黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY

本に関する談話室です。

  225〜228件 
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1039. 2002年03月10日 13時30分54秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『悪魔が来たりて笛を吹く』 横溝正史氏 読了

  映画だったかビデオだったか・・・。とにかく「映像」で既に
  この作品を知っていました。今回初めて小説を読みましたが、
  まさかというか、やはりというか(苦笑)、映像とは密室の仕
  掛けや犯人が少しばかり違っていたように思います(苦笑)。

  読む前には、おどろおどろしさが強くてそんなに本格味はない
  だろうと思い込んでいましたが、そうでもありませんでした。
  むしろ「トラベル・ミステリ」的な面白さ(アリバイ崩しにあ
  らず)も味わうことが出来、ちょっと嬉しかったです(笑)。

  「おっ!」と思わせるちょっとした仕掛けと、事件の陰惨さが
  払拭されそうな予感を感じさせるラストもなかなか良かったで
  す(笑)。

 そいでは!!
1038. 2002年03月07日 13時12分20秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『聖い夜の中で』 仁木悦子氏 読了

  遺作となった表題作を含めた、仁木さん最後の短編集。
  表題作は改めて仁木さんらしい好短編だと思いました(笑)。

  私が持ってる本は文庫なのですが、その巻末にも年譜・書
  誌・著書目録等があって、仁木ミステリを探して読んでい
  きたいと思われる人にとっては、とても役立つものだと思
  います。
  んでもたぶん、この文庫も絶版状態なんだろうなぁ(泣)。

  実は仁木作品の中で「しっくりこないなぁ〜」と思う短編が
  私にはいくつかあります。主に浅田(旧姓:仁木)悦子が主
  人公の作品なんですけど、殺された人の身内やそのまわりへ
  の影響もかえりみず、単なる好奇心だけで探偵役となって、
  事件を振り回すといったタイプの作品だと理解してます。

  クィーンの悩みじゃないですけど、ここまで自分の好奇心
  だけで人の生活をしっちゃかめっちゃかにしていいもんだ
  ろうか? と、仁木作品の舞台・背景・キャラの世界が現
  実の世界にかなりオーバーラップすることもあいまって、
  読後感がいまいちすっきりしなかったんですよね。

  でも巻末にある夏樹静子さんの追想文の一節を読んで、目
  から鱗が思いっきりはがれてしまいました(汗)。

  「人間は誰だって殺人事件が大好きなのだ。そのことを、
   こんなにもおおらかに語れる作家は、仁木さんを措いて
   はいないだろう。」
  
  おおお!!! そうか。そうだったのか!!
  実際に生きている人間を、実は「殺人事件が大好き」なも
  のでしかないと、そこまで冷ややかに人間というものを認
  識しているにも関わらず、そんな人間をおおらかに受け入
  れることが出来る人だったからこそ、おおらかに語ること
  が出来ていたんだなぁと感じとりました。

  私は営利目的や興味本位で、現実の世界で殺人を犯したよう
  な人については、恐らくその人を受け入れるようなことは出
  来ないと思います。
  そこまで「おおらかな心」を自分が持っているとは到底思え
  ないからです。
  そんな心の持ち主が、ある意味達観しているともとれる短編
  を読んで、納得するはずがなかったんですよね(汗)。
  なんだか、やっと「何か」を理解したように思えました。

  人間の受取方については、私の心はたぶん死ぬまで変わらな
  いと思われますが、こと仁木作品に対しては今までとは違っ
  た心(受け取り方)で、読むことが出来るかもしれません(笑)。

そいでは!!
1037. 2002年03月06日 12時46分30秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『試行錯誤』 アントニィ・バークリー氏 読了

  一読驚嘆!!
  まさか徐々に発生した「狂気」がここまで暴れ回って、つい
  にはとんでもなく非条理な世界が展開されるスラップスティ
  ックコメディだとは思ってもみませんでした。
  かなり爆笑ものだと思います(笑)。

  後期の作品ということもあって、ガチガチの本格を期待して
  いなかったのですが、まさかこんな作品とは・・・。
  これは嬉しい誤算でした。まるで筒井ドタバタ作品を読んだ
  ようです(笑)。

  文庫の梗概に書かれてるような「従来の推理小説を皮肉るよ
  うなユーモア」は別に感じず、むしろP.319半ば(創元推理
  文庫8版)に書かれている「事態」がまず頭に浮かんで、そ
  れを展開させるためにこういった従来の推理小説と違うパタ
  ーンの毒笑小説が生まれたんじゃないかと邪推しています(汗)。

  ただひとつ残念なのは、P.429からP.432の弁論があまりにも
  見事なことと、P.433の1行目に書かれた一文から何となく
  最後の姿が見当ついてしまったことであります。
  P.433の一文については他に翻訳しようがなかったんでしょ
  うね。それとも私がこの一文を勘ぐって受取りすぎたのかし
  ら(汗)?

そいでは!!
1036. 2002年03月05日 23時25分19秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。
珍しくも読書感想ではありません。お喋りです(笑)。

朝、新聞を読むと半村良さんがお亡くなりになったとのこと。
私は決していい読者ではなかったんですが、それでも

・「伝説」シリーズを夢中で読んでた時期もあったし、
・「闇の中の〜」シリーズ1作目を読んだときは「なんちゅう
  世界を作りあげてるんやっ!!」と驚嘆したし、
・筒井康隆編による「日本SFベスト集成」に入ってる「H氏
 のSF」は大のお気に入りだし、

私の読書傾向に少なからず影響を与えてくれた作家さんである
ことは間違いありません。筒井・半村両氏には、他の作家さん
とは一線を画す、「才能」「オーラ」みたいなものが感じられ
る、それほどの存在力が私にはありました。
つつしんでご冥福をお祈りいたします。

訃報がきっかけとなり、前に古本屋で見つけて目をつけていた
『妖星伝』全巻を思い切って購入しました。
こんな代表作を読んでないんだから、私は半村さんにとって、
本当にいい読者ではありませんでした・・・(汗)。

そいでは!!

[NAGAYA v3.13/N90201]