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オーナー：かい賊 |
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| 101. 2006年05月08日 18時31分03秒 投稿：のりりん |
| こんばんは。２４号室・のりりんです。 先日はお疲れ様でした。初のオフ参加にご一緒できてよかったです。通常のオフは、いきなりカラオケなんて行かないですよ、たぶん（笑）。 『夏期限定トロピカルパフェ事件』についてです。これでも少しはマシになったのですが、私は日常の謎系統がすごく苦手だったのです。それと、ラブラブ恋愛ものミステリは嫌いだーというように、さわやか青春ものも苦手なのですね。小市民を目指すというくせにどこか小市民をなめているように感じる（これは私だけかもしれません）主人公２人がどうしても苦手で、それで敬遠していたのです。それが、面白かったのでびっくりでした。 またぜひとも遊びましょうー。あと、確か初書き込みだったとおもいます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 |
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| 100. 2006年05月04日 23時29分54秒 投稿：かい賊 |
| 鯨統一郎「ミステリアス学園」光文社文庫 本格ミステリや広くミステリを解説・紹介しながら、作中殺人劇の謎を解くかのような 一風変わったメタミステリ（まあメタミステリ自体一風変わっていると言えますが）。 ワシは好きなんですけどね。こういう背負い投げ食わされるつもりが、鍬で畑を耕されて いるだけだった、なんてのは。 怒っちゃう人も多いんだろうなあ。メタとしての期待感いっぱいで最終話まで進みます からねえ。鯨のメタはどんな味？ と思ったら「文章魔界道」だからなあ。 いや、ワシは好きだからいいんですけど。「文章魔界道」のつもりで読み始めるのも なんか違うし。だから紹介も評価も難しい。 第一話から第六話まで順に「本格ミステリの定義」「トリック」「嵐の山荘」「密室講義」 「アリバイ講義」「ダイイング・メッセージ講義」と進みます。それぞれ死体が発生し お約束の仮の解決が与えられたりられなかったり。そして…… ワシは好きですよ、ワシは！ |
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| 99. 2006年04月12日 01時47分32秒 投稿：かい賊 |
| 己を試されることこそ人生？ やれやれ…… ＞語弊だらけの彼女様 いらっしゃいませ。 リンク見ました。消す必要皆無で〜す♪ 全然危なくないし。 件の絵ですがよい出来ですねえ。贔屓目抜きで一番レベルが高く見えますが。 優秀一席・二席と比較しても。 読書感想画そのものが、また何が評価基準なのかが、よくわからんのですが、傾向として、 一枚絵の中にバランスよくエピソードが詰め込まれているものの評価が高いように思われ ます。または印象に残ったシーンのクローズアップ。件の絵はエピソードの網羅という 点でも、画面全体の世界観という点でも、原作をよく表現していると感じました。つうか 中学２年生の読解力・表現力とは思えません。良き哉、怖ろしき哉。 と書きつつ、選者は原作を読んでいるのかしら？ とふと思う。それとも予め指定されて いるのかしらん？ それだったらそれですごいことだなあ。そうでなくてもすごいなあ。 ではでは、またのお越しをお待ちしております。 書き込みありがとうございました。 |
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| 98. 2006年04月09日 22時47分53秒 投稿：語弊だらけの彼女 |
| かい賊様。こんにちは。話が唐突ですが、見てください。泣きました。勝手に貼り付けたのでマズかったら消してください。またはおっしゃってください。自分で消します。http://www.tcp-ip.or.jp/~tosyoken/tokubetu/tokubetu7.html |
