黒猫荘
(mobile版)

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カフェ「白梅軒」
オーナー:川口且真

(OPEN:1999年7月19日)

「白梅軒」へようこそ。

  53〜56件 
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4757. 2012年04月18日 01時09分37秒  投稿:かわぐち 
4月7日
熱海へ。先月に引き続き岩佐又兵衛を観るためにMOA美術館へ。
今回は「浄瑠璃物語」。「山中常盤」同様、牛若丸こと義経題材だが、悲恋の物語。
突拍子もない作風という点では「山中常盤」に敵わないが、細密描写という点ではそれ以上。
こうして毎月又兵衛が観られるのだから、今年は良い年だと感ぜずにいられない。
次回は「堀江物語」。青春18きっぷは使える時期ではないので、ロマンスカーのパノラマ席をゲットして、5月に備えた。
MOA美術館の後は、三島に移動。前回時間が合わずに見送った「楽寿館」見学。小松宮彰仁親王別邸。
三島では古本屋に1軒寄ったのだが、ここがまたすごかった。通路の両脇に本が積んであるのはよくある光景だが、その狭さ!
腰をかがめて積んである本を確認するのはほぼ不可能であるため、視界に飛び込んでくる本を見るしかない。
私でこの状態なんだから、(特に名は伏すが)某氏や某氏などでは中に入ることさえ難しいかも。
身延線に乗り、富士から甲府経由で帰宅。
正直、ここ2年のにわか〈鉄〉なので、長いばかりで、たいして楽しくなかった・・・。

4月15日
千葉へ。まずは千葉市美術館で開催中の「蕭白ショック!」。同館で98年に開催された蕭白展には行ったのだが、そののちの京都の蕭白展には行っていないので、久々にまとまった蕭白鑑賞だ。
今回の目玉は旧永島家の襖絵全44点が修復後公開という点であろう。また蕭白が影響を受けた画家、さらには同時代の若冲、大雅、応挙などの画家の作品も並ぶ。
襖絵以外は98年の展覧会で観た作品ばかり(らしい。というのも図録で確認しないと、もはや忘れているから)。
したがって、今回図録購入は見送ってしまった。ほぼ全点近く入れ替えがあるので、おそらくもう一度足を運ぶことになりそうだ。
同館の次回企画は英泉!

続いて佐倉へ。国立歴史民俗博物館「洛中洛外図屏風と風俗画」を観るため。
同館所蔵の洛中洛外図6点が一堂に並ぶだけでもありがたい。残念ながら国宝上杉本や舟木本は複製および写真。
同日まで岡山県の林原美術館で開催されていた「洛中洛外図屏風に描かれた世界」に上杉本、舟木本が出品されていたそうだ。
う〜ん、両方の展覧会を観ておきたかった。岡山のは昨年群馬で開催したあとの巡回だというではないか。
みんぱくのこの企画、「都市を描く−京都と江戸−」という企画の第1部。当然第2部江戸があるのだが、こちらは立川市の国文学研究資料館で開催。
これも両方観に行くのは相当大変だと思う。
図録は両会場の内容を収載しており、良い本である。2000円。もちろん購入。
国立歴史民俗博物館は2001年の「異界万華鏡」以来なので11年ぶり。
前回、ここで買った図録、高知県立歴史民俗資料館発行の「いざなぎ流の宇宙」は、資料としても素晴らしい本で、心底買ってよかったと思わせるものであったのだが、
今回も素晴らしい図録を発見。高知県立歴史民俗資料館「鬼 展示解説資料集」。これまた資料性の高い、代え難い本。
先のいざなぎ流もそうであったが、単なる歴史資料の図が載っているのではなく、いま現在、高知に息づいている信仰の様子を紹介している点に感動を覚える。
いったいここの企画展はどうなっているのだろう。現時点でHPを見る限りでは、それほど心動かされないのだが、ときにこうした素晴らしい企画があるのでは目が離せないなあ。

4756. 2012年04月01日 00時26分35秒  投稿:かわぐち 
3月24日
いつ行こうと迷いながら気になって仕方がなかった国立博物館「ボストン美術館展」へ。
土曜の午後だが、予想していたよりは混んでいなかった。
故宮展はもとより、このところの同館企画展より少なめのような気がした。
もちろん、それなりに人はいたのであるが、このクラスの名品が並ぶ展覧会を人が少ない状態で観ようなどとは虫が良すぎる考えかも。
とにかく素晴らしい作品が、これまた驚異的な状態の良さで並んだ様に感動。
見逃すようであれば、禍根を残すことになったであろう。
おそらく今年の展覧会の中でもベスト3入りは間違いない。

3月29日
仕事帰りにLXILギャラリー(旧名INAXギャラリー)へ。
「鉄川与助の教会建築展」を観るため。
長崎県を中心に教会建築を手がけた建築家の作品を紹介。
美しい教会であるが、五島列島には、今は無人となった島にその偉容が残るという、浪漫をかきたてられるシチュエーションがまたそそる。
なかなか訪れる機会には恵まれそうもないが、一度は実見したいものだ。

読了本
レオン・ブロワ『絶望者』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』(ハヤカワ新SFシリーズ)

レオン・ブロワはどうもその面白さがわからない。「バベルの図書館」30冊を読んだときも、やはりわからなかった。
キリスト教文化に囲まれていないため、そのアンチテーゼぶりが衝撃的に感じないせいであろうか。
(「バベルの図書館」ではブロワと並んで、パピーニもその良さがわからなかったのであるが)
本書もまた、大して感銘も受けることなく、ひたすら文字を追うだけで終わってしまった気がする。

