黒猫荘
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これがワテのお勧めやねん!!
オーナー:SAMANA

SINCE 1999.5.4
ようこそ16号室へ!! 私がこの部屋でやろうとしていることは、

1)ミステリ未経験・経験少ない人にミステリ好きになってもらおう!!
2)ある程度の経験者にはまだまだこんなミステリがあるってことを知ってもらってますますミステリ好きになってもらおう!!
3)ミステリどっぷり者には、DEEPな情報をお互いに提供・体験してもらって「アッシャー家」のように泥沼に沈んでもらおう(笑)!!

と、要は「ミステリを好きになる人が増えればいいな」ってことです。
皆さん、「お勧め本」のご紹介よろしくお願いします。「お勧めダブり」は大歓迎。集計して「お勧め人気度」もだしたい(笑)。
でもネタバレはやめてね!!!

ウダ話OK。ミステリウダ話(ミステリにちょっとでも関係した雑談。例えば小ボケ・小ツッコミ・オフ話等)で
ミステリに興味を持ち始める可能性はあると思います。
ただしウダの内容は『皆様の良識』に期待!!
  93〜96件 
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2468. 2017年04月08日 17時09分01秒  投稿:SAMANA 

 スタッドレスのタイヤ交換で(保存)2時間30分待ちの間にこれを
書いたSAMANAです(保存)。スマホでなくでかいノートパソコン(保存)
なのでバッテ(落ち・再起動・保存)リーも長くもたず、少し書いては
保存をずっと繰り返して(保存)何とか完成させました。

 さてさて。それでは積読本状況詳細報告。

2017年3月の読了本
  1.『夢・出逢い・魔性』 森博嗣
  2.『暴徒裁判』 クレイグ・ライス
  3.『幽霊刑事』 有栖川有栖
  4.『神の子の密室』 小森健太朗
  5.『過ぎ行く風はみどり色』 倉知淳
  6.『とむらいは俺がする』 ハドリー・チェイス
  7.『海狼たちの夏』 笹沢左保
  8.『残光』 東直己
  9.『最後の旋律』 エド・マクベイン

 9冊読了。
 今月もよく読み進めることができました。海外作品が馴染みやすい
作家作品ばっかりだったのが大きな要因でした。久々のジェイク&ヘ
レン&マローンも久々で嬉しかったです(^▽^)/。
 
極私的超アバウト評価

◎とても楽しめた
 なし

○楽しめた
 『夢・出逢い・魔性』『暴徒裁判』『幽霊刑事』『神の子の密室』
 『過ぎ行く風はみどり色』『とむらいは俺がする』『海狼たちの夏』
 『残光』『最後の旋律』

・普通
 なし

△あまり楽しめなかった
 なし

×楽しめなかった
 なし

 全部「楽しめた」レベル。特に『夢・出逢い・魔性』の細かな反転
模様、『幽霊刑事』の隙間ない収まり方が見事だったワントリック、
『過ぎ行く風はみどり色』のやむをえず名探偵らしく立ち振る舞った
動機、『とむらいは俺がする』の無情すぎる登場人物の扱いゆえに心
に湧き上がる「生きている」ことへの思索、『残光』の別シリーズ主
要キャラ登場による面白さの相乗効果と主人公の魅力、などが面白か
ったけれど、それぞれに細かな引っ掛かりがあって、お勧めまでに至
らなかったのが残念でした。
 あと、87分署シリーズの最終長編を読んで、とうとうシリーズ未
読長編がなくなってしまいました( ノД`)シクシク…。あとは未訳・未単行
本化の中編が1冊にまとまって、何とかポケミスで刊行されることを
願うばかりですが、それはやっぱり無理なのかなぁ…。

2017年3月の購入本等

  1.『回想のぬいぐるみ警部』 西澤保彦
  2.『誰も書けなかった「笑芸論」 
      森繁久彌からビートたけしまで』 高田文夫
  3.『痛みかたみ妬み』 小泉喜美子