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| 97. 2006年04月07日 02時15分29秒 投稿：かい賊 |
| さて今日は「ダヴィンチ」の発売日だったので、一言二言。 今月の特集「不埒なプラチナ文庫本」 ダヴィンチ流、Ｈテイスト文庫本紹介です。「エロティックな装丁」がよかったね、うん。 ワシのエロ作家現時点三傑は、安達瑶・雑破業・睦月影郎（非ロリ）です。 今月の購入予定（一部済）文庫本。 山田真哉「女子大生会計士の事件簿 ＤＸ.４」角川（２５日） 上遠野浩平「ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟」電撃（１０日） 山田悠介「あそこの席」幻冬舎（上旬） 北森鴻「桜宵」講談社（１４日） 鯨統一郎「ミステリアス学園」光文社（１２日） 西澤保彦「リドル・ロマンス 迷宮浪漫」集英社（２０日） 柿沼秀樹「ウォー・ジェネレーション〜放課後防衛隊〜」ＧＡ（１５日） 早見裕司「メイド刑事」ＧＡ（１５日） 友谷蒼「伊佐と雪〜やさしいよる〜」ＧＡ（１５日） 別冊宝島編集部「世界３大宗教のタブー」宝島社（１５日） 今邑彩「ルームメイト」中公（２３日） ひろさちや「ウソの論理」中公（２３日） 米澤穂信「夏期限定トロピカルパフェ事件」創元推理（中旬） 芦辺拓「グランギニョール城」創元推理（下旬） 古橋秀之「冬の巨人」徳間デュアル（６日） 栗本薫「グインサーガ107 流れゆく雲」ハヤカワ（上旬） 野梨原花南「マルタ・サギーは探偵ですか？ a collection of s.2」富士見ミステリー（１０日） かたやま和華「楓の剣！二 ぬえの鳴く夜」富士見ミステリー（１０日） 師走トオル「タクティカル・ジャッジメントＳＳ(3) 善行くんの弁護士養成講座」富士見ミステリー（１０日） 北山大詩「エクスプローラー(2) 憂感少女」富士見ミステリー（１０日） 日日日「蟲と眼球とチョコレートパフェ」ＭＦ（２５日） ……積み本が増えるわけだな。まだまだいかがわしい本もあるしなあ。 身も心も疲れ切ってしまったので、コミックスはまたの機会にしておこう。２冊を除いて。 永野護「ファイブスター物語12」ニュータイプ100%（１０日） 西澤保彦・大橋薫「タック＆タカチの事件簿２ ６つの箱の死体」SUSPERIA MYSTERY（２８日） うん、こいつらだけは忘れられん、って本屋で見ないわけがないけど。 |
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| 96. 2006年04月07日 00時52分26秒 投稿：かい賊 |
| なんとかタイムリミット（２ヶ月）ぎりぎり。 たいした事情もなく（超繁忙＆環境不全）、パーフェクトに放置してました。 悪いことはできませんね。 ＞語弊だらけの彼女様 お久しぶりです。折角来ていただいたのに放置３週間、申し訳ございませんでした。 日日日。 読んでいただいたんですんね。それはそれは何よりです、楽しめていただけて。 「うそつき」ですか。いいですね。ワシも大好きです。特に太陽萌えですな。 岡本賢一。 ラノベということは「放課後退魔録」の方ですよね。朝日ソノラマじゃなくて。 残念ながら作者ごと未読です。書店などで名前を見る頻度が「異形コレクション」と 「ＳＦバカ本」両シリーズばかりだったので、ラノベ方面の認識が甘かったです。 今度「退魔録」読んでみようかしらん。 風邪。 引かないように正月に切った髪を昨日やっと切りに行きました。それでも鼻風邪、情けなし。 お言葉、痛み入ります。 ではでは、またのお越しをお待ちしております。書き込みありがとうございました。 |
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| 95. 2006年03月16日 12時38分51秒 投稿：語弊だらけの彼女 |
| お久しぶりです。日日日の『蟲と眼球とデディベア』と『うそつき』と『私の優しくない先輩』読みました。確かに饒舌ですね、うん。私は『うそつき』が一番好きです。後半のキャラクター出現ペースが非常に早かったのですが、輝夜と周りの人間とのやりとりみたいなものが素敵です。ラノベは基本的に私は言葉っぽさがダメなんですが、とても楽しめました。ちなみにラノベの作家で一番好きなのは岡本賢一です。ではでは、まだ寒いですですが、風邪などお気をつけください。 |
