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140. 2006年09月13日 23時32分09秒  投稿:かい賊 
北森鴻「親不孝通りディテクティブ」講談社文庫

6編からなる短編集。俺がテッキでオレがキュータ。屋台の親父(と言うにゃ若いが)と
結婚相談所の調査員、凸凹コンビの素人探偵譚。

テッキは渋くて強くてちょっとだけ弱い頼りになる、どこにでもいそうな探偵役。ところが
キュータは一言で言えば“愛すべき馬鹿”で、ざっと行動力高・自惚れ激高・思考力低・
判断力激低という感じです。このキュータがいるからこそ魅力的な作品に仕上がっています。

『テッキがおでんの鍋の前で凍り付いた。
 オレは音を立てないようにスツールから立ち、三杯目のビールにありつくべく体を移動
させる。「そういうことか」という一言に、今度はオレが凍り付いた。
「いや、これは……その、伝票に付けても構わんのよ」
 だが、テッキはオレを見てはいなかった。その視線は空中を睨み、ややあって、今度は
おでんの鍋に向けられた。菜箸が鍋の中身を行き来し、すでに半分ほどになった具を整列
させた。
「どうした、ビールはもういいのか」
「よか。それよりも一人で納得しとらんと、説明ばしちゃり」
「それは明日、ゲストを迎えてからだ」
「なーに、カッコつけとるんね。オレとおまえは≪中州のスタスキー&ハッチ≫やろ」
「前から聞こうと思っていたが、いったいどこでそんな古いネタを仕入れてくるんだ」』

親不孝通りは、博多は天神です。

北森作品の登場人物はみなどこかにアウトロー感が漂うというか、後ろめたさを抱えている
というか、多分それを背負っていない人間なんていないってことなんだろうなあ。自分が
ハマリ続けているのもそこら辺が大きいに違いない。もちろん今後も追っかけ追っかけ♪
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139. 2006年09月09日 23時14分54秒  投稿:かい賊 
>のりりん様

すごい雨…ああ、あのにわかに湿密度がググッとあがったときですね。丁度その頃だったかも……。

同じ姿…ええ、ワシも絶対わかられる自信あります(爆)。

シャレード…何号重ねてもあの手作り感が大好きです。

冬…周囲に理解もしくは諦めがなければ(ワシはもちろん後者です)キツいっすよね。

まあまた機会はあるでしょうよ。ではまたです。書き込みありがとうございました♪
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138. 2006年09月05日 13時33分14秒  投稿:のりりん 
 こんにちはあ。24号室ののりりんです。
 思いっきりニアミスでした……。かい賊さんが東の方に来られた頃、私は食事中だったかもしれません。すごい雨が降ってきたときに売り席を離れていました。
 以前お会いしたときと同じ姿なら、絶対わかると思うのです。気づかなかったってことは、やっぱりその時だったんでしょうか。
 今回の同人誌のおかげで、シャレードは、米澤穂信、今邑彩、司透季2、斉藤肇、天城一読本を入手できました。ほくほくです。
 初コミケはわくわくドキドキでした。冬も行きたいのですが、さすがに年末は厳しいです……。
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137. 2006年09月05日 00時07分27秒  投稿:かい賊 
ま、とりあえず久々。

>のりりん様

遅レス失礼いたします。

おや、有明にいらしてたとは! なるほど「ツ」ですか。東456ですね。
ちなみに土曜日、ワシはA58bの客分として参加。午前中は西館にて小説と若干の回胴式
遊戯機本を買い漁り(30〜40分で帰還するはずがいつのまにか正午頃に)、松本楼にて
昼食後、東123にてBLEACH本を物色(いやいろいろありますよ、パロ・エロ・漫画・小説・
果てはカードまで、にしても、一ルキ・恋ルキ・白ルキ・浮ルキはまだしもコンルキって…、
大体ルキア「受」って何なんだ? と失礼しました。まあ、ルキア一人挙げてもこんな感じ
ですから、しかも絵の巧拙はその本の面白さの決め手とはならないのでこれまた大変)して、
いい加減消耗というか半ば朦朧として456へ。

もちろん目当てはFC小説! ではなくナの後半から(ハリポタまでやってたら死んでしまふ)の
ラノベゾーン(除マリみて、なぜならハリポタに準ず)。だったのですが、ほとんど心が折れて
お散歩状態でしたね。そんなこんなで123に退散の流れなのですが、

ツ56bって別冊シャレードの隣(なんて失礼な物言い!)じゃないっすか。シャレードは
誰の特集かで購入は決めているのですが、貧乏性のワシは一応中身を見ておかないと安心(?)
できないので、どんなに重い足でも運びます。

そうですかあ、のりりん様は探偵小説研究会の方だったんですかあ。認識不足というか聞いて
ないだけ? でした。きっとニアミスしていたんですねえ。ワシは先日お目にかかったときと
同様、青い作務衣でそこらを怪しげに徘徊していました。たしか今回分厚い新刊が出てました
よね。重さと読むべき量にこれは今買うべきではないと強引に英断(んな格好よくはない)し、
スルーしました。

冬かな?

