黒猫荘
(mobile版)

[010号] [012号]
[入居者リスト]


やわらかそうな本の上へでもすわってください
オーナー:砂時計

床を埋めつくす積読本の山、山、山。
ドアからベッドへと続く一筋のケモノ道。
最後に掃除機をかけたのは何年前だっけ……(遠い目)。
そんなダメ人間の部屋へようこそ。

  21〜24件 
[HomePage]   ▼ 投稿する

357. 2006年08月31日 00時24分52秒  投稿:砂時計 
「濃い顔ですね」
こんばんは、砂時計です。

注文した探偵小説研究会の機関誌『CRITICA』創刊号が昨日届き、早速目を通しました。
最初の鼎談での笠井潔氏の戦闘的な発言に刺激を感じ、千街晶之氏の文章に大いに頷かされ、千野帽子氏の文章を面白く読みました。
そんな感じでまだ部分的にしか読んでないんですが、ボリュームたっぷりのこの一冊、これから少しずつ読み進めていきたいと思っています。

それにしても、笠井潔氏といい島田荘司氏といい、一読者である自分にとっては神様的存在のミステリ作家なんですが、ミステリ評論に関しては納得できない部分が多いんだよなあ。
島田論に対する我孫子武丸氏の反論や、笠井論に対する有栖川有栖氏の反論のほうが自分にはしっくりくるわけで。
島田氏が求める「本格ミステリー」や笠井氏が求める「探偵小説の精神」の理想の高みと、読者としての自分が求めている娯楽としての謎解き小説の価値には大きな隔たりがあるのかもしれません。

ポール・アルテ『赤髯王の呪い』(ハヤカワ・ミステリ)読了。
著者が初めて執筆したツイスト博士ものの長編である表題作と、ツイスト博士が登場する短編三作(現時点でのシリーズ全短編)が収録された一冊。
物理的なトリックを中心に据えた不可能犯罪もののミステリに多くの場合付きものの無理っぽさや必然性のなさも垣間見られますが、謎を構成する要素を組み合わせる手つきのクールさがそれを補っている感じで、読後感はスッキリ。
他の作品は『第四の扉』しか読んでないんですが、既訳の残り三冊にも手を伸ばしてみようかな。

■8/27・8/28の購入本

『ミステリマガジン』10月号――「ミステリアス・ジャム・セッション」は光原百合インタビュー。石上三登志「日本映画のミステリライターズ」第2回「比佐芳武(II)と「獄門島」」は興味深く読みました。

『CRITICA』創刊号 (探偵小説研究会)
356. 2006年08月26日 20時27分12秒  投稿:砂時計 
「忘れよう」
こんばんは、砂時計です。

348番の書きこみで触れた『中村雅楽探偵全集I 團十郎切腹事件』ですが、東京創元社のサイトから情報が消えちゃってますね。「今月の新刊」にも「近刊案内」にもなし。発売延期なのかなあ。『ダ・ヴィンチ』にも今月発売予定として載ってたのに……。
「日常の謎」ミステリの大いなる先達のシリーズが創元推理文庫入り、ということで喜んでたんですけどね(シリーズがその方向に大きく動くのは二冊目の短編集以降ですが)。

■8/25の購入本

・角川文庫
『如菩薩団 ピカレスク短篇集』 筒井康隆――犯人当て物のSFミステリ「ケンタウルスの殺人」も収録。この短編、パソコンゲーム化もされてたんですね。 ●『眠らない少女 高橋克彦自薦短編集』 高橋克彦

『赤髯王の呪い』 ポール・アルテ (ハヤカワ・ミステリ)

『天城一傑作集3 宿命は待つことができる』 天城一 (日本評論社)
355. 2006年08月25日 01時27分58秒  投稿:砂時計 
「犬だな」
こんばんは、砂時計です。