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| 94. 2006年02月08日 22時26分58秒 投稿：かい賊 |
| 高殿円「銃姫�Α廖複唯栃幻烹福� 待望の第６巻。最終章に突入したらしいが、あとがきによれば最低あと２冊は読めそう なので、一安心（？）。 『 今度はもう一度、神によって奪われたものを、技術と革新によって取り戻すときだ。 あの＜鉄姫＞の構造式をすべてあきらかにし、心臓石を自由自在に操ることができる ようになれば、人は魔力によって新たないのちを誕生させることができる。 それは鉄に次ぐ新たな文明、鉄よりもさらに神から脱却した、本来の人の持つ力に よる文明の幕開けなのだ！ 「誰にも邪魔はさせない、決して！」 ジェスは、ひらきかけた傷口をいつもの無表情で覆ってしまうと、ゆっくりとその 場をあとにした。 足が重い。不思議なことに、あれから十六年も経ったというのに、まだ昨日負った ばかりのように傷がうずいた。』 魔法の跋扈する世界は魅力的です。しかもこの話のような魔力があくまで超常的な力に とどまっているようなものが好みです。モンスターやうかがい知ることのできぬ魔が嫌いな わけではないのですが、「人智によって魔力を使いこなす」というのが好きなので、余計な 意識体や擬似人格に左右されるようなアクシデントはハラハラドキドキたりえないのです。 まあ、それもキャラ造形や定義付けによるのですが。 上記抜粋は新キャラで主人公セドリックの母グレイシスの旧友（という立場なんだろうなあ） 大律師ジェス＝グイリバルトの独白です。彼もまた理想に殉じていくであろう人物ですが、 煩悩ともいうべき思いに囚われて運命に抗う姿は登場早々重荷を背負わされているようで なかなか痛々しくてＧＯＯＤです。 今回、最終章の最重要人物も登場しますがこのままでは展開が何となくお約束になりそうな 予感。�ご�のようないい意味での裏切りに期待しましょう。 もう一人、新キャラのギャランヌ。プロローグと最後に出てきますが、プロローグでの 第一印象と最終部イラストのイメージがぴったんこ。エナミカツミ様、グッジョブです。 |
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| 93. 2006年02月08日 21時39分03秒 投稿：かい賊 |
| 熊谷雅人「ネクラ少女は黒魔法で恋をする」（ＭＦ文庫Ｊ） 第１回ＭＦ文庫Ｊライトノベル新人賞佳作受賞作 ネクラでなんともぱっとしない女の子が、悪魔の召還に成功し「宇宙で一番可愛い黒魔法少女」 にしてもらうかわりに「彼氏つくっちゃダメ」という誓約をさせられるという一見矛盾に 満ちた契約を結ぶことに。しかし少女は嬉々としてそれを受け入れる。なんせ、 『そもそも、男なんかと付き合いたいとは思わない。面倒だし、馬鹿だし、男は私を嫌って いる。そういう気配というか、オーラというか、空気をビシバシ感じるわけですよ。 だから、嫌だ。特に最後が重要。何が悲しくて、自分のことを嫌っている人間と一緒に いなければならないのか。そこ大切。世界中の人間が私の前に跪くようなことがあれば、 考え直してやってもいいけどな。 家の近くの坂道で、またため息が漏れた。ため息をつくと幸せが逃げるというけれど、 もともと幸せを内包しているような人間はため息をつかないに違いない。それとも私は枯渇 しかけている幸せすらも吐き出しているのかな。やせ細った幸運貯蔵タンクから、最後の 一滴まで搾り取るようなため息。この幸せよ、世界中の恵まれない子供たちに届け。 ……やっぱり嘘。利子がついて返ってこい。』 という調子ですからねえ。お約束ですよ、あとあと後悔する展開になるのは。物語は予想 通りの進展を見せます。自分は世界に拒絶されているのではなく、臆病で一歩を踏み出せ ないだけだったということに気がついていく、ってやつですね。 序盤の主人公の壊れっぷりというか、毒の吐きっぷりが大いに気に入っていたので、話が 進むのと反比例して主人公の人格がどんどん丸くなっていってしまうのがこの手のお話の 残念なところなのです。 ただし、終盤切ないけどカッコイイおとなが出てきて物語を引き締めてくれました。大団円も 含めて大いに楽しませていただきました。 サブキャラ「とりあえず」雛浦さんも大好き。これまたオススメ。 |
