黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY
本に関する談話室です。
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1051. 2002年03月29日 11時56分12秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです。
『大穴』 ディック・フランシス氏 読了
フランシス作品で最もよく名前を聞く人物、シッド・ハレー初登場
のサスペンスであります。
「できる人」が主人公の物語はやっぱり胸がスカッとして気持ちの
いいもんでございます(笑)。
とはいえ、単なる強いだけの人間でないところは従来のフランシス
作品と同じでして、シッド・ハレーにおいても基本的には「できる
人」なんだけれども、やはり人間の脆弱な部分を「克服」したうえ
で、その力が発揮されております。
前に読んだ数作と比べると、プロットがあまり入り組んでなく、比
較的わかりやすいように思えましたけど、このあたりはさすがに読
者のツボを押さえまくってると思います。
私はまたもやハマッてしまいました(苦笑)。
シッド・ハレーがメインとなる作品は、これ以後も数作あるようで
すが、これは単にシッド・ハレーだけの魅力でなく、その周囲の人
物・組織も影響してるんじゃないかと想像しました。
だってシリーズ化を見越したような展開・人物配置としか思えなか
ったんですけど(笑)。
そいでは!!
1050. 2002年03月27日 17時36分06秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです。
『魔性の子』 小野不由美氏 読了
『東亰異聞』の悪印象で、私の中では「今いち作家」だった小野
さんのホラー&ファンタジー小説。
これを読み終えて、印象がガラッと変わってしまいました。今で
は「信頼買い」作家さんになりそうな勢いであります(苦笑)。
あやふやな記憶だけで話いたしますが、『魔性の子』と『東亰異聞』
を読んだ限りでは、小野作品については純粋にホラー&ファンタジー
の話のほうが私には向いてるようです(汗)。
小野作品は、ホラー&ファンタジー部分が抜群に面白いので、これに
ミステリ部分を加えて両立させようとすると、ミステリ部分の出来が
かなりいいもの(あっと驚くアクロバティックを含めたロジック等)
でないと、ホラー&ファンタジー部分の前に思いっきりかすんでしま
うように思います。
その具体作が実は『東亰異聞』だったんじゃないかと思えて仕方があ
りません。というか、私が先入観持ちすぎの状態で『東亰異聞』を読
んでしまったのかなぁ・・・(泣)。
作中に、気になる文字面があったんですが、これってやっぱりあのシ
リーズの外伝みたいなものなのでしょうか(汗)?
そうだとすると、説明不足のところが多々あるように感じる箇所も、
「仕方がないか・・・」と納得出来るんですが(苦笑)。
んでも、そんなところをさっぴいてもこのお話にはぐいぐい引きつけ
られました。大変満足でございます。
これで私も「あの」シリーズに、とうとう手を伸ばしてしまいそうで
す(笑)。
そいでは!!
1049. 2002年03月26日 17時14分59秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです。
『疫病神』 黒川博行氏 読了
この小説はほんまに恐いです。大阪のヤクザな人らが利権をめ
ぐって動き回るお話なんですけど、その人らがほんまに恐い。
駅のトイレでしょんべんしてる時に、もし桑原が隣にこようも
んなら、もう私は生きた心地がせえへんと思います(泣)。
東に『不夜城』あれば、西に『疫病神』あり。
実はテーマも設定も内容も書き方等も全然違う二作品やけど、
「バイオレンス」「暗躍」とかいった単語だけでくくるとした
ら、同一ジャンルに入るんちゃうかな?と(汗)。
で、そう考えたら、東と西で話がえらいちごてくるもんやなと、
変なとこで感心してしまいましたわ(苦笑)。
どちらもその土地の風土・人間を把握して描かれたからこその
違いやと思います。
事件の構成は無茶苦茶複雑で、いっぺん読んだだけではわかり
そうにもありません。なんで二宮や桑原は死にそうな目におう
ときながら、こんな筋道たどれるんか、ほんま不思議です。
これやから「出来るやくざ」はほんまに恐いし、その出来るや
くざに見込まれたかたぎの二宮はほんまに可哀想です(汗)。
んでも最後はなぜか、大阪らしいへんてこなハート・ウォーミ
ング(爆)。
このあたりが黒川さんの力量なんやろね(笑)。
#蛇足
やくざの桑原。
「こんなやつに関わったらもうどないもならん。ほんま勘弁
やで。くわばらくわばら・・・。」
いうことで「桑原」とつけられたんでしょうな。多分(笑)。
そいでは!!
1048. 2002年03月25日 12時57分17秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『成吉思汗の秘密』 高木彬光氏 読了
神津恭介による初めての歴史推理ものです。後発の『邪馬台国の
秘密』を先に読みましたが、それよりは断然こちらのほうが面白
かったです。やはり「場所」より「人」の謎のほうが私の好みな
のでしょう(苦笑)。
といっても、展開される推理部分は歴史にうといものだから、は
っきり理解したとは言いがたい状況です。神津の推理にしても井
村の反論にしても、どちらに信憑性があるのかすら判断しがたい
ていたらくだし(爆)。
あえていえば、どっちもどっち、水掛け論の泥沼化状態だと思う
んですが・・・(苦笑)。
とはいえ、これはもう前提が前提だけにどうしようもないところ。
歴史推理という難関に敢然と挑戦し、神津による名探偵の論理で
もって異説を証明しようと試みた、高木さんの幅広いジャンルへ
の旺盛欲に敬意を表すべきなんだと思います。
ミステリ的発想で一番面白かったのはP.322の最後の行からP.323
の5行目(光文社文庫1993年4月20日初版による)までに書かれた
「大ロマン」であります。
あのミステリやこのミステリで使われていたネタが、ここでも使
われておりました。でも「ロマン度」はこれが一番強いかも(笑)?
で、本書で一番気になったのは、実は名探偵神津の「恋のゆくえ」
でありました(笑)。
・・・・高木さん。草葉の陰で泣いてはるかも(汗)?
そいでは!!
[NAGAYA v3.13/N90201]