黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY
本に関する談話室です。
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1031. 2002年02月23日 00時51分18秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『英国庭園の謎』 有栖川有栖氏 読了
国名シリーズ短編集です。有栖川さんの短編ってどうしても
本格味を期待して読んでしまうんですよね。で、いつも結構
期待にこたえてくれるから、それがまた嬉しいんです(笑)。
今回もかなり期待にこたえていただきました。
ベストは(選ぶのがむずかしいけど)「完璧な遺書」。ついで
「三つの日付」「ジャバウォッキー」「雨天決行」。
あまり気にいらなかったので「英国庭園の謎」「竜胆紅一の疑
惑」といったところ。
「完璧な遺書」はネタもいいけれど、その終わり方がいいです。
それだけでは追い詰められないってことが認識されていながら、
かつ意味深な終わり方で始末をつけてて、かなりお気に入り(笑)。
「三つの日付」もその結末に満足できました。
「ジャバウォッキー」はクィーンの趣味・余技に決然と立ち向
かった作品だと思います。
「雨天決行」はネタに普遍性が感じられなかったのがちょっと
ネック(苦笑)。
「英国庭園の謎」はネタは面白いけど犯人の特定に難があるよ
うに感じるし、「竜胆紅一の疑惑」にいたっては火村は推理して
ない(火村本人のセリフにもそれは表れていると思う)し、む
しろこれは、ホラーだと認識すべき話じゃないかと思いました。
いや、全作良質の本格短編なんてのが無茶な話だろうし、そも
そも「本格」を期待しなきゃいいんですけどね。期待しなきゃ
この作品は結構面白いと思いますし(苦笑)。
結論としては、有栖川短編には「まだまだ期待をしていきます」
ということでございました。満足満足〜(笑)。
そいでは!!
1030. 2002年02月21日 12時42分43秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『ピカデリーの殺人』 アントニイ・バークリー氏 読了
今いち馴染みのない作家さんであります(汗)。
『毒入りチョコレート事件』が一番有名なのかもしれませんが、こちらの
ほうが私の好みでした。面白かったですー(笑)。
今いちよくわからない箇所があり、また、真犯人がとってしまった突拍子も
ない行動に少し疑問があるのですが、それ以外は本格ミステリとしても、ユ
ーモアミステリとしても、楽しむことが出来ました。
チタウィック一族、バンザイ(笑)。
やっぱり他の作品も読んでみたくなりましたです。『試行錯誤』は積読です
ので、作風は違うだろうけどアイルズ名義にも手をだしてみようかしら?
解説はバークリー紹介としてとても親切な出来です。思わず創元推理文庫の
「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」各巻に書かれた戸川さんの解
説を思い出してしまいました(笑)。
ここまでの掲載リストをのせたんだから、いっそのこと創元さんで全作翻訳
刊行していただけないものかしら? ←無茶だって(汗)!!
そいでは!!
1029. 2002年02月19日 00時26分09秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『群衆の悪魔 デュパン第四の事件』 笠井潔氏 読了
1800年代半ばのフランスを舞台として、近代探偵小説の祖と
言われているポオが生みだした名探偵を登場させた笠井さん
の力作。力作だけあって読むのも大変でした(汗)。
いや〜、ホント疲れました(笑)。
筒井康隆『虚構船団』第二章の要素と、関川夏央&谷口ジロー
『坊ちゃんの時代』の要素と、デュパンによる笠井潔の思想の
代弁がごちゃまぜとなってとても面白く読める作品です。ポオ
の作品に詳しければ、オマージュ要素も面白く感じるんでしょ
うけど、私はあいにくポオの作品をほとんど読んでいないので
そのあたりの面白さはほとんど判りませんでした(汗)。
また、ミステリの体裁をとっているのに、ミステリに関係しな
いところのほうが断然面白い、困った作品でもあるように思え
ます(苦笑)。ぶっちゃけていうと、ミステリ部分が一番面白
く感じなかったかもしれません(爆)。
1800年代半ばでの出来事なので、ミステリ部分を複雑に入りこ
んだロジックものに「あえてしなかった(=そこまでミステリ
として進化したスタイルをとることは出来なかった)」と考え
るのは、ちょっとひいき目に見すぎてるんでしょうね(笑)?
そいでは!!
1028. 2002年02月12日 23時48分55秒
投稿:SAMANA
6号室SAMANAです〜。
『ディプロトドンティア・マクロプス』 我孫子武丸氏 読了
久々に読む我孫子武丸作品。結構嬉しかったりします。
我孫子さんの小説は、実は私はわりと好きなのであります(笑)。
この作品について、ネット上で私はあまり話にきいたことが
なくて、「いったいどんな作品なんだろう・・・」と思って
いたんですが、読んでみて納得。確かにミステリとしては、
あまり話にのぼることはないようなお話だと思います。んで
も好きだなぁ、こういう作品。ミステリの枠にはまろうとし
ない我孫子さんらしい、とってもいい小説だと思います。ま
たこんな作品を書いてくれないかしら(笑)?
「ユーモアSFハードボイル童話」という、ちょと駄洒落も
含めてみたような名称で呼びたいこの作品。前半のハードボ
イルドチックな展開も、後半からのSF&○○バトルシーン
も、全編にしみ渡ってるほのぼの童話ペーソスも、これまた
全編に渡ってことことしみこんでいるユーモアタッチも、と
ってもいい感じ。
特にユーモア感はジャストフィット。
「うん。実はそうなんだ。すまない」
「すまない。私が間違っていた、お前がチャンピオンだ―」
こんな変哲もないただのセリフなのに、思わず吹き出さずに
はいられないほどのシチュエーションをかもしだしているこ
の作品に私は敬意を表したいと思います(笑)。
そいでは!!
[NAGAYA v3.13/N90201]