■ Winchester M94 (改)410番 page2



 ハンマーをコックして後ろを眺める。
 ファイアリングピンにはリターンスプリングはなく、
 銃を下方に向ければタマが装填されていたなら
 常にファイアリングピンがプライマーに接する事
 になる。そう思うと精神的に不安にはなるものの、
 実用面では特に問題はない。
 しかし、勢い良く銃口から落下すれば質量のある
 ファイアリングピンは慣性でプライマーを叩き、暴
 発の可能性も無きにしも非ずと言ったところだ。
 が、プライマーはそんなに簡単にヘコむ物でもな
 いので普通に使っているなら気にし過ぎる事もな
 かろかとアタシゃ思う・・・。
 でも、銃の構造は知っておいて損はない。








遊底がある銃には、一部を除いては必ずと言って
良いほどロッキングシステムは存在する。
この銃のロッキングシステムは、ブリーチの後ろに
堰を入れるだけのものだけど、この構造は410番
や30-30の発射には全く問題とはならない。
フレームさえしっかりしていれば、ハイパワーなタマ
にも耐えられると思う。
写真は、撃発準備が終了してブリーチがロックされ
ている様子。
ファイアリングピンの後端が見えると思うだろうけど、
これはファイアリングピン本体とは別パーツなのだ。
ま、当然と言えば当然だったりする・・・。




レバーを下げると、まず最初に可動するのがこの
ロッキングブロックなのだ。・・・正式にWinchester社
では部品名を何と呼ぶかはアタシゃ知らんけど。
ブリーチに対して、垂直方向に下がっているのが
解るだろうか?このまま少し下がると、ブリーチは
ロックを解かれて後方に動き出す事になるのだ。
この銃の一連のアクションは、レバーの上下だけ
で全てが行われるので、ゆっくりとレバーを動かせ
ば部品が作動する順番やそれら部品同士の関係
が良く解る。


このM94にはマニュアルセフティーはない。
セフティーの代用の一つとして、ハンマーが使える。
このハンマーは3ポジションに設定できるのだ。
コルトガバメント等のオートピストルや、コルトSAA
と同じで、ハーフコックのポジションがある。
写真は、ハンマーが落ち切ったところ。つまり、撃発
の状態に位置している。
この銃のハンマーをコックすると、”ツチン”とクリア
な固いスチールの音がクリアに聞えて心地良い。



ハンマーはハーフコックのポジションにある。
この状態ではトリガーを引いてもハンマーが落ちる事
はない。この状態だと、発射の際には更にハンマーを
コックしなければトリガーは引けない。つまり、この状態
がハンマーでのセフティーポジションなのだ。
ワタシは実猟の際にはこのポジションを使う事が多い。
右手の親指で僅かにハンマーを起こせばすぐにでも
発射出来るからなのだ。
それにハンマーをコックする僅かな音は、レバーの
アクション音より遥かに小さい。慣れれば、トリガーを
引いたままコックポジションまでハンマーを起こし、
それと同時にトリガーの指を緩めれば殆ど無音で
撃発の準備が出来てしまうという利点もある。



フルコック、つまりハンマーを起こし切ったポジション。
このままトリガーを引けばハンマーは落ちてファイアリ
ングピンを叩いてタマは発射される。
発射寸前までは、この状態にする事は危険も伴う。
レバーの一連の操作、つまりエジェクトとローディング
をすれば自動的にハンマーはこの体勢に落ち着く。
そして、2発目を発射する必要が無くなれば、ハンマー
に親指をかけながらハーフコックポジションまで戻す
事になる。
この時に、フルコックのシアーが外れた感覚をトリガー
フィンガーが感じたならばすぐにトリガーから指を離す
事で暴発の危険性を軽減してくれるのだ。
まぁ、アタシゃその時ばかりはいつも慎重になるけど。





 

