黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY

本に関する談話室です。

  213〜216件 
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1051. 2002年03月29日 11時56分12秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『大穴』 ディック・フランシス氏 読了

  フランシス作品で最もよく名前を聞く人物、シッド・ハレー初登場
  のサスペンスであります。
  「できる人」が主人公の物語はやっぱり胸がスカッとして気持ちの
  いいもんでございます(笑)。

  とはいえ、単なる強いだけの人間でないところは従来のフランシス
  作品と同じでして、シッド・ハレーにおいても基本的には「できる
  人」なんだけれども、やはり人間の脆弱な部分を「克服」したうえ
  で、その力が発揮されております。
  前に読んだ数作と比べると、プロットがあまり入り組んでなく、比
  較的わかりやすいように思えましたけど、このあたりはさすがに読
  者のツボを押さえまくってると思います。
  私はまたもやハマッてしまいました(苦笑)。

  シッド・ハレーがメインとなる作品は、これ以後も数作あるようで
  すが、これは単にシッド・ハレーだけの魅力でなく、その周囲の人
  物・組織も影響してるんじゃないかと想像しました。
  だってシリーズ化を見越したような展開・人物配置としか思えなか
  ったんですけど(笑)。

そいでは!!
1050. 2002年03月27日 17時36分06秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『魔性の子』 小野不由美氏 読了

  『東亰異聞』の悪印象で、私の中では「今いち作家」だった小野
  さんのホラー&ファンタジー小説。
  これを読み終えて、印象がガラッと変わってしまいました。今で
  は「信頼買い」作家さんになりそうな勢いであります(苦笑)。

  あやふやな記憶だけで話いたしますが、『魔性の子』と『東亰異聞』
  を読んだ限りでは、小野作品については純粋にホラー&ファンタジー
  の話のほうが私には向いてるようです(汗)。
  小野作品は、ホラー&ファンタジー部分が抜群に面白いので、これに
  ミステリ部分を加えて両立させようとすると、ミステリ部分の出来が
  かなりいいもの(あっと驚くアクロバティックを含めたロジック等)
  でないと、ホラー&ファンタジー部分の前に思いっきりかすんでしま
  うように思います。
  その具体作が実は『東亰異聞』だったんじゃないかと思えて仕方があ
  りません。というか、私が先入観持ちすぎの状態で『東亰異聞』を読
  んでしまったのかなぁ・・・(泣)。

  作中に、気になる文字面があったんですが、これってやっぱりあのシ
  リーズの外伝みたいなものなのでしょうか(汗)?
  そうだとすると、説明不足のところが多々あるように感じる箇所も、
  「仕方がないか・・・」と納得出来るんですが(苦笑)。

  んでも、そんなところをさっぴいてもこのお話にはぐいぐい引きつけ
  られました。大変満足でございます。
  これで私も「あの」シリーズに、とうとう手を伸ばしてしまいそうで
  す(笑)。

そいでは!!
1049. 2002年03月26日 17時14分59秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『疫病神』 黒川博行氏 読了

  この小説はほんまに恐いです。大阪のヤクザな人らが利権をめ
  ぐって動き回るお話なんですけど、その人らがほんまに恐い。
  駅のトイレでしょんべんしてる時に、もし桑原が隣にこようも
  んなら、もう私は生きた心地がせえへんと思います(泣)。

  東に『不夜城』あれば、西に『疫病神』あり。
  実はテーマも設定も内容も書き方等も全然違う二作品やけど、
  「バイオレンス」「暗躍」とかいった単語だけでくくるとした
  ら、同一ジャンルに入るんちゃうかな?と(汗)。
  で、そう考えたら、東と西で話がえらいちごてくるもんやなと、
  変なとこで感心してしまいましたわ(苦笑)。
  どちらもその土地の風土・人間を把握して描かれたからこその
  違いやと思います。

  事件の構成は無茶苦茶複雑で、いっぺん読んだだけではわかり
  そうにもありません。なんで二宮や桑原は死にそうな目におう
  ときながら、こんな筋道たどれるんか、ほんま不思議です。
  これやから「出来るやくざ」はほんまに恐いし、その出来るや
  くざに見込まれたかたぎの二宮はほんまに可哀想です(汗)。

  んでも最後はなぜか、大阪らしいへんてこなハート・ウォーミ
  ング(爆)。
  このあたりが黒川さんの力量なんやろね(笑)。

  #蛇足
   やくざの桑原。
   「こんなやつに関わったらもうどないもならん。ほんま勘弁
    やで。くわばらくわばら・・・。」
   いうことで「桑原」とつけられたんでしょうな。多分(笑)。  

そいでは!!
1048. 2002年03月25日 12時57分17秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『成吉思汗の秘密』 高木彬光氏 読了

  神津恭介による初めての歴史推理ものです。後発の『邪馬台国の
  秘密』を先に読みましたが、それよりは断然こちらのほうが面白
  かったです。やはり「場所」より「人」の謎のほうが私の好みな
  のでしょう(苦笑)。

  といっても、展開される推理部分は歴史にうといものだから、は
  っきり理解したとは言いがたい状況です。神津の推理にしても井
  村の反論にしても、どちらに信憑性があるのかすら判断しがたい
  ていたらくだし(爆)。
  あえていえば、どっちもどっち、水掛け論の泥沼化状態だと思う
  んですが・・・(苦笑)。
  とはいえ、これはもう前提が前提だけにどうしようもないところ。
  歴史推理という難関に敢然と挑戦し、神津による名探偵の論理で
  もって異説を証明しようと試みた、高木さんの幅広いジャンルへ
  の旺盛欲に敬意を表すべきなんだと思います。

  ミステリ的発想で一番面白かったのはP.322の最後の行からP.323
  の5行目(光文社文庫1993年4月20日初版による)までに書かれた
  「大ロマン」であります。
  あのミステリやこのミステリで使われていたネタが、ここでも使
  われておりました。でも「ロマン度」はこれが一番強いかも(笑)?

  で、本書で一番気になったのは、実は名探偵神津の「恋のゆくえ」
  でありました(笑)。

  ・・・・高木さん。草葉の陰で泣いてはるかも(汗)?

そいでは!!

[NAGAYA v3.13/N90201]