のりりん様、ご挨拶もできず残念でした。またの機会に。しかし心残りは……、近日中に
回廊亭にお邪魔しますね。書き込みありがとうございました。
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136. 2006年08月17日 09時07分08秒  投稿:のりりん 
 土曜のビックサイトですと!?
 私もおりました。売り子でいました。
 ツ56bと言いましてわかりますかな?
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135. 2006年08月15日 23時25分23秒  投稿:かい賊 
>語弊だらけの彼女様

ども、おばんです。お元気そうで何よりです。

>明川哲也賞

なるほど、賞とは目出度いですね。これで語弊だらけ様も立派な叫ぶ詩人の仲間入りを
果たし……ってどうなのよ?
いえいえ、なんにせよおめでとうございます。早速雑誌を探します。

>お盆は本に埋もれているのですか

むしろ、さらに、本に埋もれる準備をしています。

先週末、ビッグサイトへ。久々夏の祭典に参加しました。土曜は小説中心に、日曜は
いかがわしい本中心に、それなりに買い漁りました。しかし、こいつらはいつ……。
まあ、楽しい夏と言えないこともないかもしれません。

何だか携帯が現在家出中で、少し文明から切り離された気分の生活です。
読んだり、食ったりのだらだら生活がお約束かつ幸せなところと言えましょう。

語弊だらけ様も、ぜひお幸せに。書き込みありがとうございました。
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134. 2006年08月10日 09時50分56秒  投稿:語弊だらけの彼女 
 何―『舞姫』の千花ちゃんが死亡―?! 読まなければ!! お久しぶりです。←我に返った。 かい賊様はひょっとしてミステリーがお好きでは?と思う今日この頃。 最近、映画やマンガが多いので、本もぼちぼち読もうと思いました。講義が本の内容が多いので、他のもので息ぬきしているという感じ。←幸せものだな… 『公募ガイド』の今月号(九月)が昨日発売でした。その誌上で明川哲也賞をいただきました。カラーで詩が掲載されているので、機会がありましたら、よろしくお願いします。 かい賊様はお盆は本に埋もれているのですか。私は何をしているかな。なにはともあれ、お互い楽しい夏を過ごしましょう!!    それでは。
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133. 2006年08月06日 15時44分47秒  投稿:かい賊 
北森鴻「支那そば館の謎 裏京都ミステリー」光文社文庫

元怪盗(と言っても華々しいやつじゃなくてとっても着実な泥棒、みたいな)で現在
「知る人ぞ知る裏(マイナー)名刹」大悲閣千光寺の寺男通称アルマジロ(ああ、別に
怪盗時代の通り名というわけでもありません)こと有馬次郎が主人公です。

ひょんなことで、巻き込まれたり、転がり込んでくる事件に時にはあたふたと取り乱し
ながら、解決に奔走します。京都という土地柄、元怪盗というキャラクターにふさわしい
捜査・推論を展開します。

北森鴻を読む楽しみの一つ。

『我々のやりとりが一段落したのを見越してか、大将が小鉢を二つ出してくれた。
「去り行く冬と、一足早い春とを同時に味おうてもらいとうてね」
 蓋を取ると、蕪の芳香がぷんと香った。
「鰆と蕪を蒸してみたんやけど」
 という大将の言葉が終わる前に、我々はすでに小鉢の中身に箸を付けていた。
「餓鬼やね。きみら」
「ほっといてんか。うまいものに能書きはいらん」
「ああそないに食い散らかして」』

いいねえ、おいしい文章は。
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132. 2006年08月06日 14時45分06秒  投稿:かい賊 
鯨統一郎「とんち探偵・一休さん 謎解き道中」祥伝社文庫

外出時でも文庫が手元にないということはここ数年ありません。ただワシはうっかりさん
なので、たまに(しばしば?)ちょうど読み終えた本をそのままにしていたり、既読本を
鞄につっこんだり、まあ珍しくもありません。読むべき本がないことに気づくととりあえず
恐慌におちいり、ふらふらと駅売やコンビニへ。いやあるもんですね、買った記憶のない
お得意様が。