 3冊購入等。今月も少なくてよかったよかった(^▽^)/

 1.は購入定番作家作品。これで積読西澤作品は39冊に。
   恐らく最多数の積読作家です(;^_^
 2.は購入予定本を決める時に目に留まり、どうにも気になって仕
   方がなくなって購入決定。過去にお笑い関係の本を楽しんでい
   た時期があり、その記憶がまだ心の中でくすぶっているのかも。
 3.は見つけて未読作品がほとんどなのを知って即購入決定。帯の
   イヤミスというフレーズが気になるけれど、読む頃には65歳
   過ぎになってると思うので、仕事のストレスから「読むのがツ
   ラい」なんてこともきっとないでしょう(;^_^。

そいでは!!

2467. 2017年03月06日 21時14分07秒  投稿:SAMANA 

 仕事で家を出るのが6時前なんですが、最近、少しずつ日の出の時間が
早くなってきてるのが嬉しくてたまりません。これで寒さも少しずつ和ら
いでくれればいいんですが、気温のほうはさほど和らぎを感じず。コート
はまだまだ手放せそうにないのが残念ですガタガタ{{{{(* ̄д ̄)}}}}サブッ

 さてさて。それでは積読本状況詳細報告。

2017年2月の読了本
  1.『猫の舌に釘をうて 都筑道夫コレクション《青春篇》』 都筑道夫
  2.『マドンナ』 奥田英朗
  3.『誰も批評家を愛せない』 ジェーン・デンティンガー
  4.『さよならの値打ちもない』 笹沢左保
  5.『鉄道員』 浅田次郎
  6.『改訂・受験殺人事件』 辻真先
  7.『密告者求む』 K.C.コンスタンティン
  8.『小説・江戸歌舞伎秘話』 戸板康二
  9.『都会のトム&ソーヤ14 夢幻(上)』 はやみねかおる
 10.『都会のトム&ソーヤ14 夢幻(下)』 はやみねかおる
 11.『冥王の花嫁』 奥田哲也

 11冊読了。
 かなり順調な読書ペースで、内容もほとんど楽しめた作品ばかりで
満足感いっぱいの2月の読書でした。
 うれしやうれし、ああうれし〈( ^.^)ノホイサッサ
 
極私的超アバウト評価

◎とても楽しめた
 『改訂・受験殺人事件』『小説・江戸歌舞伎秘話』

○楽しめた
 『猫の舌に釘をうて 都筑道夫コレクション《青春篇》』『マドンナ』
 『誰も批評家を愛せない』『さよならの値打ちもない』『鉄道員』
 『密告者求む』『都会のトム&ソーヤ14 夢幻(上・下)』

・普通
 『冥王の花嫁』

△あまり楽しめなかった
 なし

×楽しめなかった
 なし

 『改訂・受験殺人事件』はポテト&スーパーの男女コンビが活躍する
シリーズ中の1作。設定は「読者などが犯人」というメタミステリ系な
がら、はぐらかされた構成でなくきっちり理屈付けはされています。た
だ、何といっても遊び心と驚きをあわせ持った最終メタネタに感心。読
み終えた後にすごい満足感がきて、読んでよかったぁ〜という気分にな
りました。
 『小説・江戸歌舞伎秘話』は、江戸時代を舞台に歌舞伎役者の周りで
起きた出来事を描いた短編集。ここに描かれた話はすべて歌舞伎にまつ
わる数々の記録の元になった出来事という体裁で、この出来事がまた情
緒あふれる話が多く、ホント心にじんわり沁みこんでいい味わいでした。
歌舞伎を知っていればいるほど、面白さが倍増するに違いありません。
それにどの話も大なり小なりミステリ要素が感じられ、江戸時代に暮ら
す人々の様々な「情」とあわせて、小粋な日本ミステリを楽しんでいた
だきたいところです。

2017年2月の購入本等

 1.『鵬藤高校天文部:君が見つけた星座』 千澤のり子
 2.『都会のトム&ソーヤ14 夢幻(下)』 はやみねかおる

 2冊購入等。
 1.はネット知人が書かれた短編集。他の著作もいまだ積読順番待ち
   で、先に読めばいいものを決めたルールにずっとこだわってる私
   は、なんて融通の利かない人間なんだろうか…(;-_-) =3 フゥ.
 2.は唯一、購入即読書と決めている作家作品の下巻。今月に上巻と
   合わせて一気読み。購入順で読むというルールなのに、都合よく
   例外を設けている私は、なんてチャランポランな人間なんだろう
   か…(ノ_-;)ハア…

そいでは!!

