黒猫荘
(mobile版)

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カフェ「白梅軒」
オーナー:川口且真

(OPEN:1999年7月19日)

「白梅軒」へようこそ。

  21〜24件 
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4790. 2013年10月21日 23時15分38秒  投稿:かわぐち 
井上章一編『性欲の研究 エロティック・アジア』(平凡社)読了。
正直言って期待はずれだった。まあ、「期待」というか、私の関心とマッチしていないということかもしれないが。
こうした複数の筆者の文を集めた本はどうしても散漫になるのは避けられないし、当然、それほど突っ込んだ話もできずサワリで終わるのは仕方がないこと。
結局、参考文献で知らない本を知り、読んでみようという気になったことが収穫か。
4789. 2013年10月20日 21時25分34秒  投稿:かわぐち 
高橋豪仁『スポーツ応援文化の社会学』(世界思想社)読了。
総じておもしろい本であった。スポーツの応援を社会学の様々な理論を使って分析。ちょっと牽強付会な点はあるものの、それがかえって「おいおい」と思いながらも楽しめる。
著者がここで例に出しているのはプロ野球の私設応援団。たしかにあのような鳴り物入りで、みんなが同じ歌を歌うというタイプの応援は、海外のスポーツゲームで見た記憶がない。
さらにその私設応援団も一つの球団に複数が存在し(当然そこには数々の軋轢も)、さらには近年は球団側に個人情報・写真までもを提出し、応援団のIDカードが発行されているとか、私には全くうかがい知れない世界の話であった。
先に「総じて」と言ったのは第4章。ここでは著者の所属する広島東洋カープ応援団の神戸中央会の話が描かれているのだが、実にめんどうくさい人間関係の話。やはりどんな世界でもこういうことはあるのね、と最初は思って読んでいたが、100頁(本書の2/5)にもわたる軋轢話にいささかウンザリ。まあこれは私に応援にそこまで情熱・生きがいを見出す回路が備わっていないからだろう。
本書はプロ野球応援団に話を限っているが、人間の特性として、他分野のスポーツでもこうした考察は有効かと。
4788. 2013年10月19日 18時59分04秒  投稿:かわぐち 
八木福次郎『書痴斎藤昌三と書物展望社』(平凡社)読了。
書物展望社でいわゆる「好事家本」を出版し続けた斎藤昌三の歩みを古書通信の八木氏が描く。
もちろん私はリアルタイムでその出版を見ていたわけではないが、登場する人物、書名を目にするとノスタルジアを感じてしまう。
これらの多くは市井の読書家である。山口昌男いうところの「知の自由人」だ。
こうした好事家の系譜は見ていて様々なことを考えてしまうのだが、山口昌男『内田魯庵山脈』、さらに江戸の「知の自由人」を描く中村真一郎『木村蒹葭堂のサロン』はぜひ読んでほしい。

ベアント・ブルンナー『水族館の歴史』(白水社)読了。挿絵の美しい粋な本。
しかし、題名はちょっと。原題「海が室内にやってきた」は副題にもなっているが、公共水族館が登場するのは半分以上過ぎてから。それまでメインは家庭で魚を飼う水槽の流行にあるからだ。「アクアリウム」を無理に「水族館」としてしまったのがいけないのでは。
水族館に関する本はたくさんあるが、多くは「水族館に行こう」的な流行スポットの紹介の域を出ぬものがほとんど。
公共水族館の文化史としては、鈴木克美『水族館(ものと人間の文化史)』(法政大学出版局)がなんといってもベストだと思う。それに本書を併読すれば歴史面ではほぼOKかなと。鈴木氏の本にはない、魚の運搬コンテナの発達など、新知見があったことは言っておきたい。

4787. 2013年10月15日 23時38分32秒  投稿:かわぐち 
>よしださま
おおっ、そうですか。かなりの労作ですのでお楽しみに。
ハヤカワ文庫の原作(最初の3冊)は、マーケットプレイスでも相当な値段ですね。
どうしても私の世代では、まず最初に出てくるのがジャン・マレー版なのは仕方なし。

R・J・W・エヴァンズ『バロックの王国』(慶應義塾大学出版会)読了。
あの『魔術の帝国』でルドルフ2世の世界を克明に描き出したエヴァンスの著書で、ハプスブルク帝国の歴史が詳細に描かれる。
しかし…本書は私なんかには歯が立たないほど高度なものであった。
なにせ出てくる固有名詞がほとんどわからない。喩えて言えば、つるつる滑るガラスの上を脚を引っ掛けることもできずになんとか渡り切った昆虫のような心境。
第3部「知的基盤」が少しだけ〈わかる〉程度でした。やはり所詮シロウトと己の分を思い知らされました。


[NAGAYA v3.13/N90201]