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オーナー:ないとー |
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134. 2002年12月27日 18時32分09秒 投稿:ないとー |
前回から、ちょいと間があいてしまいましたな。 その間に、身辺にちょっとした変化が。 今年も波乱の年だったわぁ。来年は、ちょっと落ち着くかなー。 『法月綸太郎の功績』『死者を起こせ』フレッド・ヴァルガス 『むごく静かに殺せ』森村誠一、『飛び鐘伝説殺人事件』本岡類、読了。 今は『テキサス・ナイトランナーズ』J.R.ランズデール読み中。 『むごく静かに殺せ』って、『ナーヴァス・ブレイクダウン』読んでから、 ずっと気になってたんだよねー。 tomo-sさん >風太郎 明治ものでいえば、『明治波涛歌』なぞも極上のミステリでした。 『誰にでもできる殺人』のトリッキーな仕掛けと凄艶なラストは印象に残りますよね。 nanamiさん >ちなみに私の名前は、若竹七海さんから取ったわけではないです(笑) 言われなければ、突っ込むところでした(^^;。 んでは、お二方ともこれからも、よろしくお願いしますー。 |
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133. 2002年12月22日 01時58分41秒
投稿:Tomo-s [http://kawasemi.gaiax.com/home/tomos] |
このたび27号室に入居しました、Tomo-s(ともえす)と申します。 山田風太郎は本当にいいですね。 『妖異金瓶梅』『明治断頭台』の二大ミステリ傑作もさることながら、 僕は『誰にもできる殺人』が大好きです。あのラストがなんとも、ヤマフウらしいというか⋯⋯。 それではどうかよろしくお願いします。 |
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132. 2002年12月15日 16時49分35秒
投稿:nanami [http://www.kisweb.ne.jp/personal/tasogarekan/] |
73号室の瀬戸内七波です。 たまにチャットで見かけるnanamiです。 今回、新たに入室しましたので、ご挨拶回りをしています。 ちなみに私の名前は、若竹七海さんから取ったわけではないです(笑) というわけで(どういうわけ?)、よろしくお願いいたします。 |
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131. 2002年12月11日 15時44分22秒 投稿:ないとー |
飛鳥さん >『本格が趣味だったのね、自分。海外ミスが多いけど』 それだけ、飛鳥さんがジャンルに縛られない読書をしてるってことじゃないでしょーか。 その方が、いろんなオモシロ本に逢えるかもしれないですね。 それはそれで、素敵だと思いますー。 花井さん アンケート間に合わなくてごめんなさーい。 ついでに言えば、僕はほとんど1に近いんですが。 なぜか昔『死ぬ時はひとりぼっち』だけ読んだ記憶がありますが、 もうさっぱり覚えてないや(^^; おっと、 『素晴らしき愚か娘』シャルル・エクスブライヤ ハヤカワポケットミステリ読了 ふとした出来心から、ソ連側のスパイになったばかりのハリー・コンプトンに英国の機密 書類<なだれ>を奪えという指令がくだされる。その頃、ハリーは、ライトフェザーという 娘に惚れて、付き合うことになったが、その娘が<なだれ>が保管されている官僚の家の 裁縫娘だったことから、事態は思わぬ方向へ……。 オーソドックスなコメディのパターンに則ってドタバタが展開するんだけど、過激な 笑いにも走らず、かといってこじんまりまとまりすぎもせずに、こう頭からケツまで笑わし てくれる作品ってなかなかないと思うなぁ。古風なスタイルだけど面白いって意味では、 クレイグ・ライスなんぞに近いかも。 愉快なキャラクター、けったいなすれ違い、スパイスとしての泣き、コメディのお手本 のような作品ですね。 |