2466. 2017年02月03日 20時28分25秒  投稿:SAMANA 
 2017年初めての書込み。
 皆様今年もよろしくお願いいたします<遅すぎ(-ε-)ブーブー

 さてさて。それでは積読本状況詳細報告。

2017年1月の読了本
  1.『プレイボーイ・スパイ 2』 ハドリー・チェイス
  2.『ナポレオン狂』 阿刀田高
  3.『耳を傾けよ!』 エド・マクベイン
  4.『甦る推理雑誌7 「探偵倶楽部」傑作選』 ミステリー文学資料館 編
  5.『大中小探偵クラブ―猫又家埋蔵金の謎―』 はやみねかおる
  6.『岡山女』 岩井志麻子
  7.『カフェ・コメディの悲劇』 マーシャ・マラー
  8.『不思議の国のアリバイ』 芦辺拓

 8冊読了。
 ぼちぼちのペース。厚めの本もあったけど読みやすい本もあって、総体的にみて
正真正銘、まさしく「ぼちぼち」としか言いようのない1か月でした

極私的超アバウト評価

◎とても楽しめた
 なし

○楽しめた
 『ナポレオン狂』『甦る推理雑誌7 「探偵倶楽部」傑作選』
 『大中小探偵クラブ―猫又家埋蔵金の謎―』『岡山女』『不思議の国のアリバイ』

・普通
 『プレイボーイ・スパイ 2』『耳を傾けよ!』『カフェ・コメディの悲劇』

△あまり楽しめなかった
 なし

×楽しめなかった
 なし

 たまたまでしょうけど、今月の「普通」が全部海外もの(^_^;)。
 『プレイボーイ〜』は前作と比較してだけど、アクションもスリリングさも物足
 りず。中盤の非情な処理はチェイスらしくて良かったんですが。
 『耳を〜』はアナグラムが一つの主役という、翻訳では難しい面もあるんですが
 それと関係なく、デフ・マンにしては事件がショボく感じられたし、日々の事件
 が多忙で訳のわからない警告に必死になれないでしょうけど、警告者がデフ・マ
 ンと判った後でも87分署の面々の取り組み姿勢も投げやりな雰囲気が感じられ
 て、盛り上がりを感じられませんでした。あと、キャレラのとある感情もちょっ
 と引っ張り過ぎて食傷気味になってきていたり(^_^;)。
 『カフェ・コメディ〜』は、主人公を含めてレギュラーメンバーそれぞれの生活
 の進展模様は楽しめましたが、事件の詳細な部分の構図がほとんど理解できずミ
 ステリな部分が楽しめなかったのが残念でした<読み方が悪いのでは(゚ペ)?

2017年1月の購入本等

  1.『死の天使はドミノを倒す』 太田忠司
  2.『アイドル女優に乾杯! 本音を申せば10』 小林信彦
  3.『大中小探偵クラブ―猫又家埋蔵金の謎―』 はやみねかおる
  4.『小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏』 小林信彦・萩本欽一
  5.『かくして殺人へ』 カーター・ディクスン

 5冊購入等。
 全て定番作家作品。4はちょっと思案しましたが対談形式ということで、ご高齢
のお二人が今でも何の支障もなく対談されているのか興味が湧いたので購入。まぁ
でも「あれあれ、あの人。何て言ったっけ?」「え〜とえ〜と…。ダメだ、全然思
い出せない」てなやりとりが連発してるなんてことは絶対になっていないでしょう
けれど<失礼ですヾ(-д-;)ォィォィ