購入本
『益田勝実の仕事』全5巻(ちくま学芸文庫)
Jean-Luc Mercie- Pierre Molinier (les presses du reel, 2010)
エロスの画家・写真家であるピエール・モリニエの作品集の英訳版。絵画作品よりも、写真作品が占める割合が高い。
そのエロティシズムへのこだわりと濃密さという点では、ベルメールと並んで私の中では双璧といってもよいかも。
4755. 2012年03月20日 10時05分08秒  投稿:かわぐち 
3月17日
上野へ。まずは東京国立博物館へ。月に一度は行きたい常設展チェック。
しかし、それほど大きな変化はなし。やはり20日以降で大きく変わるようだ。
1階近代絵画コーナーでは黒川清輝オンリーになっている。
売店で「時空旅人 Vol.6 幻の国宝」購入。いよいよ20日から開催される「ボストン美術館収蔵品展」の特集。
見ているだけで期待が高まるとともに、混雑が心配になる。 蕭白だけで11点!

続いて国立西洋美術館へ。本日のメインの目的「ユベール・ロベール展」。
廃墟画家として知られるが、画集でその一部を知るにとどまっていた画家の日本初個展。
期待を込めて行ったのだが・・・・・・前売り券も買い、雨の中、出かけたが、わかったことは「ロベールは私の好みの画家ではない!」ということだった。
サルバトル・ローザ(1点出品あり)、アレッサンドロ・マニャスコ(常設展示に2点あり)、そしてもちろんモンス・デシデリオ、
こうした画家たちの絵に比べると荒涼感がなく、したがって幻想絵画としての魅力に乏しいのだ。
なんというか、観光地のローマ遺跡で撮った記念写真を見せられているような感じ。
ロココのような色使いも私の好みではないこともある。これまでほとんど関心を抱いたことのなかったブーシェのほうがまだ好きかも。
こうした感想を抱いたのは私だけなのか。絵画としての良さはわかり、ときには感動することもあるのだが、印象派やロココ、ビーダーマイヤーのように積極的に見たいとは思えないタイプであった。
常設の版画コーナーではピラネージ「牢獄」。1版(14点)・2版(16点)が揃い、並べて観られるという、感涙ものの企画。
私の好みは明らかにこちらだ。

そのまま足を延ばして本郷へ。
弥生美術館で開催中の「植木金矢の世界展」観賞。
会場につくなり人がいっぱい。ちょうどサイン会をしていたのだ。知らなかった!
知っていれば国書刊行会から出た画集を持参したのに。しかも会場で同画集を買えば、新作のコピー冊子がもらえるという。
そんなこととはつゆ知らず、すでに買ってしまったよ。
会場は異様なほど密度の濃い空間。原画が思いのほか多く、やはり原画のペンの美しさは印刷では敵うべくもない。

3月18日
府中市美術館へ。企画展「三都画家くらべ」を観るため。
江戸・大阪・京都の土地ならではの「感覚」を、各都市の作品を比べることで探ろうという好企画。
板橋とならび、府中もこういった企画の立て方が実にうまい!
そして並ぶ絵がまたすごい! 有名どころから実に渋いところまで、万全の目配りといってよいのではなかろうか。
とにかくHPの出品リストを見ることをおすすめする。
有名作・代表作に乏しいのは確かだが、出品作の多くが個人蔵のものなので、これを逃すと見られる機会も少ないものが大半だ。
大量の観客動員を見込んだ大博物館の企画に対して、こうした「ムムっ」と思わせる企画には思わずエールを贈りたくなる。
4月15日までが前期、4月17日から5月6日までが後期だが、前期・後期では作品はほぼ入れ替え。
もちろん私は後期も行くつもり。

読了本
アルフレッド・ジャリ『フォーストロール博士言行録』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
難解でペダントリーだらけの小説だが、それがまた楽しい。

購入本
チャールズ・ジョンソン『海賊列伝(上・下)』(中公文庫)
リブロポートから出ていた『イギリス海賊史』の改題・文庫版。この分野の基本図書。
原著発行は、なんと1724年。

4754. 2012年03月15日 22時33分59秒  投稿:かわぐち 
3月14日
仕事を早めに終え、東陽町へ。
竹中工務店本社ビル1階にあるギャラリーA4にて開催中の「『伝道院』と伊東忠太展」を観るため。
土日祝休館で、18時までとあって、観る機会を作り出すのが難しかったのだ。
無料の小ぢんまりとした展示ではあるものの、中身は意外なほど充実。
伝道院は京都にある西本願寺所属の建築で、竣工は1912年。
当初は真宗信徒の生命保険会社の社屋であった。
藤森照信氏が「カレー味のヴィクトリア建築」と、その特徴を見事に言い表している。
昨年正月に京都に行った折には覆いがかかっており、今年の正月はどうせまだ修復中だろうと思ってスルーしていたのだが、
昨年春に修復を終えていたことを後で知り、ほぞを噛んだばかりだ。
展覧会は修復のようす、甦った内部の写真、さらに忠太の他の作品の写真や模型、
さらに伝説ともなったアジアから中東を抜けてヨーロッパを旅した際の記録メモなど。
リーフレット100円を購入。

読了本
ジャン・ロラン『仮面物語集』(国書刊行会・フランス世紀末文学叢書)
ウリオール・ブイガス『モデルニスモ建築』(みすず書房)
今和次郎『考現学入門』(ちくま文庫)再読:読むものがなくなったときの予備本として常備。1カ月近くかかり、ようやく読了。

購入本
若林純『寺社の装飾彫刻』(日賀出版社)

[NAGAYA v3.13/N90201]