「金閣寺に密室」の続編にあたります。今回は短編集ということで“お約束”の山です。

犯行者は大体予想をはずれない(わかりやすく書いてくれていますから)のですが、毎回
証拠固めや推理の裏づけのための調査に悪者が横槍を入れます。かんならっず、「これが
できれば……」という条件が出てきます。サービス、サービス♪


「それほどまでに言うのなら会わせてやらぬ事もない」
 彦太郎が後ろの障子を開ける。そこには二十畳はあろうかという広い部屋があった。
「彦三は今この部屋の向こうの部屋にいる」
「さよか」
「この部屋を通って奥の部屋の襖を開けるがよい」
「おおきに」
 一休が草鞋を脱いで上がり框に足をかけた。
「ただし」
 彦太郎が鋭い声を発して一休の足を止める。
「決して畳の上を歩いてはならぬ」
「なんですって」
 茜が思わず声をあげる。
「そんなこと、できるわけない」
 この広い部屋を、畳を歩かずに通り抜けるなんて。
 彦太郎はにやりと笑みを浮かべた。
「京で評判の智恵者の一休殿、さぞ造作もなくやってのけるであろうな」
 彦太郎が小馬鹿にしたような笑みを一休に向ける。』

それらしく、わかりやすいところを引いてみました。

ワシがその立場だったら「ダメ、ダメ、絶賛ダメーッ!」だけどな。
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131. 2006年08月06日 13時41分50秒  投稿:かい賊 
高殿円「神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト」GA文庫

“ポリ白”です。そもそも「ポリフォニカ」自体がキネティックノベルとやらで、PCに
よるテキスト付きのドラマCD(逆か?)らしい。榊“ポリ赤”が舞台がほぼ現代の神曲
楽士(要は精霊使いですね)が主役のSFファンタジーで、大迫“ポリ黒”が精霊課刑事
たちが主役の異色ミステリー(安易に「変格」って使っちゃおうか? ってそもそも本格
風でもないか)。そしてこの高殿“ポリ白”が過去編(現代と神話の時代の間?)と言う
べき学園ファンタジーですね。

主人公は元孤児の旧家のお嬢様付きメイド。ところがこのスノウ、全く楽器の素養がない。
神曲楽士の条件は精霊に報酬として音楽を供給すること。まあそれでも構わない。彼女に
神曲楽士になるつもりはさらさらない。恩人であるお嬢様のお側にいられればそれだけで。
さてお約束の展開ですが、「お嬢様」プリムローズはコンクールに入賞して精霊島への入学
資格を得てしまいます。「お側」もこれまでかと思いきや、押しかけコントラバス精霊の
ブランカのおかげで、スノウも精霊島へというお約束展開。しかしまあこの主人公、たく
ましいんだか、ズレてるんだか、かわいいんだか、とにかく元気で見ていて全く気持ちが
いい。


「おい、ベッドから降りろ。押しかけコントラバス」
 怪訝そうな顔をしたブランカに、スノウは“ささめ”切っ先をつきつけた。
「なんでだ」
「貴様がそこで寝てしまっては、わたしはどこで寝るのだ」
 しかし、ブランカはまったく動じた様子もみせず、いったいいつの間に持ってきていたのか、
梅干の入った壺を小脇に抱えぱくつきながら、床に転がっているコントラバスケースを指さす。
「そこ」
「ふ、ふぬー!」
 スノウはいきり立った。
 前言撤回、やっぱりこいつは、ただの迷惑千万な押しかけクソコントラバスだ。
「どけといったら、絶賛どけーっ!!」』

ぬ、絶賛、は彼女の愛すべき口癖間投詞です。

「銃姫」の魔法詠唱、「カーリー」の学生寮、それぞれ思わせて大変心地よい。

ひとつの作品世界を複数の作家が著すと様々な違和感を感じるものだが、このシリーズは
それぞれ独立していながら時間や場所の差はあれちゃんと「同じ世界のなかに」ある。

赤黒白それぞれ楽しみだなあ。8月は黒だそうな。ぜひとも「月間ポリフォニカ」で。
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130. 2006年08月05日 23時39分35秒  投稿:かい賊 
大迫純一「神曲奏界ポリフォニカ インスペクター・ブラック」GA文庫

おやあ? 榊一郎じゃないぞう? 初めて目にする名前だ。なんでポリフォニカ?