そいでは!!
2465. 2016年12月31日 15時14分43秒  投稿:SAMANA 

 2016年最後の日にこの文章を書いております。来年は、仕事面では大変な
年になりそうで今から胃がキリキリ痛んでいるし、地元生活面でもやること
が増えて自分の時間がまずます減ってしまいそうなのでちょっと不安。でも
、地元の方は私以外の人たちが頼れる人たちばかりなので、実はちょっと楽
観視していたり(^_^)
 読書の方は毎年のごとく、亀の歩みながらボチボチ楽しんでいきたいなぁ
と願っています。これはたぶん死ぬまで変わらない……はず(;^_^

 さてさて。それでは積読本状況詳細報告。

2016年12月の読了本

  1.『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』 黒川博行
  2.『殺意の演奏』 大谷羊太郎
  3.『2017本格ミステリ・ベスト10』 探偵小説研究会 編
  4.『暗黒告知』 小林 久三
  5.『2017年版 このミステリーがすごい!』
      このミステリーがすごい!編集部編
  6.『ロックスバーグ鉄道殺人事件』 K.C.コンスタンティン
  7.『日本探偵作家論』 権田萬治
  8.『短編集 日本推理作家協会賞受賞作全集』
      永瀬三吾 日影丈吉 角田喜久雄
  9.『課外授業 ミステリにおける男と女の研究』 青木雨彦

 9冊読了。
 読書中の本が残り30ページほどで読もうと思えば年内に読了できるんですが、
残り僅かなのにまだ先が見えないこともあって今日中に読みきる気が起こりません。
新年早々に読了して1月読了貯蓄にまわすことにします<何の意味もありません
オラァ(p゚ロ゚)==p)`д)グハッ


極私的超アバウト評価

◎とても楽しめた
 なし

○楽しめた
 『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』『殺意の演奏』
 『2017本格ミステリ・ベスト10 探偵小説研究会 編』『暗黒告知』
 『2017年版 このミステリーがすごい!』『ロックスバーグ鉄道殺人事件』
 『短編集 日本推理作家協会賞受賞作全集』

・普通
 『課外授業 ミステリにおける男と女の研究』

△あまり楽しめなかった
 なし

×楽しめなかった
 なし

 飛びぬけて面白く感じた作品がなかったのが残念。『てとろどときしん』は大阪弁
の会話が最高で楽しめたんですが、登場人物の名前が途中で変わったりして(人物置
き換え後の誤植?)、ちょと興ざめしてしまったのが悲しい。
『課外授業』は古き良き(悪しき?)時代の考えに、時の流れをしみじみ感じてしま
いました(  -o)y-~~~ スパー


2016年12月の購入本等

  1.『2017本格ミステリ・ベスト10』 探偵小説研究会編
  2.『総特集 諸星大二郎』 河出書房新社編
  3.『2017年版 このミステリーがすごい!』
      このミステリーがすごい!編集部編
  4.『セブン殺人事件』 笹沢左保
  5.『福家警部補の報告』 大倉崇裕
  6.『名古屋駅西喫茶ユトリロ』 太田忠司
  7.『メフィストの漫画』 喜国雅彦、国樹由香
  8.『怪しい店』 有栖川有栖
  9.『感傷コンパス』 多島斗志之

 9冊購入等。
 年末恒例ランク本の1&3は想定内でしたが、2・4・7は書店で目にして
思わず衝動買いした想定外本。8は非ミステリながら、この作者でのハートウ
ォーミング系ストーリーのようだったので購入。多島斗志之の手になるハート
ウォーミングって、聞いただけで期待がものすごく膨らんでしまいます(^_^)。


で、今年の締めくくりは今年の読書で面白く読めた、私からのお勧め本。
好みが合う・合わないはあるかと思いますが、もしも気になった本があったら
一度手にしてみてくださいまし。そして、もしももしも、楽しい時間を過ごし
ていただいた・満足いただいたなら、大変嬉しゅうございますです〜m(__)m


