黒猫荘
(mobile版)

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カフェ「白梅軒」
オーナー:川口且真

(OPEN:1999年7月19日)

「白梅軒」へようこそ。

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4729. 2011年11月05日 23時29分24秒  投稿:かわぐち 
11月3日
町田へ。町田国際版画美術館で開催中の「版画でつくる 驚異の部屋へ ようこそ!展」を観るため。
第1部に関しては、なんらかの形で見たことのある図版がほとんど。しかし、実物を見て一番わかることは「サイズ」だ。
エルラッハ『歴史的建築図集』がこんなに大きな本とは思わなかった。現物は無理にきまっているが、復刻の形でなんとか入手できないものだろうか。
『エジプト史』はさまざまな形で図版は紹介されてはいるが(一番手軽なのはTachenから出た全図版集)、やはり実物に適うはずもないことを実感。
この新聞紙なみのサイズがすごい。
これまで知らなかったErik Desmazieresの版画に惹かれる。1948年生まれの現代フランスの版画家。
『ホルヘ・ルイス・ボルヘスの小説「バベルの図書館」に想を得た11点の版画集」という、長くてそのまんまの作品が展示されていた。
第2部のほうは知らない画家多数。コルネリス・フロリス「オーナメントとグロテスク」に注目した。
併設の「チベット密教版画展」も鑑賞。
企画展の図録を購入。2600円。700部限定となっていた。
ここまで来たので、町田市民文学館ことばらんどで開催中の「蕗谷虹児展」を観ることに。
想像していたより充実した展示。原画はやはり美しい。
魯迅が虹児に魅せられていたとは知らなかった。ちょっと意外。中国で虹児の詩画集の翻訳まで出版したそうだ。
絵とは別に堀口大学の本『虹の花粉』がとても気になった。なんという美しい書名であらう。
ブックオフ、高原書店と寄るが何も買わずに帰宅。

11月5日
千葉へ。千葉市立美術館で開催中の「酒井抱一と江戸琳派の全貌展」を観るのがメインの目的。
その前に稲毛で途中下車。旧神谷傳兵衛稲毛別荘(大正7年)、千葉トヨペット本社社屋(明治32年)を見学するためだ。
知らなかった「千葉市ゆかりの家・いなげ」も見学。溥儀の弟溥傑が夫妻で新婚生活を送った家だそうだ。
千葉へ行き、日本基督教団千葉教会(明治28年)を見てから美術館へ。
なんと申しましょうか、「美しいというのは、こういうものを言うのだよ」と言わんばかりの作品がずらり。
琳派の全貌ということであれば、先に国立博物館の「大琳派展」に勝るものがそうそうあるはずもないのだが、抱一とその弟子たちということであれば、文句のつけようがないほどの充実した展覧会であろう。
結局、終了近くになってからの鑑賞になってしまったが、半券を持っていけば1000円が半額の500円になるというのが嬉しいサービスだ。
やはりもっと早く来て、リピートするべきであったかもしれない。
同美術館では来年4〜5月に蕭白展が予定されているようなので、また来ないわけには行かなくなりそうだ。
それにしても家を出てから帰宅まで9時間の外出。そのうち4時間は電車の中なので、やはりよほどのものがない限り足が向かないなあ(それでも2年に一度くらいは行ってしまうんだから、「よほどのもの」が多いということか)。

読了は、
高橋裕子『イギリス美術』(岩波新書)
ヒュー・ブラウン『英国建築物語』(晶文社)
鈴木博之『建築家たちのヴィクトリア朝』(平凡社)
イギリスに行く前に<おべんきょう>。
前2冊は漠然と持っていた情報を整理するのに大変役立った。ただ、これから知りたいという人に薦めるには固有名詞が頻出すぎて、ちょっとためらってしまう。
いずれもわかりやすくて、良い本には違いない。
最後の1冊は、これまで名前は知っていても、それがどういう人物か知らなかった建築家の列伝。
やはり知らなかったことがわかるというのは面白く、夢中で読んでしまった。

すでに時期を逸してしまった感があるが、10月末から11月初めまで、「東京文化財ウィーク」というのをやっていた。
この間、普段公開されていない文化財が公開されるなどしていたが、それに合わせて東京都教育委員会がパンフを作成。
期間限定版はもう終わってしまうが、「通年公開編」というものも作成されており、これがあるとかなり楽しめそうだ。
関心のある方には入手をおすすめ。
もちろん「行ってみるとがっかり」レベルも含まれていることは、私の見ている限りでもそこそこあるんだけど。

4728. 2011年10月29日 23時52分31秒  投稿:かわぐち 
10月29日
秋晴れの中、赤坂の迎賓館へ。一般見学抽選で当たったのだ。
といっても、係の人に聞いたら1日2000人ということなので、11月3日のような日でもない限りはずれることはないのかもしれない。
ちなみに言えば、例年は5月申し込み7〜8月見学なのだけど、今年は震災の影響で9月申し込み、10月末〜11月初旬に。
暑い時期でなかったのは、まさに不幸中の幸い。
大正天皇の新婚住まいとして建てられたこの建物、本当に豪華!
これまで岩崎邸や鳩山邸は見てきたが、規模が違う。さすが皇族。
改修の甲斐あって、最近造られたかのようにピカピカ。純洋風の内部も過剰に走らないで、品の良い豪華さだ。
その分、バロック建築のような、笑ってしまうような「そこまでするか!」といったものがない。
なんにせよ、機会があれば話のタネだけにでも一見する価値は充分あり。
こうなると京都の迎賓館も見学したくなる。こちらも例年は5月申し込み、7〜8月見学(今年は9月見学)。
解説書を千円で購入。

