里見氏発祥の地を元気に 高崎

2008年07月11日 朝日新聞群馬版(全文)

 高崎市里見地区は、江戸時代の伝奇小説「南総里見八犬伝」に登場する里見氏の発祥の地とされる。全国的な知名度がある「里見ブランド」をてこに地域おこしをしようと、住民らが「里見の郷推進実行委員会」(田中直司代表)を結成した。13日には、里見氏をテーマにした講演会を開くほか、観光や文化など関連するイベントで地域を盛り上げていく。

 里見氏は、平安時代に各地におこった有力な武士集団の一つである新田氏の流れをくむ。その新田義俊が里見を本拠とし、「里見」を名乗ったのが始まり。その後、子孫が各地に広がり、安房(千葉)の大名になった里見一族が、のちに八犬伝の題材になった。

 高崎市の里見地区は旧榛名町にある。里見氏の子孫らもおり、始祖の里見義俊の菩提(ぼ・だい)寺である光明寺がある。ただ、地元ではこれまで、里見氏に焦点が当てられることはあまりなかったという。さらに、高崎市との合併で、地域の存在感が薄くなったことに危機感を持った住民らが、地域振興の核にしようと、「里見の郷」づくりに取り組むことになった。

 実行委員会の事務局を務める中嶋講二さん(56)は「地域の歴史を見つめ直すことで、各地と交流の輪を広げていきたい」と話す。里見地区はナシなど果樹の栽培が盛んで、「里見梨」のブランドで知られる。実行委員会では、歴史にとどまらず、観光面でも「里見」を売り出すイベントを検討している。

 講演会は13日午後1時半から、市榛名文化会館で開かれる。里見氏の子孫でもある里見繁美・大東文化大教授(さいたま市在住)らが、里見氏とつながりが深い山名氏や大井田氏についても話し合う。資料代500円。

 問い合わせは、戸田書店榛名店内の同実行委員会事務局(027・374・3377)へ。