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| 92. 2006年01月30日 22時33分50秒 投稿：かい賊 |
| つうことで、ＧＡ文庫創刊記念、ひととおり読み〜の、感想書き〜の、でした。 ４冊とも非新人で読み応えのある作品を揃えたところはさすがソフトバンクというところですか。 ところが実は初回配本の冊数は５冊だったらしく折り込み広告には「廃墟ホテルへようこそ。」も ラインナップされているのです。しかし欄外には、『廃墟ホテルへようこそ。』の発売日が変更と なりました。読者の皆様、関係各位にご迷惑を……云々、とあり、ネットでも２月の新刊が４冊で あること（同折り込みでは３冊）を確認しました。 ま、これだけならある意味よくある話なのですが、ワシ行き付けの非BOOKOFFな地元新古書店で この「廃墟ホテルへようこそ。」を見ちゃってるんですよね。なんで買ってないかなあワシ。明日 使う小銭がなくなるからたらいうホンマしょうもない理由で購入せんかったような気が。収集欲 云々なんて偉そうなこと言えんぞ、いやマジで。無事刊行されることは当然のことながら、 『幻の未改変版』なんて代物がこの世に沸いて出ませんように。んなことになったら、なったら、 泣いちゃうぞ〜♪ （本当はもっと過激なことを考えていますがアップは自制しました、ってったく コレクター気質ってやつぁ、自分でも嫌気が差してくるワイ） |
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| 91. 2006年01月30日 22時04分13秒 投稿：かい賊 |
| 榊一郎「神曲奏界ポリフォニカ ｳｪｲﾜｰﾄﾞ･ｸﾘﾑｿﾞﾝ」（ＧＡ文庫） そしてこちらは“精霊”のいる世界。ワシ的な解釈ではこの“精霊”とは世界にあふれる 浮き上がってきた（余剰した）力が意識や意思をもって具現化したもの。彼らは人間が 考えるところの、超常的な力、を持ち、人間は彼らと契約することによってその力による 恩恵を受けることができるようになる。契約とは妖精が好むものを与えることであり、 それが“神曲”の演奏にあたる。主人公のフォロンは“神曲楽士”であり上級精霊のコーティと タッグを組んでいる。 大きな事件は起これども、まだまだ序章という感じ。神曲世界と精霊の周辺紹介が主眼と いう印象。物語としてはこれからでも、この主人公二人のやりとりというか関係性がよい のだなあ。第一章よりいくつか、 『「出来たか？」 そう最初にコーティカルテが問うたのは、フォロンが卵を二つフライパンに落とした 瞬間であった。 「まだ」 振り返らずに笑顔で告げるフォロン。 これもいつもの事である。もう慣れた。 「むう。私は空腹だ」』 『 ではどうして、彼女はわざわざ人間の様に朝昼晩の食事の形式を守るのか。 それはやはり彼女にとって、食事が嗜好品であるからだ。』 『 そういう訳で――彼と同居人の紅い少女は今朝も同じ会話を繰り返すのである。 「出来たか？」 「まだ」 「むう」』 お互いが違う存在であることを芯では理解しながら、しているからこそお互いの疎通を 大事にしようと“自然に努力”している様子が非常に愛らしくてお気に入りです。 それから、 『そう――これは単身楽団だ。 自走式可変単身楽団（ﾎｲｰﾙﾄﾞ･ﾄﾗﾝｽﾌｫｰﾏﾃｨﾌﾞ･ﾜﾝﾏﾝ･ｵｰｹｽﾄﾗ）』 こんなんもＧＯＯＤ。 ツンデレ属性の人にもオススメです。 |
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| 90. 2006年01月30日 21時25分57秒 投稿：かい賊 |
