●NHKのど自慢でグランドチャンピオン
のど自慢のグランドチャンピオンのトロフィーを手にする清水君
 今月十日に東京で開かれた「NHKのど自慢チャンピオン大会」で、グランドチャンピオンに渋川市中郷の県立盲学校高等部一年、清水博正君(16)が選ばれた。生まれつき目が見えず、幼児期から演歌の流れるカセットデッキがおもちゃがわりだった。神野美伽の「雪簾(ゆきすだれ)」を、「全国の同じ障害を持つ人に、楽しみを持って堂々と生きていこうという思いを込めて」熱唱した。全国一という快挙に同校や自宅には「勇気をもらった」「感動した」という手紙が続々と届いている。

 清水君は、出産予定より三カ月早く双子の一人として体重九百二十cで生まれ、未熟児網膜症のため目が見えなかった。その分、歌を聞き、歌うのが大好きで、母親の多美枝さん(45)は「小さいころから音程をはずさないで歌っていた」と振り返る。

 小学校入学後、演歌を歌うようになり、祖父の忠三郎さん(79)が、カラオケのある日帰り温泉センターに連れて行くと、温泉客の前で歌を披露し、拍手を浴びた。

 「ラバウル小唄」を露天風呂で歌った時には、戦争で九死に一生を得たお年寄りが「心にしみる」と泣きながら聞き入っていたという。

 その後も、温泉センターの大広間などで歌いながら、歌唱力に磨きをかけ、全国大衆音楽家協会主催の全国カラオケ決勝大会で最高賞のグランプリ賞を受賞するなど、多くの歌謡大会でトロフィーを獲得してきた。

 そんな清水君にとって「NHKのど自慢のグランドチャンピオン」は大きな目標だった。大会には、本年度の全国各地の四十七組のチャンピオンの中からテープ審査で選出された十五組が出場。昨年秋の藤岡市大会でチャンピオンになった清水君も選ばれ、制服姿で堂々と歌った。

 清水君は「うまい人ばかりで、グランドチャンピオンに自分が選ばれるなんて夢にも思わなかった」というが、審査員から「人の心にしみ込んでくるものがある」と高い評価を得た。

 将来は、「自立していくためにマッサージ師の資格を取り、応援してくれたお年寄りに歌を教えられるようになれば」と、得意の歌を生かしていく考えだ。


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