誰も信じない一本バリの効用  <1本バリのセオリー>      



上は昔のGFロンゲで巻いたもの よき香りでよく釣れた
下は06のハリス切れを防ぐため、折り返して撚り、アロン


     ▼1本バリのセオリー


◆釣 法

  ・オヨガセ釣り
  ・正面からカミを逆上げの釣り
  ・立て竿
  ・オバセの釣り

◆対象魚  小小〜中型魚

◆使用場所

  ・平均魚体が小さめ

  ・浮き石、ゴミなどで根がかりが多い

  ・水量が少ない(渇水)

  ・逆に超深トロ、ゆったりした流れ、

  ・より泳がせたほうが釣果が上がるなどの場所

◆時 期

  ・掛かりの渋い日並み

  ・渇水期

  ・一般的にはサカナの小さな初期・中期

◆仕立て 

  ・7半クラスの中型のハリまで.重いハリでは特長を消してしまう.
   また銘柄はまず関係しない.

  ・チラシやヤナギのようなハリスの長さに依存したハリの回転が確保されないから
   しなやかなハリスがベターだろうが、太さで言えば、せいぜい1か1.2号まで

  ・鉤のセット位置がジャストでも、指1〜3本、あるいはそれ以上であっても
   掛かり具合に大差はない

◆背掛かり率 ・背がかり率の高さは特筆に値する 



     ▼1本バリの釣りの分析

 1本バリの前に、イカリを覗いてみると

▼イカリの弱点

よくイカリは掛かりが早い、というようなことが喧伝されるが、これは米代川などの天然鮎のバリ
バリの時合で、1時間に20尾も掛かるような『超入れ掛かりの場合』という前提が必要だ.

ぽつりぽつりと掛かる場合や、時間当たり10尾以内程度の『普通の入れ掛かり』では、一般的には
ハリの本数や仕立てによる釣果の差はないとみるべきだ.


イカリの決定的な弱点は3つほどある.

 ・まず根がかりが多いこと

根がかりとまでいかぬまでも、石の間に引っ掛かって、サカナの泳ぎがたびたび阻害され、流され
下向きになったオトリがパタパタともがいては外れて、また引っ掛かる、ということを度々経験する.
体力とヤル気を失わせている.そして疲れたオトリは川底でナナメになって寝ていて働かない.
竿角度45度程度のシモ泳がせの人によく見られるケース.

 ・次に空中輸送時の墜落事故や底バレの類い

主なる原因は、他の仕立てバリの干渉による掛かりの浅さ、2本のハリの同時の刺さり、あるいは
前述の「底掻き」による針先の痛みによる刺さりの悪さなど.特に4本仕立ての場合はこれが顕著.

 ・そして掛かりどころの悪さ、これは多言を必要としない



 そこで、1本バリは、

▼背がかり率が非常に高い

ヒットの瞬間に他のハリの干渉がないことやハリ仕掛けの全体の柔軟性と軽快さによって、
野鮎との接近遭遇による渦流や水の流れの変化に素直に反応するため、ガッチリ、しっかりと
背掛かりとなる.あるいは仕掛けの軽さのせいでオトリの逃げと野鮎の追いの動きの形態が
より自然なため、腹部を狙うとされる野鮎の背中に理想的に近い形でフッキングすると思われる.

そう考えるしか、あの背掛かり率の高さとフッキングの見事さを解明しようがないのだ.

また、フッキングしてから2尾が仲良く寄り添って、すいすいと泳ぎ回っている.これが他の
ハリ仕掛けより頻繁に起こる.背掛かり以外ではまず起こらない現象だから嬉しくなってしまう.

「なんか変だな」とおもって引き寄せようとすると俄然猛烈に引き始めて、
「あ、やっぱ掛かってたのねぇ〜」とニヤリとさせてくれる.

まれに、それに気付いて、糸を充分たるませて「ぐはははー、かかってるぅ」などといってると
すっかり竿、イトの限界まで「2人の世界」を楽しんでいる.なかなか風情がある.
そんな場合の野鮎(掛かり鮎)は大概しっかりした魚体のものが多いが、その時の彼の心境は
一体どんなだろうなどとつまらぬ事まで考えたりする.

さて背掛かりが多いということは、言うまでもなく友釣りの生命線『オトリの循環・回転の良さ』
を意味する.掛かりどころが悪くてオトリも掛け鮎もパァー、そしてリズムを崩すという悪循環の
可能性が高いイカリと比べればはるかに優位にあるといえる.

つまり、おおよそ『迷信』のようなイカリの『掛かりの早さ』や『掛かりの方向性のカバー』が
重要なのではなく、『最終的に何尾を獲得できたのか』なのである.
そして1本バリで、がっちり背掛かりでくると、なぜか『狙って獲った!』という気分になるから
不思議だ.



▼なぜオヨガセか?

