黒猫荘
(mobile版)

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短いことはいいことだ
オーナー:花井圭太
長〜いミステリを読む時間も根気もない貴方(勿論!僕)
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1130. 2004年10月19日 10時06分22秒
投稿:花井圭太
おはようございます、花井です。
>キリ@65様
おひさしぶりで〜す。
たしかに長篇は疲れるかも。ひさしぶりだったし。
で、あらすじですか?
。。。。要約する力がございませぬ(汗)。というか、あらすじだけ読んでも
おもしろさは伝わらないかと。その、ナイル河のように(ベタ比喩)滔々と流れる
語りの心地よさ、喋りの心地よさに身を委ねていただきたい。
てなわけで、任意のところをば抜き取りで
怪奇な場面(かの有名なクレタの迷宮を彷徨うところ)
すでに私も雄牛の臭気に似たいやなにおいに気がついていた。それはもっとひどい
悪臭でさえあり、まるで迷宮全体が巨大な牛舎でもあるがごとく、そこら中の壁から
発しているように思えた。カプタに息をつめて進むように命じた。彼が酒壷から深く
一飲みあおると、私らは先を急いだ。やがて私の足が何かぬらぬらしたものに滑った。
かがみこんでいると、それは腐った女の頭蓋骨で、まだ毛髪がべったりついていた。
ここにいたって、もはやミネアに生きて会うこともあるまいとさとった。けれど、狂
気じみた衝動が、なおも私を前へと駆り立てていった。カプタをなぐりつけ、泣き言
をやめさせるや、私らは歩きだし、糸をときながら前進していった。けれど間もなく、
また壁に突き当たり、引き返さざるを得なかった。
エッチな場面(バケタモン姫はアクナートンの姉、第19王朝の始祖ホレムヘブの妻)
彼女は彼らにいった。「私はバケタモン姫、エジプト軍の大将ホレムヘブの妻、二
人も男の子を生んでやったのよ。だけどあの人は退屈で、からだらしがなくて、それ
にいやな血のにおいがしてるんですもの、あの人なんかちっとも面白くないの。ね、
あたしについていらっしゃいな。遊びましょうよ、あたしをよろこばしてちょうだい。
だってお前たちのふしだらけの手や、いかにも健康そうな肥のにおいが好きなんです
もの。それにお魚のにおいも好きよ。」
魚市場の男たちはこのことばに仰天した。怖気がついて彼女から逃げようとした。
だが彼女はどこまでも執拗についてまわり、やがてその美しい裸身を見せて、彼らに
いった。「妾、きれいじゃなくって?どうしてぐずぐずしてるの。いいこと、たとえ
お前たちが妾をみっともないお婆さんだなんて思ったってお前たちめいめいから欲し
いお礼はね、たったの石一つなのだよ―――それも妾がお前たちをいい気持にさせて
あげたその具合で、石の大小をきめるのよ」
戦闘場面(シリアの砂漠に住まうカビリ族との戦闘)
カビリ族がいよいよ間近に迫ったと思うと、彼らはときの声をあげてきた。その喚
声のすさまじさ、私の顔からさっと血の気がひき、脚がへなへなとなったほどであっ
た。と、その一瞬、彼らは走りながら矢を放ち、突撃してきた。矢はさながら蠅のう
なりのごとく、ぶんぶん音をたてた。私には耳をかすめる矢の唸りのほか、ただもう
滅茶苦茶な騒音しか記憶にない。それでも、打ちこまれる矢の損害が、意外なほど少
ないのに勇気を得た。矢はわがほうの頭上を飛びこえていくか、楯で受け流されるか
しているのであった。
やがてホレムヘブが怒鳴った。「糞ったれめ、おれにつづけ!」彼の戦車兵どもは
馬の手綱を放すと、そのあとから駆けだしていった。弓兵はいっせいに矢を放った。
槍兵は戦車のあとから突撃していった。ことごとく咽喉もさけよとばかり、喚声をあ
げた――カビリ族の怒号にもましてすさまじかった――これは各自がてんでに恐怖を
忘れよう、とわめいていたからだ。私も肺腑をふりしぼって、われとわが声のわめく
のを耳にし、そうすると、ひどく安堵のいくのに気がついた。
そして、なによりも道化カピタのお喋りが全編をおおって実に愉しい
あたりの薄暗くなるころになってカプタが起き、目をこすり、あくびをしながら、
敷物の下からはいだしてきた。
「聖甲虫様に誓っていうぞ――というてアムモン神様を忘れてしもうたわけではご
ざいませぬて――わしの頭はもう鉄床みてえじゃないぞ。これで何か食い物がありさ
えすりゃあ、またこの世とうまく調子が合わせていけそうな気がするんだけどな。胃
袋の中には、まるでがつがつ餓えとる獅子がいっぱいいるようだて」
本当かどうか知りませんが古代エジプトを小説で扱ったのはこれが初めてなんだ
そうですからエジプトファンの方は是非。
そういえば、クリスティ文庫で戯曲集『アクナーテン』が出るのかしら??
