■ Remington M870 (Wing Master) 


  


  1. ベストセラー

    世界のポンプアクションの代表作とも言える
レミントンM870は、民間から軍・警察用まで
幅広く使われている。実際にベトナムのジャン
グルでも使われていたし、世界の多くのハン
ターの手にも握られている愛用者の多い銃だ。
口径も数種類用意されているけど、12番が
最も一般的な口径のはず。
日本でも他に20番や410番も入手出来る。
特にこのM870は銃身の種類も豊富で、銃
身の交換だけで多種多様な使い分けが出来
るので、日本でも実に愛用者が多いのだ。
写真左から2番目は、マリーン、つまり海上用
のモデルでニッケルフィニッシュになっている。
日本の海上保安庁もこのモデルを使用して
いる。
生産された年代によって若干の変更はあるも
のの、M870はどの年代も同じと言っても
問題はないくらいだろう。
オートピストル、コルトのガバメントモデルも
そうだけど、基本的に変更なしのまま生産され
続けている銃と言うのは信頼の証なのだ。







   

フレームにはRemingtonに続いてWingmasterの
刻印が見える。実際にはRemingtonの下に銃番号
が刻印されているけど、念の為に修正したのだ。
つまりこのショットガンは、「ウイングマスター」という
グレードのものだ。表面はブルー仕上げだ。
ちなみに、銃の表面をつや消しに仕上げて刻印を
”POLICE”と入れればポリスになってしまう。
台所洗剤のパッケージに”業務用”と書いてある
と、何となく汚れがいっぱい落ちそうな気がする
けど、実は中身が一緒ってのと全く同じだ。
870の刻印は年代や仕様によって若干位置が
違ったりするけど、基本的に刻印されているのは
「Remingtonと、銃番号と、グレード」ってな訳だ。
でも、好きなヤツは刻印一つにも拘ったりする。
たかが刻印、されど刻印なのだ。



このM870は20番で、12番のフレームより
一回り小さくなっている。重量も軽い。
横の刻印は、”Remington 870 Magnum”
とある。ちなみにこのモデルは最近のものだ。
他に、12番のフレームサイズで20番仕様も
あるんだけど、替え銃身も少なく、フレームに
開けられたエジェクションポートは20番専用
のサイズとなっているのだ。


▲20番モデル



  ライフルドスラッグバレルを前方から眺める。
大き目のライフルサイトが特長なのだ。
このバレルはスラッグ用だからシリンダー(平筒)と
思いきや、緩やかな絞りのチョークになっている。
この銃についているバレルは固定チョークだけど、
最近のは交換式のチョークなので特に絞り具合
は気にする要素ではなくなった。
いずれにしても、12番のマズルは大きくて迫力が
あるのだ。



ライフルスラッグバレルのフロントサイトだ。
ボルトアクションライフルのサイトにそっくりだ。
左右にスライドしてアジャストできる。
もっとも、リアサイトはドライバー1本で調整が
できるのでフロントサイトの調整は最後の最後
で行えば用が足りる。
通常は、こちらのフロントサイトは調整する必要
もないと思う。
このフロントサイトは、狙うと丸いビーズが細い
柱の上に着いているように見える。
狙った時に見にくければ、白のマーカーペンで
丸い所にチョコンと色を刺せば良い。
実際、ワタシはこれでクレーを撃っているけど
慣れれば問題無い。





 



一つ不思議な事を発見した。
このリアサイトは大きく左にアジャストしてあるけど、
他のM870もこのように左にアジャストしているのを
良く見かけるのだ。
こんなズレてていいの? と、思うかもしれないけど、
これはこれでいいのだ。ワタシが見た他のもそうだ。
恐らくスラッグを発射した時に右に着弾する事が多い
から、みんなリアサイトを左に動かしているんだと思う。
フォスター弾の回転方向のせいなのか?何故だ??
でも、少なくともワタシと他のM870オーナーは、この
ままでクレーを撃っても問題がないのだ。
・・・やっぱし、バレルがインチキなのか!?
レミントンのバレルは、たまに平気で偏芯してるのが
あるしね。



この870のバレルは3インチ仕様ではない古い物だ。
刻印には2.3/4の文字が見える。
ちなみにこのバレルは、このまま3インチ仕様の870
にも装着して使う事が出来る。
しかし、3インチマグナムは撃てないのだ。
厳密に言うと撃ててしまうんだけど、安全の保障は
一切ないのだ。
逆に、3インチマグナムのバレルを2.3/4の本体に着
ければ3インチが撃てるけど、ちゃんとエジェクトする
かは保証の限りではないと思う。







 



角度が悪いので見にくいかもしれないけど、左の
スラッグ用バレルに比べて、右のシリンダーバレ
ルは若干肉厚が薄い。
肉厚が薄くても、絞りのないシリンダーは大抵の
タマを発射出来る。サボットでも問題なく撃てる。
ただし、発射出来ると言うだけで、絶対に当たらな
いと言う保障付きなのだ。
ちなみに、左のスラッグバレルも同じで、サボット
を撃っても当たらない。
スムースボアはスムースボア用のタマに限る。
ブリネッキに関しては、右のバレルの方が良い
感じだ。タマのヒレを潰さないからか?



   チューブマガジンキャップは、製造年やモデルに
   よって違う。このキャップは、バレルを締め付けて
   固定する為のものだ。先にチョコっと出てるのは
   スリング装着用の金具。
   このモデルは、バレル側に内蔵されたボールベ
   アリングとキャップ内のギサギサで、締め付けの
   緩みを防止する構造になっているが、近年のモデ
   ルではギザギサの着いたスプリングワッシャーと
   なっている。
   合理化して問題の無い所は合理化してしまおうと
   言うアメリカンスピリッツなのか?