2016年読書で面白かったエンタメ

『ハンサムな狙撃兵』 シャルル・エクスプライヤ 現代教養文庫
 今月は何といっても『ハンサムな狙撃兵』がダントツで楽しめました。この作者
 名、どっかで目にしてたよなぁ…と思っていたら、なんと自分が絶賛していた
 『イモジェーヌに不可能なし』の作者でした。
 そこまで忘れるか、自分!-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…
 『イモジェーヌ〜』同様、狂気的スラップスティック・コメディ・ミステリで抜
 群の面白さ。主役の愛に生きる警部と警部に振り回される刑事の主役2人もいい
 のですが、何と言っても狂気的コメディの中心人物、事件関係者のピア・ダニ叔
 母が最高。この作者のコメディセンスには脱帽です。
 読後、この作者がフランス人、ということは『イモジェーヌ〜』もこの作品も、
 フランス・ミステリなんだと気づいて大仰天。凝った心理サスペンス系統がほと
 んどと思い込んでた私は浅はかでした(;´▽`A``

『やっとかめ探偵団危うし』 清水義範 光文社文庫
 ひいき目だけどやっぱりサバサバ行動系の理想のお婆さん像と、人情味・人間味
 あふれる理想の名探偵像が奇跡的に結びついた「波川まつ尾」が活躍する話なん
 で、楽しめないわけがないという思い。といっても、主人公単体だけでは決して
 ここまで惚れ込むことはなく、周辺人物たちを含む登場人物たち全員の人柄(と
 作者の力量)がかもしだす話の世界観が暖かさが本当に素晴らしいと思う次第。
 ぜひともこの名古屋やっとかめワールドを一人でも多くの人に楽しんでもらいた
 いと願うばかりです。

『大中小探偵クラブ(2)―鬼腕村の殺ミイラ事件―』
              はやみねかおる 講談社青い鳥文庫
 ミステリ網がけっこう細かく張り巡らされてそこかしこに「おぉ」「おぉ」と
 感心したり、各キャラの探偵としての方向性が出来つつあるよう に感じられ
 て、かなり楽しめました。そのため、自分の中で次作期待値が少し高くなって
 しまい、ちょと心配(;^_^

『顔』 松本清張 双葉文庫
 表題作は著者の代表短編としてよくあげられるようなので、この作品をおさめ
 た様々な短編集があるでしょうが、私が読んだのは日本推理作家協会賞受賞作
 全集として刊行された短編集で、他の所収作は「殺意」「なぜ「星座」が開い
 ていたか」「反射」「市長死す」「張込み」と、これまた初期代表短編揃いの
 ようです。
 結論から言えば、本当に感嘆することしきり。「推理小説の全ての基礎がここ
 にある」と断言してしまいそうなほど。正直、「清張以前・清張以後」という
 言葉を眉唾物と思っていたんですが、すごく的確なフレーズだなぁと実感しま
 した。清張作品は実は苦手で、最初に読んだ「点と線」がミステリとしてもエ
 ンタメとしても自分の琴線にに触れるところが全くなく、「リアリズムでなく
 無味乾燥」の印象しか残らず最悪なものでした。その後もいくつか長編を読み
 ましたがその悪い印象は継続したままで、最近読んだ『疑惑』でその印象が少
 し持ち直したように思えたところに今回の短編諸作。恐らく既読清張作品を読
 み返すことはないでしょうが、やっぱり自分が不明だったのかなぁと思うこと
 しきりです(;^_^

