黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY

本に関する談話室です。

  201〜204件 
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1063. 2002年04月21日 23時07分34秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『玄い女神 建築探偵桜井京介の事件簿』 篠田真由美氏 読了

  神秘・華美・苦悩・耽美・幻想などの味わいが、目眩ましのように作
  中に沁み込んだ、独自の世界を感じさせる篠田作品の建築探偵シリー
  ズ第二作目です。
  う〜ん。誉めてるのかけなしてるのか、よくわからない表現だぞ(苦笑)。

  まぁ、私の体質とは最も縁遠い作風じゃないかと思います。服部まゆみ
  さんの作品と似た味わいも感じました。
  自ら「フィクション」を読んでる訳ですから、自分の体質と全く異なる
  作品を好きになることも何らおかしくないわけですが、ここまで異なっ
  てしまうと、やはり「面白い」と感じることは出来ませんでした(汗)。

  ミステリとしても、京介が喋り始めたころの真相は「そういうことなら
  そんな行動とるわなぁ、かなり地味に思うけど、でも納得」と、そこそ
  こ満足してたんですが、途中から「え〜?」と思い始め、最後の大ネタ
  に関しては、かなりの「無茶ネタ」としか感じませんでした。納得「さ
  せて」くれませんでした。
  そんなに気づかないものか(汗)? 

  読むべきところはそんなとこじゃないかもしれないけれど、その「読む
  べき」と思われるところが、私の体質と遠くかけ離れたものなので、こ
  んな感想になっちゃいました。ガサツなおやじで申し訳ないです(苦笑)。

  でもまぁ、建築探偵シリーズ前のヨーロッパを舞台にした「〜の殺人」
  はそこそこ楽しめた記憶があるので、もう少しシリーズ作を読んでみる
  ことにいたします(笑)。

そいでは!!
1062. 2002年04月19日 19時17分22秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『怪盗道化師(ピエロ)』 はやみねかおる氏 読了

  品切れ状態だったはやみねさんのデビュー作が、今月新たに青い鳥
  文庫から復刊されました。
  復刊ドット・コムに復刊交渉を希望したはやみね作品のファンの子
  供たちによる通称「ぷられーる団」←大人も若干存在(笑) の希
  望が叶えられ、本当に良かった良かった。
  復刊ドット・コムさん。ありがとう(笑)!!

  デビュー作だけあってミステリ色は少な目。児童向け小説の要素の
  ほうがやはり大きいように思います。
  それでも「小さな依頼人」「影を盗む男」「最後の仕事」などには
  ミステリ読者も、そこそこ楽しめるかもしれません(笑)。
  
  んでも、この作品の見るべきところ・感じるべきところは、全作品
  に共通する「暖かさ」でしょう。
  厳しい現実は確かにある、ひょっとしたら今そのまっただ中にいる
  読者(子供達)もいるかもしれないけれど、まずはやっぱり人が持
  つ「あったかい気持ち」というものを知ってもらうことは、大事な
  ことなんじゃないかと思います。

  えっ? 普段の私らしくないって?
  まぁそこはそれ。子を持つ親として、こんなことを思うときが私に
  もたまにはあるのです(汗)。

  蛇足
   このころから「ミステリ小ネタ」が既に存在していた事が発覚(笑)。
   「魔術師とよばれた男」に登場する手品師の名前は、無理からです
   けど、やっぱりニヤッと笑っちゃいました(笑)。

そいでは!!
1061. 2002年04月18日 13時00分20秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『亜智一郎の恐慌』 泡坂妻夫氏 読了

  タイトルから判るように主人公は、泡坂さんが生み出した希代の名探
  偵、亜愛一郎と関係があります。ぶっちゃけて言えば「ご先祖」さま
  ですね(笑)。

  時代が時代だけに、凝った本格ミステリというわけではありませんが、
  それでもベーシックな部分はきっちり押さえられていると思います。
  また、あるお部屋で最近話題にあがっている『半七捕物帳』よりは、
  江戸庶民の人情・風俗等、「町民文化」の描写が少ないように思われ
  ますが、その分、江戸城内に生きる人達による「武家文化」が描かれ
  ていると思います。

  そんな訳で、ミステリとしてのお気に入りは「女方の胸」に見られる
  逆転の発想が、風俗としてのお気に入りは「地震時計」序盤の、武士
  と遊女のやりとりであります。
  で、ミステリと風俗描写、両方兼ね備えた一番のお気に入りは「大奥
  の曝頭」でございました。
  いや、「大奥の曝頭」は本当に堪能させていただきました〜(笑)。

そいでは!!
1060. 2002年04月17日 12時59分55秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『101号室の女』 折原一氏 読了

  折原さん独特のサスペンスミステリ短編集です。
  これを読んで、折原さんはこれからミステリ読者に対して、まさに
  艱難辛苦の道を歩んでいくんだろうなぁ・・・としみじみ思ったのは
  私だけでしょうか(汗)?

  意外性に満ちた短編ぞろいなのですが、短編であるがゆえに、また
  「折原一」という名前が「この話には絶対に何かあるっ!」といった
  意識をミステリ読者に無意識のうちに与える影響が大きいがゆえに、
  推理力が全くなくても仕掛けの見当がついてしまう作品が数多くみら
  れたように思います(爆)。

  すごく面白いと思うんです。出来がいいと思うんです。んでも見当が
  ついちゃうと、どうしても味わいが薄くなってしまうんです(汗)。
  折原作品が未読&サスペンスものが好みな方にとっては、この短編集
  から計り知れない衝撃を受ける可能性はけっこうあると思います。
  だからこそ「ふ〜ん・・・」としか感じない自分の(折原作品に対す
  る)感覚が恨めしく思われます(泣)。

  ただその中でも、

   『恐妻家』は、ラストで味わう「妙な感覚」で、
   『殺人計画』は、本格ネタっぽい仕掛けの要素で、
   『わが生涯最大の事件』は、話の先の見当をつけることが出来ない
    ストーリーの進め方で、

  それぞれ楽しく読むことが出来ました。
  特に最後の『わが生涯最大の事件』については、話の進め方はもちろ
  ん、読者を引き込む話術(?)やオチのつけ方なども含めて、とても
  素晴らしい短編だと思いました。

  折原作品に関しては、単に「意外」なだけだと物足りなく感じるワガ
  ママな読者のためにも、折原さん。すみませんがこれからも「艱難辛
  苦」の道を歩んでいただくわけにはいかないでしょうか(爆)?
  なにとぞよろしくお願いいたします〜(ぺこぺこ)。

そいでは!!

[NAGAYA v3.13/N90201]