| 神野オキナ「虚攻の戦士『ナツ』ノキオク」（ＧＡ文庫） タイトルや口絵（イラストは田沼雄一郎）からアキバ系デブオタ少年がヴァーチャルワールドで 大活躍！ というようなお話かと思ったらちょっと違いました。 平行宇宙の存在を前提とした舞台設定です。１９７５年８月に滅亡した宇宙（作中：消滅宇宙） からの脳内情報（残留思念というべきものと思われる）の影響を受けた者たちが、滅亡して いない世界の中で復活を遂げようとする、その為に世界を表から裏から揺さぶっている。 まあ、そんな話であるとワシは解釈しましたが。 そう、で、この「裏」が面白い。 『関節部分がバキバキと音を立てて切り離された。 頭蓋骨の結合線の部分がぱっくりと口を開け、脈動する脳と、その中にビッシリ埋め 込まれた小指の先ほどの眼球を見せていても、手足が細い神経節だけで繋がって巨体を 支えることが可能なのも、彼らがこの世の物理法則からある程度開放された証拠であった。 力の象徴、思考もなく、ただただ全てを「捧げ」るだけの存在、究極の情報集積システム 「集積者」の「端末」。 通常、「虚数僧兵」と呼ばれるその異形の怪物は咆哮した。』 「裏」という電脳世界に似た状況を“虚数”と表現し、その中での力のランク付けを“僧兵”とか “騎士”などとチェスのような用語で行っている（ああ、サンデーの「ＭＡＲ」かいな）のが 面白いです。イメージの具体化がしやすいので、実体の危うい世界を表現するにはうってつけ なのでは、と考えます。 今後が楽しみではありますが、これはこっちもむこうも果てしなく強くなるパターンではないかと。 大風呂敷を畳む手際もじっくりと拝見したいところ。 サクサク読める電脳神話好きの方（いるんか？ そんなん）にオススメ。 |
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| 89. 2006年01月30日 20時14分24秒 投稿：かい賊 |
| 朝松健「旋風伝 レラ＝シウ 一」（ＧＡ文庫） 我ながら信じ難いことにこの作者にして初の単行本。今更ながらに検索した著作リストを 眺めつつ「犯罪に等しい（未読なのが）かも……」と複雑な気分。もちろん理由はあるの ですがね。第一にワシの中では朝松さんは「ホラーの人」だから。いや決して「ホラーの 本を読むことがダメ」というわけではないんです。「ホラーを気に入ってしまうことが怖い」 のです。物理的にも何より時間的に無理っ！ 自慢ではありませんがワシは人よりも多少(?) 収集欲が強く、しかも一端始めてしまうとなかなか後に引けなくなるタイプ。ミステリーを 文庫にとどめているのもそんなところに理由があるのです。だって単行本で拘り始めたら、 やれ文庫版解説が、やれ加筆修正が、やれ新装丁が、やれ月報が、想像するだに怖ろしい。 ということで「踏み込むジャンルを増やしたくない」が正確なところですかねえ。 第二にすれちがい。ワシの中で朝日ソノラマは「クラッシャージョウ」と「Ｄ」の最盛期 （これも実は解釈が難しいですが、まあ“好みの問題”ということで）で終焉していたので 「逆宇宙ハンターズ」「逆宇宙レイザース」「私闘学園」の各シリーズは存在を知りこそすれ 踏み込むには至らなかったというか、タイミングをはずしていたのですな。 長い前置きでしたがその朝松健の手によるこの「旋風伝」、実は新作ではなくというか近年作 ですらありません。単行本としては約十五年前、雑誌『獅子王』発表時はそれ以上前という かなりお年を召した作品です。しかし古さを感じないんですなあ、これが。舞台が五稜郭の 戦い直後の北海道ということで現代感や未来感と切り離されているところと、重厚な筆力が 物を言っているのでないかと愚考します。 『突然、新之介の行く手で、道が二つに岐れた。 一本は北西へ、いま一本は北東へ延びている。北西はこれまでと変わらぬ。うねうねと 蛇行した細い道が続いている。 だが、北東へ続く道は、曲尺を当てたように一直線だった。 「なんだ。この道は……」』 このあたりを読むと「おお、和製ヒロイックファンタジーだ」と思ってしまうんですなあ。初期の グイン・サーガと共通の雰囲気や香りがバリバリで、非常に好みです。「ノーザン・トレイル」 シリーズとしてノベルズで刊行されたこの作品は未完のまま版元の業務縮小により中断して しまった（あとがきより）が、あらためて2002年に出された単行本が今回ＧＡ文庫として 三巻立てで刊行されるとのこと。果たして完結されているかどうかも含めて今後追いかけます。 読み応えのある伝奇モノを希望される方にぜひオススメです。 |
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| 88. 2006年01月30日 18時55分34秒 投稿：かい賊 |