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130. 2002年12月06日 14時09分17秒
投稿:室長飛鳥 [http://www.h5.dion.ne.jp/~e-asuka/index.html] |
69号室室長飛鳥です。 書き込みありがとうございました。折り返し訪問に訪れました(^^) 自分のHPの読書感想を読んでいて、今さらながら気がつきました。 『本格が趣味だったのね、自分。海外ミスが多いけど』 そんなわけで、ないとーさんと同じ流派(?)かも(なんじゃ、そりゃ)。 |
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129. 2002年12月05日 14時50分39秒 投稿:花井圭太 |
こんにちは。花井です。 「集会室」にアンケート載せました。よろしくお願いします。 それでは。 |
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128. 2002年12月04日 13時47分25秒 投稿:ないとー |
>matsuoさん ほんとに今、新刊買えないのよ(;;) だから、本屋にも、あんまり行ってないんだよねー。 欲しくなるから。 |
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127. 2002年12月02日 22時57分58秒 投稿:matsuo |
>『船上にて』が文庫化されてると知らなんだ。 うっそー。ないとーさん、らしくなーい(笑) |
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126. 2002年12月02日 13時37分55秒 投稿:ないとー |
『船上にて』が文庫化されてると知らなんだ。 ああ、おれとしたことが・・・。おれの浦島太郎ぶりに愕然。 まいったなぁ。若竹ビブリオグラフティー、更新できないってのに。 某宅で、鷲尾三郎の単行本未収録作品を読ませてもらう。いいよー、鷲尾っ(^0^)。 これかー、こういうのがあのすごく楽しそうな「つまらねー」を生み出すのか。 やっと感覚が分かってきたかな。 |
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125. 2002年11月29日 11時44分20秒 投稿:ないとー |
うーむ、今日は重要な面接が二つ…… ほんとに人生有為転変。いーかげんに生きてく主義だったのに、宗旨替えか? |
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124. 2002年11月24日 01時25分54秒 投稿:ないとー |
前回、ああ書いたもののしばらくはしょっちゅうネット見てることになりそうですが、 突然、音沙汰なくなることもあるので、書き込みがあってもレスは遅くなるかもしれません。 今、ロス・トーマスの“CAST A YELLOW SHADOW”を読んでます。わたくしとしては、 初の洋書体験でございまして、途中までしか読んでないんだけど、感覚だけで読んでて ストーリー忘れそうなので(だいたいタイトルから意味分かんないんだもの)、メモがわ りに(嘘八百かもしれない)粗筋ここに書いとこう。 この作品、日本では『冷戦交換ゲーム』『クラシックな殺し屋たち』『黄昏にマックの店で』が 翻訳されてるロストマ世界の最高のヒーローの一人パディロとマッコークル(オレ的にはこの人はなんとなくみかけはロストマ本人をイメージするんだよね。)シリーズの一冊なので、ファンとしてはぜひ訳して欲しいんですけどねぇ。 話は『冷戦交換ゲーム』の後日談になってまして、マックの店で、落選した下院議員がやけになってカードを燃やしてた晩(やっぱりイントロがいいよねロストマって)、マコークルの元に友人ハードマンから電話が、それで彼の住居に行ってみると、そこには何者かに襲われ傷ついたパディロが。(ちなみにこの時点で何回も出てきてたMashというのが、人名とのちのちまで気付きませんでした。)しかし、傷の浅かったパディロを連れて家に帰ると、マコークルの妻フレディがいない。しかも、部屋にはフレディを誘拐したというメモが……。