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No.895 (2004/03/01 00:56) title:「戦線文庫」と「にっぽん」
Name:小林文庫オーナー
Email:kobashin@mail.wind.ne.jp
URL:http://www.st.rim.or.jp/~kobashin/

 「大阪圭吉自筆作品目録」(杉浦俊彦編)には、次の様な記述があり、ずっと気になっていました。

   「尋人をする女」 昭和十四年 戦線文庫十一号/にっぽん九月号 仝時発表

 「同時発表」と云うのは、どうゆう事なのか?
 何故、2誌に同時発表なのか?
 どちらかが再録なのか? 再録なら、何故こんなに近い時期に再録したのか?
 
 気になっていながら、「戦線文庫」「にっぽん」共に閲覧する事が困難で、確認のしようが有りませんでした。

 ところが、昨年末、幸運にも次の2冊を手に入れることができました。

   「戦線文庫」 14号   昭和14年12月1日発行 (発行所 戦線文庫編纂所)
   「にっぽん」 十二月号 昭和14年12月1日発行(第1巻7号) (発行所 名古屋新聞)

 圭吉の「尋人をする女」が掲載されている筈の号の、3号後ですね。
 2つの雑誌を比べてみると、掲載されている創作が、ほぼ同一なのです。
 すなわち、掲載されている小説作品の数は「戦線文庫」が8作、「にっぽん」が10作。
 その内7作が同一作品でした。
 コントも3作掲載されていて、それも同一でした。
 (探偵作家の作品では、小栗虫太郎の「南海の鯱」が同時掲載されています)
 小説、コント以外の記事は全く異なっています。

 12月号がそういう事なら、9月号についても同一作品が掲載されていて不思議は有りません。
 初期の「戦線文庫」と「にっぽん」には、創作が同時掲載されていたようなのです。

 何故こんな事になっているかと言うと、・・・

 この時期、「戦線文庫」は海軍省恤兵部発行の非売品(戦時版)でした。
 「にっぽん」は名古屋新聞社の発行で、市販されていました。
 「にっぽん」の編集は、興亞日本社が行っていました。
   (発行所 名古屋新聞、編集 興亞日本社にっぽん編集室)
 「戦線文庫」の編集も興亞日本社が行っていたようなので、両誌共に興亞日本社が編集していたことになります。
 その関係で、創作を同時掲載していたのでしょう。
 
 橋本健午氏のHP 「『戰線文庫』研究」を参考にすると
  「戦線文庫」は  昭和13年 9月(S13・9・10発行)創刊
  「にっぽん」は  昭和14年 6月  創刊なので、
 昭和14年6月号から、同時掲載されていたのだろうと思います。
 これがいつまで続いていたかは解りませんが、「戦線文庫」25号(昭和15年11月発行)頃から、市販もする「戦線文庫(銃後読物)」が発行されたとの事なので、この時期には同時掲載は終わっていたのだろうと思います。

 ちなみに、「戦線文庫」の戦地版(海軍省納品の非売品)と「戦線文庫」(銃後読物版)は、同じ月の発行でも、内容は異なっていたようです。
 1号分だけ、同じ月に発行した号を比較する事ができましたが、小説、その他の記事とも全く異なっていました。ページ数事体が相当違っています。

 そうすると、戦線文庫に多数発表した大阪圭吉の作品は、「戦地版」に掲載されたのか、「銃後読物版」に掲載されたのか? それとも両方に掲載されたのか?
 「にっぽん」は、何時から独自編集になったのか? 大阪圭吉の発表作との関係は?
 新たな疑問も出てくるのですが、現物を確認できないので、どうにもなりません。

 「戦線文庫」に興味を持っている人はほとんどいないでしょうが、私にとっては大発見だったので、書いておきます。

  *    *    *    *

 これだけでは、愛想も色気も無いので、おまけの画像を付けておきましょう(笑)


戦線文庫5号
画像クリックで拡大

 昭和14年の時点では、まだ日本も余裕が有った……
 というより、現代の制服萌えのオタクと、メンタリティーは変わっていないような気がしますが、いかがでしょうか…?

  *    *    *    *

 最後にもうひとつ。

 同じ時に、「慰問讀物」という本も手に入れることができました。
 収録作品に関心のある方もいるかと思うので、記録に残しておきます。

  「慰問讀物」 海軍省恤兵部監修
         昭和十六年五月二十八日発行
         発行兼編輯 大島敬司
         発行所 興亞日本社

     海洋ユーモア「疾風姫君(はやてドンナ)」 耶止説夫
     若様捕物  「霊亀香人形供養」 城昌幸
     (など)が掲載されていました・

   ※ 一見すると雑誌ですが、継続して発行されていたものかは解りません。
     何巻何号という記述は有りません。


No.894 (削除済)
No.893 (2004/02/22 22:23) title:初出探索
Name:日下三蔵
Email:CXX06677@nifty.ne.jp

日下です。

現在、ちくま文庫から出る都筑道夫怪奇ショートショート集の
解説を書いているのですが、以下の十八作品の初出が判明して
いません。情報をお持ちの方がおられましたら、一つでも結構
ですのでご教示いただければ幸いです。よろしくお願いします。

『黒い招き猫』1978年3月 角川文庫
目のない賽
新世代語辞典
静かな夜
宙づりの女
百物語
死者の宴

『阿蘭陀すてれん』1977年5月 角川文庫
青信号
私と私と私たち
地球は狙われている
片腕
妙な電話
超能力電話
故郷の廃家
真夜中の雷雨
老朽度スキャンダル

夜道
新居


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