『天使などいない』 永井するみ 光文社文庫
 ほぼ初読作家(アンソロジーで読んだことはありそう)さんでしたが、女性の
 多種多様な感情を、日常のちょっとした出来事から後戻りできない非日常へと
 動き出してしまうサスペンスミステリ形式で余韻豊かに描きだしていく各短編
 が、男性としてはすごく新鮮でむちゃくちゃ面白く読むことができました。全
 く似ても似つかないかもしれないけれど、個人的印象としては山崎洋子作品を
 思い浮かべたり。
 また、後味がさほど悪くない作品もあったせいか、後に読んだ『依頼人は死ん
 だ』の個人的キーワードが「他者との乖離度」(が事件を引き起こす)という
 冷めた視点のものになったのに対し、『天使などいない』は「他者との密接度」
 (が事件を引き起こす)という、ちょっと情にほだされたようなキーワードで、
 作品の味わいが読者(=自分)に「突付けられる」というより「差し出される」
 というソフトな印象を持ちえたのも、とても好印象でした。

『依頼人は死んだ』 若竹七海 文春文庫
 人の負的側面から捉えた本質を、ハードボイルドスタイルにすることでより鮮
 明に描き出すことが出来てることに加え、本格ミステリの劇的特性とも組み合
 わせることでミステリとしての(程度の差はありますが)完成度を、連作短編
 集としていっそう高めていることに感動しました。同じように人の負的側面を
 扱った永井するみの『天使などいない』とは、その描き方から「ハードボイル
 ド」と「サスペンス」に結構判りやすく分かれるもんなんだなぁと変な所でも
 感心。
 また、誰もが持つ多種多様で深浅な悪意(自分が男だからか、女性の身中から
 描かれた表現にがいっそう鮮やかさ感じました)を、作品 全体はもちろんの
 こと、ほんの1、2行で見せつけてしまう鮮やかさにも脱帽。解説にも抽出さ
 れてましたが、それぞれが私にとって素晴らしいキラーコンテンツでした。
 ただ、本作を本当に楽しむことができるためにはあらゆる意味での「厳しさ」
 とそれゆえの「優しさ」が必要なのかもしれないと感じました。その面では自
 分にその資格があるとは思えないけれど、いつかはその資格を持つよう人間に
 成長したいなとも思ったり。

『平面いぬ。』 乙一 集英社文庫
 正直、表題作は他短編ほど乗り切れなかった(生き物への愛護精神が私には欠
 如してるからかもしれない)んですが、それを補って余りあるほど他の3短編
 が素晴らしかったです。
 意外なトリック系要素を含めた情感ホラーの「石ノ目」。
 どこにでもいそうな高校生を主人公に、空想癖のある人なら一度は思い描きそ
 うだけどまず間違いなく体験することはない淡い夢の世界を、斜め10度ぐら
 いに少しずらしてストーリー展開させることで、静かに、だけど確実に、得も
 言われぬ感情を読み手の心にしみ込ませる「はじめ」。
 ほんの少しだけ救われるところがあるがゆえに、より悲しくなってしまうラス
 トが心憎い、単純な表現だけれど"乙一版トイ・ストーリー"という言い方が一
 番説明しやすそうな「BLUE」。
 特に「はじめ」にはオッサンながら本当にキュンとしてしまいました(;^_^

『幻惑密室』 西澤保彦 講談社文庫

 本格好きの間では有名らしいチョーモンイン・シリーズの長編1作目。当然
 ながらシリーズ初読。世間の波から外れまくりもほどがありすぎ┐('〜`;)┌。
 作者お得意のSF設定の面白さに幻惑されたか、ひねくれミステリ読みなら気
 づいても良さげな犯人像に思い至らず、けれどそれが逆に驚きを与えてくれて、
 結果、すごく楽しめたのがナイス。西澤ロジックはやっぱり好ましいです。

『幻の祭典』 逢坂剛 文春文庫

 1992年バルセロナオリンピック開会前のスペインを舞台過去の「もう一つのオ
 リンピック」時のスペイン内線と重ね合わせた冒険&サスペンスミステリ。主
 要人物たちの主義・主張・心情と時代の波が絡み合って繰り広げられるサスペ
 ンスストーリーは、話が終わらないでほしい・いつまでも読み続けたいと思わ
 せるほどの読み応えで、ぐいぐいと引き込まれっぱなし。久々の読書体験に大
 満足いたしました。

そいでは!!

[NAGAYA v3.13/N90201]