実はパディロにある仕事を依頼した者たちが、パディロが依頼を断る事ができないように、フレディを人質にとったのだ。 その依頼とは、今度ワシントンを訪れるさるアフリカの国の大統領(?)ヴァン・ザントを暗殺せよというもので、驚く事にその暗殺を思い立ったのはヴァン・ザント本人。癌に犯され余命わずかとなったヴァン・ザントは、自分の死を演出する事で世論を動かし、自国の独立を阻む国に対抗しようとしたのだった。(このプロットはロストマらしいよねー?)。 しかし、パディロが暗殺を遂行しようとも、フレディを返してくれるどころか、自分たちの命も危ないと考えたパディロとマコークルは、フレディの奪還を目論む。そこに、ヴァン・ザントの計画を知り、それを阻止しようと男がパディロに金で暗殺を中止するよう求めてくる。が、男はパディロたちの前で、何者かの乗った自動車に轢かれてしまう。そこで、パディロは男の金で、三人の助っ人を雇う。(そのうちの一人がパディロと訳ありらしきの女性で、登場シーンがまたいいんだ。) と、フレディ奪還に向けて準備を整えるパディロたちに、ヴァン・ザント本人が面会を申し込んできた。その思惑とは?というところで、以下次号(やんのかよ)。 最後に、「それ、読み間違えとるでー」という識者の方いらっしゃいましたら、 ぜひご教示をば承りたいです(ほんとに)。 |
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123. 2002年11月19日 14時38分24秒 投稿:ないとー |
また、しばらくここを留守にすることになりました。(何回目だ?) いつになるか分からないけど、また戻ってくる予定です。 取り急ぎ、これにて |
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122. 2002年11月15日 13時59分50秒
投稿:天野一 [http://www4.airnet.ne.jp/szur/] |
21号室の天野です。 いきなりですが、12月14日(土)に黒猫荘忘年会オフをしようと思い立ちました。 詳細は未定ですが、今のところ横浜市内で宴会を予定していますが、希望者の数によっては東京開催もありかな、と思っています。 ご都合はいかがでしょうか? もし参加していただけそうでしたら、レスをこちらか1号室の管理人室に頂けたら、と思います。 この条件なら参加できる、というのがありましたら、そのへんも合わせて教えていただけたらと思います。 もし参加がご無理でしたら、流してくださってけっこうです。 また、黒猫荘に掲示板を借りていなくても、ミステリ読みでしたら誰でも歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。 では、宣伝書き込みですみませんでした。 |
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121. 2002年11月11日 23時58分43秒 投稿:葉 花蓮 |
尓好。ご無沙汰しておりました。なんと風太郎氏ご逝去以来のかきこみです(^-^; 映画版『冷静と情熱のあいだ』がTV放映されていましたね。あの作品は男性心理と女性心理が各々綴られているのが好かったのに、映画では一度に両側を追うことで単純なものになってしまったのは残念。しかし何年も前の他愛も無い約束を果たすひとなんて一体どれくらいいるのでしょう? ひと足早い大掃除が始まり、文庫では風太郎と村上春樹以外を大処分…と思ったけれど連城を手放すのは惜しい。なんて言っていると片付かないんですよねー(笑)。 |
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120. 2002年11月10日 14時37分42秒 投稿:ないとー |