世界設定をそのままに別シリーズを展開。榊ポリフォニカ「ウェイワード・クリムゾン」で
登場した精霊警察がメインのミステリー色が強い作品。

のっけから殺人で犯人も最初から明らか。おやこれは、と思ったらやっぱり倒叙もの。


「コヅカ先生、あなたも大したもんです」
 心底から敬服したような、半ば尊敬の眼差しだ。
「え?」
「あなたも、人並み外れてらっしゃる」
「どういうことでしょう?」
「だって先生、早朝に電話を受けられたんでしょ? ニウレさんから」
「ええ」
「朝お屋敷に来てみたらオゾネ先生が亡くなってた、って」
 こいつ、何が言いたいんだ?
「私だったら、寝てる間に何かあったんだろう、って思い込んじゃいますよ。だから
寝室でしてたんです。でもコヅカ先生、まっすぐ書斎においでになった」
 コヅカ・ケイズニーは、真正面からマナガの顔を見据えていた。
 目尻に皺を刻んで、巨漢の警部補はにこにこと、にまにまと笑みを浮かべている。
その小さな瞳の奥の真意を透かして見ることは出来なかった。』

いかにもコロンボですなあ、巨漢だけど。精霊特有の“技”はいくつか登場しますが、
犯人コヅカと精霊刑事ペア(巨漢の相方が少女で警部すなわち上司)のやりとりは中々
見ごたえがあってGOODです。SFファンタジー設定やラノベが鼻につかない人には
ぜひともお勧めですね。

この大迫ポリフォニカは“ポリ黒”、榊ポリフォニカは“ポリ赤”という通称だそうで。

続いて“ポリ白”の登場です。
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129. 2006年07月21日 03時05分31秒  投稿:かい賊 
水城正太郎「せんすいかん その1」HJ文庫

『しかし現実は非情。
 お互い殺し合うようにボスから命じられる二人。
 武器で戦うには忍びなくて生身で戦うのだけれど、戦闘力はマングースのほうが上。
しかし、その殴り合いがいつしか……。
「ふふふ……もう抵抗する気力もないだろう?」
「うう……好きにしろ」
「ああ、好きにさせてもらうさ」
「待て、マングース、何を……」
「どうせ死ぬなら気持ちよくなってから死にたいだろう?」
「やめろ、この変態……!」
「何が変態だ。お前の三角頭はもうこんなになっているじゃないか」
「畜生、わかっているくせに」
「ああ、ハブ、ハブ」
(以下、掲載するに忍びないので、さわやかなデスメタルをお楽しみください)
 ♪ヴぉーヴぁーぶぶぶぶげぅあぁぼぅあ〜!』

のっけから引用しまくりですが、これは登場人物の一人、演技の天才すずみ(水泳部員)の
やおい妄想です。

『さよりはめだかの頭をなでた。天才と呼ばれるのはつらいことのほうが多い。とくに
物語作りというめだかのような才能は。
「だ、だけど……めだかは、この世界の果て、水平線と空の間にあるインターゾーンから
やってきたお姫様なのでしゅ。インターゾーンが悪魔であるドク・ベンウェイによって
毒ムカデに覆われてしまう前に、この地球から争いごとをなくし、希望を増やさないと
インターゾーンは滅びちゃうんでしゅ」
「ははは、めだかちゃんは優しいな。そのお話を聞いた子供が希望を信じてくれるといいね」』

このめだか(水泳部員)は物語作りの天才ではありません。

『そのときこそ、ひばりが観客席に向かって湯たんぽを投げたその瞬間だった――。
 いつも酔っぱらってニコニコしているしいらが声に応えて一升瓶を持ち上げ――。
 ――その一升瓶が見事に湯たんぽをたたき落としたのだ。
 かつーん。
 甲高い音が響く。
 湯たんぽは世界記録保持者川相のバントのように正確に投げたひばりの許に飛んでいく。』

しいら(水泳部員)は酔っぱらいの天才らしい……。


「先生! 初芝さんがまだです」
「あー、初芝か。また死んだか?」
「みたいです」
 さよりと生徒はなんとも怖ろしい会話をかわす。
 ほどなくして初芝こちの居場所は判明した。
 空港の片隅に人だかりができていたからである。
 その人だかりの中央では、一人の少年がひざをついて、髪の長い美少女を助け起こそうと
している。その美少女が空港でばったりと倒れたものらしい。
「助けてください!」
 少年は叫んでいる。
「助けてください!」』