| 織田兄第「ハノン 〜君の目指す明日へ〜」（ＧＡ文庫） 誤植かと思って確認したけどやっぱり「第」なのね、「弟」じゃなくて。 『あまりにも呆気ない、ひとつの生命の終焉だった。 「い、イヤだ……こんなのイヤああぁぁぁーーッ」 ――また守れなかった。 ――また死なせてしまった。』 プロローグでいきなり主人公が死んでしまいます。『また』が示すように時間ループを 予感させるオープニングで、実際進むにしたがってそのループが生まれる経緯や困難 （具体的には所謂“敵”ですが）が明らかになっていきます。 第一章からはプロローグで死んでしまった少年の視点で物語が紡がれていきます。謎の 転校生の少女を追ううちに次第に心魅かれ……、というコテコテの展開。おまけにその 少女は、実は人工生命体でプログラムにすぎないはずの“感情”がやがて育ち……、 という輪をかけてコテコテな展開。 ラストもお約束なお涙頂戴になるのですが、あえて苦言を。事態のおおもととなったある 人物とその周辺があまりにも薄く感じました。紙数も尽きていたのか第八章の“真実”が 今ひとつとってつけたようになっていて、それがために最終部もなんだかぼやけがちに なってしまったように思います。第八章をなくして第五章のSide.Ｂからもう少し大出しに してラストシーンまでには全てが明らかになっていた方が、……う〜ん、ワシの好みでした。 そう、あくまで好みの問題なんですよね。こういうコテコテ話って大好きなんですよ自分。 それだけに自分のイメージと着地がずれていると、わがままな思いが頭をもたげてきて。 まあ、それだけ注文が出てしまうくらいに気に入ってしまったということでフォローに……、 なっていないか？ えー、ともかく、タイムループ属性や人工生命体属性の方には超オススメです。 |
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| 87. 2006年01月26日 22時47分24秒 投稿：かい賊 |
| 水野英多：画 城平京：作 「スパイラル 〜推理の絆〜 ��」（ガンガンコミックス） 完結しましたねえ、ええ見事に“完結”してくれました。確かに賛否両論がありそうな、という より紛糾しそうなオチの仕掛けではありましたが、ワシは全肯定。仕掛けが想像通りで自画自賛と いう側面もありますが、べつに歩の論理を看破していた訳ではありませんので、高所見所から デカイツラをする気もありません。「スパイラル」というタイトルも、「推理の絆」という副題もすべて 語りつくされていると思いますし、推理作家による原作進行と同時に漫画を描かねばならないと いう、一般的な元本があってのコミカライズとは一線を画した創作にも関わらずついに破綻せずに 締めくくられたことは大いに賛辞に値すると考えます。というわけで、自分の中の評価を揺るがせに するような意見など見たくもないので各種感想サイトは一切覗いていません。 んが、しかし、 このオチについては 『兄貴は確かだと思えるところにこそ罠をはる』（一言半句すべて合っている自信はなし） から十分想像できるというより、明々白々だと思う（万が一そうでなかったら、ヤツは火澄並みの 特別なブレードチルドレンだった、ぐらいじゃないと釣り合わない）。 何より 『「その底なしの混沌と暗闇でお前を今支えているのは何だ？」 「悪いがそれは企業秘密だ」』 この“企業秘密”は間違いなく、カノン・ヒルベルトＶＳ鳴海歩と愉快な仲間たち、のときに、 ヤツが何回か口にしたあの言葉だから、オールオッケーなのです。 ああ、これ、ＴＢＳの土曜１８：００枠でアニメ化してくんないかなあ。大泣き必至だぞ。 いや、ワシが。ガンガンだからない話ではないと思うのだが……、ま、タイミングを逸し まくってるか。 なにげにＢＧＭ。 平井堅「Precious Junk」 いろいろジャンクだけど頑張ろう（意味不明）。 郷ひろみ「いつも心に太陽を」 ラストの二人に。 |
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| 86. 2006年01月19日 19時37分08秒 投稿：かい賊 |
