黒猫荘
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オーナー:砂時計
床を埋めつくす積読本の山、山、山。
ドアからベッドへと続く一筋のケモノ道。
最後に掃除機をかけたのは何年前だっけ……(遠い目)。
そんなダメ人間の部屋へようこそ。
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271. 2006年01月26日 22時16分05秒
投稿:砂時計
「北関東逆境会!」
こんばんは、砂時計です。
『12人の優しい日本人』の舞台生中継、二日後ですね。WOWOWを見られる人が羨ましい。
『ミステリマガジン』3月号を購入。創刊601号記念特大号ということで大増量の490ページ・2200円。
内容てんこ盛りな中、ここで取り上げたいのは、今月号から始まった、『容疑者Xの献身』についての二階堂発言を端緒にした誌上討論コーナー「現代本格の行方」。
今回掲載されているのは「『容疑者Xの献身』は本格か否か」(二階堂黎人)、「『容疑者Xの献身』は難易度の低い本格である」(笠井潔)。
(※二階堂氏の文中にはクリスティー『アクロイド殺し』とポー「モルグ街の殺人」の、笠井氏の文中にはヴァン・ダイン『僧正殺人事件』のネタばらしが含まれてるので、未読の方は注意が必要)
二階堂氏の文章中、同作品は本格ではないという主張については自身のサイトで述べられていた内容の繰り返しなのでどうでもいいんですが、以下の箇所には衝撃を受けました。
『女性に対する石神の一方的な思いは、ストーカーもしくは変態的な気持ちの悪いものであって、けっして純愛などではない。どうやら、評論家は、帯の惹句「命がけの純愛」を鵜呑みにしたあげく、この言葉を鸚鵡返しに唱えているだけのようだ』
ええーーっ(絶句)。……いかん、頭がクラクラしてきた。
この方、もしかしたら、この小説の人間ドラマとしてのキモの部分をちゃんと読み取れていないんでしょうか。本格か本格でないかなんて果てしなくどうでもいいと思えるくらい、そっちのほうがショックですわ。
いや、まあ、あの石神の「想い」を全てひっくるめて「ストーカーもしくは変態的な気持ちの悪いもの」と感じたんだとすれば、それはそれで一つの読み方ではあるんでしょうけれど(あるいは自分の読み方のほうが誤読なのかもしれないし)。
で、この文章、こう続きます。
『 また、この物語のような事件の場合、殺人者(花岡母娘)と恐喝者(石神)という対立状況に陥るのが普通で、そこには猜疑心と疑心暗鬼、殺意しか生まれ得ないから、血みどろの憎悪劇へと発展するだろう。桐野夏生氏や柴田よしき氏がこれを書いたら、そういう方向に話は進むはずだ(いつもの東野圭吾氏でもそうだ)。そういう意味で、私は人間ドラマにも物足りなさを感じた』
……なんか、ムチャクチャな難癖をつけているようにしか見えないのは自分だけでしょうか。
笠井氏が、この作品を読み進めて謎を解く上で、どの部分に着目し、どこで真相を見抜いたかを語った部分は面白く読みました。その結果、本格としては「初心者向けの水準」であるという結論に達し、その難易度の低い作品を作家・評論家・読者がこぞって本格の傑作として賞賛していることを問題視されています。
以下、『容疑者Xの献身』について、直接真相には触れないけれど勘のいい人にはヒントになってしまいそうな内容になりますので、同作品を未読の方はご注意願います。
自分は、この作品の謎解き物としての価値は、高木彬光『刺青殺人事件』における「心理の密室」に当たるところにあると思っています。
読者の目を別の方向へ向けさせることで、小学生でも解ける問題を難問に見せる手際こそが、この作品を傑作たらしめているのだと。
それに惑わされずに「本質直観」を働かせることができる読者は一定数存在するでしょうし、そういった人たちは笠井氏同様、易々と真相に至ることが可能でしょう。
だからといって、それを難易度の低い本格とする笠井氏の見解には、個人的には納得し難いものがあります。
見せかけの難問と単純な真相の大きな落差こそが、自分が『容疑者Xの献身』に謎解き物としての醍醐味を感じた部分なので。
それとも、大抵のミステリファンは自分と違って、簡単に真相を見破っちゃったのかなあ。
■1/26の購入本
・ハヤカワコミック文庫
●『るんるんカンパニー』[3] とり・みき――単行本未収録だった幻の封印エピソードを収録。解説・はやみねかおる。 ●『るんるんカンパニー』[4] とり・みき――解説マンガ・吾妻ひでお。
●『ミステリマガジン』3月号