こち(水泳部員)は幽霊の天才。

どいつもこいつもだが、やっぱりいちばん濃いのは……。


「カーカカカカカカカ!」
 上空から不気味な笑い声が響いてきた。
 その笑いこそ不気味だが、声だけはセクシーな女性のそれなのが不自然だった。
 さよりと教頭が同時に顔を上げる。
 なんと一人の女生徒が手足をくの字に曲げ、まさに蜘蛛のごとくにべったりと天井に
貼りついていたのだ。
「さよりちゃーん、今度ばかりは逃がさないから!」
 彼女は首だけを器用にさよりに向け、もう一度「カーカカカカカ!」と笑う。口の端が
三角形につり上がっている。ものの見事に悪魔超人か天才料理人のような表情だ。』

『その美少女は他人に有無を言わせぬ鬼の目をしていた。
「ご苦労」
 かじかの呼びかけに、すぐさまジョージは反応していた。
「サー、イエッサー! 全速で沖縄にお送りいたします!」
 背中に鬼の顔こそ浮かばないが、魅了させることも畏れさせることも思いのまま。
かじかはやはりカリスマの天才なのであった。』

『少年が跳んだ。
 鋭い回し蹴りをかじかに向かって放つ。
「ぐはっ!」
 顔面を蹴られたかじかが顔を中心に回転しながらふっとび、顔面からざしゃあ! と
ホームに突っ込む。顔面から突っ込んだ瞬間、身体は垂直に突き立っているという見事な
『車田落ち』だった。』

とても語りつくせませんが、かじか(水泳部長)です。ちなみにジョージ君はただの
厚木基地の海軍エースパイロットで、本編とは一切関係ありません。

さて彼らを束ねるのが主人公のさより(水泳部顧問)です。タンジール(!)の大学で
飛び級の末、女子校「聖バロウズ学園(絶対かわいい娘には通わせたくない名だ)」の
教師となります。彼は先読み(スキップ思考⇒風が吹けば桶屋が儲かる思考とも言う)の
天才です。

猟奇王の衣鉢を継ぐ者たちがこんなに……。猟奇シスターズが一般人に思える。

本当になんでもアリです。各章のサブタイトルがまた……。

1 天才女学生西へ
2 地底ゴゴゴゴゴゴゴゴ………

たまらんなあ。
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128. 2006年07月17日 02時21分45秒  投稿:かい賊 
小森健太朗「グルジェフの残影」文春文庫

まず最初に、ワシの中ではミステリーとは認識されませんでした。小説としての目的が
謎解きではないと感じられたので。もちろんこれは読了後の感想です。

とりあえずこの作者に関してワシに失策があって、「コミケ殺人事件」と「メヌウェンラーの
密室」しか読んでいないんだな。「ローウェル城の密室」と「大相撲殺人事件」が未読という
のは痛すぎる。「大相撲」はまだ文庫にオチてないからしかたないけど、「ローウェル城」は
家のどっかに埋もれているだけだからなあ。トホホです。「大相撲」は爆笑モノらしいので、
ぜひとも読まねばなるまい。

以下ネタバレかもしれません(トリック等ではありません。読む楽しみを削ぐ可能性が
ある、という意味でです)が。

さて肝心の本書はというと、面白かったですね。いつミステリーになるか戦々恐々と読み
進めた挙句、とってつけたような(悪口じゃないです、巻末対談で奥泉光もそう言って
ますし)殺人事件が起こり、しかもそんなところに重きは全くない。ウスペンスキーと
グルジェフという二人の思想家兼実践者がロシア革命前後にどのような足跡を残したのか
ということを克明に追っていきます。その思想の変遷が史実と絡み合って展開され実に
面白い。

冒頭に近い第二章では、山田正紀「チョウたちの時間」を連想し、ここからSF的展開を
期待しましたが、軽く肩透かしを喰らい…。

そう、意図的なんだか、たまたまなんだか、「これ(この人)どうなったんだろう」と思った
その先が全く語られないことが多いんだよなあ、この作者。ウマいんだか、意地悪なんだか、
ええ、ええ、術中にはまってますよ。はい、はい、「ローウェル城」探しますよ。
[221.242.148.154][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)]

127. 2006年07月13日 02時03分47秒  投稿:かい賊 
木村航「串刺しヘルパー さされさん 〜呪われチルドレン〜」HJ文庫

RPGを中心としたゲーム世界には聖属性・闇属性なる言葉がある。各キャラクターは
その属する性質によって、特定の種類の攻撃値や防御値を高め、逆に弱点を持たされる
ことになる。属性は聖闇に限らず、木火土金水などの自然系が代表的でお互いに効果を
相殺したり助長しあったりしている。一つのRPGをやりこむ楽しみの中には“育て”の
要素がからむことが少なくない。技や効率にこだわり始めると、ゲーム攻略の初期には
気にならなかった攻撃回数や技の繰り出しスピードに目にも明らかな差が見受けられる
ようになり、必然として意味のあるレアアイテムやこの属性とやらに振り回されることと
なる……らしい。