今、洋書に挑戦中。うーん。他の本、読めない。 『眠れるスフィンクス』ジョン・ディクスン・カー ハヤカワミステリ文庫(’83) 長い間、離れていたロンドンに戻ってきたホールデンは、友人の妻が死に、 そのショックで彼が以前から思いを寄せていた、その妻の妹シーリアが精神 障害を起こしていると聞かされる。そこで実際に会ったシーリアは姉の死を 病気ではなく、夫の虐待に悩んだ末の自殺だと語る。果たしてそれは精神の 均衡を欠いたシーリアの妄想なのか、それとも真実なのか。 しっかり鍵のかかった納棺堂で、簡単には動かせないはずの棺が動かされて いるのに、床の上にバラまいた砂の上に足跡も残ってない、カーって魅力的な 謎考えるよねぇ。でも、この謎は中盤になってやっと出てくるくらいで、この 作品はそういった謎をこれでもかというぐらいに強調するような作品ではなく、 むしろ地味な展開で、サスペンスも乏しいきらいがある。 フックを感じるポイントはいくつもあるし、カーの確かなテクニックが感じ られるのだけど、ただ、土台となる着想がちと怪しげなので、説得力が少し 損なわれてしまったのが残念。 『魔術師が多すぎる』ランドル・ギャレット ハヤカワポケットミステリ1150(’71) 三年に一度あるヨーロッパ中の魔術師が集まる大会が開かれていたホテルの 一室で、主任法廷魔術師マスター・ジェイムスが殺された。厚いドアには鍵が 掛けられ、本人にしか解けない魔術で封印されており、唯一の窓が面した中庭 には、何人もの人がいた。その事件はダーシー卿の管轄外だったが、彼の片腕 である魔術師シーンが、事件の容疑者として幽閉されてしまい、事件の捜査を するはめになる。ところが、事件は国家を揺るがす大問題のほんの一部でしか なかった。 作例の少ないSFミステリの中で、SF的設定と本格ミステリとしての調和が 成功している、SFミステリならではの面白さに満ちた貴重な作品。 メインの密室トリックもカーのヴァリエーションなんだけど面白い。特に感心 したのは、フェアに謎解きをやるために、途中でちゃんと密室トリックが魔法 によるものでないと明らかにしているのはいいけど、「それじゃ、魔法が使え る世界という背景を持ってくる必然性はないんじゃないの?」って思ってたら、 ちゃんとその背景がトリックを完全なものにするのに役立っているところ。 カーの方法だと不確実性を孕んでるけど、この作品の場合、「それを言われちゃ しょうがねぇ」という感じ。 もう一つの殺人の方は地味に扱われるけど、逆説めいた真相にシチュエーション のうまみを感じる。序盤のロンドン公爵とダーシー卿の駆け引きも面白かったな。 |
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119. 2002年11月03日 04時44分34秒 投稿:ないとー |
最近、好きだって言える作品ばっかりに当たるから、本読むのが楽しくて仕方がないって感じ。 『死人はスキーをしない』パトリシア・モイーズ ハヤカワミステリ文庫(’76) 夫人とともにスキー旅行に出かけたティベット警部。待ちに待った休暇というのに、 なぜか、その顔色は冴えない。それというのも、密輸業者の巣窟になっているという 噂があるホテルへ探りを入れる任務が、たまたまそこに泊まることになっていた警部に、 押し付けられてしまったからだった。ところが、気の向かない任務を遂行しつつも、 スキーを楽しんでいたティベット警部を待っていたのは殺人事件だった。 意外な犯人を演出するテクニックが盛り込まれた充分に計算されたプロット、盲点を 突いた動機、しっかりと張ってある伏線、本格推理としても地味に良く出来てる。それ に、プロットに深く結びついたわりとたくさんの登場人物をちゃんと書き分けている人 物描写、控えめなユーモア、山間の村のリアルに描かれた風景などが、物語に厚みをく わえていて、のんびりと愉しむのにもってこいな作品。伝統的な英国本格推理の面白さ を味わえる佳作です。 『淫獣の幻影』P・J・ファーマー 光文社CR文庫(’86) 私立探偵のチャイルドの相棒・コルベンが行方不明になる。匿名で送られてきたフィ ルムには、コルベンが虐待される映像が収められていて、すでに彼は殺されているもの と思われた。 もし、予備知識なしにこの作品のハードボイルド風の幕開けを読んだら、だんだん常軌 を逸した展開になってくるので、驚いただろうな。まぁ、これがそういう話だって知って ても充分面白いと思うけど。だって、いかにもハードボイルドらしく、相棒の死の真相を 探るために乗り出すチャイルドが、一番最初にやることは、ホラー・マニアに吸血鬼のお話 を聞きに行くことなんだから。 また、叢書の性格から、ポルノだと思って読んだ人は、冒頭から萎えます。