●『活字倶楽部』冬号――「人気作家64人大アンケート」には多数のミステリ作家の回答が。他にミステリ関連では真瀬もとインタビューがありますね(「シャーロキアン・クロニクル」シリーズは全部集めておきながら長年積読状態なんだよなあ)。
269. 2006年01月26日 00時20分57秒
投稿:砂時計
「右京さんも知らないことがあるんですね」
こんばんは、砂時計です。
夜神月役は藤原竜也ですか。まあ、順当なところでしょうか。正月の『古畑』を見て彼に月のイメージを重ねた人もいるのでは。
監督や他のキャストもネット上では名前が出ていますね。
さて以前、先月亡くなった脚本家の砂本量さんが手がけた作品として『舞妓さんは名探偵!』第6話「京都映画村大爆破!」の走るのをやめると爆発するルームランナー爆弾の話と同じテレ朝系木曜8時枠で2002年に放映された『オヤジ探偵2』第8話「モクヨウ・ナイト・フィーバー」のダンスゲーム爆弾の話を出しましたが、その後、もしかして……と思い調べてみたら、ああ、やっぱり。
やはり同じテレ朝系木曜8時枠で1999年に放映された『科捜研の女』第5話「京都死の配達人!赤いルージュの殺意!!」もこの方の脚本だったんですね。
室内の動きを感知すると爆発する爆弾のために身動きが取れなくなる科捜研のメンバーたち。
『特捜最前線』第160話「復讐I・悪魔がくれたバリコン爆弾!」第161話「復讐II・5億円が舞い散るとき!」(長坂秀佳脚本)の人数拡大版&コメディー要素プラス、といった感じで楽しんだ作品でした。
『相棒』などでこの先も爆弾サスペンスを見せてほしかったよ……。
■1/25の購入本
・角川文庫
●『さらわれたい女』 歌野晶午――講談社文庫版積読中(……だったはず)。解説なしなら買わないつもりだったんですが、法月綸太郎解説ということで迷わず購入。 ●『嵯峨野白薔薇亭の殺人 香りの殺人シリーズ』 吉村達也――香り付きミステリー第二弾。こすると香りが、というのは自分が子供の頃の雑誌によくあったので懐かしい感じがします。「子供の頃の本」からの連想でふと思ったんですが、館もののミステリで見取り図が付いてるものがあるじゃないですか。あれが「とびだす絵本」方式で、ページを開くと立体化するなんてのはどんなもんでしょうね。『斜め屋敷の犯罪』あたりでやってくれたら多少高い値段でも買っちゃいます。
268. 2006年01月24日 22時49分58秒
投稿:砂時計
「小さくまとまんなよ」
こんばんは、砂時計です。
かい賊さま
いらっしゃいませ。
ああ、あの将棋マンガでしたか(毎週通り過ぎるだけですけど認識はしてました)。
たしか数年前にも少年誌で将棋マンガの連載がありましたね。あれはサンデーだったかな?ヒットはしませんでしたけれど。
>つのだじろう作「5五の龍」
連載中は断片的にしか読んでませんでしたが、文庫化されたときに買い揃えて通読。
将棋が話に絡んだ推理小説なんかでもそうですが、自分がちゃんと将棋を理解してたらもっと面白さが増すだろうになあ、と少々残念ではあるのですが、それでも引きこまれる作品でした。でも今思い出せるのは「将棋マンガでも幽霊出しますかー!?」という部分だったり。そういえばつのだ氏が描いた『八つ墓村』にも、霊媒師の口からエクトプラズムが立ち昇り、金田一が心霊現象の解説をするくだりがあったような。
つのだ版金田一作品の中で、この『八つ墓村』だけ文庫化されてないんですよね。同シリーズの他の作品が入っている講談社漫画文庫からは先に影丸穣也版の同タイトルが出ているので、そのせいかと思うんですが、もったいないです。ま、つのだ版は『悪魔の手毬唄』一作だけでもお腹いっぱい、という感もありますが。あの歌謡曲「悪魔の手毬唄」の歌詞はスゲーよ……。
『5五の龍』と『月下の棋士』の間、ということで個人的に思い出すのが、22年前くらいに(<入院中のベッドで読んでいたので憶えている)『週刊少年チャンピオン』に連載されていた、堂上まさ志『燃えろ!一歩』です(こちらは「いっぽ」じゃなく「いちふ」)。ちなみにこちらでダウンロード購入も可能。
将棋好きの人が読んで面白いかどうかは分かりませんが、自分は結構ハマッてました。
キーワードは「完全将棋」。終盤でこの完全将棋の弱点が明らかになった時は「それ完全ちゃうやん!」と思わずツッコんじゃいましたが。
こないだの書きこみで挙げたのは自分にとっての「ハマリドラマ」ですが、「準ハマリドラマ」という位置づけの作品群もありまして、『王様のレストラン』はその一つです。
今度の大河ドラマに三谷氏が俳優として出演するというのが話題になってるようですが、このドラマの最終回ラストにも謎めいた客の役で出てましたね、たしか。