そしてこの銃のもう一つの安全システムが、このトリガー
ブロックシステムなのだ。これも正式名はアタシゃ知らん。
レバーの楕円の下と、トリガーの後方にボッチが2つある
んだけど見えますかねぇ?
これが結構笑えちゃうんだけど、実に理に叶ってるのだ。
銃を放置した状態だと写真のようなポジションにレバーは
あるんだけど、撃つ時ってストックのグリップ部をレバーと
一緒にギュッと握るでしょ?そうすると、連動するレバーに
接している小さいボッチと、トリガーの後ろにある気持だけ
大きいボッチが本体のフレームに沈んでくれる。
つまり、トリガーの後ろのボッチはトリガーが後退するのを
妨げているパーツなのだ。

 


ギュッとグリップを握り締めた状態を再現してみた。
レバーに接するボッチが押される事によって、トリガーの
後ろのボッチが見えなくなっているのが分かるだろうか?
この状態であれば、何の抵抗もなくトリガーが引ける。
でもね、アタシゃこの状態のレバーを握り締める事なんて
意識して撃った事はないんですよ、これがまた。
って事は、人間の動作までも計算して導入された画期的
な安全装置って事なのか!?
うん。これなら確かに撃つ時まではトリガーが引けないの
だから安全だ。




リアサイトのアップなんだけど、結構いい加減な構造の
リアサイトだ。
小判型のパーツはバレルと板バネ状のリアサイトの穴
に挟まっていて、そのパーツに刻まれたギザギサでリア
サイトの上下を調整するだけのものだからスゴイ。
そんなんで、撃った時に落ちないのか!?
・・・それが、全くもって問題なく落ちる事はない。
そして、リアサイトつまり照門部についているネジは更
なる微調整の為にある。
僅かな上下と左右の調整をする為にある。
実際ショットガンでそんな微調整しても意味は無いが、
スラッグならどうにか必要性が感じられるトコか・・・。

狙った感じはこんな風に見える。
見えると言っても、実際に狙うと良く見えないん
だから大したもんだ。
でもね、ワタシの場合はリアサイトの窪みにフロ
ントサイトのテッペンがスッポリ入った上部に着弾
がくるように合わせてある。
スラッグなら大体そのへんって事だけど、散弾の
場合はもっと大体そのヘンを中心にって事だ。
それと注意が必要なのは、バレルの軸とサイトの
軸は同一線ではない。つまり、どこかで交差する
事になる。ワタシゃ、50mのスラッグで合わせてる
んだけど近距離の散弾でも問題無いのだ。





   3. 操作

これはハンコではない。
410番の空撃ち用薬莢、スナップキャップなのだ。
ジュラルミンだかアルミだかで出来ていて、低部
のプライマーはゴムが挿入されている。
これで、ファイアリングピンの損傷を防ぐ設計に
なっている。大した発明だ!が、超物理的だ!
しかし、プラ製のものとはワケが違う。
・・・何が違う!?・・・材質なのだ!
と、バカでも分かる事は言わなくて良い。
正解は耐久性に違いがあるんですね。





独特のローディングポートからスナップキャップを
装填するトコだ。
30-30用の窓に410を入れるとチトきついのだ。
実弾だともっと長いので、ここでまごつく事もある。
例えるなら、マイクロバス用のカーブを大型バス
が曲がるようなもんで、微妙にコツがいるのだ。
しかし慣れれば問題じゃなくなってくる。
でも、急にカモを見つけた時には未だにアタシゃ
ここでタイムロスになっちゃうんですよね〜・・。




チューブマガジンにタマ(スナップキャップ)が入っ
たならば、あとはレバーの操作でローディングだ!
”カシュァコ〜ン”と心地よい音が響く。
これがまた、クリーニングの為に出したM94が
ナカナカしまえない要因でもあるのだ。
レバーの操作で二発目をロードする時に、一発目
の空薬莢がほぼ真上に飛ぶのも爽快なのだ。
でも、勢いをつけ過ぎるとアタマの真上に降って
きてたまに痛かったりするんですね。
実猟や射撃では、最初にチェンバーに一発入れて
おく事が多いので、レバーの操作は一発目の後に
なる事が多い。それにしてもレバーアクションって、
昔の人は良く考えたモンですねぇ〜・・・。