| やれやれ、お久しぶりです。 流石に年間の最繁忙期に突入して年明けから仕事場に足を運ばなかった日は元旦だけ。 まあ、毎日のようにお得意様がお見えになられるので仕方のないところではあるのですが。 「読」と「観」に時間を割けないのがつらいです。そう、今は「書」もですね。 この板には対象に対する感想とその反応のみにとどめて、近況報告はそのうちブログでも 始めることになったらそちらで、とも思っていたのですが、なんだかんだで通信環境が 滞っていることも含め、きわめてネット上の動きが取りづらい状況に陥っているので、 言い訳も兼ねて新年のご挨拶の続きを試みる次第。 と言いつつ、砂時計様のとこに書き込みしてたらいつの間にかタイムアップ。 できれば近日中に更新したいなあ。 |
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| 85. 2006年01月07日 23時47分28秒 投稿：かい賊 |
| 森絵都「つきのふね」（角川文庫） 中学二年生の特別なところは何もない女の子さくらを主人公に、その（元？）親友莉利、 ストーカー的でしゃばり同級生男子勝田、不思議な青年智の４人を軸にして展開される ストーリー。 ナイーブでアクティブな中学生の心情がよく描かれているような気がします。「４ＴＥＥＮ」 にも感じましたが、ここのところの中学生を描いた小説はノスタルジックな気分に 浸らされるというより、ええオヂさんである己の中のガキの部分を再投影されている ようで、むしろイタイ感じがいっぱいです。 『冷たいのね、と担任は雪だるまでも見るような顔をした。 「中園さんと鳥井さん。ふたりは親友。だからいつでも力になってあげるものと思って た のに……。鳥井さんは中園さんがどうなってもかまわないの？」 この担任といると、ときどき、植物どころか獰猛な野獣にでも変身したくなる。 （中略） 「鳥井さんにならわかってもらえると思ったのに、残念だわ。中園さんのことはやっぱり ご両親にお話しするしかなさそうね」 担任は失望を隠さずに言った。 「もういいわよ、帰っても」 あたしはうなずいて歩きだしたけど、戸口へ向かう途中でふと思いたって、ふりむいた。 「先生」 「なあに」 「なんで莉利と直接、話さないんですか？」 担任は机上に飾られた愛犬の写真をながめながら言った。 「だってわたし、中園さんにきらわれてる気がするんだもの」』 ワシは簡単に作者の挑発に乗ってしまいます。 許す。ワシが許すから獰猛な野獣になったれい、さくら。 でも世の中嫌な大人ばかりじゃない。へび店長の描き方も秀逸で、まだまだ未熟な中学生の 「ものや人の見え方」をうまく表現しているように思います。 なんか、文庫化がラッシュしそうな半ば希望的予感。 |
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| 84. 2006年01月03日 20時28分09秒 投稿：かい賊 |
| 皆様、あけましておめでとうございます。 公私共に試行錯誤の一年が終わり、あっと言う間に新しい年を迎えてしまいました。 今年も無理をせずマイペース（好きなように、我慢せず、無理せずやる）で行こうと 思っています。 昨年の読書（単行本）についてですが、概算で、ラノベ約１００冊、ミステリー約５０冊、 その他ジャンル約３０冊、合計で約１８０冊というところですね。これ以外に漫画が 単行本で約１２０冊、雑誌モリモリ、漫画＆文芸の同人的作品群となっていくので、 ミステリーの約５０冊は限界ラインか思われ、やっぱり文庫読みで精一杯だなあと 再認識しました。 本年の目標としては、せっかくこの長屋に入居させていただいた以上、矛盾する ようですが、ミステリーを月６冊ペースにして年間約７０冊、合計２００冊読めたら いいですね。近くにBOOK-OFFでない新古書店ができまして、そこに出入りしている うちに「これ読んでなかったなあ」という物件がボチボチと浮かび上がってきて…… （まあ、漫画のほうが多かったりしますが）。 何にせよ焦らず実のある読書を心がけてまいります。 あらためて本年もよろしくお願いいたします。 ※新年早々訂正です。前回の米澤穂信「氷菓」「愚者のエンドロール」はともにただの 角川文庫で“スニーカー”が余計でした。むう、みっともない先入観だにゃあ。 |