『QUIZ』の終わり方には批判的な声が多かったんですよね。そのためか、ノベライズ本のラストでは犯人に対して多少厳しめの短い後日談があったと記憶しています。ビデオが出た時も最後に同じようなテロップがつけ足されたという話を聞いたことがありますが、これは未確認。
しかし、それを遥かに上回るのが浅田寅ヲによるコミック版(上下巻,角川書店)の凶悪なエンディング。
基本的に(キャラクターの顔も含めて)ドラマに忠実でありながら、最後だけ思いきりダークな方向へ突き抜けていて、自分はこっちのほうが好みだったりします。
泣ける話には自分も弱いですねー。ここ数年の自分にとっての感涙作品は、ドラマだとNHK『中学生日記』の一編「ココロの穴」、そして『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』。映画だと『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』あたりですね。最近では、海外ドラマ『トゥルー・コーリング』の第11話「終わりなき日」で泣きました。
『チャンス!』、懐かしいなあ。「本城裕二」のCD、買いましたよ。
本城がラジオのパーソナリティーをやるエピソードが一番好きでした。
三上物といえば自分は『あなただけ見えない』ですねー。第三の人格が現れるシーンは忘れようにも忘れられません。
あ、独り言に対するレスはありですのでご遠慮なく。
書きこみ、どうもありがとうございました。
■1/24の購入本
●『サム・ホーソーンの事件簿IV』 エドワード・D・ホック (創元推理文庫)
●『本の窓』2月号――佐野洋「ミステリーとの半世紀」、今回は『虚無への供物』が推理作家協会賞の候補作に選ばれなかったことにまつわるあれこれ。
267. 2006年01月23日 22時55分12秒
投稿:砂時計
「そ、そ、そ、それですよ。わ、わ、わ、私がいちばんこの事件に興味をかんじているのは……」
こんばんは、砂時計です。
雪のため本屋に行くのもままならず(川柳か?)。
そんなわけでジャンプの今週号にはまだ目を通していないんですが、なんか『DEATH NOTE』が実写映画化されるみたいですね。
マンガのほうが奇跡的なクオリティで突っ走っていた頃だったら「やめてくれえ」と思ったかもしれませんが、それほど思い入れがなくなった(ジャンプなら『魔人探偵脳噛ネウロ』のほうが面白い)今は、むしろ「実写化?見てえ見てえ」という感じです。すっかり気持ちが醒めていたデスノ関連で新たな楽しみが(仮に出来の悪い映画だったとしても楽しめそうな予感)。
昨日も雪でしたが、本屋に足を運べないほどではなく、四軒ほどハシゴ。
その内の一軒で、東野圭吾『容疑者Xの献身』の平積み本がビニールでラッピングされているのを目にしました(見本として裸のままのが一冊)。
「キレイな状態でお客様に受け取っていただくため」だとか。初期のカバーに比べたらそれほど指紋はつかなくなってるような気がするんですが、それでも他の本よりは汚れやすいですかね。
このビニールがけ、もしかして全国的に行われてたりするんでしょうか。
さて以前、先月亡くなった脚本家の砂本量さんが手がけた作品として『舞妓さんは名探偵!』第6話「京都映画村大爆破!」の走るのをやめると爆発するルームランナー爆弾の話を出しましたが、その後、もしかして……と思い調べてみたら、ああ、やっぱり。
同じテレ朝系木曜8時で2002年に放映された『オヤジ探偵2』第8話「モクヨウ・ナイト・フィーバー」もこの方の脚本だったんですね。
こちらはゲームセンターのダンスゲームに爆弾が仕掛けられ、それに乗ってしまったらミスをせずに踊り続けなければならない、という設定。当時、面白いことを考えるなあ、と思いながら見てたっけ。
『相棒』でも「人間爆弾」を書いてたし、もしかしたら、『特捜最前線』や特撮ドラマで爆弾ものを多く生み出し「バクダンのナガサカ」の異名をとった長坂秀佳氏の後を継ぐような活躍が今後も見られたかもしれない、と思うと亡くなられたのがつくづく残念でなりません。
(えー、この書きこみ、かい賊さまと入れ違いになってしまったための再投稿なのですが、ああ、今夜は時間切れでレス不能。かい賊さまには申し訳ないのですが、また明日ということでご容赦を)
■1/22の購入本
●『魔術師の夜』(上・下) キャロル・オコンネル (創元推理文庫)
●『ユリイカ 詩と批評』1月号――特集「マンガ批評の最前線」目当てで購入。作家では浦沢直樹、あずまきよひこのロング・インタビューが。
[NAGAYA v3.13/N90201]