エロいの読も うと思って、たまたま手にしたマドンナ・メイト文庫が『獣儀式』だった不幸な読者と同じ 体験を味わえるはず。といっても、濡れ場もたっぷりあるんだけどね、これがまた、あり とあらゆるタブーを網羅しようかという勢いで、獣姦と近親相姦と同性愛と綺麗なおねえ ちゃんとデブと逆レイプが好きなら楽しめることうけあい、一つでも駄目なら一回は悲鳴 をあげることになるだろう。 ポルノとしても意欲的な作品だけど、ホラーとしても複数のサブジャンルの要素を取り 入れてるし、この作品自体がハードボイルド、ホラー、 ポルノ、SF、ヴァイオレンス、 オカルトと貪欲にいろんな要素を取り入れている。ラストまで読めばそういう話かって 言えるけど、意外な展開なんて言葉がぶっとぶほどの想像力の暴走が行きつくとこまで いったような、何が飛び出してくるか分からないとても刺激的な作品だ。 それなのに、最後の脱出劇(これがほんと大バカ!)はなにげに伏線が効いてて、元から 無茶だっていえばそうなんだけど、いきあたりばったりって訳でもないのよねぇ。こりゃ、 続編も手に入れなきゃ。 『ガラス箱の蟻』ピーター・ディキンスン ハヤカワポケットミステリ1144(’71) ニュージーランドに暮らしていたクー族は、今ではロンドンのアパートで、彼ら独自の 世間と隔絶された生活を営んでいた。その絶滅寸前のクー族の酋長が何者かに殺された。 複雑な背景を持つこの事件に、ヤードで変わった事件に対する一種の勘があると定評の あるピブル警視が事件の解決にあたることになった。 細部にまでこだわった特異なシチュエーションづくりが最大の魅力。作者の創造した 独特の風習を持つ一つの世界とピブル=読者の属する世界との衝突が風変わりな面白味、 わくわくするような謎を生み出している。 巧妙な構成が本格ミステリとしての魅力も引き出しているけど、単に謎解きだけをとっ てみると非常に地味な作品。だけど、何度も読み返したくなるような凄く惹かれるものが ある。ディキンスンの作品読むのは3冊目だけど、なんだか好きになってきちゃったな。 けど、立て続けに読もうとは思えないんだよね。この薄い一冊だけでお腹一杯って感じだ から。楽しみは後にとっておこう。 本格ファンとしてより、ロストマ・フリークとしてのおれの部分が好きみたいだな。 作風は全然違うけど、細部が妙に面白いんだ。 |
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118. 2002年11月01日 21時45分11秒 投稿:ないとー |
この前、久しぶりに本屋に行ったら、ラファティの長編が出てて驚いた。 「本格ミステリコレクション」といいラファティといい、最近の河出は 目が離せないね。 『十二人の手紙』井上ひさし 中公文庫(’80) タイトル通り十二人の人間の手紙というかたちの連作集。 とうとう、やっちまったい。これ、前読んだことあるやんけ。それに気づかずに途中 まで読んだことなんて、今までなかったのに。ショックだ・・・。しかも、こんなに面白 い作品なのに。 ひとつひとつは短いけれど、書簡というスタイルを巧みに利用した意外性が秘められ ていたり、どれもこれも面白い作品ばかり。特に、意外な結末と、有名作家が素人の 戯曲の台本につけるいちゃもんが、なんだか名探偵の謎解きみたいで面白い「葬送歌」、 善意の怖さが皮肉に表現される「桃」、作者の人を食った企みにあっといわされる 「玉の輿」、「鍵」の鮎哲みたいな伏線、最後にひょいっとひねる「里親」、「人質」 のトリックが気に入ったけど、「赤い手」みたいに無味乾燥の文章を並べてるだけなの に、それがかえって読み手にイメージを膨らませる構成なんかも凄いですね。こんなに いろんな仕掛けと趣向が味わえる連作集はなかなかありませんよ。お読み得。 『人形の夜』マーシァ・ミュラー 講談社文庫(’80) 骨董屋の女店主が売り物のナイフで刺殺される。弁護士事務所の専属捜査員シャロン・ マコーンは、以前、店のある商店街で立て続けに起きていた、立ち退き目当てと思われる 放火事件や破壊行為などを調査していたこともあり、この殺人の調査に乗り出す。 シリーズ一作目ということもあるのか、マコーンもさほど強烈なキャラクターというわけ でもないし−でも、ほとんど出てこないけど家族の話は面白そう−、中心となるプロットも こなれているはいるけど、特別に驚くようなものでもなくて、平凡な女流ハードボイルドか と思ってたら、副次的な謎の処理がユニークで、話を面白くしている。そのおかげで、声高に 「傑作!」とか言うような作品ではないけど、妙に忘れがたい印象を残す。 それにしても、正統的だけどちょっと一風変わった感じ、誰かさんの作風に似てるような 気がするんだけど・・・。 |