この銃を射撃場で撃つのは、主にスラッグを使った
標的射撃がメインだ。少なくともワタシはそうだ。
なぜならば、散弾の粒が少量しかはいっていない
410番をあえてクレー射撃に使おうとは思わない
からなのだ。
色々と言ってみたところで、射撃用の散弾も410番
の場合は高いからなんだけどね。
スラッグも若干高いけど、どうせ撃つならスラッグが
楽しい。お気軽シューティング、つまりプリンキング
感覚で楽しめるからだ。



射撃場のテーブルでは銃をセーフティーポジション
にする為にホールドオープンしている。
やっぱしM94って、このカッコはブザマなのだ。
けれど、世界的に射撃場では撃つ時以外には機関部
を開放するのがルールなので仕方ない。
M94の右の青い箱には各種スラッグが合計50発入っ
ている。12番の20発分よりコンパクトだ。
ちなみに、青い箱は30口径ライフル用の物。
410番は、何かとライフル用の小物が使えたりするの
で便利なのだ。
だけど、銃砲店には410番タマは少ないので不便だ。

Lioのブリネッキ。まるで357mag.リボルバー
のシリンダーに38spl.を装填したトコを前から
眺めたように、奥深くに弾頭が見える。
このタマは410の中でも一段とリコイルが小さ
くて価格も安い。その割りには良く当たる。
しかし、トム扱いのこのタマは現在では銃砲店で
見る事がなくなった。
ただこのタマに関して言うと、ワタシのM94では
まともにマガジンからローディングされない。
恐らく重量バランスが悪いので、M94のエレベ
ーターの上でアタマがすぐに上を向いてしまう
からだと思う。



左からWinchester、Remington、Lioのスラッグ。
発射前ではLioのが一番短い。しかし、発射後は
どのメーカーも殆ど同じ長さになっている。
全て2と1/2インチチェンバー規格のタマだ。
ワタシのM94は3インチに対応していない。
発射前のLioが一番短いせいで、Lioに関しては
ローディング時に引っかかる事も考えられる。
他の2社のスラッグは、ほぼ問題なくローディン
グしてくれるからだ。





   4. 感想



ワタシ、Joe-Shoeの感想は・・・

この銃を持った感覚は、まるで非常に良く出来たスチール製のモデルガンみたい。
小ぶりなので取り回しは楽チンだし、なんたって西部劇っぽくてカッコ良いのだ。
軽くてりコイルも少ないので非常に撃ちやすい。でも、クレー射撃には向かない銃なのだ。
もし、小川や池のカモなんかを撃ちたい人がいれば410はオススメのタマかもしんない。
どうせ410にするなら、好きなGUNを選ぶのが良い。ワタシは銃砲店の隅でボロボロの
状態のこの銃を衝動買いした。今はその時の感激以上に気に入ってしまったショットガン
なんですよね。スラッグで標的射撃をしたり、カモ撃ちなんかには最高のGUNなのだ〜!

近年は、如何に人間に合わせた道具や機械を開発するかが競われて、どんどん便利
な製品が世に送り出されている。銃にしてもそれは言える。しかし人間の社会と知識が
進化したせいか、最近の銃には「使用前に取扱説明書を読め!」とまで彫刻されるよう
になったものもある。人は便利な物を求め出すと、その道具を理解もしないうちに多く
の道具を手にするようになって、それらに愛着を持つ事とかを忘れ始めているのだ。
ワタシゃ、このM94は完璧な銃だとは思っていない。それに、ワタシのM94は持ち主に
慣れてくれようとはしない。少しかまってやると、僅かにワタシに慣れてくれるだけなのだ。
なのでワタシがコイツに慣れるしかないのだ。バカな銃ほどカワイイってもんなのよね。
そして自分がこの銃を使いこなせるようになると、征服感と愛着がだんだん湧いてくる。




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