龍の玉伝説



今から千年も前のこと。沼田(のんだ,今の五料地区)に住む美しい娘が、にし
き野の里の若者と恋をしました。  ところが、平将門がこのあたりに攻め入っ
てきたとき、土地のものが娘を将門に差し出そうとしたのです。
白羽の矢がたった娘は追い詰められ、矢川の急流に身を投げてしまいました。
それを知った若者も後を追いました。
 やがて、そこへは二つの光る碧玉(へきぎょく)が、流れのまにまに漂うのが
見えました。村人は「娘はきっと龍神の変化で、玉はその精であろう」と考え、
二つの玉を拾い上げてほこらにまつりました。
 それから五百年ほど後、利根川の大洪水の濁流に龍神が現れ、ほこらに竜
巻を起こしたかと思うと、黒雲とともに姿を消しました。みると、ほこらから玉が
一つ消え失せていました。村人は、残る一つを奪われないように二重の箱に収
め、別院にまつりました。
 後に高僧がやってきて、ここに寺を建てました。それが福島地区の玉龍山満
福寺で、その玉は、今も寺で大切に守られています。
 
 玉を見た者は、眼がつぶれるといい伝えられているため、今まで誰1人として
見た人はいません。    これが「玉村」という地名の由来になったとも言われ
ています。



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