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117. 2002年10月30日 21時58分00秒 投稿:ないとー |
『鉄の門』マーガレット・ミラー ハヤカワミステリ文庫(’77) 読了 夫の医師と、その先妻との間に出来た二人の子供、義妹と暮らす人妻ルシール。彼女は いまだに16年前に無残な死を遂げた先妻のことが忘れられずにいた。ある日、そのル シールが失踪、精神病院で見つかる。何が彼女をそれほどまでに悩ませるのか・・・。 今まで読んだミラーがみんなサプライズ・エンディングだったから、今度もさぞかし最後 に驚きが・・・と思ったら、これはそうじゃないのね。読み方間違えたらしい(^^;)。そ れでも、物語が徐々に進行するにつれて謎が浮かび上がっていくようなミラー独特のスタ イルから産み出されるサスペンスや「あの時なにが起こっていたか」が分かってくる時の 面白さは味わえる。 ところで、最初に中心的な謎を持ってこないミラーの作品では、読者の次へと向かわせる 興味をもたせるものに鋭い心理描写が挙げられると思うんだけれど、これがまたミラーなら ではという部分がある。ネガティヴな部分も含めた人間心理を描くのが得意な作家はミラー だけじゃないけど、普通ならば、そこに人間に対して揶揄とか憤慨する作者の視線という ものがどこかに必ず顕れるもの。そして、大半の作家は、人間のネガティヴな感情−はっ きりいえば悪意−を悪として捉えていると思う。その場合、読者からすれば作者に共感する ことで、安心感が得られるところがあると思うんだけど、ミラーという人は、人の採る悪意 のある行為とか心理の是非を問わず、徹底して一歩ひいた観察者として、ありのままに描写 していて、救いがない。それが特異なところ。 そういう視線はネガティヴな人間像と作者自身との一線まで取り払ってしまうことになる。 それは耐え難いはずなのに、ミラーの筆は軽やかで、そういうことを感じさせない。また、 人間を悪意をひっくるめて受け入れる姿勢が、不思議に作風に暖かみを感じさせもするんだ よね。そんな事が出来るミラーという作家には空恐ろしささえ感じてしまうのだけど。 この人間の存在をあるがままに受け入れるミラーの透明な視線と、人生や事件の不可逆性を 際立たせるミステリ作法とが、響きあい支えあって産まれる物語には、暗い気持ちにさせら れることもあるけれど、なにか惹きつけてやまない魅力を感じたりもするのだ。 |
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116. 2002年10月29日 19時26分13秒 投稿:ないとー |
『不完全な死体』ラリー・ニーヴン 創元推理文庫(’84) サイ能力による第三の手を持つ男ギル・ハミルトンの事件の解決にあたるSFミステリ 連作集。 SFミステリというとハードボイルド風のスタイルの作品が多くて、パズル的興味に飢 えている僕のような読者の渇を癒す作品は、それほど多くはないもの。この作品集はあと がきを見る限りでは、後者の方を意識して書かれているような感じだったので、ちょっと だけ期待してみました。 SFとしてなら「不完全な死体」、ミステリとしては「腕」が面白かった。 「快楽による死」−ギルのかつての盟友が、死体となって発見された。死体は電気刺激で 快楽を得るマシーンに繋がれており、空腹を感じぬまま餓死したのだった。アパートは外 部からの訪問者には自動的に姿を取られる仕組みになっており、それによると誰も部屋に は出入りした形跡はなく、男の死は自殺の可能性が高いとみなされるが、死に方が自殺の 方法としては、ギルの知っている盟友の行動様式からあまりにもかけ離れたものであり、 事件を殺人とみて探り始める。 