そもそも、その時、その場所で、引き釣りでバンバン掛かるなら、上下方向の距離をカバーする
チラシやヤナギの方が、1本バリやイカリより有利だ.ところが引き釣りで厳しい時、泳がせないと
掛からないという場合に、イカリ、そしてさらに条件が重なった場合に、より泳ぎの軽快な1本バリ
を選択するわけだ.(セレクションの引き出しの多いほうが鮎では圧倒的に有利といことがいえる)

 ・相当な増水後で長らく待った新垢が付きはじめた、ところがあまりの水流で石が動いて(浮いて)
  しまって根がかりの多発などという場合(そんな時は良型が姿を消して小型ばかりが多い)

 ・かたや2mを越すような深さのトロ場でより抵抗を減らしてカミに動かしたい時.

 ・浅場で小鮎しか掛からないようなポイントでオトリの体力を考えてなど.


いずれ、泳ぎは断然軽くなるが、『走りすぎ』という声も聞こえてきそうだ.
まあそれは優雅な悩みということでよろしいかと思う.

ちなみに『超特急』や『ワガンマオトリ』をじわ〜っと泳がせたいときの裏技で、最も有効な方法と
しては、まず引き寄せて、左手でオトリの魚体をつかんだら、目の前に持ってきて、

「もっとゆっくり走るんだよっ!言うこと聞かないと塩焼きにしちゃうぞッ!」と怒鳴る.

そして相手の奥歯(鰓)をガタガタさせて振り回す.これで大人しくなります、ホントだって.
ウソだと思ったら是非やってみて下さい.竿の操作などよりよほど効果がありますから〜.



▼ 1本バリの決定的な弱点

オトリが替らずに呻吟している仲間をしり目にすいすいと究極の兵器で入れ掛かりを楽しめる、、
ばかりとは限らない.

1本バリの弱点を見てゆこう.

 ・大石ゴロゴロで、水の激しく巻くような乱流のあるようなポイント(渓流相など)
 ・上、中、下層の水流の差の無いような浅い早瀬(ナメラ・岩盤の上など)
 ・決定的に下層の底流れまでが早く、鮎が定位しずらいような場所(ズドーンの一本瀬)

乱流の中では、重さのないハリはあまり有効性を発揮しない.また長チラシなどもすぐエビになる.
迷わず適当な3・4本イカリを使うべし.

またかなり圧力の強い流れの中ではイヤでも引かざるを得ない.
野鮎の追いもチョロ追いや気まぐれな単発のツッカケが多いから大針チラシの独壇場となる.
引き釣りでは1本バリの効果は薄い.

『泳がせて追わせて掛ける』ことが出来ない釣場では意味がない.

ところが1本バリには、こうした場所以外に、決定的、致命的な欠点があるのだ.
それは一体何か? 1本バリの致命的な欠陥とは、、、

それは、あまりに頼りなさ過ぎて釣り人から信頼感をもって使用されないこと、この一点に尽きる.
使われないでは掛けることも出来ない.

仲間にその実力を説明すれば、

「そうだよなー、結果、掛かるハリは一本だけだもんナア」とか、

まるで同情じみた返事をいただけるものの、その後、彼らが使った様子は皆無だ.
つまり無視される.

一本バリは誰にも信じてもらえない超マイナーな仕掛けなのだ.



  【ケーススタディ その2】 <魚野川>


昔、会社の若ぇしで、コロガシの経験は子どもの頃からあったが、友釣り未体験ていうのを誘って
魚野川に行った.

「これだけですかあ?!」

彼の仕掛けにセットした1本バリを見ての反応である.

かたや恐怖の矢島13号の大針を10数本も付けたコロガシ仕掛け、こちらは7号の細地をテキトー
に巻いただけのヘラヘラの1本バリ.

 「まあ、いいからやれっ」・・・と、ボーヤが竿を突き出して、いくら経たないうちに、

 「わあ、来たみたいですうぅぅ!」・・・絶叫、わらわらと取り込む.
 「わあ、ちゃんと掛かってるぅ!こんなんで釣れるんですネッ!不思議だなあ!」

数時間経って彼氏のところに戻った.

 「どう?出たあ??」

 「ハイッ!もう15匹も釣れましたッ!」・・・

ままま、まずい、マズイ、不味い、、こっちはツ抜けもしていない〜〜

その後、初心者のトラブルもあって、なんとか必死でカバーでき面目は保ったが、それ以降、彼は
1本バリ以外は使ってないという.もともと川感があるとは言え、成績もまずまず安定しているの
だそうだ.

いまだ各種ハリ仕掛けをぐだぐだといじり回している先輩としては「信ずるものは救われる」
とつぶやくのが精いっぱいなのだった.

 (この項、了)


   ■4本イカリの正しい使い方
   ■誰も信じない一本バリの効用 【ケーススタディ】<ダイワ那珂川予選&諏合正一>