黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚
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131. 2005年03月05日 10時23分52秒
投稿:庵本譚
1月22日「敵手」ディック・フランシス(早川書房)
シッド・ハレーみたび。かつて競馬シリーズが英国でテレビ化された際には
(日本ではNHKで放映)「興奮」などのエピソードの主人公もシッド・ハレーに
置き換えられていました。要は、フランシスが生み出したタフな主人公の象徴が、
かの片腕の元チャンピオン・ジョッキーなのでありましょう。
これまでも孤独な戦いを強いられてきたシッド・ハレーは、この(今のところ)最後の
事件で、競馬界のみならず、競馬を愛する英国民そのものを敵に回してしまいます。
競馬界の生み出した国民的アイドルにしてシッド自身の友人でもある人間を、卑劣な
競走馬傷害事件の犯人として告発する羽目に陥ってしまったのでした。
マスコミの糾弾キャンペーン、背を向ける競馬界の名士たち、そして狂乱する友人の
父母、フランシスの筆は大胆なカットバック手法を駆使して、シッドの苦悩を描き
出します。
「鉄壁のアリバイ」といったミステリマニアの心をくすぐるネタもないでは
ないですが、その部分の解決は肩透かしです。犯人像もクレージーです。
では小説として出来が悪いかというと決してそんなことはありません。
「人生における勝利とは何なのか?」という作者の問いに戸惑う作品でありました。
果てしなき闘い、その戦いが終わるときは、命の終わる時。
そこにはただ、敗者ばかりの碑がたっているに違いありません。
貴方の勝ちです、ミスター・フランシス。
130. 2005年03月05日 10時23分14秒
投稿:庵本譚
またまた庵主です。
ここからは感想文。
1月21日「聖なる怪物」DEウェストレイク(文春文庫)
ハリウッドの老優へのインタビューで綴られる芸能界楽屋落ち犯罪小説。
ドラッグ漬けになった名優にフラッシュバックする過去の記憶、その栄光への階段と
奈落への転落を様々な人間模様を絡めて削り出した快作です。
展開を楽しむべき話なので、予備知識なしで取り掛かられることをオススメします。
すれっからしの読者は、30頁も読めば作者の企みに気がつくでしょうが、
それでも、ラストの悪夢的な展開までは読めない可能性大であります。
人間が如何に壊れていくかを記した点で、近作の「斧」や「鉤」に通じるもの
があるかもしれませんが、読後の爽快さでは近作に一歩譲るような気がします。
毎年恒例のハリウッドの村祭=アカデミー賞授賞式も近いですので、この作品を
読んで、しっかり事前の勉強をしておきましょう。
129. 2005年03月05日 10時21分02秒
投稿:庵本譚
引き続き庵主です。
沈没していた間の主な購入本です。
「黒潮大名」九鬼紫郎(同光社)100円
d「中国迷路殺人事件」RVフーリック(ちくま文庫)100円
d「探偵小説昔話」横溝正史(講談社:新版横溝正史全集18)105円
拾い物の原書
神保町の飯島書店にて。
"The Philladelphia Murder Story" Leslie Ford(C.Scribners:US1st)200
"The Blue Parakett Murders"R.P.Koehler(Phoenix:US1st)400
"The Deadly Dove"Rufus King(CC US1st)300
"The Blue Door"Vincent Starrett(CC US1st Signed!)450
"Death Knell"Baynard Kendric(Morrow)200
"The Rosy Pastor"Nigel Fitzgerald(CC:DW)500
"Packed for Murder"John Blackburn(Morrow:US1st:DW)450
"A Rope for the Hanging"Nigel Moland(Cassell:UK1st:DW)500
"The Face of the Man from Saturn"Harry Stephen Keeler(Dutton:US1st)400
なんとヴィンセント・スターレットはサイン本でありました!!
それなりのお値段の原書
知っている人は知っている「お方」から。
「Two Ends to the Town」John Bude(UK 1ST 55 VG/G+)\4800
「What Dread Hand?」Elizabeth Gill(CAN DCC 1ST 32 VG/カラーコピー)\1200
「Pale Blue Nightgown」Louis Golding(UK 2ND 49 VG/カラーコピー、クイーンの定員)\2200
「Wolf Howls Murder」Manning Lee Stokes(US 1ST 45 EXL G+/VG)\3300
「Cigar for Inspector Head」E.Charles Vivian(UK WARD LOCK PB 30’S G+)\1300
「Be Kind to the Killer」Henry Wade(UK 1ST 52 VG/VG)\4400
「Colonel’s Foxhound」Cecil M.Wills(UK 1ST 60 EXL LFE G+/G)\2800
ジョン・ビュードとヘンリー・ウエイドはレアタイトル。
ウォードロックのペーパーバックというのも初めてお目にかかりました。
以上、めぼしい購入本でした。
128. 2005年03月05日 10時10分35秒
投稿:庵本譚
御無沙汰しておりました
庵主です。
昨年末からひいていた風邪が咳喘息へと転じたところへ
仕事がてんぱって、どうにもこうにもなりませんでした。
とりあえず、リハビリに浮上してみます
書込みいただいた皆様
長い間、放置していて申し訳ございませんでした。
すずるさん
こちらこそご挨拶もいたしませんですみません
今後ともよろしくお願い申し上げます。
>松本清張作品、唯一記憶にあるのが『高校殺人事件』です。
古本屋で探しているのですが、なかなか遭遇いたしません。
先日、大阪キタのかっぱ横丁で、カッパノベルスの初版が
ショーケースに並んでいたのですが、プレミア価格で買う本でも
あるまいとスルーしてしまいました。
なんと松本清張全集に入っていなさそうなんですけど、
清張全集って、まだまだ全集じゃないんですねえ。
>ディック・フランシスの『敵手』はいかがでしたか。
よかったです。
感想はのちほどアップします。
>またこっそりおじゃましますです。
これに懲りずよろしくお願いします。
ともさん
>先日はサイトに来てくださって、どうもありがとうございました。
突然の乱入、失礼いたしました。
「小学校に怪しい中年が迷い込んだ」という
シチュエーションかも。
>ミステリ好きの方がこうして集まることができるというのは
>すばらしいことだと思います。
そうですね。
ともさんがおっしゃると本当に素晴らしく感じます。
>今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
老舗中の老舗のみすべすには遠く及びませんが
こちらこそよろしくお願い申し上げます。
にっちさん
>こんにちわ。庵主さまの書かれる本は奥が深いですねえ。
間口も狭けりゃ、底も浅いです。
>ぼくはヤフーオークションで「タイムスリップグリコ 思い出のマガジン」の
>揃いを買ってしまいました。けっこうかわいいです。
出ているのも知りませんでしたが、これは相当そそられるものがありますです。
>(推理雑誌はないけどこの話題は本譚だからOKですよね?)
大丈夫っす。
>次のシリーズで「宝石」とか出ないかな?
光文社の幻の雑誌シリーズを前から順にお願いしたいです。
シークレットは新青年付録「ファントマ」とか(笑)
[NAGAYA v3.13/N90201]