黒猫荘
(mobile版)

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カフェ「白梅軒」
オーナー:川口且真
(OPEN:1999年7月19日)
「白梅軒」へようこそ。
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4717. 2011年10月06日 00時36分59秒
投稿:かわぐち
10月5日
仕事を終わらせて納入するだけにしたので、雨の降りしきる中、東京国立博物館へ。
常設の展示替えは、前回と比べるとあまりなし。それでも岩佐又兵衛が観られたのはうれしい。
応挙の屏風、浮世絵コーナーは国芳特集。年末の森美術館の国芳展が楽しみだ。
久しぶりに法隆寺宝物館にも足を向ける。ここはそれほど展示替えもないので(あったとしても気づかないだけ?)3〜6ヶ月に一度くらいしか行ってないが、それでもすごいなぁといつも感心。
パスポートの延長手続きをする(震災の影響で休館していた分延長してくれる)。これで25日からの「法然と親鸞展」も観られるようになった。
今日のもうひとつの目的、「神仏います近江展」の図録だが、ショップには見当たらない。
聞くと、販売は決定しているのだが、入荷自体はいつになるかわからないとの返事であった。
500ページを超す大冊らしいので、現地に行く前に購入しておきたかったのだが。
さらに江戸東京博物館へ足を延ばす。「世界遺産 ヴェネチア展」を観るためだ。
予想よりも力の入った展示。美術・工芸だけでなく多角的にヴェネチアの文化を紹介。
日本で観られるとは思ってもいなかったカルパッチョ「二人の貴婦人」にも感動。
ただ天邪鬼な感想を一言いえば、ルネサンス期はすばらしい文化も、18世紀になるとかなり「まだこんな感じだったのか」と時代遅れになっている気もした。
特に風俗画では、同時代のオランダ絵画に比べると抜かれている感は否めないのでは。
その中でカナレットの絵はさすがと言うしかない。
なんにせよ一見の価値は充分にある展覧会です(数箇所巡回)。
カルパッチョって、日本ではあまり画集が出ていない気がします。東京書籍の「イタリア・ルネサンスの巨匠たち」シリーズ以外では「ファブリ世界名画集」(平凡社)−−古本市でよく見かける薄い、いまでいう「週刊グレート・アーチスト」のようなやつ−−くらいしかないのでは。
その割には人気があるみたいですね。私の手元にあるのは、Stefania Mason- Carpaccio, The Major Pictorial Cycles (Skira)です。
ここにも載っている「聖ゲオルグの竜退治」も来日することがあるとよいのですが。
4716. 2011年10月03日 23時50分17秒
投稿:かわぐち
10月2日
鎌倉へ。華頂宮邸一般公開があるので。
昨年11月、建長寺・円覚寺の寺宝公開に行き、わざわざ一泊して回ったので、今回はその補遺も含めて。
寿福寺・浄妙寺で鎌倉五山制覇。報国寺の竹の庭は、実は期待していなかったのだが、想像以上。杉本寺もよかった。
旧華頂宮邸で『かまくら景観百選&鎌倉の景観重要建築物』冊子購入。これがこのあと役立った。
今回の収穫は、ガイドブックにも紹介なく、先の「景観重要建築物」にも指定されていない御成小学校の講堂。
望楼の2つある木造の建物がいい! 調べてみたら昭和8年のものだとか。見た目はもっと古く感じますが。
もと御用邸の場所に建てられた小学校。結構地元では取り壊して新しい校舎にしたい声も多いらしいのですが、他所者の無責任な気持ちでは「もったいないよ〜」。
残念だったのは、英勝寺、鎌倉文学館(旧前田侯爵別邸)がお休み。そして一度見ておきたかった釈迦堂切通しも手前で通行禁止。写真で見た岩のところまでも行けなかった。結構歩いたのになぁ・・・。
そんな感じで、鶴岡八幡宮以外は有名処はあまり行かず、ただただ歩いただけのような気が。
読了本は、
リチャード・フォーティ『乾燥標本収蔵1号室』(NHK出版) 怪奇ミステリのような題名ですが、大英自然博物館の研究者が著した、同館のドキュメント。話題の中心は奇人研究者のエピソードだったような。
高橋昌明『湖の国の中世史』(中公文庫) 今月、滋賀旅行の計画があるので、その前調べ。しかし、地方新聞掲載の文がもとになっているせいか、章当たりの分量が短くて、「え、これで終わり?」と思った箇所がいくつも・・・。
加藤九祚『ユーラシア文明の旅』(中公文庫) 旧ソ連時代に書かれた、シベリア、中央アジアの文化史。
4715. 2011年09月25日 00時51分51秒
投稿:かわぐち
中村うさぎ『狂人失格』(太田出版)読了。昨年刊行された本だが、まったく知らなかった。家人に読むようにいわれた本。
内容は、ネットで「作家になりたい!」とブログを書いている女性と、著者が関わった顛末。
私自身はまったく知らなかったのだが、ネットではかなり有名な話らしい。モデルについては仮名だが、ちょっと検索すれば本人のサイトにはすぐにたどり着けることであろう。
これまでネットで<イタイ>人は何人か見てはきたが、多くの反応は嘲笑であろう。
