イワヨモギの国内帰化

  

 

イワヨモギについて

 イワヨモギは、キク科ヨモギ属の大型の草本です。茎は100cmにもなり、半ば木質化します。また、葉は2回羽状全裂するのが特徴です。分布は北海道で、改訂群馬県植物誌には記載がありません。

 

 

郡内のイワヨモギの分布

 イワヨモギが郡内にあることに気づいたのは父で、1997年のことでした。そこの場所は、谷間をぬって続く林道の標高約700mあたりのところで、道をあけるために削った斜面に何本か生えていました。
 次に見つけたのは私で、その次の年、1998年でした。そこは、できて貯水をはじめたばかりのダムを周回する道路で、標高は約600mでした。やきりここでも、工事によって斜面が固められたところに生えており、最初の場所よりも範囲はやや広く、背丈も高いものが見られました。
 前述したように、このイワヨモギは本来は北海道にあるものです。そして、吾妻郡にあるものは、どちらも道路やダム工事によって作られた斜面に生えており、工事によって移入してきたと考えられます。以上のことから、これは一種の国内帰化と考えていいでしょう。

 そして今年、この両方の場所へまた行ってみました。最初の林道の方は、数本ずつかたまってですが道に沿って何ヶ所かで生えており、範囲が明らかに広くなっていました。一方、ダムの方は分布がずっと広がり、また1m以上に育って上の方まで茎が木化しているのが何本もありました。

 これから、この二つの地点はどうなっていくのでしょうか。また、他にも分布地が見つかるでしょうか。非常に興味が持たれます。

 

林道に生えるイワヨモギ

ダムに生えるイワヨモギ