった謎(「雛祭」)。
舞台は長野県小諸市。語り手の女子高生が持ち込んだ謎を解くのは、俳句を学ぶ彼女の師である若き俳人。
北村薫の流れをくむ「日常の謎」ものですが、文章や会話には京極夏彦の影響も窺えます(登場人物の「木馬さん」は木場から来てるんでしょうね)。
その文章が自分には壁になりました。「桜」の二章冒頭の「はじめに、小さな瑕瑾があったのだ。」、その少しあとの「その願望がそのまま嚥下されれば楽観主義で終っていた。」といった文に躓いてしまい、その後も言葉の選び方や文章表現、リズムに抵抗を覚えながら読み進めることに。もうちょっと飾りを少なくした平明な文章なら読み易かったのですが、語り手の高校一年の少女が背伸びして書いたという風に読めないこともないかな。
俳句談義や町並の描写などが生き生きしているのに比べて、話の中心となる出来事や動機についての書きこみ不足が気になりました。
細かいことを言えば、何から何まで同じ答案だったことを強調しておきながら後になって一つだけ違う答えがあったことを思い出すという流れは不自然で、それについては最初から提示するべきだったと思います。
また、教師の処置やトリック成立のためのある条件その他、いろいろと納得し難い部分も。
書きこむべきところを書きこんでおらず、また話の組み立て方が充分でないため、謎の解決が説得力の弱いものになっていると感じます。それは残りの二編も同様で、謎自体「本人に聞けばいいじゃん」と読んでいて思ってしまうという弱点が。
俳句を通した少女の成長物語という軸はしっかりしているように思えるので、あとは文章と物語の構築と謎の質に磨きをかけてもらえれば、好感の持てるシリーズになる可能性もありそうです。
芦辺拓『千一夜の館の殺人』(カッパ・ノベルス)読了。
あとがきで作者が「読み出したらやめられない探偵小説――というのを書きたいと思っていました」と語っていますが、実際、寝る前に少し読み進めようと手に取ったらやめられなくなり朝までかかって読み終えてしまいました。
自分だけかもしれませんがプロローグでは横溝正史『三つ首塔』の冒頭部分を想起、他にも『獄門島』『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』などの横溝作品が頭に浮かんだ箇所がありました。それらの部分部分については作者が意図的にそうしたものなのか単に偶然なのか作者に横溝作品のエッセンスが染み込んでいて自然と滲み出たものなのか分かりませんが、あとがきでも書かれているように横溝作品などの探偵小説が持っていた豊饒なロマンの復活を目指した作品であるのは確かで、その点で楽しく読みました。
千一夜の館に関する秘密が最初から考えていた通りだったり、あからさますぎる終盤の伏線で簡単に犯人の見当がついてしまったりと、ミステリとしての意外性という部分では物足りなさが。
大きな引っ掛かりを感じた点が二つあって、一つは、容疑者の一人である「彼女」の身元確認を警察が行おうとしない不自然さ(これはまあ、作中の警察がそういうものなのだと納得することは可能ですが)。もう一つは、犯人の計画に不可欠なある人物の行動とその遂行が、最初から期待できるようなものには思えないということ。これについては、そう仕向けるための仕掛けが用意されているか、あるいはその人物のその行動が犯人にとっては全くの予想外で、それに乗じて計画を変更したという形にしたほうが、説得力があったのではないかと思います。
現実から片足だけ浮かせた作り物としての「物語」の面白さが味わえたリーダビリティの高い作品でした。
■7/27〜8/2の購入本
・角川文庫
●『きまぐれロボット』 星新一 ●『今夜は眠れない』 宮部みゆき ●『夢にも思わない』 宮部みゆき―新装版の星新一は手を出したら一冊じゃすまなくなりそうという理由で、宮部みゆきの二冊は中公文庫版(二作とも積読中)を持っているという理由で出た時はスルーしていたんですが、「発見。夏の100冊」フェアの三種類の帯&栞が欲しかったので購入。
●『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』 著者:西尾維新 原作:大場つぐみ/小畑健 (集英社)
●『小説推理』9月号
●『活字倶楽部』夏号――ロングインタビューを含む有栖川有栖の大特集や高里椎奈特集、倉橋由美子の追悼特集など。
350. 2006年08月03日 23時13分43秒
投稿:かい賊
どもです。089かい賊でございます。
>中国屏風…河内実加
さすが秋田書店! 変なセレクションですなあ。河内実加は小学館時代から大好きで、
近頃は渋柿のシンちゃんで、おおハマリハマリ、と喜んでいたものですから、この
取り合わせには何とも違和感が……。おおっとここはネットカフェ、サスペリアない
かな〜……、ありませんでした。さすがに需要ないんかな。
影丸金田一。いいっすねえ。劇画でおどろおどろ、うん、最高だ。
にしても、このサスペリアのラインナップは……、西村・赤川・内田・山村って2時間
もんのオンパレードすね。ダチの言うことには、かの雑誌は読者層がそれなりに高め
なので、売り上げ安定のためにはほぼ必然だそうな。でも安定って言うほど売れてる
のかしらん?
失礼しました〜♪ ではまた。
[NAGAYA v3.13/N90201]