ワシは憧れはするけれどもやりこみゲーマーではない(トゥルーエンドが一回見られれば
充分)ので、属性のありがたみは今ひとつ感じることが少ないというか、ない。そもそも
聖闇のイメージはま〜んま神&魔ばっかりだから、キャラクターやスキルなどの体系が
実に単調極まりない。要はつまらんのだ。

『――人々の精神が生み出すエネルギーを、精気(プネウマ)と呼ぶ。
 そのポテンシャルを表す単位が精気圧だ。
 個人の精気圧が、社会の平均値より高ければ、それは「ついてる」と呼ばれる状態だ。
むろん、精気圧が平均以下ならば、逆の状態になるのは言うまでもない。
 普通、個人の精気圧は、社会全体の平均値前後でゆるやかに変動を続ける。
 一定の精気圧を保つために、依代に精気エネルギーを込め、魔法のアイテムに加工する
方法がある。これがプネウマ・テクノロジー、いわゆるプニテクだ。日本のお家芸として、
現在も世界のトップを独走している先端技術である。』

『高精気圧の依代に憑依された者は、「祝命者」または「ついてる人」と呼ばれる。
 低精気圧の依代に取りつかれれば、「呪感者」または「呪われた人」だ。』

いわゆる闇属性が「呪」として扱われている。また、その呪われ方がハンパじゃない。
われらが主人公江戸っ娘菊呪感者(菊とは呪の等級を表します。もちろんこれは最上級)
佐々岡支恵の呪いはというと、胸の真ん中正面から、剣が背中へと突き抜けています。
文字通り「串刺し」です。だから「さされさん」です。この剣はさされさんのピンチに
なると、窮地を脱するための聖剣と化しさされさんの手と頭脳になる…わけでもなんでも
ありません。ピンチだろうが、ヘルパー従事中だろうが、お風呂中だろうが、構うことなく
ささりっぱなしなので、ただ邪魔なだけです。

他にも家族の誰かといっしょでないと家に近づけもしない運動靴とか、少女の魂?写し身?
(妙ちくりんなタコだけど)を生臭い海水に封じる金魚鉢、とか、なんじゃそりゃあな
物件ばかりです。

呪われようが呪われまいが人間です。まだまだ未熟な子どもです。呪いとは別個に様々な
悩みを抱えています。憤懣やるかたない運命や自分自身と戦ったり逃げたりであります。
さされさんは懸命に生きるものの味方です。そりゃあ江戸っ娘ですから、たまにやる
こた無茶苦茶ですが、それも立派なご愛嬌。今後のドタバタが楽しみです。
[221.242.148.154][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)]

126. 2006年07月10日 02時50分31秒  投稿:かい賊 
在原竹広「ブライトレッド・レベル」HJ文庫

大きく言えばSFです。もうちょっと絞って言えば“異能者もの”です。本人(元の人格)の
意思とは無関係に他者への攻撃を義務付けられてしまった者の物語です。はい、ありがちと
言えばありがち。特に目新しいところがあるわけでもないのですが、キャラの右往左往ぶりが、
「こなれていないブギーポップ」という感じで、ちょっとだけ新鮮に感じるかな?

既存の類型が山ほどあるので埋もれてしまわないよう頑張って欲しいなと。
⇒かなり偉そう。
[125.100.25.58][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)]