その後、上野へ回り、東京国立博物館で「法然と親鸞 ゆかりの名宝展」を観る。
京都では法然、親鸞別々の展覧会であったのだが、聞くところによると、足して2/3のような内容らしい。
「いいとこどり」という噂も聞いたが、なるほど、確かにこれはすごい。
もったいなくも私なんぞには価値のわからないものも多かったが、それでも絵巻、像、襖絵など見ごたえのあるものも多数。
「芸術新潮 特集:法然」を読んでおいたのは正解であった。
とにかく想像していたよりはるかに人出が多く、2時間かけて観た後は、もうぐったり。
本日から公開であった庭園も、木・土曜のみ開館の黒田記念館も16時までとあって見られずに退散。

本日の悔し涙は、愛用のNIKONの偏光サングラスを紛失したこと。
4年前の誕生日に自分で自分に贈ったプレゼント。値段もそれなりにしたし、何より気に入っていただけに・・・・・・。
「所詮、俺の人生こんなもの」という気分になっております。

4727. 2011年10月29日 00時42分19秒  投稿:かわぐち 
10月27日
仕事に向かったところ、突然、仕事がなくなりポッカリ1日空く。
これはラッキー。本日から開催の神保町の古本まつりへ。
さすがに初日だけあって結構な人出。
何も買わなかったが、中には「こんな本がさりげなく並んでるよ!」と驚くものも。
Le Cere Anatomiche della Specola は、いまでこそ有名になったフィレンツェの解剖博物館だが、1979年段階でここまでコレクションを紹介した本は(たぶん)なかったはずだ。
私も海外の古書店を通じて入手しているが、こんな本が並ぶから古本市はおもしろい。
『白井喬二全集』16巻8000円はかなり心惹かれたが、買うと読まなくなりそう。現在5巻まで読んでいるのかな。

仕事の道具や本を持っていたので、ただでさえ鞄は重く、じっくり見る体力がないため、次へ。

国立西洋美術館で「ゴヤ展」鑑賞。常設展ではウィリアム・ブレイク版画展もやっていた。
来年「ユベール・ロベール展」があると知り驚く。

さらに東京国立博物館、国立科学博物館と梯子。どちらもパスを持っているので、気軽に行ける。
思いがけない秋の休みであった。

購入本(その前日)
楼慶西著・高村雅彦監修『中国歴史建築案内』(TOTO出版)
同社からは『インド建築案内』『ロシア建築案内』が先に出ているが、本書は少し趣が変わり、20の章に分かれ、多角的な面から中国の建築を概説している。
ちょっと写真の印刷が悪いが、これは原書の印刷に問題があるのであろう。
まだパラパラ拾い読みの段階だが、たいへん刺激的。またもや我慢できなくなってしまいそうでコワイ。
まあ、それよりは先に大連〜ハルビンを見たいのだが。

読了は、『日本古典文学大系82 親鸞集・日蓮集』(岩波書店)。国立博物館で開催中の『法然と親鸞 ゆかりの名宝展』を見る前のおべんきょう。
続いて「芸術新潮4月号 大特集:法然 こころの改革者」を読んでいる。
4726. 2011年10月26日 00時05分37秒  投稿:かわぐち 
>すずるさま
おおっ、安土行かれるのですか! もう紅葉もきれいでしょうから、いろいろ楽しめそうですね。
お言葉うれしゅうございます。ぜひ加古川周遊も実現させたく思います。

こういうとき、やはり関西圏は強いですね。関東周辺で特別公開といっても、なにがあるのかもよく知らないし。
今月の「芸術新潮」を見て、東北地方の仏像を集めた、今回の滋賀のような企画展を開催してくれると盛り上がるんじゃないかなぁと考えております。

本が到着。
Susan Dackerman- Prints and the Pursuit of Knowledge in Early Modern Europe (Yale U.P.,2011)
現在ハーバード大学で、来年ノースウエストのBlock museumで開催の展覧会の図録。
15〜17世紀の科学書を中心とした100冊の本を紹介。書棚にあると心休まる美本。
1冊1図なんてみみっちい紹介でないのがいい。
戦国時代から江戸時代初期に、こういった本が作られているんだから、ヨーロッパ文化は深い。

しかし、同種のものとしては、1996年にフランス国会図書館で開かれた展覧会Tous les savoirs du mondeに軍配が上がるであろう。
こちらは、本当にこれだけのものが一堂に介したことがあるのかと、今でも信じられぬほどのラインアップ。
これ1冊で西洋の百科全書的世界の概観を目にすることができる。

Paul Koudounaris- The Empire of Death (Thames & Hudson, 2011)
チェコに異様な教会があるのをご存知の方も多いと思う。そこには人骨で作られた燭台やレリーフが並んでいる。
ヨーロッパを中心に世界に点在する人骨を並べた場所。パリのカタコンベや、シチリアの骸骨寺などある種の観光名所となっている場所も多いのだが、本書はそんな人骨を展示した場所を広く集めたグロテスクかつ妖しい一冊。
こうして私家奇書コレクションにまたもや魅力的な本が加わりました。
決して他人にはおすすめしませんけど、日本橋丸善で実物が見られることだけは知らせておきませう。

[NAGAYA v3.13/N90201]