黒猫荘
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145. 2006年09月24日 23時09分56秒
投稿:かい賊
日日日「蟲と眼球と愛の歌」MF文庫
シリーズ第4巻、次巻が最終巻だそうな。
神の大きな欠片がほぼ出揃った。神蟲天皇だけが未登場というか正体が明らかになって
いないというか。
最初はその超越した能力ゆえに“神の大きな欠片”とは肉体を含めた存在丸ごとだと思って
いたが、それぞれの二つ名(殺菌消毒、不快逆流、最弱、涙歌、一人部屋、破局、神蟲天皇)は
“神の大きな欠片”を持つ(元?)人間に付けられるものらしい。だからどうだということも
ないのだが、ここにきて妙に人間臭いキャラも出てきて(とは言っても十分バケモノっぽい
ボケぶりとかなんだけど)、結構ヒトデナシぶりが気に入っていた身としてはちょっと
残念なところもあったりします。
『
「んむ。むぐ。おいひい」
「……良かったな」
「あたしのこの幸せをカヂリにわけてあげたいです」
正面にはくすんだ町並みと、空にとろけそうなほど熟した夕陽が見える。それを一瞬だけ
眺め、ブレイクサンは胸に手を当てて笑う。
「そうだ、あたし歌います。この感動をカヂリに届けます。題して『パンを食べておいし
かったの歌』」
「……別にいらないけど」
「すう」
カヂリの言葉を無視し、ブレイクサンは大きく息を吸い込む。黄昏の空気はどこか落ち葉の
匂いがして、肺に心地よかった。
心に満ちた幸福が、カヂリを思う素直な気持ちが、音律になり歌詞になり、身体に溢れて
止まらなくなる。
「――――ぐちゃっ♪」
不意に、唇から歌が零れる。
「ぐちゃっ♪ どちゃっ♪ げぶちゃっ♪」
歌?――が零れる。
「食べないで。食べないで。食べないでぇぇ♪」
「待てブレ子、おまえパンの視点になってる。パンに感情移入してる。怖いから!
気持ち悪いから! パンを食べた幸福感がさっぱり伝わってこないから!」
「……あたし死ぬの?」
「帰ってこい! パンの思考から帰ってこい! ブレ子!」
ぶんぶか左右に揺すられて、ブレイクサンはハッと我にかえる。どうも歌に夢中になると
意識が飛ぶというか、かるい酩酊状態になってトリップしてしまう。』
長く抜きすぎかな。でも好きなんだよなあ、この“愛の歌”。
にしてもとことん愛し合うものたちが引き裂かれていく物語やね。作者の特徴かしらん。
パンじゃなくて。
ちゃんと完結するのかしらん。処理すべき伏線が多すぎるように思えますが。
そこは作者の腕の見せ所、ですよね。楽しみ楽しみ。
144. 2006年09月23日 23時23分32秒
投稿:かい賊
深山森「ラジオガール・ウィズ・ジャミング」電撃文庫
第12回電撃小説大賞最終選考迄作の大幅改稿作。要は落選作なので本来ならば購入も
ためらわれるところなのだが、格好よさげなカタカナに弱くダヴィンチの時点で食指が
伸びていたことと、とどめは絵師さんが黒ポリといっしょ(BUNBUN師)だったので
陥落。結論から言えば、陥落は歓楽に変換され、満足満足。楽しませてもらいました。
近未来的な雰囲気の無国籍(多少都市化が進んだ合衆国西部?)の街が舞台。主人公は
明るい孤児の少女(コテコテですね)レコリスとそのサポート役(能力値はハンパなく
高いが)のダニエル(DJ)の二人。
戦争に疲弊した国家(只今休戦協定中)は情報統制を重要視し、民間はもちろん公共の
放送媒体が存在しない。そんな中、毎日わずかな時間、天気予報や街のミニ情報を流し
続けるJ・O・L西部海賊放送のレコとDJ。
お約束のように不器用な二人はお互いを思いやりながらすれ違いその絆に危機を生じて
しまいます。追い討ちをかけるようにやってくる爆弾テロ。身も心も傷ついたレコは
はたして?