125. 2006年07月07日 03時30分36秒  投稿:かい賊 
7月購入決定(済)本 ダヴィンチ8月号より

日日日「狂乱家族日記 六さつめ」ファミ通文庫
筒井康隆「陰悩録 リビドー短編集」角川文庫
鷹見一幸「小さな国の救世主 2」電撃文庫
時雨沢恵一「学園キノ」電撃文庫
来楽零「哀しみキメラ 2」電撃文庫
深山森「ラジオガール・ウィズ・ジャミング」電撃文庫
大崎善生「編集者T君の謎 将棋業界の愉快な人びと」講談社文庫
加納朋子「コッペリア」講談社文庫
鯨統一郎「タイムスリップ明治維新」講談社文庫
高田崇史「麿の酩酊事件簿 <花に舞>」講談社文庫
はやみねかおる「そして五人がいなくなる (名探偵夢水清志郎事件ノート)」講談社文庫
森博嗣「虚空の逆マトリクス (INVERSE OF VOID MATRIX)」講談社文庫
北森鴻「支那そば館の謎」光文社文庫
今野緒雪「マリア様がみてる 仮面のアクトレス」集英社文庫
朝松健「暗黒は我を蔽う マジカルシティナイト!」GA文庫
早見裕司「メイド刑事 2」GA文庫
千田誠行「レディ・ジェネラル 淑女騎士団 2」GA文庫
高殿円「神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト」GA文庫
七尾あきら「シャギードッグ 天使の序章」GA文庫
神代創「ウェイズ事件簿3 深き闇の彼方に」竹書房Zゼータ文庫
舞阪洸「総統は女子高生」竹書房Zゼータ文庫
樋口有介「彼女はたぶん魔法を使う」創元推理文庫
多島斗志之「二鳥縁起」創元推理文庫
川端裕人「川の名前」ハヤカワ文庫JA
壱乗寺かるた「待ってて、藤森くん!」富士見ミステリー文庫
吉田茄矢「ヒドラ ―HYDRA― 1」富士見ミステリー文庫
矢野有花「初恋セクスアリス」富士見ミステリー文庫
鈴木大輔「空とタマ ―Autumn Sky, Spring Fly―」富士見ミステリー文庫
俵万智「百人一酒」文春文庫
小森健太朗「グルジェフの残影」文春文庫
木村航「串刺しヘルパーさされさん 〜呪われチルドレン〜」HJ文庫
榊一郎「プリンセスはお年頃 1」HJ文庫
五代ゆう「ゴールドベルグ変奏曲」HJ文庫
水城正太郎「せんすいかん その1」HJ文庫
葛西伸哉「ブレスレス・ハンター」HJ文庫
在原竹広「ブライトレッド・レベル」HJ文庫
熊谷雅人「ネクラ少女は黒魔法で恋をする 2」MF文庫J
石橋幸緒監修「勝者の常識 将棋力」リイド文庫

……何冊あるん? 数えたくないんですけど。積み本を増やすか、お盆消滅か……。
これでもハヤカワの恩田陸とか抑えてるのもあるんだけどなあ。
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124. 2006年07月07日 02時31分16秒  投稿:かい賊 
山岸涼子「舞姫 〜テレプシコーラ〜」ダヴィンチ8月号

やっぱり死んじゃってましたね。千花ちゃん。しっかし5年もかけて殺す、っつうか
死なせちゃうんだなあ。「日出処の天使」と「アラベスク」しか単行本で読んでない
から、それに2つとも読み込んだわけじゃないので、この「舞姫」は山岸作品で初めて
思い入れをもって毎月楽しみにしていた作品だったんですよ。それがまあ何の因果か
こんなことに……。ワシ、ヒロインが逝っちゃうのって途轍もなく弱いんです。必要
以上にダメージ受けちゃう。例をあげたらキリがないので、それはまたの機会に。

驚いたというか感心したのは某巨大掲示板やいくつかのサイトで予想されていた展開と
ほぼ同じような流れで本編が進行したことです。ワシは生き残った上でさらに過酷な
話となるという荒唐無稽な展開を予想していただけに、なるほどそれがスタンダードと
いうものかとしきりにうなづいておりましたとさ。

これからどうなるのかなあ。なんにせよ、究極美しいラストになるだろうから(もう
すぐ終わるって言ってるんじゃないよ)、それを楽しみにしよう。
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123. 2006年07月05日 00時34分03秒  投稿:かい賊 
榊一郎「プリンセスはお年頃 1」HJ文庫

富士ミスの全フォローはまだよかろう、仮にもミステリーだから(困ったことにホントに「仮」
なんすけど)。今年からそれにGAが加わってなんかキツイぞーと思っていたら、今度はホビー
・ジャパンだとさ。新レーベルってやつに弱いんすよ。現在進行形でコンプリートできるから。
でも「廃墟ホテル」はカウントするのかなあ、冗談のつもりが本当に出てこない。へこむわあ。

というわけで新レーベル請負人?(GAでは「ポリフォニカ」だったし)榊一郎の登場です。
あとがきによると、デビュー前に書いていた原稿を使った同人誌である「プリンセス・サキュ
バス」を改稿したものが本作だそうです。

というわけで主人公はお姫様で、淫魔です。ある日王様が森を歩いているとかぐや姫よろしく
赤ん坊を発見します。月日は流れ、お姫様ナナも芳紀16歳。義父王様は言います。

『「おまえ──ちょっと処女喪失してこいや」』

余談ですが、この瞬間、王様バルテリクの脳内キャストは高田延彦に決定しました。相手が
拾いっ子の淫魔とは言え一国の王女にこの物言いは面白すぎます。淫魔だからこそ、いたして
いないと著しく健康を害する危険性があるそうです。