『夜更けのエントロピー』(ダン・シモンズ)読了。
やっぱり奇想コレクションには今のところはずれなしですね!
おもわず身が入ってしまうものばかり。
「黄泉の川が逆流する」
「ベトナムランド優待券」
「ドラキュラの子供たち」
「夜更けのエントロピー」
「ケリー・ダールを探して」
「最後のクラス写真」
「バンコクに死す」 の7編
ただし、その漂う雰囲気は陰鬱。すすんで読む気にはならんなあ、エンタメとしては。言い過ぎかしら?
最初の一編ので出しはこうだ。
ぼくは母が大好きだった。その母の葬儀が終わって棺が地中に下ろされると、ぼく
たち家族は家で母の帰りを待った。
子供たちに読んでやったら吹き出していたが、僕はげんなりしたぞ。
なんか貶しているか、僕。いやしかし、そんなことはない。「夜更けのエントロピー」
なんて、もう絶品です。ため息。僕は大好きです。
それでは。
1129. 2004年10月16日 09時28分35秒
投稿:キリ@65
おひさしぶりで〜す。
長編読了おめでとうございます。ヾヾ(*^▽^*)〃
花井さんは、短編にこだわってらっしゃるのかと思っていたので、ちょっと意外でしたが、
そりゃあ長編だってお読みになりますよね。(〃_ 〃)ゞ ポリポリ
なかなかおもしろそうな本のようですが、自力で読むのは体力いりそうなので
あらすじを教えていただいて、読んだつもりになりましょう・・・あはは。
1128. 2004年10月15日 22時35分33秒
投稿:花井圭太
こんばんは、花井です。
『エジプト人』読了。
ついに、ついに読み終わりました。はあ〜〜、長かった。
しかし、そんな!閉じ込められるシーンなんて、どっこもありゃしないじゃん。
ありゃ映画の中だけかい(恥)。
しかし、富者も貧者もない、主人も召使もない世界ってのは、ぜったいに共産主義社会
を意識しているように取れますよね。1945年のフィンランド作品となれば。
何千年もおんなじようなことを考え続けているなあ、人類は!などと一瞬、考えてしま
うが、そんなことはどうでもいい面白さですね。満足、満足。
*200番前 ゆがめられた昨日
ではでは。
1127. 2004年10月14日 22時46分29秒
投稿:花井圭太
こんばんは、花井です。
『エジプト人』読中。
現在、598頁。12章に入ったばっかし。
いよいよ、主人公がファラオの異母兄であったことが発覚。佳境に入ってまいりました。
といっても人物紹介欄でこんなことは最初からばらされてるし、まあ、これがなくても
薄々そんなことではないかいな、って書き方だし。驚くことはない。
かぐや姫が月から来たことを知って驚愕するやつはいないようなもんだ。ものがたりなんです。
しっかし、作者はフィンランド人なんだよなあ。微に入り細に入り、見て来たような嘘を
つくもんだ、まったく。
さあ、ラストスパートだ、頑張ろう。
*200番前 『葬儀を終えて』
ではでは。
[NAGAYA v3.13/N90201]