最初はもう少し洗練された方がいいんじゃないかな、と思ったけど逆だった。
『
『みなさん、聞こえますか? 私は、みなさんにこの声が届くと信じて放送しています』
懐かしい声がした。
とても、幼い声だった。
十年の間、彼女は、来る日も来る日もみんなの側にいた。』
これ書きながら再読してたらなんだか泣けてきたぞ?
『『――みなさん、聞こえますか――?』』
このフレーズって、手を変え品を変えいろんな形で小説や漫画の中に出てきたよなあ。
だから、洗練なんていらない、もっと泥臭くていいよ。
『あしたはきっと、はれるでしょう。』
号泣だよ。
143. 2006年09月22日 00時09分43秒
投稿:かい賊
大迫純一「神曲奏界ポリフォニカ サイレント・ブラック」GA文庫
待望の黒ポリ第二弾です。最もミステリー色が強い“黒”、今回も倒叙です。
被害者は生体工学博士、犯人はその奥さんです。死体は損壊が激しくとても人間技とは
思えない状態。
『人間の犯行なのか精霊の犯行なのか、どちらにしても異常なのである。
「どうして精霊雷を使わなかったんだろ……」
「犯人は精霊じゃない、てのは?」
「人間?」
「人間」
「無理だよ」
応じるマティアは……いや、いつもより饒舌だ。
「傷口は、どれも乱れてたでしょ? 刃物で切ってるんじゃなくて、引き裂いている。
骨もあちこちで砕かれてるしさ。物凄い腕力が必要だったはずだよ」
「物凄い腕力の奴だったら? それに、例えば金属製のフックが凶器だったとか……」
「そこんとこクリアしても、足跡の問題が残るじゃん。あれだけ大量の血が飛び散ってた
のに、足跡は一つもなかったよ?」』
すべての傷口から血が飛び散った状況から“一瞬”で被害者をメッタ切りにしなければ
構成されない犯行現場であると推測され、人間には不可能であると思われるが、精霊には
“精霊雷”万能の道具(武器)があり、精霊が犯人であるならばなぜこれを使用しなかった
のか理由がわからない。
はたして犯人である奥さんの正体とは? そしてその動機は?
謎を解くのはデカブツ精霊刑事マナガとちっこい少女警部マティアのコンビです。
黒・赤・白、共通のテーマは人間と精霊(異文化または異分子者たち)の共存です。
人間と吸血鬼の共存を描く「BBB」(もっといっぱいあるけど現在新刊の読み途中
なので)もそうですが、わかりあいたい、わかちあいたいと願いつつなかなか実現でき
ないもどかしさは、本当に切ないものです。
謎解きはもちろんですが、内容の濃い一冊です。非常にオススメですね。
142. 2006年09月21日 01時19分33秒
投稿:かい賊
沢上水也「シャムロック 夕闇のイリュージョニスト ですぅ〜」GA文庫
シリーズ3作目。相も変わらずオバカなメンバーではじけてます。今回は学園祭を舞台に
各種勢力三つ巴、四つ巴の混戦模様、ってか混戦させすぎだろう? いやいや好きなんです
けどね。バタバタしているうちに終わっちまったい。うん、好きですがね。
『
「……生徒がかわいくないんスか?」
「かわいいぞ。特にブルマの女生徒とか、スク水の女生徒とか、レオタードの女生徒とか
……。だが、生徒がかわいいからといって、これを認めるわけにはいかんのだ。……なぜ
だかわかるか、東雲?」
「わかんないスよ」
「私は、自分の方がもっとかわいいのだ」
「……メチャクチャ自分に正直な人っスね」
「というわけだから、どうしても胸や尻を見せたかったら私に個人的に見せに来なさい。
大歓迎だぞ」』
“黒メイド”東雲クリスと十六夜学院芙蓉校教頭との会話から拾ってみました。
とにかくキャラクターで遊びまくり。純粋に楽しみましょう。そして後に残るものは?
[NAGAYA v3.13/N90201]