黒猫荘
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57. 2005年11月12日 15時26分15秒
投稿:キリ@65号室
おじゃましま〜す。
井川比佐志さんですけど、寅さんに出演されてましたよ〜。(もちろんレギュラーじゃありませんけど)
完璧寅さんメンツでございます。
56. 2005年11月11日 22時44分39秒
投稿:かい賊
「故郷」(1972松竹 監督:山田洋二 出演:井川比佐志 賠償千恵子 笠智衆 渥美清 前田吟)
ちょっとした指運で見た作品。主人公の井川比佐志を除くと寅さんメンツ、おまけに
松竹、まさに山田組というところですが、馬鹿にしちゃあいけません。この映画で
井川さんは第25回キネマ旬報主演男優賞を受賞しています。
瀬戸内海の小島が舞台。石舟を動かして生計をたてていた夫婦が、工業化・大型化の
波に押されて、老朽化した船を捨て故郷を出なくてはならなくなるという、わびしく
やりきれない、地味〜なお話です。
とかく物語は都会が標準基準となりやすいので、こういう過疎化がからんだ話という
のは、フィクション以上に絵空事と感じてしまうのですが、よくよく考えてみれば、
同じようなシチュエーションは都会の裏側の町工場などにも見られそうな話で他人事
とは思えないような心境でこの映画を見ていた人も決して少なくないのだろうなあ、
と感じた次第。
ラスト近辺、クライマックスでしょうか、石舟の(最後の?)お仕事シーンが出てくる
のですが、これがすごい。石舟というのは、文字通り土砂を運ぶ船で、その形が何とも
……。船の腹にあたる部分が海面すれすれなんです。
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○ ○
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こんなイメージですかねえ。(何をやっとるんだワシは)
このへっこんだとろに土砂が目一杯、とは言っても案外薄くなってしまうのですが、
乗っかっります。これを海中に投棄するのですが、パワーショベルなどの重機を使う
のかと思いきや、「振り子の原理を利用して、船を傾けて土砂を滑り落とす」のです。
ああ、この画が撮りたかったのかあ、と思ったほど印象的な場面でした。
主役の二名はもちろん、笠智衆・渥美清も持ち味を十二分に発揮した渋い作品です。
こういう作品に出会えたとはついてるなあ、と嬉しがる日々是好日。
55. 2005年11月11日 21時55分07秒
投稿:かい賊
倉知淳「猫丸先輩の推測」(講談社文庫)
解説で加納朋子さんが触れていますが「推理」ではなく「推測」です。トンデモ解釈
ありが前提の推理小説です。不可解な事柄があってそれに対する勝手な想像が各章の
主人公によって繰り広げられます。そこへ
「何言ってやがるんだろうねえ、お前さんは」
と猫丸先輩が登場し、自分なりの解釈をして収束、というパターン。だからといって
何を勝手なことを、なんてこじつけは一切なくどれも納得の解決を見せてくれます。
6編それぞれ面白いのですが、特に第4編「たわしと真夏とスパイ」が好きですね。
『「最初にタワしを持ち出したのはお前だろうが。俺はタワシのことを悪く云われる
のにゃ辛抱ならねえんだ」
「変な人だなあ」
「うるさい、お前はすっこんでろ。このワシントン条約違反めが」
「何だと、人聞きの悪いこと云うない」
「俺の手作り豆腐をスーパーのふにゃふにゃ豆腐と較べられちゃ迷惑なんだよ。
脂身ばっかりの肉と一緒にするな」
「ことのついでにウチの肉の悪口云わなくたっていいじゃないですか」
「別についでじゃないよ。知ってるだろ、お客さんはみんなスーパーの肉、買って
るんだ」
「そんなあ、あんまりだよ」
「そう云えばあんた、その髪、切ったのいつだ。俺のところへは来てないはずだぞ」』
楽しくてキリがないのでこのくらいにしておきますが、本編とはさほど関係ない、
町内商店会の会合の一場面です。この会話には顕著にあらわれていますが、猫丸先輩の
口調を含めて、テンポのいい物語の進行はこの落語のような語り口に支えられている
とも言えましょう。まあ、意地悪く、煙に巻かれるとも言えるかも。
表紙&本文イラストが唐沢なをきさんというのもたまりません。このシリーズには
ピッタリの人選です。おちゃらけ・和み・一癖二癖という、三大要素がガッチリと
はまり込んでいます。ワシのお気に入りはP155の「探偵のひと」&P335の「長尾葉月」
ですね。どこかにこだわりを持って生きるキャラクターの性格や信条がにじみ出ていて
微笑ましくて仕方ありません。
う〜ん、東京創元の猫丸先輩シリーズが講談社&唐沢イラストで出たら間違いなく
買ってしまうぞ。
54. 2005年11月09日 22時42分45秒
投稿:かい賊
古橋秀之「ある日、爆弾がおちてきて」(電撃文庫)
六編の短編オムニバス。「連作」ではない。共通のテーマは「時間」。どの作品も
主人公の男の子たちと女の子たちとの間の時間軸がビミョーにずれています。ハッピー
エンドあり、アンチもあり(とは言っても一編だけ?)一筋縄ではいかない構成です。
正直こんなに面白いとは思わなかった。それぞれ全く関係ない別々の話なんだけど、
なんだろうこの妙な統一感は。
ワシは第1編の表題作できっちりやられ、しっかり爆破されました。単なる萌えでは
ない琴線ど真ん中。最もお気に入りの一文を抜粋。第3編「恋する死者の夜」より。
『死んだナギと死人のような僕は、死人の群れの中に溶け込みながら、電車に乗っている』
スゲェ、スゲエよ古橋さん。なんちゅう世界観や。ほんまラノベ読み、文庫読み、文章
読みやっててよかった。オープニングでもラストでもなく普通にこんな一文がさしはさ
まれている。
むしろ恐ろしい。こんな風に死を身近に感じていいのだろうか。烈しい描写の小説
よりも、よほど危ないところに読者をいざなうような気がする。「北風と太陽」の
太陽の危うさを持った小説(なんじゃそりゃ)に出会ってしまいました。
不覚にも古橋さんはこれが初めて。うし、なるべく早いとこ「ソリッドファイター」と
「デモンベイン」は読んでおこう。 →てか、なぜ両方ともゲーム絡み?
[NAGAYA v3.13/N90201]