というわけでお姫様の喪失漫遊記の始まりです。道中、暗殺者に狙われることになりますが、
そこはそれ只者ではないのです。共通項は常識外れ、なのかしらん。大元をたどっていくと、
姫様や王国の敵(それぞれ理由が違いそうだが)は「教会」と呼ばれる組織で、お約束通り、
胡散臭くてとてもよろしい。

このアビアスという王国の設定がはじけていてこれまた非常によろしい。王家の家訓が

『「ウケるが勝ち」』

だそうで、民事の裁判も彼らの手によれば一つの演劇になってしまい、賠償金はその入場料に
よって賄われるそうな。羨ましい国だ。コワすぎるけどね。

おちゃらけ一方ではなく、緊迫した場面も散りばめられ、テンポのよい運びとなっています。
次巻以降も楽しみです。
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122. 2006年07月03日 00時27分24秒  投稿:かい賊 
坂本司「青空の卵」「仔羊の巣」創元推理文庫

同じひきこもりでも「オタク系」と「トラウマ発PTSD経由」は区別というか違うもんだ
よねえ。どっちがいいとか悪いとかじゃないんだけど、「ト発P経」の方が深刻に思えて
しまうことがちょっとだけ自己嫌悪の気分に浸らせます。

主人公は作者と同名で、日常の謎系の常套設定ですね。探偵役は主人公のいわゆる親友
(この呼称も少し違和感があるというか、違和感を持たされているというか…)の鳥井で
こちらが「ト発P経」のひきこもり。

ひきこもりだからこその人間観察や攻撃的かつ超防御的洞察力で謎の真相を次々と看破
していく鳥井。時に子どもに戻り、世話焼きの坂木をハラハラさせたり、安心(鳥井には
自分が必要なんだ!)させたり。面白いことにこの小説は2冊とも連作短編集(「青空」が
5編、「仔羊」が3編)なのですが、事件ごとに鳥井と交流し続ける人間が増えていきます。
謎解きもさることながら、鳥井と坂木の心理的変化もこの作品の大きな魅力です。

「仔羊」解説は有栖川有栖で鳥井とその周辺のキャラクター造形の妙を絶賛しています。

『ただでさえ、ひきこもりを理解するのが難しいのに、作者の坂木司氏は容赦がない。
鳥井真一を、読者がとことん愛しにくいように造形している。』
『読者からも「好きになれない」と疎まれるかわり、彼には坂木司がついていてくれる。
友人のケアがしやすいように、という基準で会社まで選んだ坂木は、自分こそ鳥井に
依存しているのではないか、と自問しつつも、友人から目が離せない。そういう役割の
人物を作中に配置したことによって小説の風通しがよくなるかというと、これがそうでは
なく、読者が「私が鳥井を応援しなくては」と案じる気持ちが抑制される。作者は、鳥井と
読者の距離がすんなりと縮まることを許さない。ここまでして、初めてひきこもりという
厄介な問題をテーマにできるのだ。』

「NHK」の滝本の苦しみはここにあるんじゃないかなあと。

いや、それにしても「魔法飛行」もだけど有栖川は解説に傑作(?)が多いのはどうして
なんだろう? 不思議なのやらもどかしいやら。
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121. 2006年07月02日 23時35分12秒  投稿:かい賊 
大岩ケンヂ・滝本竜彦「NHKにようこそ! 5」角川コミックス・エース

滝本竜彦の「超人計画」が文庫化されたので購入したのだが、いつになったら読み順が
回ってくるのか見当もつかないため、コミックスの新刊をあげてみる。

N・H・Kは日本放送協会ではなく<日本ひきこもり協会>の略。別にカルトな集団が
設定されているわけではなく(実は当初、そちらの展開も期待したのだが)、ある日自分が
ヒッキーであると気がついた青年が周囲の協力(?)もあり、その症状(?)を日々
色濃くしていく物語。

かなりの勢いでおバカさんなので非常に笑えるのだが、いわゆる「オタク系ひきこもり」
なので、深く掘り下げてもそれこそ“はつるそこなし”だから「ネガティブハッピー・
チェーンソーエッヂ」ほど突き抜けたカタルシスがなく、細部はともかくストーリーと
してはどうよ? って感じ。

原作者(滝本)自身もこの小説に関して最近は何やら行き詰っているらしく方向性を
模索しているところらしい。

大岩の絵柄は趣味に合っているし、コミックス内各話の最終ページ裏の4コマが毎巻
楽しみでしょうがない身としては、何とももどかしいことでございます。

同じひきこもりでも……
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[NAGAYA v3.13/N90201]