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| 83. 2005年12月31日 19時57分45秒 投稿：かい賊 |
| 米澤穂信「春季限定イチゴタルト事件」（創元推理文庫） 奥付には2004年12月24日とある。ワシがこの作品を未読なのは犯罪に等しいと自分で 勝手に思っている、に加えて「氷菓」「愚者のエンドロール」（ともに角川スニーカー 文庫）も本作を読んでからなどと積んでおくのも嫌気が差してきた今日この頃ひょんな ことで転がり出てきたクリスマスプレゼント。……全然素敵じゃねえな。 高校１年生の二人組がメインで、「ぼく」小鳩常悟朗が元名探偵で主人公の一人称。 小佐内ゆき「灰色狼（from GOSICK＠桜庭一樹）」という渾名はこの娘のためのもの なのでは、と思わせる元復讐鬼。 二人は中学時代の自分と訣別しひたすら小市民を目指す求道者。特に恋愛関係でも なければ依存関係でもないが、一つの互恵関係らしい。んが、解かれるべき謎が目の 前に飛び込んできたり、理不尽な不幸という火の粉が我が身に降りかかりやすい体質 （としか思えない）だったりで、とても道は窮められそうにない。 『 誰かが一生懸命考えて、それでもわかんなくて悩んでいた問題を、端から口を 挟んで解いてしまう。それを歓迎してくれる人は、結構少ない。感謝してくれる 人なんて、もっと少ない。それよりも、敬遠されること、嫌われることの方が ずっと多いってね！」 「……そんなことはないだろう。お前の思い違いじゃないか」 「健吾にはわからないかもしれないね。健吾も、健吾のお姉さんも、気持ちのいい ひとだ。ぼくが多少知恵がまわるのを知ってて、ものを頼んでくれる。解いても、 ナイスファイトと讃えてくれる。でも、自分でも気づいてるだろう？ そんな のは少数派なんだよ。』 和製「クイーンの苦悩」高校生版ですね。 『「いやあ、厳しいねえ、健吾。こっちの事情にも配慮してもらわないと」 「悪いな、常悟朗。正直で売ってるんだ」 笑いが収まると、下手に高揚してしまった気分も随分収まっていた。あとは、選択だ。 小佐内さんの危険を看過して、誓いを守るか。健吾の言うことを聞いて、探偵をやるか。』 ここだけ抜粋したのでは？？？ですが、実に皮肉でオシャレで照れ笑いな会話です。 それはともかく常悟朗の結論は…… 『「じゃあ、始めよう。ぼくが思うに……、これは推理の連鎖で片がつく」』 日常の謎系に分類されるであろう半ラノベ的ミステリーと言えるでしょうが、キャラの 個性が明確で綺麗に役割分担がなされた巧みな人物配置の小説と見ます。 ま、年内に読めてよかった。 |
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| 82. 2005年12月26日 22時52分40秒 投稿：かい賊 |
| 日日日「蟲と眼球と殺菌消毒」（ＭＦ文庫） もともとは考えていなかった「蟲と眼球とテディベア」の続編だそうで。あとがきに よると作者も意識していなかった前作中の伏線の落とし前をつけるための旅立ちの ようで、真っ当に旅を終えてほしいと祈るばかり。 前作にも増してストーリーも描写も陰惨になっています。 冒頭主要登場人物宇佐川鈴音は中学時代に気まずく疎遠になってしまった旧友加藤克美と 再会＆和解します。旧交を温め、さらなる親交を約した帰り道。 『「もういいや、こんなつまんないんじゃ要らないもんね、ぽいっ」 手長鬼は――。 無邪気に、残酷に。 克美を石塀に叩きつけた。 ぐしゃり、という音。それが自分の肩甲骨や肋骨が潰れた音だと克美が理解するより早く、 痛みで絶叫するような慈悲深い余裕も与えられず。』 「ぽいっ」されたくないなあ。 前にも触れましたが、この作者の言語感覚が大好きで、今回、今後この物語を左右する “砕け散った神の欠片”たちの名が明らかになります。以下（ ）内はルビです。 「涙歌（メロディアノイズ）」「破局（ポイズン）」「最弱（アルティメットシールド）」 「不快逆流」「一人部屋」「神蟲天皇（じんむてんのう）」「殺菌消毒」 というわけで今回のメインはグリコＶＳ殺菌消毒なんです。 にしても「一人部屋」ってなんだよ「一人部屋」って。早く正体知りてーっ。 |
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