 


トリガーとトリガーガード。
トリガーガードは、見た目だけで製造年を見分ける
事が出来る大きなポイントなのだ。
ワタシのはアルミ製でシェイプアップされている。
他に、厚めの見栄えの樹脂製やアルミ製がある。
実際の所、ここのパーツは何でも良いのだ。
ただワタシは、古い時代のこの写真のアルミ製の
ヤツが好きなんだけどね。
中に見えるトリガーは薄く、セレーションは無い。
しかし、角が落としてあるのと微妙な角度のせいか
触った感じはセレーション付きのように感じる。
トリガーの感触もトリガープルも、ワタシの知るポン
プアクションショットガンの中では最高の部類だ。
え?最低はドコかって?・・ワタシも持ってるけど、
ハンバーガー屋さんみたいなヤツかなぁ。







同じショットガンでも雰囲気は変わるもんだ。
同じ銃でも、3インチマグナムに対応しているのとしていないのがある。
エクステンションマガジンは日本ではバランスウエイトに過ぎないけど、
見た目がグっと引き締まって見える。
木製のフォアエンドは、どれもPOLICE用。実用上は特に問題無いが、
手の短い人にはアクションが苦しいかもしんない。
一番下のはヒートシールドが着いていて、フォアエンドは社外製。




 

街を走る車で、常に積まれているショットガンとして
世界で一番多いのは、ポンプアクションのショット
ガンではないだろうか?
そんな車ってある? ある!アメリカのパトカーだよ!
その中でも、やっぱりM870は多いはずだ。
なので、ワタシの勝手なイメージを記念写真にして
みた。ハンドガンにショットガン。・・何となくアメリカン。
ハンティングショットガンの870は、そのままでも
こんな写真にピッタっとマッチしてしまう。
これを代わりに上下二連でやったら、きっとトンチン
カンな写真になる事だろう。




  2.メカニズム



ポンプアクションは映画などでも知る人は多いと思う。
ポンプの往復動作でハンマーのコックと装填・排莢を
一瞬で確実に行う事が出来るシステムなのだ。
写真は、発射直前又はタマが入っていない状態。
タマがチェンバーにない状態でハンマーも落ちている時
は、ハンマースプリングのテンションのみでフォアエンド
と連動したブリーチ(ボルト)はこの位置に落ち着く。





フォアエンドを後ろに下げた状態。
バレルの先を持ってストックを床に叩きつけても、
ハンマーがコックされていなければ可動部の自重
でこのポジションにするのは容易な事だ。
この位置で排莢と次弾の供給が行われる。
実に無駄の無いシステムなのだ。
あとはフォアエンドを前方にロックするまで戻せば
いつでも発射出来る状態になる。


大抵のポンプアクションには2系統のロックがあ
って、一つはタマを発射する為に重要な、チェン
バーとブリーチのロック。もう一つは、フォアエンド
の動きをロックして不用意にチェンバーのロックを
開放させない為のものだ。
まず、アクションのロックについて説明してみる。
写真のフォアエンドにアクションバーが見える。
ブリーチを作動させるこのバーの末端は、ハン
マーに連動したストッパーによって動きを遮ら
れるようになっている。
つまり、ハンマーが落ちない限りはフォアエンド
をスライド出来ないようになっているのだ。
じゃ、撃つのを止めたい時は?そう思うでしょ。





トリガーガードの左前方にリリースボタンがある。
これを押し込んでやればフォアエンドのロックは
解かれてフォアエンドはスライドできるのだ。
つまり、ハンマーがこのロックを解くか、シュー
ターがマニュアルで解くかのどちらかだ。


▲アクションバーロックの略図








アクションバーにブリーチアッセンブリーが乗っている。
大きく分けて、アクションバー、ブリーチブロック、
ブリーチボルト、ロッキングブロック、からなっている。

上からロッキングブロックが見えるけど、ロックが開放
されている状態なのだ。ブリーチより下に位置している
から、ロックが解かれた状態だと分かる。
つまり、このロッキングブロックは、フォアエンドの動き
に連動して上下し、ロック、アンロックの状態になる。
写真で見るところのブリーチボルトが、少し前後するよ
うになっているので、この状態でもロッキングブロック
が上下するのを確かめる事が出来る。

実際は、ブリーチボルトがバレルによって前進するの
を遮られて、フォアエンドに連動したブリーチブロック
がロッキングブロックを押し上げてチェンバーはロック
される事になるのだ。

下の写真はブリーチを下から眺めたところだ。
ファイアリングピンも見える。
一番下のパーツがロッキングボルトを上下させる為の
ブリーチブロックだ。
ここの出っ張りがポイントなのだ。





かなりインチキだけど、図にすると分かりやすい。
まずフォアエンド、つまりポンプアクションのポンプを
動かすと真っ先にロックが作動する。
後ろに下げればロックが外れ、前に戻せばロックさ
れるようになっている。それから、他の部分が作動
する事になるのだ。
そして、このロック状態を維持させようとする為に
アクションバーロックがあるってワケだ。




ロッキングノッチ。
バレル側で、ロッキングブロックを受け止める穴。
つまり、ボルト側のカギがこの穴に入ってチェンバー
をロックするのだ。
こんなもんでいいのかと思ってしまうけど、いいのだ。





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