しかし、著者は「なぜ私はこの人が気になるのであろう」と絶えず自分に問いかける。
「この人は自分の暗黒面なのだ!」と考えた著者は、ただ嘲るだけの周囲への反感もあって「共著を出しませんか」とアプローチ。しかし、その後の展開は・・・・・・。
ネットに頼まれもしないのにわざわざ自己をさらけ出している人間−−もちろん私自身もそうだが−ーそれはなぜなのか。そこには自分では認めたくない有名欲、虚栄心などがドロドロと渦を巻いているのでは等、決して他人事とはいえない「病」が潜んでいるのかもしれない。
しかし、大方は「私はこの人(本書のモデル)とは違う」と安心にも似た否定が生まれることであろう。だが著者の自省はあくまでも執拗である。
いろいろ考えさせられることの多かった本でした。一読の価値は充分にあり。ただサイト自体はできれば近づかないほうが・・・と老婆心ながら。
牟田口義郎『地中海歴史回廊』(ちくま学芸文庫)読了。
あまり多くはない(と思うんですけど)地中海史の専門家によるエッセー集。
地中海というと、多くはギリシア、トルコのイメージだと思うが、著者の視点はかなり広い。
地中海文明はギリシア、そしてエジプトに代表されるアラブ世界が中心・起源であり、ヨーロッパはアラビア語をラテン語訳することにより、ようやくその文明の成果に触れることができるようになったのだ、ということ。
堅苦しくなく気軽に読める。しかし、なら「学芸文庫」(高いからね)でなくても・・・と思ったのも事実。
ブローデル『地中海』も読んでいないシロウトの私だが、おかげで気になる本が随分リストアップできました。
こうした「広がり」のある本は読んでいて楽しい。
4714. 2011年09月19日 23時17分50秒
投稿:かわぐち
9月17日
まずは金曜に書き忘れたこと。仕事帰りに東京国立博物館へ。月に一度の予定で通う常設展鑑賞。
前回から展示換えのあったのは半数くらい。国宝室の「一遍上人伝絵巻」がすごい!
そして置いてあったチラシ−−「ボストン美術館 日本美術の至宝」展(2012年3月20日〜6月10日)には・・・・・・
なんと、曾我蕭白「雲竜図」が展示されるという! ボストンにあることは知られていても、おそらく同美術館の学芸員でさえ観たものは少ないという作品。
以前、NHKで展示を再現する試みがされていたが、ようやく入手した写真を引き伸ばしたものであった。
当然、ボストンに行ったところで観られるものではない。
それが日本にやって来るのだ。おそらく自分なんかは一生観ることは叶わぬと思っていたので、まだ信じられぬ気持ちだ。
そのほかにも日本にあれば国宝間違いなしの「平治物語絵巻」、長谷川等伯「龍虎図屏風」、尾形光琳「松島図屏風」等など・・・こう書き写しているだけでも興奮が押さえられなくなりそうだ。
私のホラでない証拠として、東京国立博物館HPを見てください。
嬉しいことに、名古屋、九州、大阪と巡回あり。
国立の一橋大学へ。いつでも行けると思い、かえって遠いものになっていた、伊東忠太「兼松講堂」を観るため。
まさに日本版ロマネスク建築! 昨年5月フランスのウェズレー、オータンとロマネスク見学に出かけたのだが、自転車で行ける距離(少しきついけど)にここまでの完成度のものがあろうとは。
その他文部省建築課によるものとされる建物も伊東忠太デザインと響きあうように造られており、東京都内でも必見の建築であると、遅まきながら確認した次第。
なにはともあれ、これでようやく東京の伊東忠太建築は制覇できたと思う。
(築地本願寺、大倉集庫館、震災記念堂、湯島聖堂、そして明治神宮宝物館でいいのかな?)
なお、国立駅はすっかり変わってしまい、惜しまずにいられない。
国立の古本屋では、C・S・ルイス『愛とアレゴリー』(筑摩叢書)を購入。この叢書、全367冊でよいのだろうか?
カーレン・ブリクセン『アフリカ農場』が1992年11月刊行で最後?
その後別の形で再刊されたり、いまとなっては興味もなくなってしまった書目も多いのだが、それでもこのまま消えるには惜しい本も少なくないし、入手しておきたいものもあり、古本で注意はしているシリーズだ。
国分寺の殿ヶ谷庭園に寄る。
帰宅後、藤森照信・増田彰久『建築探偵 東奔西走』(朝日文庫)を読むと、兼松講堂の周囲にマムシがいたとの記述が・・・(冷や汗)。
9月19日
小田急ロマンスカーのパノラマ席を確保したので、小田原の建築巡りに。
前日に頑張って映画を観たせいで、眠くてせっかくのパノラマ席も町田過ぎると眠りの中・・・・・・。
ちなみに観た映画は、増村保蔵監督作『現代インチキ物語 騙し屋』、中平康監督作『当たり屋大将』、小野田嘉幹監督作『人喰海女』、溝口健二監督作『女優須磨子の恋』。
それはともかく・・・・・・小田原でレンタサイクルを調達し回ったのは、田中光顕別邸(小田原文学館)、黒田長成別荘「清閑亭」、大倉喜八郎別邸「共壽亭」(現・料亭山月)、松永安左ヱ門邸「老欅荘」。
山縣有朋別邸「古稀庵」(現・あいおい生命研修所)は日曜のみの公開ということで見学不可。
「神奈川県立生命の星・地球博物館」へ。隕石・鉱物の展示がいい!
[NAGAYA v3.13/N90201]