LA BELLE
貴方の瞳に映るのは、誰?
貴方の心に住む永劫の恋人。
ねえ、ラベール。
ううん、今日くらいは、ミシェーラって呼ぼうか?
あははは…何だか、別の人みたいだね。
その名で呼ばれるのは久しぶり。懐かしくて心地好くて、少しだけ淋しい名前。
宴の後はふたりだけの時間。
ちょっと照れたように笑う貴方は、今日見た中でいちばん素敵。
ランプの灯りがゆらりと揺れて、貴方の手が私に触れた。
どうしたの?どうして泣くの?
世間では一目置かれる存在の貴方が、こんなにもうろたえてる。
その姿を見て、彼女も可愛いと、思った?
まっすぐに見つめてくる瞳が、痛いよ。
彼女と私と、どっちが好き?なんて意地の悪い事、訊いてしまいそうになる。
適わない。
もういなくなってしまった彼女には、永遠に。
でも私もいなくなったところで、貴方の悲しみが増えるだけよね?
だから、私は。
ずっと、傍にいるからね。
私がそう言ったら、貴方はちょっと驚いて、でもとても嬉しそうな顔を見せてくれた。
ねえ、ミシェーラ。
僕達、幸せになろうね。
信じてもいい?
優しいだけの同情が、偽りの恋が、愛に変わる日を。
それまでには私も
彼女を想う気持ちごと、貴方のことが大好きよって
胸を張って言えるようになるから。