一部にミステリ読者好みの機知が感じられる。 「不完全な死体」−蘇生が難しいとされる冷凍睡眠で眠りについている者を、移植用の 臓器のドナーとして利用しようとする 「第二次冷凍庫法」の世界同時可決選挙が近づ いたある日、ギルは元オーガンレッガー(臓器密売者)に狙撃されるという事件が起こ る。ギルがその意味を探るうちに、「冷凍庫法」の成立を巡ってオーガンレッガーが 暗躍していることに気づき、その暗躍を阻止するべくたちあがる。 ミステリ的なトリックも包括した作品だが、やはり読みどころはニーヴンの観た未来 像の恐ろしさだろう。 「腕」−有名な発明家がミイラ化した死体となって発見される。現場には姪しか出入り した形跡しかなく、単純な事件と思われたが・・・ 前の二編もそれなりに面白いけども、パズラー好きのミステリファンが一番お気に召す 作品はこれだろう。七分間で一時間進む空間で起きた殺人という発端は西澤保彦の作品 みたいだし、ミステリ読みには魅力的なアイディアがそこかしこに出てくる。 ただ、ミ ステリとしてだけみると後半はトーンダウンしてしまっていているような感じは否めない。 基本的にアイディアがSF的な扱い方をされているからだと思う。純粋なパズラーとして なら、最初の十数ページを組み直すだけで、ひとつの作品になると思う。 まぁ、でもシリーズものの制約などもあるなかで、プロットにこれだけいろいろなアイ ディアを盛り込んでまとめ上げた点は、さすがといった感じだ。 『パッチワーク・ガール』ラリー・ニーヴン 創元推理文庫(’84) 月面都市で、地球、月、小惑星帯の政府代表による会議の開催中に、代表の一人が狙撃 されるという事件が起こる。たったひとりの容疑者はギルのかつての恋人だった。 ミステリとしてはちょっと小粒だけども、密室殺人、ダイイング・メッセージ、小味な トリックと道具立ては揃っていて、悪くない。SFファンもミステリファンでもそれなりに 楽しめるんじゃないかな。 |
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115. 2002年10月27日 01時41分53秒 投稿:ないとー |
『くたばれ健康法』アラン・グリーン 創元推理文庫('61) ブロードストン健康法の開祖が殺された。鍵のかかった部屋には、パジャマを着せら れた射殺死体。奇妙な密室殺人の謎。 のっけからオフビートな一文からスタートしたかと思えば、これでもかとアメリカン なあっけらかんとしたユーモアの波状攻撃。そのユーモアとプロットとトリックが見事 に調和している。馬鹿馬鹿しい笑いとトリックに腹を抱えつつ、考え抜かれたプロット に舌を巻く快作。 『ウサギ料理は殺しの味』P・シニアック 中公文庫(’85) 雇われ探偵のシャンフィエは車が故障し、ある田舎町で足止めを食らう。その頃、町 では毎週木曜日になると若い女が殺されるという事件が起こっていた。事件に興味を ひかれたシャンフィエは、真相を突き止めようとする。 読み進んでいくうちに出くわす奇妙な人々、奇妙な習慣が、不気味なユーモアを醸し出 していて、独特の雰囲気がある。 犯人の意外性や大胆なトリック、一風変わった動機といった当たり前の驚きはここには ない。それでも、この作品を支えている奇妙なロジックは、今までどんなミステリでも 味わったことのない衝撃を与えてくれることは間違いなし。ミステリというジャンルに 無限の可能性があると感じさせてくれるような、そんな作品。しかも、この作品には続 編もあるらしい。読みたい。 『螺旋階段の闇』ルマーチャンド 講談社文庫(’81) 閉館後のラムズデン資料館で、蔵書の盗難と、司書の助手の女性が螺旋階段から転落 死するという事件が起こる。現場には死亡した女性の他に二人のの人物が出入りした 痕跡が残っており、事態に困惑した地元警察はスコットランド・ヤードのポラード警視に 捜査を依頼する。 ある意外性を持ち込もうとして、結果的にぱっとしない凡作に終わっている。大胆な 発想といえば言えなくもないけど、かといって話の種になるほど妙なアイディアでも ないっていう、こういう中途半端なのが一番つらいなぁ。 |
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