加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』[03](講談社コミックス)読了。

「失われたレリーフ」…主人公・森羅が大英博物館の「三賢者」から受け継いだ「三つの指輪」。それを賭けた勝負を挑んできた男。捕えられた密売組織が所持していたレリーフの一部が日本の倉庫に運ばれる間に消えてしまったという。勝負の内容は消えたレリーフの一部を先に見つけること。
読者が考えればスッキリと解ける謎をメインに据えているあたりは好感が持てるものの、謎が生まれる前提部分に納得し難いものがあって、根本的に成り立たない話なのでは、という気がするんですが……。自分だけかなあ。

「都市伝説」…森羅と七瀬の通う高校で流れる三つの噂。どれも死体発見に関する話。七瀬と友人たちは、その噂の出所を調べ、ある人物にたどり着くが……。
目的と方法がアンバランス……とも決めつけられないかな。いずれにしても、あまり真相に魅力は感じられず……。うーん。

森羅の生い立ちがある程度判明したり、人間関係に動きがあったりと、物語上の進展はありましたが、自分にとっては消化不良の巻でした。やっぱり『Q.E.D.』のほうがミステリとしての魅力はずっと上だなあ、今のところは。
ところで、あの目の描き方(  ○  ○  ←こんな感じ)は今後定着するのかな。今まではあまり見なかったような気がするんですが。

■8/23の購入本

・集英社文庫
『ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺』 田中啓文――親本積読中。文庫化に当たって新たにメインタイトル付加。 ●『捕物小説名作選 一』 池波正太郎・選/日本ペンクラブ編――1980年出版の『捕物小説名作選』を二分冊・再編集しての再刊。この一冊目には新しく浅田次郎の解説が。

・カッパ・ノベルス
『顔のない敵』 石持浅海 ●『風果つる館の殺人』 加賀美雅之

『オール讀物』9月号――直木賞の選評目当てで購入。
『小説新潮』9月号――畠中恵ロングインタビューを含む「「しゃばけ」ワールド大図鑑」目当てで購入。
354. 2006年08月21日 00時16分49秒  投稿:砂時計 
「服を褒めるか?いや、でも制服だし」
こんばんは、砂時計です。

ドストエフスキー『罪と罰』(上下巻、新潮文庫)読了。
小学校高学年あたりから読書といえば推理小説一辺倒だったので、この手の文学作品には縁がなかったんですが、江戸川乱歩「心理試験」や『刑事コロンボ』に影響を与えた部分というのを実際に読んで確かめてみたいという思いがずっとありました。

金貸しの老婆を殺した主人公の青年ラスコーリニコフの犯人像が「心理試験」に、それを追いつめる予審判事ポルフィーリイはコロンボに。原点に触れることができて、長い間抱えていた宿題を片付けたようなスッキリ感が。

読む前はもっと、ラスコーリニコフとポルフィーリイの対決が大きな割合を占めているのかと思ってましたが、そういうわけでもないんですね。
この小説を探偵小説だとする意見を「暴論」だと坂口安吾がエッセイでバッサリ斬り捨てていた記憶がありますが、たしかにその通り。
でも今発表されたとしたら、広義のミステリ扱いされて『このミステリーがすごい!』にランクインしたとしても違和感ないような気も。

てなことはともかく、出てくる人物出てくる人物、みんなキャラ立ちまくりで面白いわー(<小学生の夏休みの読書感想文以下の内容だなあ……)。

あ、小畑健によるマンガ化ってのはどうだろう、とふと思いました。
マンガといえば、手塚治虫版も読んでみたいな。

■8/19の購入本

『奇術師の密室』 リチャード・マシスン (扶桑社ミステリー)

『鮎川哲也コレクション 挑戦篇II 白馬館九号室』 鮎川哲也 (出版芸術社)

・講談社コミックス
『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』[03] 加藤元浩 ●『さよなら絶望先生』[第一集・第二集・第四集] 久米田康治

『本の雑誌』9月号
『本の窓』9・10月号

[NAGAYA v3.13/N90201]